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文化審議会

2003年11月21日 議事録
文化審議会著作権分科会国際小委員会(第6回)議事要旨

文化審議会著作権分科会国際小委員会(第6回)議事要旨

1  日  時     平成15年11月21日(金)10時30分〜13時00分

2  場  所     経済産業省別館1111号会議室

3  出席者
    (委員) 齊藤著作権分科会会長、紋谷主査、石井、上原、加藤、児玉、駒田、関口、大楽、道垣内、前田、松田、山地、山本の各委員
    (文化庁) 森口審議官、吉尾国際課長、吉川著作権課長ほか

4  配付資料    

       資料1     文化審議会著作権分科会国際小委員会(第5回)議事要旨(案)
  資料2   第10回WIPO著作権等常設委員会について
  資料3   文化審議会著作権分科会国際小委員会報告書(案)

5  概  要
(1) 開会

(2) 議事
1    第10回WIPO著作権等常設委員会(SCCR)について
   事務局から資料2に基づき説明があった後、各委員により以下のような意見交換が行われた。

(○:委員   △:事務局)

   是非放送新条約が早期に採択されることを希望する。
   米国で成立したブロードキャスト・フラッグに関する連邦規則では、インターネットに出て行くことを止める信号を課すことを認めるが、コピー・コントロール信号については一切触れていない。2005年以降は、ブロードキャスト・フラッグに反応する機器を販売しなければいけないが、既に販売された無反応機器をその後も使用することについては規制されていない。詳細については、今後規則で決めていくこととなる。また、次回SCCRで各国提案を束ねたテキストを検討するということだが、むしろ議論が煮詰まってしまうことを懸念している。
   当該連邦規則を受けて、日本の放送事業者の考えを聞きたい。
   米国の権利者は、当初無料放送にも暗号をかけることを働きかけていたが、消費者団体の強い反対にあい、頓挫した。次にブロードキャスト・フラッグの話が出てきたが、業界間での自主基準の作成が難しかったため、法規制を求めるようになった、という経緯である。この連邦規則は急に決まったことと、最終的な結論が明確でないことから、まだ分析しきれていない。日本では、当然、インターネットへの流出も問題だが、デジタル化への対応、すなわちコピー・コントロールも重要と考えている。
   米国は影響力が多いので、注目せざるを得ないが、他国の対応に、日本の放送事業者が縛られることはない。
   SCCRに出席したNGOを教えてほしい。
   詳細は後ほどお渡ししたい。ウェブキャストに賛成しているのは、一団体のみ。他は、放送新条約と切り離して検討すべき、としている。
   ウェブキャストを放送新条約と切り離すのはいいが、ウェブキャストも重要な問題なので、放送新条約と並行して検討したほうが望ましいと思う。SCCRでの議論ではどのような状況か。
   議論が集約されていない。放送新条約が終わってから検討するという意見もあるし、一方、放送新条約のプロトコルの形でウェブキャストの保護に関する条約案を提出したNGOもある。ウェブキャストが放送新条約から切り離されることで米国が放送新条約の検討に消極的となってしまった場合のオプションとしてウェブキャストの保護について検討することはありうると思うが、新条約と並行して検討することは現実問題として難しいと思う。
   プロトコルと独立した条約では大分異なると思うがどうか。
   これに関し各国から具体的な発言はないが、今後議論の方向を見極めて日本も対応したい。

2    文化審議会著作権分科会国際小委員会報告書について
   事務局から資料3に基づき説明があった後、各委員により以下のような意見交換が行われた。

(○:委員   △:事務局)

