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別添1

不法利用及びその他の侵害行為からフォークロアの表現を保護する各国国内(立)法のためのモデル規定(1982年WIPO、UNESCO採択)

 [フォークロアは民族の現存する文化遺産の重要な部分を表わし、民族による共同体により、又はこれらの共同体の期待値を反映する個体により発展及び整備されてきたと解する。
 さまざまなフォークロアの表現の普及は結果として民族の文化遺産の不当な利用へと導かれた可能性があると解される
 フォークロアの表現の商業又は他の性質又は誤認識による不正使用は文化や民族の経済的利益を害していると解される
 フォークロアの表現は知的作品の現れとして構成されていると解される
 そのようなフォークロアの表現の保護は国内外において適切な利益を害することなくこれらの表現の更なる発展、整備及び普及の促進の意味において必須となると解される
 以下の条項により効力を与える]

第1条 保護の原則
 [国名を挿入]において発展し及び守られたフォークロアの表現はこの法において規定するような不法利用及びその他の侵害行為からこの法により保護される。

第2条 保護されるフォークロアの表現
 この法の目的として、「フォークロアの表現」は、当該共同体の期待を反映する個人又は[ある国の]共同体によって発展させられ、守られてきた伝統芸術遺産の特徴的要素からなる作品を意味し、特に
(1)  民話、フォークポエトリー、謎かけのような言語による表現
(2)  フォークソング、楽器音楽のような音楽による表現
(3)  フォークダンス、演劇、芸術的様式、儀式のような動作による表現
以上は物理的な状態になるか否かに関わらない。及び、
(4)  以下のような有体物による表現
 
(a)  民芸作品、特に、描画、絵画、彫刻、彫像、陶器、テラコッタ、モザイク、木製品、金属製品、宝飾、かご編み、縫い物、織物、カーペット、衣装
(b)  楽器
  [(c)建築様式]
を意味する。

第3条 許諾に基づく利用
 以下の状況のもと伝統又は慣習を有益目的及び外観とともに作られたフォークロアは、第4条の規定に基づき、フォークロアの表現の利用につき[第9条パラ1にある資格のある機関][関係する共同体]の許諾を受ける。
(1)  フォークロアの表現のコピーの出版、複製及び譲渡
(2)  フォークロアの表現の、朗読又は実演、無線又は有線による送信、及びその他の形式の公衆への伝達

第4条 例外
1. 第3条は以下の場合適用されない
 
(1)  教育目的の利用
(2)  利用の範囲が、公正な慣習に合致していることを条件とする、著者又は複数の著者のオリジナル作品におけるイラストレーションの方法による利用
(3)  著者又は複数の著者のオリジナル作品創作のためのフォークロアの表現の借用
2. 第3条は付随的なフォークロアの表現の利用についても適用されない。特に付随的利用に含まれるものは以下のとおり。
 
(1)  情報提供の目的により当該利用の範囲が正当化されることを条件とする写真、放送、又は録音録画による時事報道の目的のためその時事において視覚又は聴覚可能なフォークロアの表現の利用
(2)  利用が写真若しくはフィルム又はテレビ放送におけるフォークロアの表現の影像を含む場合の、公衆により見ることができる場に永久的に設置された、フォークロアの表現を含むものの利用

第5条 出所の表示
1. フォークロアの確認できる表現の全ての印刷された出版において、及び公衆への伝達に関しては、その出所は、利用された表現が由来する共同体及び/又は地理的場所に言及することにより、適当な方法で示されるべきである。
2. 前出のパラ1における要件は第4条パラ1(3)及び2に関する利用には適用しない。

第6条 不法行為
1. 第5条に規定されている要件について故意に[又は過失により]従わなかった者は・・・につき責任を負う。
2. [第9条パラ1において引用されている資格のある機関][関係する共同体]の承認なしで故意に[又は過失により]第3条の規定に反してフォークロアの表現の利用を行った者は・・・につき責任を負う。
3.  直接又は間接的方法により、公衆に利用可能にされた実演又は朗読の所産又は内容の出所に関して他人を故意に欺き、当該所産又は内容を実際には由来しない特定の共同体のフォークロアの表現として提供する者は・・・により罰せられる。
4.  直接又は間接的方式で関係する共同体の文化的価値を害する方法により同じものを故意に歪曲したフォークロアの表現を公共使用した者は・・・により罰せられる。

第7条 差止め又はその他の法的処置
 この法の違反行為において作成されたもの、及びこの法に違反し及び当該違反に該当する者の収益は[差止め][適当な法的処置及び救済]の対象となる。

第8条 民事救済
 [第6条][第6条及び第7条]に規定される制裁は場合によっては損害賠償又は他の民事救済を害さない限りで適用される。

第9条 機関
 [1.]この法の目的として、「資格のある機関」の表現は・・・を意味する。
 [2.この法の目的として、「管理機関」の表現は・・・を意味する。]

第10条 許諾
1. この法の下での許諾の対象となるフォークロアの表現の利用の単一の又は包括的な許諾の申込みは[書面で][資格のある機関][関係する共同体]に対してなされる。
2. [資格のある機関][関係する共同体]は、許諾を与える場合には、[管理機関により[制定される][許可される]料金表に対応する]徴収額を確定し、徴収する。徴収された料金は国民の[文化][フォークロア]の促進又は保護措置の目的のために使われる。
[3.資格のある機関の決定に対する訴えは許諾及び/又は関係する共同体の代表に請求することにより行われる。]

第11条 管轄
[1.[資格のある機関][管理機関]の決定に対する訴えは・・・の法廷で受け入れられる。]
[2.]第6条における不法行為の場合、・・・の法廷が管轄権を有する。

第12条 保護の他の方法との関係
 この法は著作権法、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護法、工業所有権の保護法、又はその他の法又は加入している国際協定を制限しまたは害することはない。この法はフォークロアの保護措置及び保存のためのその他の形式の保護を害することもない。

第13条 解釈
 この法のもと与えられる保護はフォークロアの表現の通常の使用及び発展を妨げるように解釈されない。

第14条 外国のフォークロアの表現の保護
 外国において発展及び整備されたフォークロアの表現はこの法のもと
(1) 相互主義により、又は
(2) 国際条約又は協定に基づき
保護される。



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