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著作権分科会(第22回)議事録

1. 日時
平成19年3月12日(月曜日)10時30分〜12時

2. 場所
如水会館 2階 「オリオンルーム」

3. 出席者
(委員)
青山、大林、大渕、岡田、角川、河村、後藤、佐藤、里中、瀬尾、大楽、田上、玉川、道垣内、常世田、土肥、中山、野原、野村、福王寺、松田、三田、宮川、の各委員
(文化庁)
近藤長官、高塩文化庁次長、吉田長官官房審議官、甲野著作権課長、秋葉国際課長ほか関係者

4. 議事次第
(1) 文化審議会著作権分科会長の選出について
(2) 文化審議会著作権分科会運営規則等について
(3) 文化庁長官あいさつ
(4) 小委員会の設置等について
(5) その他

5. 配付資料
資料1   文化審議会著作権分科会委員・専門委員名簿
資料2 著作権制度上の検討課題例
資料3 小委員会の設置について(案)
参考資料1 文化審議会関係法令等
参考資料2 文化審議会著作権分科会(第21回)議事録
(※(第21回)議事録へリンク)

6. 議事内容
【甲野著作権課長】 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから文化審議会著作権分科会(第22回)を開催いたします。
 本日は、御多用の中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。私は文化庁著作権課長の甲野でございます。本日は第7期目の文化審議会著作権分科会の最初の会議でございますので、後ほど分科会長を選任、選出していただくことになりますが、それまでの間、私が進行させていただきますので、御了承いただきたいと思います。
 初めに、委員の御紹介をさせていただきます。配付資料1を御覧ください。本日御出席されていらっしゃる委員から順次御紹介をさせていただきます。
 青山善充委員でございます。

【青山委員】 青山です。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 大林丈史委員でございます。

【大林委員】 大林でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 大渕哲也委員でございます。

【大渕委員】 大渕でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 岡田冨美子委員でございます。

【岡田委員】 岡田でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 角川歴彦委員でございます。

【角川委員】 角川でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 河村真紀子委員でございます。

【河村委員】 主婦連合会の河村です。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 後藤幸一委員でございます。

【後藤委員】 後藤です。どうぞよろしくお願いします。

【甲野著作権課長】 佐藤修委員でございます。

【佐藤委員】 佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 里中満智子委員でございます。

【里中委員】 里中です。よろしくお願いします。

【甲野著作権課長】 瀬尾太一委員でございます。

【瀬尾委員】 瀬尾でございます。よろしく。

【甲野著作権課長】 大楽光江委員でございます。

【大楽委員】 大楽でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 田上幹夫委員でございます。

【田上委員】 どうも田上です。よろしく。

【甲野著作権課長】 玉川寿夫委員でございます。

【玉川委員】 玉川でございます。よろしくお願いします。

【甲野著作権課長】 道垣内正人委員でございます。

【道垣内委員】 よろしくお願いします。

【甲野著作権課長】 常世田良委員でございます。

【常世田委員】 常世田でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 土肥一史委員でございます。

【土肥委員】 土肥でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 中山信弘委員でございます。

【中山委員】 中山でございます。よろしくお願いします。

【甲野著作権課長】 野原佐和子委員でございます。

【野原委員】 野原です。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 野村豊弘委員でございます。

【野村委員】 野村でございます。よろしくお願いします。

【甲野著作権課長】 福王寺一彦委員でございます。

【福王寺委員】 福王寺でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 松田政行委員でございます。

【松田委員】 よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 三田誠広委員でございます。

【三田委員】 三田です。よろしくお願いします。

【甲野著作権課長】 宮川美津子委員でございます。

【宮川委員】 宮川でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 続きまして、本日御欠席しておられます委員の御紹介をさせていただきます。加藤幹之委員、金原優委員、迫本淳一委員、佐々木正峰委員、辻本憲三委員、永井多惠子委員、村上政博委員でございます。
 今期もまた積極的な御議論をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、文化庁関係者を紹介させていただきます。
 近藤信司文化庁長官でございます。

【近藤文化庁長官】 近藤でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 高塩至文化庁次長でございます。

【高塩文化庁次長】 高塩と申します。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 吉田大輔文化庁長官官房審議官でございます。

【吉田文化庁審議官】 吉田でございます。よろしくお願い申し上げます。

【甲野著作権課長】 千代光一国際著作権専門官でございます。

【千代国際著作権専門官】 千代でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 川瀬真著作権課著作物流通推進室長でございます。

【川瀬著作物流通推進室長】 川瀬でございます。よろしくお願いします。

【甲野著作権課長】 黒沼一郎著作権課著作権調査官でございます。

【黒沼著作権調査官】 黒沼でございます。よろしくお願いいたします。

【甲野著作権課長】 なお、秋葉正嗣国際課長はおくれて到着の予定でございます。
 それでは、まず、今期の本分科会会長の選出をお願いしたいと思います。
 選出方法につきましては、文化審議会令第5条第3項の規定によりまして、分科会に属する委員の互選により選任することとなっております。事務局といたしましては、前期に分科会長をお務めいただきました野村委員に、分科会長を引き続きお願いしてはどうかと思いますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【甲野著作権課長】 ありがとうございます。御異議がないようですので、野村委員を分科会長として選出することに御承認をお願いをいたします。
 それでは、野村委員には大変恐縮ですが、分科会長の席の方へお移りください。

【野村分科会長】 野村でございます。ただいま御指名いただきましたが、本来私は民法を専門にしておりますので、どうかなといつも思うのですが、せっかくでございますので、お引き受けさせていただきたいと存じます。
 この審議会1年間の任期ですけれども、3年ほど前から検討課題を継続的に取り上げております一方で、また新しい問題も次々出てきておりまして、前期の著作権分科会から継続審議になっているものもございます。これから1年間どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは早速、議題に入りたいと思います。
 最初に、文化審議会令第5条第5項、参考資料1の3ページの規定に基づきまして、分科会長の代理として、副分科会長を指名させていただきたいと思います。
 私としては、前期に引き続きまして、中山委員を副分科会長として指名させていただきたいと思いますので、中山委員には恐縮ですが、こちらの席へお移りいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【黒沼著作権調査官】 失礼いたします。一番最初に、議事次第の紙の下の方に配付資料一覧になっております。本日、資料、参考資料を合わせて5点の資料を出させていただいております。
 資料1が、第7期文化審議会著作権分科会委員名簿といたしまして、2枚紙をホチキスでとめたものでございます。資料2、資料3、いずれも1枚紙のものでございまして、資料2は著作権制度上の検討課題例、資料3として小委員会の設置について(案)でございます。そのほか参考資料といたしまして、参考資料1で、文化審議会関係法令等。参考資料2は、文化審議会著作権分科会の前回の議事録でございます。
 過不足等ございましたら、事務局の方に御連絡いただければと思います。以上でございます。

【野村分科会長】 それでは次に、著作権分科会の運営に必要な事項として、文化審議会著作権分科会運営規則、これは参考資料1の7ページですが、それと議事の公開の方針、これも参考資料1、9ページにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

