学校施設等における石綿含有保温材等の使用状況調査(特定調査)の結果について(通知)(令和元年8月30日)

元文科施第172号

令和元年8月30日
各都道府県教育委員会教育長
各都道府県知事
各国公私立大学長
各公私立高等専門学校長
各大学共同利用機関法人機構長    殿
各文部科学省独立行政法人の長
各文部科学省国立研究開発法人の長
日本私立学校振興・共済事業団理事長
公立学校共済組合理事長
文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長
平井 明成

 児童生徒等の安全対策に万全を期すため、平成30年10月1日時点の学校施設等における石綿を含有する張り付けられた保温材、耐火被覆材、断熱材(以下「石綿含有保温材等」という。)の使用状況について、「学校施設等における石綿含有保温材等の使用状況調査(特定調査)について(依頼)」(平成30年7月27日付け30文科施第138号)により依頼していたところです。
 このたび、別添1のとおり上記調査の結果を取りまとめ、公表しましたので通知します。
 本調査結果において、石綿含有保温材等の使用状況調査が未完了の機関及び、措置済みでない石綿含有保温材等を保有している機関については下記に基づいて、速やかに必要な対策等を講じるようお願いします。
 また、建物には多種多様なアスベスト含有建材が使用されていることから、各機関においては、引き続き当該部分の適切な維持管理が必要であり、改修や取壊し工事を行う際には、関係法令及び下記に基づいた適切な対応をお願いします。
 このことについて、都道府県教育委員会においては所管の学校等及び域内の市区町村教育委員会に対し、都道府県知事部局においては所轄の学校及び学校法人等に対し、別表を参照の上、周知徹底するとともに、適切な対策がなされるよう指導願います。

 

1.調査結果を踏まえた対応

(1)使用状況調査が未完了の場合
・使用状況調査が未完了の機関においては、対象建材の状態等により安全性への危惧があることから、児童生徒等の安全対策に万全を期すためにも早期に調査を完了すること。

 

(2)劣化、損傷等がある保温材や耐火被覆材(以下「保温材等」という。)を保有する機関
・劣化、損傷等がある保温材等を保有する機関においては、専門業者等に相談の上、直ちに応急処置を講じるとともに、速やかに除去や囲い込み等の処置を講じること。

 

(3)劣化、損傷等がある煙突用断熱材を保有する機関
・劣化、損傷等がある煙突用断熱材を保有する機関においては、煙突を使用中のものは、専門業者等に相談の上、速やかに必要な対策を講じること。
・使用停止した煙突は、速やかに除去や囲い込み等の処置を講じること。

 

(4)措置済み又は劣化、損傷等のない保温材等や煙突用断熱材を保有する機関
・措置済みであったり、劣化、損傷等がなくても、今後、経年による劣化、損傷等のおそれがあることから定期的な点検・維持管理を行うこと。

 

(5)新たに未措置のアスベストが確認された場合
・新たに未措置のアスベストが確認された場合は、その損傷、劣化等の状況を把握し、 必要に応じて専門業者等に相談の上、必要な対策を講じること。また、既に確認しているものを含め、速やかに除去や囲い込み等の処置を講じること。

 

(6)情報の保存・管理
・アスベストに関する関係書類は、学校等の設置者が適切なアスベスト管理を行うために必要な資料であるため保存管理を徹底すること。
・また、文部科学省において、アスベスト対策の実施状況のフォローアップ調査等を行うこととしているため、本調査等の関係書類は保存しておくこと。特に、担当者が変更となった際等に、過去の経緯が不明とならないよう、調査結果等を、組織として適切に引継ぐこと。

 

(7)情報の公表
・アスベストに関する情報の公表については、ホームページ等の活用を検討すること
・児童、生徒、学生、教職員及び保護者等への説明は、アスベストの存在とその状態、立入禁止等の処置状況及び今後の対応方針等について、できる限り速やかに、かつ、きめ細やかに行うこと。
・特に、劣化、損傷等がある保温材等や煙突用断熱材を保有する機関のある地方公共団体においては今回の調査結果も踏まえ、その劣化、損傷の状況や、処置計画を住民に対し適切に情報提供を行うこと。

 

(8)その他
・次回以降の調査において、使用状況調査や対策が進んでいない場合は、自治体名等を公表することも検討している。

2.アスベスト対策について

・アスベスト対策工事については、別添2を参照の上、国の財政支援制度の活用を検討すること。
・アスベスト対策工事を行う場合には、アスベストの大気中への飛散防止やアスベスト廃棄物の適切な処理等について配慮するとともに、関係法令及び関係省庁の通知等を遵守し、地方公共団体の関係部局等と十分連絡調整の上、適切に対応すること。
・建物の解体工事等の実施に当たっては、「「石綿障害予防規則の一部を改正する省令」及び「大気汚染防止法の一部を改正する法律」等の施行に伴う学校施設等におけるアスベスト(石綿)対策について(周知)」(平成26年6月20日26施施企第6号)(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます及び「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル[2.20版]」(※厚生労働省ウェブサイトへリンク)(平成30年3月厚生労働省)も参照すること。また、吹き付けアスベスト等や石綿含有保温材等の使用実態調査等の事前調査結果を工事受注者に通知し、適正な工事が実施されるよう努めること。これらの調査で確認できない部分等に石綿含有建材が使用されている可能性もあるため、石綿不使用とされた機関においても、慎重に対応すること。

