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対象の範囲(Principle on scope of subject matter) |
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1982年のWIPO-UNESCOモデル規定の定義を出発点として使用。(書きぶりが多少異なる以外は、ほぼ同じ規定となっている。) |
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TCEsとは、コミュニティーやコミュニティーの伝統芸能を具現している個人により発展・維持が図られている伝統的文化遺産として理解できる。 |
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具体的には、御伽噺等の言語的表現、フォークソング等の音楽的表現、フォークダンス等の動作的表現、その他絵画や工芸品といった有体物による表現があげられる。 |
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定義の具体的文言については、各国・各地域が定める。 |
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保護の要件(Principle on criteria for protection) |
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創造的な知的活動の産物であること、及びコミュニティーの文化的特性を具現していることを要件とする。 |
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1982年のモデル規定にも規定されているように、人類の創造的な知的活動により生じるものである必要がある。 |
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本物(authenticity)である必要はない。本物を要件とすると、コミュニティーの認証といった本物と認める要件や、認証にいたるまでの手続等を新たに規定する必要性が生じ、複雑化してしまう。 |
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例えコミュニティーの外部の人間がTCEsを創造したとしても、そのコミュニティーの遺産の特徴(characteristic)を具現していれば、保護を認めるべきである。 |
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新規(original)性は要件としない。originalから派生した二次的TCEsを排除する必要がないからである。 |
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固定に限る必要は無い。TCEsの多くは口承等の固定されない形で伝承されてきているからである。 |
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受益者(Principle on beneficiaries) |
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保護の受益者は、TCEsを有する、あるいは維持してきた先住民や伝統的、文化的コミュニティーであるべき。 |
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権利管理(Principle on management of rights) |
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責任ある機関(既存の機関でも良い)が、TCEsの普及(awareness-raising)や教育活動、助言、指導、監督、紛争解決等の機能を担う。 |
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TCEsの利用にあたって必要な許諾については、直接コミュニティーから得てもよいし、機関から得てもよい。 |
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機関から許諾を得る際には、コミュニティーへの相談を経るべきであり、使用による利益については、公平に分配するべきである。また機関の収集した経済的及びそれ以外の利益は、直接に先住民や伝統的、文化的コミュニティーに支払われる。 |
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紛争解決については、でき得る限り慣習法や慣行に則って行われる。 |
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複数のコミュニティーによりTCEsが共有されている場合の権利執行に関する問題に対しても、機関による権利管理は有効な解決方法である。 |
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保護の範囲(Principle on scope of protection) |
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TCEsの複製、翻案、公衆伝達、その他の利用形態、歪曲、部分削除、改変、精神的に重要な価値の表現に係る第三者による権利取得等を禁止するための十分な措置を講ずる。 |
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TCEsに係る秘密情報を、無許諾に開示する行為を禁止するための、十分な措置を講ずる。 |
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TCEsの実演について、WPPTにおいて求められる人格権、財産権の保護に係る十分な措置を講ずる。 |
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精神的に傷つけられる歪曲や改変等については、民事的、刑事的救済に係る措置を規定することも可能である。 |
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例外と制限(Principle on exceptions and limitations) |
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コミュニティーのメンバーによる伝統的、慣習的利用を阻害するものであってはならない。 |
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スリー・ステップ・テストといった、著作権や関連する権利の制限規定と同種の制限が適用されるべきである。 |
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保護期間(Principle on term of protection) |
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TCEsが維持され、利用されつづける限りにおいて、また先住民や伝統的、文化的コミュニティーの特性を具現している限りは、保護が及びつづける。 |
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形式(Principle on formalities) |
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保護にあたっては、いかなる形式も必要としない。 |
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精神的に重要な意義を有するTCEs等、限られたTCEsについては、消極的保護等に資するため、当局への通知が必要となるかもしれない。 |
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処罰、救済及びエンフォースメント(Principle on sanctions, remedies and enforcement) |
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TCEs保護への違反に対し、適切なエンフォースメント、紛争解決メカニズム、制裁措置、救済措置等が適用される得るべきである。 |
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遡及(Principle on application in time) |
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TCEs保護の新たな措置が導入される以前からのTCEsの使用については、合理的な期間が経過した後は、TCEs保護措置の公平な適用を受ける。 |
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既に長期間に渡って行われている、善良な意図に基づくTCEsの使用については、コミュニティーとの利益の分配が行われるなら、使用の継続が認められるべきである。 |
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知的財産保護との関係(Principle on relationship with intellectual property protection) |
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TCEsの特別な保護は、知的財産に関する他の法律において既に可能となっているTCEsの保護や、その二次的著作物の保護に代わるものでなく、補完するものである。 |
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国際的及び地域的保護(Principle on regional and international protection) |
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外国の権利者の有するTCEsについても、各国の制度において保護されるべきである。 |
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また、当該文書の位置付けとしては、以下の5つの扱いが考えられる。 |
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拘束力のある枠組み(a binding international instrument or instruments) |
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拘束力の無い宣言(a non-binding statement or recommendation) |
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ガイドラインやモデル規定(guidelines or model provisions) |
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現存する法的枠組みの解説(authoritative or persuasive interpretations) |
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国際的な政治宣言(an international political declaration) |
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