【黒沼著作権調査官】 失礼いたします。それでは、参考資料1の7ページをお開きいただければと思います。こちらは著作権分科会の運営規則となっておりまして、昨年3月、著作権分科会で決定していただいたものでございます。
 大きく内容を簡単に申し上げますと、この著作権分科会の組織と公開について定めているものでございます。第2条で部会の設置、第3条で小委員会の設置、第4条で会議の公開について定めております。
 簡単に第2条から申し上げます。第2条で、この分科会の使用料部会というものを置くということを定めております。様々な補償金ですとか使用料の額を決定するための審議を行うことなどを所掌としております。
 第1号としては、教科書関係の補償金もしくは文化庁長官の裁定を行うときの補償金の額、第2号は、簡単に申し上げますと、商業用レコードの二次使用料、第3号も商業用レコードを貸与する場合の報酬の額、第4号は私的録音の補償金の額、第5号もその関係の額の決定でございます。第6号は、著作権等管理事業者の使用料規定に関する使用料裁定に関するものでございます。第7号は、裁定によって翻訳をする場合の補償金の額の決定に関するものでございます。
 第2条の第3項、このうち部会の議決で分科会の決定とできるものについて定めております。具体的には第1号として、文化庁長官の裁定の補償金の額、第2号、第3号は商業用レコードの関係のもの、第4号は翻訳の関係のものでございます。
 引き続きまして第3条では、小委員会を設置することができるという規定がございます。小委員会の委員は分科会長が指名するという規定がございまして、その後、3項から7項までが小委員会に置く主査もしくは定足数、議決の方法、そういったものについて定めております。
 その次が第4条で、会議の公開になりますけれども、こちらは別に定めるということになっておりまして、次のページをめくっていただきますと、会議の公開について置くという別の定めがございます。
 こちらの会議に関係するところを簡単に御説明いたしますと、1でございますが、会議は公開とするということをお決めいただいております。ただし、次の(1)から(3)の案件を審議する場合を除くとしまして、(1)で人事案件、(2)は使用料部会の案件、(3)はその他支障がある場合とその他正当な理由がある場合、そういったものが定められております。これらの場合を除きまして原則公開でございます。
 次のページをさらにめくっていただきますと、6として議事録の公開というのが定められております。議事録は原則として発言者名を付して公開することとされておりまして、支障がある場合、一部は非公開とすることができるという規定になっています。その非公開とする場合には議事要旨を作成して公開する、となっております。
 その次の8は会議資料でございますが、会議資料も一部を除きまして公開する。そういうことを昨年3月に著作権分科会でお決めいただいております。
 以上でございます。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありましたように、第6期と同様に、原則として一般に公開した形で会議を開催したいと思います。
 なお、小委員会の設置の決定とあわせて、部会及び小委員会への委員の分属の指名を行う予定となっておりますが、これは議事の公開の方針を参照いたしますと、人事にかかる案件とも考えられますが、委員の皆様に御審議をいただいて決定するという案件ではありませんので、小委員会の設置について決定した後に私から分属の指名を行うこととして、それも含めまして、これ以降の議事を公開により行いたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【野村分科会長】 それでは、これ以後は本日の議事は公開といたしますので、事務局の方は傍聴者の入場の誘導をお願いいたします。

(傍聴者入場)

【野村分科会長】 それでは、近藤文化庁長官よりごあいさつを頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【近藤文化庁長官】 近藤でございます。一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 先生方におかれましては、大変御多用の中を、この文化審議会著作権分科会の委員をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。
 前期の著作権分科会では、昨年8月にIPマルチキャスト放送あるいは罰則・取締りにつきまして報告書を取りまとめいただきました。また今年の1月には、著作権法の整備やその運用の在り方ですとか、アジア地域における海賊版対策あるいは国際的ルールづくりへの参画の在り方などにつきまして、報告書を取りまとめていただいたわけでございます。
 私どもは報告書をいただきましたならば、できるだけ関係者等の了解も頂き、法改正等に努めてきているわけでございまして、昨年12月の臨時国会におきましては、IPマルチキャスト放送でありますとか罰則・取締りなどにつきまして、著作権法の一部改正法案の成立をさせていただいたところでございます。
 著作権をめぐる問題は大変いろいろ課題が山積しているわけでございまして、先ほど説明がありましたけれども、私的録音録画補償金の見直しの問題を含め、引き続き検討を行うべきと整理された課題も多々ございますし、過去の著作物等の保護と利用、例えば著作権の保護期間をどう考えていくのかといった大変難しい根本的な問題等もあるわけでございまして、こういった課題につきましても、この分科会でぜひ御議論をいただきまして、ぜひ迅速に御検討いただきまして、何らかの方向性を示していただけたらと考えているわけでございます。
 大変お忙しい中を恐縮ではございますが、御協力をお願いいたしまして、簡単ではございますけれども、冒頭のあいさつにさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。
 次に、文化審議会の著作権分科会の運営規則、先ほど御覧いただいた参考資料1の8ページですが、第3条の第1項、この規定に基づきまして小委員会の設置について決定したいと思います。
 今期の小委員会の構成案について、事務局より御説明をお願いいたします。

