三 教材・教具の整備

 昭和二十七年に「義務教育費国庫負担法」が制定され、二十八年度から義務教育諸学校における教材に要する経費の一部が国庫負担されることとなった。その後、二十九年度に「理科教育振興法」および「学校図書館法」が制定されたことにより、理科教育のための設備ならびに学校図書館の図書および設備に対する国庫補助金が教材費国庫負担金から振り替えられたが、三十三年度には、教材費国庫負担の比率が一部負担から二分の一負担に改められた。

 学校教育に必要な教材の基準設定は、学習指導要領に定められた教育内容の具体的展開のためにも、また教材費国庫負担金の規程を明らかにするためにも、当初からの懸案であった。この基準を欠くことは、教材の現有状況をとらえることも、将来の充実目標を定めることもできなく、学校間あるいは教科間の教材整備について格差が生ずるおそれがあった。そのためいろいろのくふうと努力が重ねられたが、遂に四十二年度において、教材基準が設定され、同時に教材基準に基づく基準総額の七〇%相当額約一、六〇〇億円(うち負担金額八〇〇億円)をもって、教材を四十二年度以降一〇年間で整備することを内容とする教材整備十年計画が策定されたことは画期的なことであった。

 この教材基準の設定および教材整備十年計画の策定に伴い、教材費国庫負担金が大幅に増額され、教材費にかかる父兄負担の軽減が図られるとともに教材が年次計画により計画的に整備されることとなった。なお、四十七年度から学習指導要領の改訂により中学校のクラブ活動が必修になることに伴い、そのための教材を整備するため、四十七年度以降五か年間で六〇億円(うち国庫負担分三〇億円)の教材が整備されることとなった。

 教材の整備状況については、二十九年度、二十六年度および四十四年度において、指定統計による調査が行なわれた。二十九年度および三十六年度の調査状況は上表のとおりであるが、四十四年度の調査は、教材基準に対する小・中学校の充足状況についての抽出調査である。教材基準の品目は、小学校二五五品目、中学校二二一品目で、これに対する現有率は、小学校四五・七%、中学校五〇・七%であった。

表48 教材の整備状況

表48 教材の整備状況

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