3.災害時における対応について(平成23年3月24日文部科学省事務連絡参照)

・災害時においては、倒壊等の被害を受けた学校施設等を保有する機関においては、アスベストの飛散のおそれがないか速やかに確認すること。
・上記の確認等作業に当たっては、職員等に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を着用させること。
・確認の結果、飛散のおそれがある場合には、「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル」(※環境省ウェブサイトへリンク)(平成29年9月環境省)及び同概要版(※環境省ウェブサイトへリンク)(平成29年9月環境省)を参考に、速やかに立入禁止処置を講ずるとともに飛散防止のための応急処置を講じること。
・アスベストが使用されていた学校施設等が倒壊したことにより、廃棄物として処理されることとなったものについては、「廃石綿が混入した災害廃棄物について」」(※環境省ウェブサイトへリンク)(平成23年3月環境省)により、適切に対応すること。

4.その他の留意事項

(1)煙突用断熱材への対応について
・石綿含有保温材等(石綿を含有する張り付けられた保温材、耐火被覆材、断熱材)については、平成26年3月の石綿障害予防規則の改正により、新たに同規則第10条の規制対象となったことから、平成26年度より使用状況調査を実施しているところ。特に煙突に使用されている断熱材については、建材の劣化が激しい場合は、煙突からアスベスト繊維を大気中に発散させる、煙突内に入った雨水などを排水するドレン管から排出される、剥落して最下の掃除口に堆積した石綿が含有している断熱材等を灰と誤って一般のゴミとして廃棄されるといった例もあることから、特に注意すること。また、煙突内の清掃等作業を行う場合は、「煙突内部に使用される石綿含有断熱材における除去等について」(※厚生労働省ウェブサイトへリンク)(平成24年9月13日厚生労働省通知)も参照すること。

 

(2)非飛散性アスベスト含有成形板への対応について
・アスベストはその繊維が空気中に浮遊した状態にあると危険であると言われており、通常の使用状態では板状に固めた建材の危険性は低いと考えられるため非飛散性アスベスト含有成形板(アスベストを含有するボード類、床材、煙突(円筒)等)は調査対象外としているが、これらについてもその状態について点検・維持管理を行うこと。
・非飛散性アスベスト含有成形板の除去については、「非飛散性アスベスト含有成形板の除去に係る留意事項について」(平成22年12月27日文部科学省事務連絡)、「石綿含有成形板の除去作業における労働者の石綿ばく露防止措置について」(※厚生労働省ウェブサイトへリンク)(平成27年11月17日厚生労働省通知)を参照すること。

 

(3)石綿含有建築用仕上塗材への対応について
・学校施設等の外装や内装の仕上材として使用されている建築用仕上塗材には、石綿が含有されている場合もある。石綿が含有されている建築用仕上塗材部分の改修工事や取壊し工事を行う場合は、工事場所を所管する行政機関に相談するなどして適切に対応すること。なお、石綿含有建築用仕上塗材の取扱いについては、「石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策について」(※厚生労働省ウェブサイトへリンク)(平成29年5月30日環境省通知)及び「石綿含有建築用仕上塗材の除去等作業における大気汚染防止法令上の取扱い等について」(※厚生労働省ウェブサイトへリンク)(平成29年5月31日厚生労働省通知)を参照すること。

 

(4)石綿含有製品等の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について
・石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物については、平成18年9月1日から、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第55条の規定に基づき、製造、輸入、譲渡、提供又は使用が禁止されており、このことに関し、「石綿含有製品等の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について」(※厚生労働省ウェブサイトへリンク)(平成23年1月27日厚生労働省通知)を参照し、適切に対応すること。特に輸入品については、同通知の記2~4に十分留意すること。
・なお、石綿等の製造等の禁止に係る猶予措置については既に終了しており、平成24年3月1日以降は製造等は全面禁止(※厚生労働省ウェブサイトへリンク)となっているので注意すること。

 

 

(参考)
石綿含有建材を調査する者のための講習制度が新しくなります!~3省が連携し、石綿含有建材調査に係る総合的な知識を有する専門家の育成を図ります~(※国土交通省ウェブサイトへリンク)

○一般社団法人日本環境衛生センター「建築物石綿含有建材調査者講習修了者情報

○日本建築仕上材工業会「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針」(平成28年4月28日)

文部科学省におけるアスベスト対策への取組 

 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課

電話番号:指導第二係 03-5253-4111(内線2292)

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(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)