【甲野著作権課長】 それでは、資料2及び3に基づきまして、御説明をさせていただきます。具体的な検討はこれまでも小委員会を設置して御議論いただいたところでございますが、どういう小委員会を設置するかにつきましては、現在、著作権制度上どのような課題があるかのか、まずよく事情を踏まえる必要があるということから、資料2といたしまして、現在、著作権制度上検討課題として挙げられており、文化庁文化審議会著作権分科会としても何らかの形でこれから検討しなければならないと考えられるものをまとめましたので、まずこれにつきまして御説明をしたいと思います。
 検討課題の例といたしましては、大きく分類をいたしまして、1の「新たなビジネススキームの構築を支援する」2といたしまして、「著作物の保護と消費者等による公正な利用の調和を図る」3番目といたしまして、「著作物の新たな創作・発信の動きに的確に対応する」4番として、「国際的な調和を図る」このような形で課題をとりあえず分類したところでございます。
 この「新たなビジネススキームの構築を支援する」という観点からは、さらに2つございまして、「市場の健全な拡大・発展を促す」という部分。それから「違法な行為に対しまして有効な施策を講じる」という部分、この2つがあろうかと思います。その最初の市場の拡大・発展を促すためにという形で分類をしました項目が4つございます。
 まず第1が、デジタルコンテンツの特質に応じた制度の在り方でございます。最近、官民様々なところから、現在の著作権法はアナログ時代に制定されていたものであって、デジタル化された現在の様々な事柄に十分対応をしているのだろうか、この際、例えばデジタルコンテンツについては何らかの形で特別な法的な枠組みというものを考えて、それに即したような制度を構築してもいいのではないか、そのような形の御提案がなされているところでございます。
 そうした具体的な御提案につきましては、本当にできるのかどうか、留意しなければならない点はどこなのか、様々な観点があろうかと思いますけれども、やはり著作権制度上の課題として、何らかの形でこれにつきましても調査検討していかなければならないのではないかと思えるところでございます。
 通信・放送の在り方の変化への対応は、昨今の例えば通信・放送の融合ですとか、様々な法制度の在り方の変化がございますので、それらへの対応ということでございます。過去の著作物の利用の円滑化方策でございますけれども、古い著作物等につきましては、そこに様々な権利があっても権利者と連絡がとれないとか、利用の円滑化に妨げとなるような事情があるのではないかと言われておりますので、そこを何らかの形で円滑化させるにはどうしたらいいか、このような問題でございます。
 また、ライセンシーの保護のための方策は、産業財産権におきましてライセンシーの保護のための方策というものが、一定の方策が打ち出されておりますけれども、それとの関連で著作権制度でもコンピュータープログラムにかかる著作物など、一定の方策が必要ではないかというものでございます。
 海賊版の広告行為の取締りの方策でございますが、インターネットでのオークションその他におきまして海賊版が出ているわけでございます。それらの取締りの方策についてやはり一定の検討が必要ではないかという事柄でございます。
 海外における海賊版の撲滅のための方策というものは、エンフォースの面ではこれから重要になってきている問題ではございますが、海賊版の取締りを国際的に考えますと、例えば親告罪としているところが問題ではないかという御指摘もあるわけでございます。また国際的に海賊版を取り締まるための法的な枠組みを何らかの形でつくったほうがいいのではないかという御意見もございます。そうしたことから我が国の著作権制度の上でも何らかの対応が必要になってくるのではないか、こうした課題があろうかと思います。
 2番目は、著作物の保護と消費者その他利用者によります公正な利用の調和を図るというものでございまして、一番最初に挙げておりますのが家庭内における私的録音録画に関する課題の解決でございまして、昨年から引き続き、検討をしていかなければならない課題ではないかということでございます。
 また、ネットワークを通じた検索サービスの位置付けの明確化と法制上の課題の解決でございますけれども、検索サービスはいろいろなところでインターネットを使う方々は利用しているわけでございますけれども、その検索サービスを我が国においても立ち上げるということを考えた場合には、著作権法上の課題が様々あると言われておりますので、それらの課題がどのようなものがあるのかということを考えて、方策を考えていこうとするものでございます。
 文化的な所産である著作物等の収集・保存と利用を円滑に進めるための方策は、いわゆる公的なアーカイブ等でございます。様々な著作物、それは映像であったり、あるいはテキストであったり、様々なものがありますけれども、一定の目的で収集・保存をする場合、あるいはそれを何らかの形で利用に供する場合、著作権の制度上の課題も生じてくるわけでございます。そこを円滑に進めるためにはどうしたら良いかという問題でございます。
 また、一昨年から引き続き検討しております項目といたしまして、障害者福祉の増進、教育目的の利用その他に関します法制上の課題の解決がございます。2年前の検討におきましては、様々な課題につきまして検討した結果、関係者でもう少し具体的な提案があったら、それは引き続き検討していくということでございました。具体的な提案等がありましたら、またこれも検討していかなければならないということでございます。
 また、保護期間の在り方でございますけれども、関係の権利者から御要望も出ているところでございますし、またこの著作権分科会におきましても前期におきまして話題になったところでございますので、これは検討していかなければならない課題として取り上げるべきかと考えているところでございます。
 著作物の新たな創作・発信の動きに的確に対応するものといたしましては、インターネット上の著作物の利用の円滑化ということでございます。多くの方々がたくさん関わって創作された著作物もございます。また、利用してもいいよということを前提に公表されているものもございます。そうしたような事柄につきまして、契約あるいは意思表示システムという形での解決も図られているところでございますが、必要な法的な対応がないかどうかということが検討課題になろうかと思います。
 そして最後に、国際的な調和といたしまして、放送新条約への対応ということがございます。
 こうした課題が現在、著作権制度上検討しなければいけないのではないかという形で各方面から指摘されている事柄でございます。
 このような課題と、それから最初に野村分科会長の方からも御指摘がありましたけれども、著作権法に関する今後の検討課題としてまとめたものとの関連でございますけれども、お手元に報告書等をファイルでまとめたものがありますけれども、一番最後の部分を御覧になっていただきたいと思います。
 ここでは、この著作権分科会におきまして平成17年1月24日に、大局的な見地から検討課題がどういうものかというものを洗い出して決めていただきました著作権法に関する今後の検討課題、これを綴じてございます。これまでこれに従って2年間、検討を続けてきたところでございました。おおむね多くの部分につきましては既に検討に着手し、また一定の結論を得たところでございます。
 しかしながら、ここにない事柄につきましても、例えばIPマルチキャスト放送についての取り扱い等、随時検討を行ってきたわけでございますが、ここに掲げられていた項目の中でまだ手がついていないものといたしましては、ちょうど3ページ目にありますけれども、政令等への委任あるいは表現、用語の整理等があろうかと思います。おおむねそれ以外の部分につきましては何らかの形で検討に着手し、あるいは一定の検討を得ているものではないかと思います。
 ここにあります政令の委任、表現、用語の整理等もここに掲げられていますので、何らかの形でどこかで検討しなければなりませんが、今年直ちにこれについて行うかどうかにつきましては、またいろいろ御議論いただきたいと思います。
 こうした状況を踏まえまして、小委員会の設置についてでございますけれども、資料3を御覧いただきたいと思います。
 小委員会として、このような課題を検討するに当たりまして、ここでは案といたしまして、4つの小委員会を置くことを挙げているところでございます。法制問題小委員会、私的録音録画小委員会、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会、そして国際小委員会の4つでございます。このうち1番目と2番目、4番目、法制問題小委員会と私的録音録画小委員会、国際小委員会、この3つの小委員会につきましては昨年度も設置をしているところでございます。
 そして、今年新たに設けるという形で案をつくっておりますのが、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会でございます。この趣旨でございますけれども、これは著作権制度上の検討課題例の中で申し上げますと、保護期間の在り方、過去の著作物等の利用の円滑化方策、そして文化的所産であります著作物等の収集・保存と利用を円滑に進めるための方策、そしてインターネット上の著作物の利用の円滑化、こうした事柄について検討する小委員会として設けてはどうかというものでございます。
 言うまでもなく、つくってから日にちが非常に経ったものにつきましては、その保護を一体どうするのかという保護期間の問題が提案されているだけでなく、なかなかその権利者が分からないとか、そうしたような形で利用が円滑に進まないといった問題もあるわけでございます。こうしたような、つくってからとても時間が経ったいわゆる過去の著作物について、その保護の在り方を、保護を厚くするのかどうなのか、あるいは保護を若干緩める形で円滑な利用に供するのか、その辺を全体を見て検討する必要があるのではないかということで、それらをまとめて検討するものとして小委員会を置いたらどうかということでございます。
 このような形で、小委員会の設置につきましては案をつくっているところでございますが、御検討、御決定をいただければと思うところでございます。どうかよろしくお願いいたします。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御意見がありましたら、お願いいたします。

