二 養護学校

 盲学校はもちろん聾学校も聾唖学校という名称で、戦前から存在したが、養護学校は学校教育法にはじめて規定された新たな学校で、その当初の規定によれば、「精神薄弱、身体不自由その他心身に故障ある者」を対象とするものである。

 実績に乏しいがために義務制施行から、取り残された特殊教育のこの分野は、容易に振興のきっかけをつかめないでいたが、昭和二十二年の夏、CIE(民間情報教育局)の援助で開かれた長期合宿講習で、盲・聾と並んで精神薄弱教育の班が設けられ、続く教育指導者講習(IFFL)でも、盲聾以外の分野の諸問題が指摘された。そして二十五年ごろから、現職教員のためのワークショップが行なわれるようになると、精神薄弱、肢体不自由、身体虚弱などの児童・生徒の特殊教育についての研究討論も活発に行なわれるようになり、これらの対象者のための特殊学級を開設しようとする機運もようやく起こってきた。

 しかし、義務制の実施を見送られた養護学校は、その設置が義務づけられていないがゆえに、国の経済的支援の道も閉ざされたままで、全額を自己の負担で養護学校を新設しようとする都道府県も現われない状態が続いた。

 二十七年八月、文部省初等中等教育局に設置された特殊教育室は、こういう状態を何とか打開して、養護学校、特殊学級の教育振興の道をひらくことを当面の課題としたのであった。

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