   「ウェブキャスト」はインターネットを用いた放送等を行っている機関、「ウェブキャスティング」は送信行為を指すと思うので、用語を統一したほうがいい。
   送り仮名を公用に合わせてほしい。
   これまでの議論よりも今後の検討課題を書いたほうがいいのではないか。また、国際会議での議論をうけた日本の対応が中心だが、例えばインターネット上での著作物の利用をしやすくするため、著作権を制限すべき、といった議論が海外でなされていることへの日本の対応なども検討できればいい。
   p1「1(2)本年度の検討事項」の順番と目次の順番を統一したほうがいい。
   p2「21(1)国際的な検討の状況」について、AV条約の記述もあるので、標題を「著作権等関係条約全般の検討の状況」としてはどうか。
   p3「21(2)条約保護の対象(ウェブキャストの取扱)」6行目について、ウェブキャストの定義が曖昧だが、例えばヨーロッパではラジオ番組を放送と同時にウェブで流しているのも「ウェブキャスト」に当たるならば、この記述は不正確ではないか。
   p4「21(3)2暗号解除の取扱について」4行目「今後…想定される。」について、従来衛星を用いた有料放送等がかけていた暗号を解除してみること自体が海賊行為だったが、無料の地上波デジタル放送については、無断でコピーされることが問題なので、「同様の海賊行為」とはいいがたいのではないか。
   書き分けて対応したい。
   暗号解除の回避を防ぐ目的は、従来の衛星有料放送等と地上波デジタル放送では違うが、暗号解除という行為は同じである、ということをうまく記述してほしい。
   p4「21(3)2暗号解除の取扱について」11行目について、不正競争防止法の条文ではアクセス管理機能を「無効化する」と規定している。
   p5「21(3)4利用可能化権及びインターネットによる同時再送信権の付与について」8行目以降について、日本が主張する非固定放送に係る利用可能化権はあまり理解されていないので、実際の条約議論の際は柔軟に対応ありたい。
   p6「21(3)6技術的保護手段・権利管理情報に関する義務について」2行目について、デジタル放送をアナログを録音することはやむをえないが、デジタル放送をアナログ放送に変えるとなると話が違ってくるので、具体的に想定しているものを説明ありたい。
   「デジタル放送をアナログに転換する等、」と修正して、対応したい。
   p7「22海賊版対策のあり方について」について、二国間協議が中心で多国間協議について特に記述していないが、APEC等多国間協議での対応についても記述してはどうか。
   p5「21(3)3譲渡権の付与について」2行目及びp7「22(1)基本的方向性」1行目について、国名を名指しするのはいかがなものか。
   他の政府報告書等の書きぶりと統一することで対応したい。
   具体的な記述がないので、「台湾」は削除してはどうか。
   エンフォースメントマニュアル作成の際に台湾に調査に行ったと思うが、どうか。
   確かに調査に行ったことがある。民間団体間の協議にオブザーバー参加もしている。
   p7「22(2)1侵害発生国における対策強化について」13行目「このため…」について、教材作成等を行なうのは各国政府か、日本の権利者か。
   マスター版を文化庁で作成した上で、各国政府にそれぞれの実情に合わせたものを作成していただき、共に普及に努めたいと考えている。
   p8「23インターネットを通じた著作権侵害に係る国際裁判管轄及び準拠法のあり方」について、他の節と様式をそろえたほうがいい。また、「(2)ハーグ国際私法会議における検討状況について」8行目「2003年12月に…予定である。」は、報告書発表時の時期にあわせた記述にすべき。
   p8「23(2)1ア」2行目「著作権については…」の一文と「(5)結論」は矛盾しないか。
   特許等とは異なり、著作権は一般の不法行為と同様に取り扱うべき、という考えから、ハーグ国際私法会議で検討されている条約においても、著作権については全て適用対象に含める、としているため、特に矛盾はない。
   p12「24フォークロアの保護について」2行目の「著作物」は「著作物に類するもの」とすべき。
   p12「24フォークロアの保護について」について、日本で保護しようとしているものがあったら教えてほしい。
   p13「24(2)我が国の今後の対応について」について、フォークロアを我が国の知的財産としてみとめるのは困難ではないか、という当小委員会での議論にあわせて修正すべき。

6.   閉会
   事務局から、次回日程等について説明があった後、閉会となった。


(文化庁長官官房国際課)

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