【甲野著作権課長】 すみません。説明が足らない点がありましたので、追加で御説明をさせていただきます。
 昨年、分科会におきましては様々な委員の御発言、御提案がございました。それらの御提案につきましての対応でございますけれども、保護期間についてきちんと検討すべきではないかという御提案がありましたので、これはこの検討課題例の中に入れて、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会をつくるという形で対応させていただいているところでございます。
 また、ほかにありました提案といたしましては、ゲームソフトなどを前提といたしまして、中古品に関する問題をどうしたらいいのかという問題がございました。これにつきましては、関係の権利者の方々ともよく打ち合わせといいますか、意向を聞いてみましたが、もう少し業界の内部でどのような形でそれをお願いしたらいいのかということを検討したいということでございますので、直ちにこの分科会における検討としなくてもよいということでございました。
 また出版社の権利につきましても御発言があったわけでございますけれども、出版社の立場というものをもう少しよく考えて、例えば権利制限の検討をするときには考えてほしいという御要請が非常に大く、そういうことでぜひよろしくお願いしたいということでございました。もちろん出版社について特定の権利を与えるという事柄につきましても話題になったわけでございますけれども、それにつきましては直ちに現在この分科会で検討していただくということではなくて、どちらかといいますと著作権として出版社も権利を持っておりますので、そこが円滑に行使されるということを十分考えていきたいということでございました。
 いずれにいたしましても、全く取り下げるというようなことではありませんけれども、良く準備をした上で今後また考えていきたいということでございましたので、そのような形で考えていただければと思っております。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。それでは委員の方から御発言をお願いします。特にこれらの委員会を設置するということについて何かございませんか。

【後藤委員】 今年度新しく設置される過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会ですけれども、今、甲野課長から御説明がありましたように、資料2の検討課題を見ましたら4項目ございますね。確かに総体的に全部関連性があるといえば関連性があるのですが、保護期間の在り方に関してはかなり早急に検討すべき課題ということであれば、1年間でこの4項目を全体として包括して検討するという小委員会であることがいいのか、保護期間の在り方だけを検討する小委員会を設置したほうがいいのかというところを、ちょっと皆さんの御意見を伺いたいなと思うんです。僕は、できれば後者のほうがいいように思うんですが。

【野村分科会長】 別途小委員会をつくるという御意見ですか。

【後藤委員】 あまりにもその4項目を1年間でというのは、もちろん全体を総合的にということは必要ですけれども、そのことで議論があまりにも広くなり過ぎないかという懸念ですが。例えば保護期間の在り方に関しての小委員会を別途つくるという考えはいかがでしょうかという提案です。

【野村分科会長】 委員会の設置とその1年間というタイムスパンの中で、早く結論を出すべきものはこれまでもやってきておりまして、IPマルチキャスト放送のように先に結論を出す、あるいは逆に私的録音録画補償金のように、1年というよりはもうちょっと長い期間をかけてというように、それぞれの問題ごとに緊急度といますか、問題に応じてある程度めり張りをつけて今までやってきたということだと思いますけれども。
 今、後藤委員のほうから、保護期間については別途委員会を立ち上げて、早急に結論を出してはどうかという御意見が出ましたが、いかがでしょうか。

【三田委員】 著作物の保護期間は、1993年にEUができたときに、ヨーロッパ全体の多くの国が70年に統一をされたわけであります。それから5年遅れてアメリカが70年にしたということであります。国際標準といいますと、ベルヌ条約の50年というのがありますので、日本が特にアンフェアなことをしているわけではないのですけれども、欧米からの著作物の輸入量ということを考えますと、日本は最大であろうと思います。
 それから、インターネットの時代でありますので、EUやアメリカと距離的に離れている国とはいっても、コンテンツの流通ということに関しては隣の国のようなものであります。そういう時代に日本がこのまま50年にしておくということは、欧米の方々から見ると非常に遅れているということになるだろうと思います。アメリカが70年にしてからもうすぐ10年になってしまうわけです。ですから、これ以上遅らせることはできないという意味では、これは緊急な課題であろうと私は考えております。
 しかしながら、現在著作物の利用ということを考えたときに、50年で保護期間が切れるということが、利用ということに関して大変便利なシステムになっているということも事実でありまして、これをいきなり50年を70年にしてしまうと、利用者の方、特に過去の著作物をアーカイブしようとかネット配信しようという非常に盛んになっている活動に対して、著作権というのが壁のように立ちはだかるということになってしまいます。その壁に小さな門が開いているというのは、50年で著作権が切れてしまうということであります。
 ですから、緊急な課題として、アーカイブとかネット配信に関して、著作物を円滑に利用できるようなシステムを、この保護期間の延長について考察するのと同時に行って、今まで開いていた門を閉ざしてしまうことがないように、利用者の立場に立って利用の円滑化を図るというシステムを迅速に検討するということが必要だろうと思います。
 といいますのは、著作権者にとっては、利用を促進するための何かシステムをつくるということは、例えば権利制限とか、そういう権利の縮小になるわけです。ですから、この問題を個別に論議しますと、著作権者の方は門を閉ざしてしまうということになってしまいます。一方、著作権の保護期間を延長するというのは著作者にとっては大変ありがたいことであります。これを切り離しますと、どっちも話が停まってしまうと思うんです。
 ですから、利用者の立場と権利者の立場を相互に交流しながら、お互いが円滑にいくように考えていくというのが議論というものであろうと思いますので、この問題は一緒に論じた方がいいだろうと私は考えております。

【野村分科会長】 ということは、事務局のこの案で、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の中で議論すればいいのではないかという御趣旨ですか。

【三田委員】 密度を高く迅速に議論していただきたいということです。

【野村分科会長】 ほかに御意見いかがでしょうか。
 この小委員会については、事務局としてはスケジュール、時間的な点についてはどうお考えですか。

【甲野著作権課長】 今、三田委員から御指摘がありましたとおり、早急に検討しなければならない課題ではございますけれども、著作権制度全体にわたる大変大きな事柄でもありますので、十分検討しなければならないということかと思います。したがいまして、この案をつくった段階では、保護期間の問題と公正に利用できる等々の問題を全部あわせて検討しなければなりませんけれども、とにかく迅速にという形で進めていただければ大変ありがたいと思います。
 1年を限りでできるかどうかということにつきましては、そう簡単にできることなのだろうかという印象は持っておりますけれども、いずれにいたしましても早急に議論していただきたいと思っているところでございます。

【野村分科会長】 ほかに御意見いかがでしょうか。

【松田委員】 今の後藤委員と三田委員の意見と、それから事務局の御意見からすると、むしろ保護期間の在り方については別立ての小委員会を設けた方が結果的にはいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。私は設けるべきだと思います。
 それから、これがもしワーキンググループに落とされますと、分科会に上がってくるときにはほとんど回答がまとまってしまっているような状況できますので、十分に議論が分科会でできるかどうか、私は疑問であります。法制問題小委員会、私的録音録画小委員会等と並列的な保護期間の小委員会を設けるべきと思っております。

