三 短期大学制度の確立と発展

短期大学制度の確立

 短期大学は暫定的な制度として発足したにもかかわらず、その後十五年間に著しい発展をとげ、わが国の高等教育機関として独自な重要な地位と役割を占めるに至った。

 その理由としては、1)四年制大学に比し、父兄や学生の経済的負担を軽減し、2)短期間における実際的な専門職業教育を施し、3)特に、女子の高等教育の場として適切であることなどがあげられる。

 そこで、短期大学を、実態に即応した明確な目的・性格をもつ恒久的な制度として学校体系のなかに正当に位置づけるよう各方面の要望が年々強まってきた。文部省は中央教育審議会に「短期大学制度の改善について」諮問するなど、その改善策について検討を続け、当初は、いわゆる専科大学として短期大学の恒久化を図ることとしたが、公・私立短期大学関係者の強い反対にあい実現するに至らなかった。

 その後、昭和三十七年度より工業技術者の養成機関として工業高等専門学校制度が創設されるに及び、短期大学制度恒久化の要望は特に短期大学関係者の間にますます強くなり、一時は議員立法により暫定措置の規程を削除する改正の動きが起こるに至った。このような事情にかんがみ、文部省は三十九年三月第四十六回国会に学校教育法の一部改正法律案を提出し、同年六月その成立により短期大学は恒久的な制度となったのである。

 その骨子は、1)従来、学校教育法の附則で暫定措置とされていた規定を削除し、本則の大学の章に短期大学の目的、修業年限および学科組織等について新たな規定を設け、短期大学を恒久的な制度とし、2)その目的は、深く専門の学芸を教授・研究し職業または実際生活に必要な能力を育成すると明確化し、3)修業年限は、二年または三年とし、4)学部を置かず学科組織をとることとし、さらに、5)短期大学を卒業した者は、四年制大学へ編入学することができることとしたことである。

短期大学の発展

 昭和二十五年度に発足した短期大学は、その後増加の一途をたどり、四十六年度には、学校数は四八六校(国立二三、公立四三、私立四二〇)で高等教育機関の五六%を占め、学生数は二七万人をこえるに至った。その増加率は四年制大学をはるかに上回っているが、一校平均の規模が小さく、修業年限も短いので、在籍学生数は四年制大学の一四○万人と比べると必ずしも多くはない。また、短期大学は、女子の高等教育機関として適していることから、女子学生の占める割合が高く、当初約四○%であったものが、四年後には男子学生を上回り、現在では八三%に達している(四年制大学における女子の比率は一九%)ことが大きな特色と言えよう。

 地域的にも、当初大都市とその周辺が中心であったが、逐年地方都市にも発展し、当初、短期大学が皆無の都道府県派一六県であったが、三十八年度には国・公・私立を含め短期大学はすべての都道府県に設置されるに至り、特に私立短期大学は現在全都道府県に設置されている。専攻分野についてみると、文学・語学系、家政学系等が多い点は、発足当初以来大差ないが、近年、小学校、幼稚園の教員養成をおもな目的とする教育・保育系学科の増加が著しいなど、各種の資格取得を目的とする学科の増加が目だっている。短期大学については、量的拡大とともに二年という短い修業年限の中で充実した教育を施し、高等教育機関の中で特色ある位置づけをすることが今後の課題である。

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