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資料4−9

日米規制改革及び競争政策イニシアティブにおける著作権関連事項について

1.著作権に関する米国側要望
1 「一時的複製」の適切な保護
  米国側は、日本の著作権法の解釈では、無許諾の「一時的複製(temporary copy)」の保護が不十分であると主張。
2001年12月の文化審議会著作権分科会の報告を受けて、日本政府は、いわゆる『一時的蓄積』は、経済的意義を持たない音楽CDプレーヤー内部で自動的に生じる機械的蓄積など、裁判所によって除外され得る場合を除き、『複製』となり得ると理解。

2.著作権に関する日本側要望
1 利用可能化権の明確化
  米国は、WCT及びWPPTを締結しているにも関わらず、これらの条約で規定されている利用可能化権を国内法上明確に規定しておらず、両条約に違反しているおそれがある。
米国は判例法により、著作権法106条(3)ないし(6)が利用可能化権としての効力を持つと主張。

2 保護を受ける実演の対象の拡大
  米国はTRIPS協定及びWPPTの加盟国であるところ、これらの条約では固定されていない実演の保護について、対象を限定していないにも関わらず、米国著作権法では、固定されていない実演の保護を「musical   perfomance」に限定しており、両条約に違反しているおそれがある。
→  WPPT上の義務は「musical perfomance」に限られると主張。また、「musical perfomance」以外についても州法や判例で保護されているとのこと。

3 人格権に関する保護対象の拡大
  米国はベルヌ条約及びWPPTの加盟国であるところ、これらの条約では著作者及び実演家の人格権について、対象を限定していないにも関わらず、米国著作権法106条Aでは、「視覚芸術著作物」の著作者の権利のみを認めており、両条約に違反しているおそれがある。
米国は連邦法、州法、慣習法をあわせれば条約以上の保護が与えられていると主張。

4 放送機関の権利の明確化
  米国はTRIPS協定の加盟国であるところ、同協定で規定されている放送機関による固定、複製、放送等について、米国内法上明確に保護されているか不明。
米国側は、Communications Actなどの国内法によって明確に保護されていると主張し、権利の明確化には消極的。

5 固定されていない著作物の保護
  知的交流が増大するにあたり、適切に保護することが必要。
米国側は、そもそも条約上の義務でないこと、著作権法や不正競争防止法上保護される場合もあること、から保護には消極的。



「規制改革及び競争政策イニシアティブ」に関する
日米両国首脳会談への第1回報告書の記述

【日本側措置】
3.情報技術(IT)
C.知的所有権
1. 一時的複製
2001年12月の文化審議会著作権分科会の報告を受けて、日本政府は、いわゆる『一時的蓄積』は、経済的意義を持たない音楽CDプレーヤー内部で自動的に生じる機械的蓄積など、裁判所によって除外され得る場合を除き、『複製』となり得ると理解する。

【米側措置】
3.情報技術(IT)
A. 著作権保護
  米国政府は、著作権の保護に関して懸念されている課題について日本政府と協議を継続するとともに、日本政府からの要望に基づき、合理的な範囲内で関連する情報を迅速に提供する。


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