【野村分科会長】 大渕委員、どうぞ。

【大渕委員】 先ほども出ておりましたとおり、過去の著作物等の保護と利用ということで、保護期間の問題と利用の促進という、大きく分けると2つのテーマがあるわけですが、やはり両者は非常に密接に関連していて、一方だけを議論して済むという問題ではなく、両者を総合的に検討して初めて解決を図ることができる論点だと思いますので、両者を分断してしまって別の委員会で検討するというのは、総合的な視点から議論を行うという観点からするとてあまり好ましくないように思います。ですから、私は事務局の原案のように、両者を1つの委員会の中で総合的に考慮するという方が適当であると考えます。

【野村分科会長】 後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】 すみません、誤解のないように申し上げますけれども、僕が保護期間の在り方を小委員会独自にというふうに提案したのは、それだけを個別に抽出してやれということではなくて、当然、著作権の法の精神にのっとってそれをどう考えるかということですから、あらゆる総合的な見地からそれを中心にやるということであって、まさしくほかの利用者との関係とか権利者等の云々とか、全くそういうものを考慮しないでそれだけをやるということではないので、ちょっと蛇足ながら申し上げておきます。

【野村分科会長】 松田委員、どうぞ。

【松田委員】 それであれば、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会において、保護期間の問題も扱うということにしたらいかがでございましょうか。それを明確にするとすれば、過去の著作物等の保護、利用ないしは保護期間に関する在り方に関する小委員会というふうにしたらいかがでしょうか。

【野村分科会長】 一応、先ほどの甲野課長の説明で、この委員会では保護期間の在り方について検討するという御説明になっているのですけれども。

【松田委員】 だとしたら、過去の著作物等の保護と利用だけじゃなくて、保護期間の在り方についても入れると。

【野村分科会長】 小委員会名の表現を変えるということですね。

【松田委員】 この資料3につきましては、過去の著作物に関するものしか載っておりません。

【野村分科会長】 ほかに御意見はいかがでしょうか。

【甲野著作権課長】 ちょっと説明が不十分でありました。申しわけございません。もう一度整理して御説明いたしますと、過去の著作物等の保護と利用というふうにありまして、保護期間とは書いてございませんけれども、これは保護といえば保護期間の話も当然入ってくるという形で書かせていただいたところでございます。
 したがいまして、ここで検討をするものといたしまして想定をしておりますのは、保護期間の在り方、それから過去の著作物の利用の円滑化の方策、それからアーカイブ等文化的所産である著作物の収集・保存、利用を円滑に進めるための方策、そして、過去というか、将来にわたってこういう問題が起きないようにしようという趣旨で、インターネット上の著作物の利用の円滑化、こうしたような事柄について御検討いただけたらどうかということでございます。

【野村分科会長】 ほかに委員から御発言ございますでしょうか。
 それでは、いろいろ御意見を伺いましたけれども、3番目の過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の中で、保護期間の在り方についても著作物の利用の円滑化との関係で議論していただくということでよろしいでしょうか。皆さんの発言では、具体的にいつまでに結論を出すべきかについては多少ずれがあるかなという印象は受けましたけれども、緊急性それ自体についてはそれほど皆さんの間で認識が、あまりずれてはいないと思いますが。いずれにせよ保護期間の在り方については、この小委員会で議論していただくということで、事務局から提案のありました原案どおりにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

(「異議なし」の声あり)

【野村分科会長】 よろしいでしょうか。
 それでは、委員会の設置については以上のように決めさせていただきましたので、このほかに法律で決められている使用料部会というのがございます。使用料部会とこの小委員会に分属をお願いする委員につきましては、先ほども事務局から御説明がありましたけれども、文化審議会令で第6条第2項、及び文化審議会著作権分科会の運営規則第3条第2項、この規定によりまして分科会長が指名することとされておりますので、私から指名をさせていただきたいと思います。
 それでは、事務局の方に資料を配付していただきたいと思います。
 それでは、御覧いただけたでしょうか。今、お配りいたしました資料を御覧いただきたいと思いますが、使用料部会及び各小委員会への委員の分属は、このような形で指名をさせていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上が本日予定している議題でございます。まだ時間が残っておりますので、御出席の委員の方々から、今後の各小委員会において検討を進めるに当たって留意すべき点などを御自由に御発言をいただきたいと思います。
 本日頂いた御意見につきましては、事務局で整理の上、必要に応じて各小委員会に伝達し、小委員会での審議に生かしていきたいと考えております。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。特に本日は今期から新たに委員に御就任いただいている方もおられますので、どうぞ御自由に御発言をお願いしたいと思います。

【松田委員】 この審議会とは別でありますけれども、昨年度の知財戦略本部の報告を受けまして、経団連が事務局になり関係省庁4省庁、それから関係団体が集まり、放送コンテンツのマルチユースの問題について審議をしております、確かこれは3月6日だったと思いますが、知的財産戦略本部の方で報告書が取りまとめられたと聞いております。
 その素案をつくるためのワーキンググループの主査を私がやりまして、文書化はいたしましたけれども、その後の経緯は多分3月6日で正式に発表になっているかと思います。この件についての報告を知財事務局次長をされておられる吉田審議官から報告をしていただけたらと思いますが、どうでしょうか。著作物法上の問題もありますので、極めて重要なことだと思います。

【吉田文化庁審議官】 それでは私の方から、今、松田先生から少し御紹介いただいたとおりでございますけれども、過去の放送コンテンツを利用する際に、著作権制度との関わりで、特に実演家の権利をどのように処理をしていくかという問題がございます。
 先ほど松田先生のほうからお話のございました知的財産戦略本部の「知財計画2006」の中では、実演家の問題だけでなくて、それ以外の分野についてもいろいろな指摘があるわけですけれども、とりわけ実演家の権利の問題につきまして、関係の権利者団体あるいは放送局の皆様、そういった方々にもお入りいただいて、経団連が議論の場を設定するということでございまして、昨年来、4回か5回ぐらいだったと思いますが、議論が重ねられてまいりました。
 それで、3月8日に知的財産戦略本部のコンテンツ専門調査会が開催されまして、そこで検討結果がまとまったということで御報告があったわけでございます。この委員会の中には、放送コンテンツの関係だけではなくて、映画に関わる実演についても議論が行われたわけでございますけれども、成果物として今一定の結論が得られたものとしては、放送に関わる実演の在り方ということでございます。
 ここは権利の関係だけではなくて、出演契約に関わる、例えば事故などがあった場合の補償の問題とか、あるいは出演の際のスケジュール的にキャンセルが生じた場合の対応とか、そういった事柄も含めてでございますけれども、1つの論点としては、放送番組のマルチユースということで、契約の中に盛り込むべき事項について一定の整理をしたところがございます。そういったものを1つのガイドラインといたしましてまとめてつくったというのが、今回の大きな成果だったのではないかと思います。
 実演の関係につきましては過去にも様々な取り組みがございましたけれども、実演家の大きな部分を占めております団体の参加も得て、初めてこういったガイドラインというものができたという意味では、大きな前進があったんだろうと思います。
 まだ実演に関わる問題がこれですべて解決されたということではございませんし、これも契約上どういったルールをつくっていくかということにつきましては、今後さらに検討が続けられるかと思いますけれども、第一歩を大きく踏み出したという意味では画期的なものだったのではなかろうかと思います。
 これについては、知的財産事務局のホームページ上でも少しこれから公開していくということになろうかと思いますので、また御覧いただければ幸いかと思います。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。ほかに御発言いかがでしょうか。

