閣副第1673号
府政政調第595号
消政策第814号
3文科初第1149号
社援発1001第1号
障発1001第2号
開発1001第1号
3農振第1614号
20210930商局第3号
令和3年10月1日
都道府県知事
都道府県教育委員会教育長
指定都市市長
指定都市教育委員会教育長
中核市市長
附属学校を置く国立大学法人学長
各 附属学校を置く公立大学法人学長 殿
小中高等学校を設置する学校設置会社
を所管する構造改革特別区域法第12条
第1項の認定を受けた地方公共団体の長
独立行政法人国立高等専門学校機構理事長
高等専門学校を設置する公立大学法人の理事長
高等専門学校を設置する学校法人の理事長
内閣官房孤独・孤立対策担当室長
内閣府政策統括官(政策調整担当)
消費者庁次長
文部科学省初等中等教育局長
厚生労働省社会・援護局長
同 社会・援護局障害保健福祉部長
同 人材開発統括官
農林水産省農村振興局長
経済産業省商務・サービス審議官
(公 印 省 略)
ひきこもり支援における関係機関の連携の促進について(依頼)
いわゆる「ひきこもり」状態にある者については、内閣府の調査において、15歳から39歳までで54.1万人(平成27年12月調査)、40歳から64歳までで61.3万人(平成30年12月調査)と推計されている中、国においては、厚生労働省を中心に、自治体におけるひきこもり支援の体制整備に取り組んでいるところである。
ひきこもり状態に至った背景や現在置かれている状況は当事者やその家族によって様々であり、当事者が希望する社会参加等の方法もまた様々であることから、ひきこもり支援に当たっては、個々の当事者の状況に応じた寄り添う支援につなげることができるよう、如何に多様な支援の選択肢を用意できるかが最も重要であると考えられる。
その具現化に当たっては、都道府県や市町村(特別区を含む。)の保健福祉関係部局を中心に、当該自治体内の他の関係部局、他の自治体の関係部局、各府省の地方支分部局等の行政機関に加え、民間団体、民間企業、NPO法人等の地域の社会資源が、官民の枠を超えて広く連携・協働することが必要であり、それらの関係機関の連携・協働によって、地域の特性を活かした多様な選択肢を持つ支援体制の構築が期待できるものと考えられる。
国においては、上記のような自治体における関係機関が連携・協働した支援体制の構築に資するよう、厚生労働大臣政務官の下に、ひきこもり支援に関係する各府省の担当部局を招集の上、「ひきこもり支援に関する関係府省横断会議」(以下「関係府省横断会議」という。)を開催して、各府省の施策の情報共有や、先進自治体の取組に関するヒアリングを実施し、自治体における関係機関の効果的な連携・協働に向けた方策について議論を進めてきたところである。
今般、関係府省横断会議の取りまとめとして、令和4年度概算要求におけるひきこもり支援関連施策をまとめるとともに(別添1)、自治体における取組の検討に資するよう、ひきこもり支援に先進的に取り組む自治体の事例について紹介する(別添2)。また、自治体における支援体制構築に当たっての留意事項について、下記のとおりまとめたので、併せて通知する。
貴職におかれては、福祉行政と他の行政分野や地域の社会資源との有機的な連携・協働について配意いただき、効果的なひきこもり支援体制構築の推進に向けて、よろしくお取り計らい願いたい。
また、都道府県におかれては管内市町村(特別区を含み、指定都市及び中核市を除く。)へ、都道府県教育委員会・指定都市教育委員会におかれては管内市区町村教育委員会並びに所管の学校及び関係機関へ、附属学校を置く国立大学法人及び公立大学法人におかれては附属学校へ、独立行政法人国立高等専門学校機構並びに高等専門学校を設置する地方公共団体、公立大学法人及び学校法人におかれてはその設置する学校へ、構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体におかれては認可した学校へ本通知を周知するとともに、それぞれの周知先での取組の促進について、よろしくお取り計らい願いたい。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定による技術的な助言であることを申し添える。
記
1 就職氷河期世代活躍支援に係る市町村プラットフォームへの関係機関の参画
