資料8

大林委員意見書

2007年(平成19年)10月12日

文化審議会著作権分科会
会長 野村 豊弘 様

社団法人日本芸能実演家団体協議会
専務理事 大林 丈史

 まずは、中間報告の取り纏めに尽力されました委員の皆様に、感謝申し上げます。

 本日、地方公演により欠席のため、実演家の立場から、報告内容を踏まえた上で、以下の通り書面にて意見および提言を申し上げます。

 私的録音録画補償金制度は、私的領域でのユーザーの利便性と、権利者の保護の調整を行う上で今もって優れた制度であり、昨今の録音録画実態に合わなくなってきている現行制度を、実効性あるものに再構築して維持すべきである。今回は「中間整理」とのことで各論併記の体裁をとるものであるが、制度の再構築の方向性が明示されなかったことは残念である。とりわけ私的録画補償金については、総務省におけるコピーワンスの緩和の議論に際してその前提条件となっていたにもかかわらず、廃止すべきとの意見が述べられていることは極めて遺憾であるといわざるを得ない。コピーワンスの緩和に係る議論を無駄にしないためにも、また権利者の不利益をこれ以上拡大させないためにも、私的録音録画補償金制度の再構築について、早期に結論を得ることを強く希望する。

 実演家の保護期間の延長については、以前より分科会が開催される度に発言し、要請して来たが、今期は著作者の保護期間延長について議論し、結論を出すことが優先するということのようである。実演家としては、現行の実演を行った時点から50年という保護期間では、生存中に権利が失効することが多くなるのは明らかである以上、不利益な状態が、このまま納得のいかない理由で放置されることには同意できない。すくなくとも、起算の時点はこのままにしても、映画の保護期間の年数である「70年」に合わせるか、あるいは、著作者と同等の保護期間のあり方(死後)に合わせ公平性を保つべきではないかと考え、法改正を含め再度要請したい。実演家は、著作物の創造に著作者とはちがう次元ではあるが、クリエーターとして大きな創造的貢献をなしており、新しいよりよい著作物を創造するという「創造のサイクル」をより推進するためにも、著作権法上の規定で、他の権利者との公平性を欠いてはならないと考えている。

以上