【角川委員】 私は去年10月にウェブ2.0と言われる企業をずっと視察してまいりました。グーグルやユーチューブ、もちろんアップルにもまいりましたし、そういう中でユーチューブが海賊版の投稿ビデオでは大きな違反をしているということで大きな問題になっているわけです。
 一方で私は、梅田望夫さんのウェブ進化論ではありませんけれども、パソコンという一種の伝達手段でつくられたものが、今度は消費者そのものが今度はクリエーターになっていく、よく言われておりますけれども、1億人のクリエーター、1億人の著作者という時代になってきていると思います。
 そういう点で、こういう発言をすると誤解されるといけないのですけれども、著作権分科会、審議会というのは各団体の代表が集まって構成メンバーをつくってきたと思うのですが、そういう団体に入っていない不特定の大衆そのものが著作権者になってくる時代をこの著作権法でどうやってとらえていくといいかということが、どうもよく、私自身もどうしたらいいということは言えませんが、今日、この小委員会のつくり方もこれで十分だと思うのですけれども、何か足りないという危機感を少し持っております、ということを申し上げておきたいと思います。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。ほかに御発言いかがでしょうか。

【河村委員】 主婦連合会の河村です。今期から前任の主婦連合会事務局長、佐野から交代いたしまして新しく参加いたしました。初めての委員は何か申し上げるべきかなと思いまして、マイクを頂きました。
 この文化庁の審議会には初めて参加いたしますので、著作権についても大変詳しいというわけではございませんけれども、私としては、ここの検討課題にもありますように、著作物の尊さというのでしょうか、著作権というものが大切だということ、もちろんその大前提に立ってなんですけれども、その権利を持っていらっしゃる方のより権利を行使したいという気持ちと、一方に、ここにも書いてありますように公正な利用との調和というのがとても大切だと思います。
 消費者が公正な利用をしているにもかかわらず、あるいは利用しようとしているにもかかわらず制限を受けたり、何か負担を強いられたりしなければいけないということがないように、著作物を守るためにどのようなことが消費者に対して求められているかということが、とても分かりやすく消費者に説明できるような制度であればいいと思っています。
 そういう考え方に立って、消費者の代表としてこれから努めてまいります。勉強しながら参加してまいりますので、よろしくお願いいたします。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。ほかに御発言いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。

【中山副分科会長】 角川委員のおっしゃったことは、まさに現在の情報化時代に正鵠を得ているだろうと私も思います。ただ、角川委員もおっしゃったとおり、この委員会にそういうある意味では声なき声の代表を招くことは難しいんですけれども、ある場合はオブザーバーで、ある場合は意見聴取等々で、常にそういう人の意見を吸い上げていく必要はあろうかと思います。
 私は、著作権法の最大の変化というのはプレーヤーの変化であると思っております。従来は作家とか作曲家とか写真家とか、そういうプロの世界だったものが、角川委員のおっしゃっているとおり、1億人が総クリエーターになる時代ですから、その声をどうやって吸い上げるかという点が極めて重要だろうと思います。これなくしては著作権制度というのは成り立たないと思います。
 世界中に著作権法に対する反対といいますか、反著作権思想というのがかなり強くなってきております。うっかりこの扱いを間違えますと、我が国ではそんなに強くないと思うんですけれども、強くなってくる可能性がある。したがって、情報化時代の流れとプレーヤーの変化というものを、いかにうまくとらえていくかということが重要だろうと思いますし、先ほど議論に出てきた保護期間延長の問題も、そういう観点も入れていく必要があるだろうと思っております。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。ほかに御発言いかがでしょうか。

【野原委員】 野原です。今の件について、私も先ほどからの意見に大変賛成なんですけれども、だれでも著作権者になる著作権制度が時代にどういう在り方であるべきなのかということは非常に重要なことで、そしてもう1つ重要なことは、こうした変化は非常に早く起きるわけですから、ゆっくりゆっくり検討するということではなく、速やかに状況の変化に対応した制度をきちんとつくっていくことが重要だろうと思います。
 私はまだこの著作権分科会は2回目ですけれども、この著作権分科会でのとらえ方としては、検討することが目的なのではなくて、それなりの方向性を持って機能するような法制度とか方策をきちんと出すことが大事なのではないかと思っておりまして、この中でたくさん検討できたから良かったということで1年が終わるのではなく、有意義な結果が出るようにやっていきたいと、私自身も何がしかそういう形で努力をしたいと思います。
 ですから、だれでも著作権者になる時代で、検討方法は変えていくということはとても重要で、それに向けて委員のメンバーも少しずつ変えていくということもあるかもしれないという方向も考えていただきたいということが1点と、そして、1年ゆっくり検討していけばいいのではないかという発想から少しずつスピードアップをしていくこともしたいし、検討が目的ではなくて、具体的な成果を出していくということをきちんと目標に立てられたらなと思います。以上です。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

【大林委員】 先ほどコンテンツ調査会のご報告をいただきました。そこで実演家の問題を熱心にご討議いただいて、まとめていただいた松田先生、そして吉田審議官に改めて厚く感謝申し上げます。
 ガイダンスという方向が出ましたが、これから更に細かくまとめ上げていくに当たり、私たちも実演家も一所懸命取り組みたいと思います。今日の分科会で配付されている「資料2」の「著作権制度上の検討課題例」の最初に、「1.新たなビジネススキームの構築を支援する」とあります。私などのように、以前「映像懇」に参加していた者にとりましては、今昔の感があります。先ほどの中山先生のお話にもありましたように、時代の流れというものは、実演家といたしましても、十分わきまえております。そういう流れを踏まえつつ、コンテンツ専門調査会の方でも、ガイドラインを出すに当たって、実演家の立場からどのようにルールを作っていくか、協力してきたところでございます。
 それと、これからは視聴覚的著作物という広い視点をもって、著作権を考えていくことも必要かと思っております。
 保護期間の延長に関しましては、実演家の立場と現状を、是非、ご理解いただきご検討をよろしくお願い申し上げます。

【野村分科会長】 松田委員、どうぞ。

【松田委員】 先ほど1億総クリエーターであり、なおかつ著作権に対する世界的な潮流としては、むしろ著作権を過度に考えるべきでないという考え方が生まれてきているという御指摘がありました。私もその状況はそうなんだろうと思っております。
 しかし、これは両面ありまして、例えばユーチューブのお話もありましたけれども、ユーチューブのコンテンツの3分の1は日本のコンテンツなんです。それも放送、漫画、アニメ、キャラクター、それからテキストも載っています。漫画のような動画化されていないものも載っているわけです。こういうものが載っているということを、利用が促進されたからいいのだということを言われては、私はこれはちょっといきすぎだと思っています。クリエーター自身が自分の作品を載せるということであれば、それはすばらしいことだろうと思います。それは新しい文化をつくっているからです。
 しかし、人のコンテンツを自分が気に入った、面白いから広げたいからということで、それをアップロードすること自体はむしろ厳しく望んでいくべきではないかと思います。それでなければ、創造者が新しいものをつくるというインセンティブがますます失われていきます。その両面を審議会で考えるべきではないかと基本的には思っております。