現在、国が進めている就職氷河期世代活躍支援においては、行政機関に加え、民間団体、民間企業、NPO法人等の地域の社会資源が参画するプラットフォームを構築した上で取組を進めているところ、特にひきこもり状態にある者を念頭に置いた「社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者」への支援に当たっては、各市町村(特別区を含む。)に対して市町村プラットフォームの設置・運営を依頼している。
この市町村プラットフォームは、官民の枠を超えて広く関係機関が連携・協働する支援のネットワークの構築を具現化する取組の一つであることから、市町村プラットフォームの設置・運営に当たっては、2の福祉関係機関と各分野の関係機関の連携にも留意しつつ、保健福祉関係部局に限らず、教育関係部局、農林関係部局、商工関係部局、労働関係部局、消費者関係部局等幅広い部局の参画をお願いするとともに、各部局から関係する民間団体、民間企業、NPO法人等に対し、市町村プラットフォームへの参画を幅広く要請されたい。
2 福祉関係機関と各分野の関係機関の連携
(1)福祉関係機関と教育関係機関の連携
内閣府の調査では、ひきこもり状態になったきっかけのうち、学校での不登校が約1割となっており、不登校児童生徒の社会的自立に向けた適切な支援が必要である。不登校やひきこもり支援に先進的に取り組む自治体の事例にもあるように、教育関係機関と福祉関係機関との連携・協働によるシームレスな対応が図られることで、継続性のある効果的な支援体制の構築が可能になるものと考えられることから、それぞれの自治体の状況に応じた支援体制の構築について、配意をお願いする。
(2)福祉関係機関と農業・商工関係機関の連携
ひきこもり支援に先進的に取り組む自治体の事例にもあるように、ひきこもり支援においては、農家や企業の事業主等の民間事業者の理解と協力により、多様な支援の選択肢を用意することが可能となり、これによって、ひきこもり状態にある者の個々の状況に応じた寄り添う支援がより可能になるものと考えられる。地域の特性を活かした社会資源の開拓は、保健福祉部局をはじめとする福祉関係機関だけでは対応し難い部分もあることから、農林関係部局や商工関係部局をはじめとする農業・商工関係機関においては、幅広い機会を捉えて、民間事業者と福祉関係機関が連携・協働できる支援体制の構築について、配意をお願いする。
(3)福祉関係機関と就労支援関係機関の連携
ひきこもり状態にある者が社会参加や就労に至る過程においては、支援の段階を順調に進んでいく場面だけではなく、当事者の外的・内的な要因によって、時には同じ支援の段階に留まったり、支援の段階を戻ったりする場面もあることが容易に考えられる。福祉関係機関と地域若者サポートステーションをはじめとする就労支援関係機関が連携・協働した取組を進めるに当たっては、こうした支援対象者の特性や状況に十分配意した上で、個々の状況に応じて継続的に寄り添う支援を行っていただくようお願いする。
(4)福祉関係機関と子供・若者支援関係機関の連携
ひきこもり状態など様々な課題を抱える子供・若者やその世帯の支援を重層的に行うためには、福祉関係機関と、子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)に基づく子ども・若者総合相談センター及び子ども・若者支援地域協議会をはじめとする子供・若者支援関係機関が連携・協働した取組を進めることが重要である。
子供・若者支援関係機関においては、ひきこもり状態にある子供や若者本人又はその家族への支援に当たって、自機関だけでは課題解決が困難であり、福祉的見地から専門的な支援又は継続的な支援が必要と認められる場合には、子供や若者本人の意向も踏まえつつ、ひきこもり地域支援センター等の福祉関係機関につなぎ、当該機関と連携・協働して支援に当たられたい。
また、福祉関係機関においては、支援対象者である子供・若者又はその家族に対し、福祉的見地のみならず、総合的な見地からの支援が必要と認められる場合には、子供や若者本人の意向も踏まえつつ、子供・若者支援関係機関につなぎ、連携・協働して支援に当たられたい。
(5)福祉関係機関と消費者関係機関等の連携
ひきこもり状態にある者のように孤独・孤立した消費者やその家族は、生活上様々な「不安」を抱えており、その「不安」につけ込もうとする悪質事業者による消費者被害に遭いやすく、また、自らによる被害回復が困難であると考えられる。そのため、福祉関係機関がひきこもり状態にある者やその家族から消費者トラブルに関する相談を受けた場合等に消費生活センター等消費者関係機関や、適格消費者団体をはじめとする地域の消費者団体と円滑に連携できるよう、日頃からの連携強化をお願いする。