【瀬尾委員】 先ほどから、要するに今まではプロしか物をつくれなかった時代から、一般のみんなが物をつくって発信できて、そういう時代になってきたという御指摘、まさにそのとおりで、また実際ここにいるときに、例えば私は写真を撮っていますけれども、それを代表して話をしているというよりは、全体についてできるだけ考えて、一部の権利を代表しているのではない発言をしようと心掛けているところでございます。
 ただ、先ほどのようなプロとアマチュアの区別がなくなっていくような時代について、結局1つの法律とか、例えばプロが今までの権益を守り、そしてその権益を守ることがアマチュアの方たちと対立するとか、そういう対立構図で考えること自体が、私は違うのではないかなという気がしております。一般の方たちが多くつくれるということは、それだけ新しいものがたくさん生まれて、文化も盛んになる、非常に良いことだと思っています。
 ただ、今までのアマチュアの方たちはそういうルールがなかったわけです。プロは著作権というルールにのっとってやってきた。でも、そういうルールがなかったところでランダムになってしまっている。だから、私たちはクリエーターとして、一般の方が物をつくるときには緩やかなルールを知っていただき、それにのっとっていただく。ただ、プロも今までと同じルールで、つくれば売れたんだよ、我々がつくったのは権益なんだから守らなきゃいけない、そうではなくて、プロも変わるべきなんです。私はそう思います。
 ただ、アマチュアの方もきちんとルールを守り、プロも今までと違う新しいルールをきちんと自分たちからも提案していくという時代じゃないかと思います。ただ2つの利益といわゆる権益を守るとか、自分たちがそれを犯したり守ったりという二元論だけで考えていくことにすごく無理があるというのが私の考えです。
 前にもちょっと発言させていただきましたけれども、そういう新しい時代に著作物とか、イコール著作権というものというのは、やはり文化のそういった新しい流れと根本的に関わっていると考えています。とすると、それは当然著作権法を改正することも必要になってくるかもしれないけど、システム自体を考えていくこと、そしてどういうシステムがより社会に対して文化を流通させたりとか、その流通ということも非常に難しいと思います。変に物の対価としてだけ考えられる部分が多くなってしまうと、これはまた違うと思いますけど、文化としてとらえたら、どのように文化的な社会が築けるかということに関して、アマチュア、プロかかわりなく、そういうシステム自体をこの審議会の中で提案していくようになれば非常に大きな成果が得られるのではないかなと思います。
 ですので、法律改正とか、そういういろいろな提言というのは、部分部分で、例えば保護期間の延長問題も、延長するのか、しないのか、最後はそういう単純な話ですけど、そうではなくて、全体のシステムの中でどうあるべきかということをきちんと議論されないと、その問題だけをとって二元論で話していくと、またわけが分からなくなってしまう。
 ですので、この審議会の中で、今までが狭いという意味ではありませんけれども、もう少し全体論、それと著作権の在り方、文化論のような部分を突っ込んでできるような、そういう審議会の1年になっていただきたいと大変強く希望いたします。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。ほかに御発言いかがでしょうか。

【中山副分科会長】 先ほどの松田委員のお話で、自分でつくったものをアップするのはいいけれども、人のものをアップするのは厳格に取締っていかなければいけないという話、現在の著作権法というものを前提とすれば、多分そういうことが出てくるんだろうと思うのですが、インターネット時代においていかに厳格なことをやったって、それは限界があると思われます。
 これはなかなか難しい話なのですが、そういうものを厳格に取締るより、むしろそれを利用してビジネスに持っていく。例えばアメリカで、例の違法なファイル交換の事業者が今度ちゃんとお金を払って、一件一件安い金を取って合法的に持っていったと。ユーチューブもまさにその方向にあるわけです。したがって、これを厳格に取り締まるというよりは、むしろそれを利用して、あるいはファイル交換も日本では悪と言われていますが、うまくそれを利用してビジネスに持っていく、あるいは課金する、結果的に権利者にもお金が回っていくというシステムこそ私は必要なのではないかと思います。
 これは私も答えは持っていないので非常に難しいのですけれども、方向としては、1億総インターネット時代に厳格な処置というだけでは、形が収まっていかないのではないかという感じがしているわけです。
 それから、瀬尾委員のおっしゃるのはまさに私はそのとおりだと思います。例えば保護期間の問題1つとりましても、単に50年の5の字を7に変えるという問題ではなくて、著作権というものは一体何のためにあるのか、誰のためにあるのか。究極的には、著作権法の目的としている文化の発展に役に立つのか、立たないのかということ、これを検討する必要があるわけですし、日本ではあまり議論されておりませんけれども、経済分析も必要だと思います。
 保護期間50年の5を7に変えることによって、一体日本の経済はどうなっていくのか。ミクロ的には比較的見やすいんですけれども、マクロについては一体どうなっていくのかという議論が必要です。あともう1つ、条約ということについての認識が多分ほとんど足りないせいで、戦時加算の問題をどう考えていくのか、非常に深い議論が必要になってくると思います。その意味で瀬尾委員のおっしゃったとおり、いろいろな深い問題も議論して結論を出してもらいたいと思っております。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。ほかに御発言いかがでしょうか。

【松田委員】 今、中山先生が言われたとおり、戦時加算とか70年問題をどうこうするというのは、私はその点で言ったわけではございませんが、その点については別論といたしましても、今の社会状況を認識している点については全く同じ認識です。
 結局、先ほど少しユーチューブのことをお話し申し上げましたけれども、なぜ日本のコンテンツが圧倒的に多いかというのは、結局は日本のコンテンツがインターネットを介して自由に使えないからじゃないでしょうか。そのところのしわ寄せが、アップロードが自由にてしまうようなところに行っているのではないでしょうか。そして、利用も多分日本が一番多いのではないかと私は思っています。
 であるならば、それに替わるものとして、権利者がきちんと権利処理をして、そしていつでもどこでも視聴者の選択で見られるようなシステムを早くつくり上げなければ、結局は今言った違法なアップロードに依拠するところが拡大してしまって、結局は権利者が損をする。私はそういう状況が拡大してしまうだろうと思っています。
 ですから、私は別に権利者側がアップロードする者を取締れとは言っておりませんで、そんなものは不可能に決まっているわけです。取締れとは言っておりませんで、むしろ著作権法の枠組みを1対1の権利者、義務者の関係だけで考えるのではなくて、システム、社会制度として考えることが求められている。それが遅れると、日本は国際市場の中で、特に映像コンテンツや漫画等は不法な利用に対抗できなくて、ますます市場が小さくなってしまう。そういうことのないように考えていかなければいけないのではないかなと思っております。
 先ほど吉田審議官からお話がありました報告書の件も、実は映像コンテンツをつくる側も、それから実演を担当する団体の方々も、このことについては同じ意見を持っていたと思います。
 早く権利者と利用者がwin−winの関係になって、そして視聴者がコンテンツを選択的に見られるという社会をつくらなきゃいけないという共通の認識をつくり得たと私は考えております。むしろ著作権法を今よりもう少し新しいものに変えていかなければいけないとか、著作権法外でも検討していかなければいけないという状況があるのではないかなという意見を持っております。

【瀬尾委員】 先ほどシステムの話といろいろ、BtoBとかユーチューブの話が出ているので少し申し上げますけれども、創作をした者に対しての思い入れというのを比較的、経済原則だけで語られる場合が大変多い気がいたします。
 要は、流通して売れれば、それは権利者も利用者も両方いいだろうという前提があるかと思いますけれども、実は今、作詞家の方で「歌わせない」という例が出てきているところでもありますけれども、理屈ではなくて嫌だという創作者のいわゆる創作の根本に関わってくるいろいろなものを持っている場合もあります。
 ですので、創作ということが単に経済行為の一環ではなくて、もっと純粋な精神行為であるために、必ずしも経済的な流通と合致する場合ばかりではないという、そういう非常にデリケートなものを扱っているという部分ですね。
 要は、売れれば創作者は誰でも喜ぶのか。どんどん広まれば、すべて創作者はウエルカムなのか。例えば自分の作品が姿を変えて流通するくらいだったら、封印してしまいたいと思う創作者もいるわけですので、精神性のある、単なる商品ではない、工業生産物ではない、そういうものを扱っているという部分を常に念頭に置いていただかないと、多分この議論というのは、流通はオーケー、みんなオーケー、どんどん流しましょうだけでは、きっと現実的に動かない部分が出てくる。
 そういう非常にデリケートで精神的なものを、流通という相反する部分に置くという矛盾を根本的に抱えているという部分は、ぜひ皆さん御記憶いただきたいと物をつくっている立場から一言申し添えます。

【野村分科会長】 それでは、常世田委員、お願いします。

【常世田委員】 最先端の技術に関連したことについて議論が多くなるというのは当然のことだと思うのですが、その一方で、資料2の「制度上の検討課題」の大きい2の中黒の4つ目にあがっておりますが、障害をもっている方たちが置かれている状況について、ぜひ今期において論議を進めていただきたいと思っております。
 健常者であれば、一般の商業流通あるいは図書館において簡単にコンテンツを入手することができるわけですが、障害を持った方たちの場合には、媒体変換をしない限り、その中身を知ることはできません。ですから、行為としては確かに結果的にコピーになるのですが、本質は、媒体を変換して知りたいことを知るという行為だと考えております。しかし現状では、簡単に複製は作成できませんので、したがって、憲法で言うところの知る権利の保障さえされていないという状況がある。このことは大変大きな問題だと思っております。ただ、この問題については当然、コピーの問題、公衆送信権の問題、同一性保持権の問題というかなり複雑な問題が出てくるわけであります。
 視覚障害の方に対しては若干権利制限があるわけですけれども、脳障害や内部障害や肢体不自由という障害をもった方たちに関しては全く権利制限がない状態であります。これは一部の障害を持った方の問題だと考える方もいらっしゃるのですけれども、高齢化が進んでいきますと、加齢のための障害という問題が増えてまいります。ここに参加されている委員のみなさんの中でも、すぐに御自分の問題になるという可能性があるわけでありまして、いわゆる2007年問題とも無関係ではありません。それから一過性の障害、つまり病気やけがで一時的に障害を負っている方たちも同様な状態に置かれています。ぜひ今期の議論で何らかの成果を上げていきたいと思っております。よろしくお願いしたいと思います。

【野村分科会長】 佐藤委員、お願いします。

【佐藤委員】 権利の問題と公正な利用の問題というのはいつもテーマとしてあるわけですが、流通すれば儲かるというのと売れれば儲かるというのは、似ているようですけど、全然違っているわけです。それがややもすると、少々、課金がなくても流通すればいいじゃないかという話に置きかえられがちなんですが、これは流通しているだけで、売れているわけじゃないんですね。ですから権利者にとっては、これがいくら広まっても、経済的には何のメリットもない。誰かメリットがあるとしたら、それは権利者ではない人たちにメリットがあるということなので、売れれば儲かるというのと流通すれば儲かるというのは似ているようだけど、全然違うというところはポイントとして置いていただきたいと思います。
 この間テレビを見ていましたら、渋谷のセンター街でたむろしている少年たちに大人たちが「ここでたむろするな」と言ったら、「法律で何かいけないんですか」という言い方がすぐ反発として出てくる。我々が心配なのは、特に高校生の年代の人たちが、倫理というよりもともかく法律論だけですべてのことを議論し始めている風潮があるという意味で、マナーよりも、法律で禁止されていなければいいんだというような時代になってくる中で、ぜひ、法律というのはそういう人たちにあるべき姿というのを教える手段だというところも考えていただきたいと思います。
 特にCDを友人から借りて聴くのは何の問題もないと思うんです、これは借りていることですから。ただ、友人から借りてコピーするというのは、借りて聴くのと全く違う行為だというところ、これを現実的には法律で取り締まれないだろうと。しかし、取り締まれないから、それはいいことになるのかというのは僕は別の議論だと思います。
 簡単ではないテーマだとは思いますが、公正な利用という言われ方があるのですが、法律で禁止されていなければ公正な利用だということになってしまうわけですから、そうすると、国民にあるべき姿を教える手段として法律というのがあるとすれば、友達から借りて聴くのは公正な利用ではあるけど、借りて、それをコピーして、その複製物が手元に残るということとは全く別だということもぜひ考えていただきたいと思います。
 以上です。

【岡田委員】 黙っていようかと思ったんですけれども、すみません。さっきの瀬尾さんの御意見ですけれども、やはり私も、経済論だけで物を考えていくと1つ何か落ちていくものがあるのではないか、文化論とか精神論とか、そういう創作者の思いを汲んだ何かこちら側で大きいものが1つ塊として考え方の中にないと、非常に薄っぺらいものになっていくのではないかと懸念いたします。
 1億総クリエーターとさっきから言われておりますが、最終的にすべての人たちが著作権とは何かという著作権思想というものが徹底してみんなに周知されるということが一番の出発点だと思いますし、これは大きくなってから教え込んでもだめだと思いますので、いろいろな議論を進める上で著作権の経済的な面と文化的・道徳的な面とを両輪で小さいころから教えていくということが大切なんじゃないかしらと思います。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。それでは、そろそろ予定の時間がまいりましたので、本日の審議はこれぐらいにしたいと思います。
 本日は著作権制度、著作権法の在り方について、根本的な考え方から少し具体的な意見までいろいろ御意見を頂きました。必ずしも各小委員会の審議に直接具体的につながるというわけではありませんが、各小委員会においては本日の意見も踏まえ、検討を行っていただきたいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項についてお願いいたします。

【甲野著作権課長】 本日はありがとうございました。
 次回の文化審議会著作権分科会につきましては、各小委員会における検討状況なども踏まえまして、改めて日程の調整をさせていただきたいと思っております。今後ともどうかよろしくお願いいたします。以上です。

【野村分科会長】 それでは、これで文化審議会著作権分科会を終わりたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

─了─

(文化庁著作権課)


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