四 新制高等学校の教育課程

 新制高等学校の教育課程は、昭和二十二年の学習指導要領一般編の補遺として示された通達「新制高等学校の教科課程に関する件」によってはじめてその基準が定められた。

 この基準は、その後、実施の経験と研究の結果、二十三年十月の通達および二十四年六月の通達で改正されたが、二十六年に、さらにその内容が補足修正され、「学習指導要領一般編」(試案)に含まれることとなった。

 この一般編では、小・中学校と並んで高等学校の教育課程も示されでいたが、各教科別の学習指導要領は小学校、中学校とは別に高等学校学習指導要領として作成された。この一般編によれば、高等学校の教科および科目の種類と時間数は、表35のとおりであった。

表35 高等学校の教科・授業時間数および単位数

表35 高等学校の教科・授業時間数および単位数

(備考)

1 この表に示すもののうち、次の教科は、すべて生徒がこれを履修しなければならない。

(1)国語(甲)・一般社会・保健・体育

(2)社会(一般社会を除く)・数学・理科のそれぞれの教科において生徒の選択する各一科目。

2 学校は週あたり30ないし38単位時間(1単位時間は50分とする。)、年35週以上、すなわち毎年1,050単位時間以上1,330単位時間以内を教科および特別教育活動の指導に充てなければならない。

最低は週あたり30単位時間であるが、できれば週あたり33単位時間以上とすることが望ましい。定時制の課程においては、年1,050単位時間を下ることができる。

3 職業課程においては、必要な場合に、適当な時間数の実習を85単位外に課し、またはこれを週38単位時間をこえて課することができる。

4 職業課程においては、(備考)1に示すもの以外に履修する社会、数学および理科の単位数を必要に応じてこの表に示す数よりも減少させることができる。

 高等学校の教育課程の特色は、選択教科制と単位制にあった。このことは、新制高等学校が、多種にわたる旧制の中等諸学校を統一した学校として、生徒の多様な進路に対応する構造をとるべきこと、および個々の生徒の個性に応じた成長を可能にすることの二つの要件を満たす措置であった。選択教科制との関連で一般的に共通に要求される教養として、国語、社会、数学、理科、保健体育の五教科をすべての生徒に対し共通に必修とし、また、選択の多様性に統一的な基礎を与える単位制をとり、八五単位以上を卒業の条件と定め、そのうち三八単位は前記の共通必修の教科で占めるものとした。さらに職業課程については、当該職業に関する教科・科目を学校が編成した計画に従って、合計三〇単位以上履修すべきものとしていた。また、社会、数学、理科については、一年間にまとめて実施する方が勧奨された。これは問題解決を主眼とする当時の新しい学習指導法と関連し有効と考えられたものである。発足当初から設けられていた単位活動としての「自由研究」は、二十六年に、新たに「特別教育活動」の名称のもとに、生徒の自発的活動を中心とする教科以外の教育活動を組織してこれを指導することに改められ、教科学習と並んで教育課程の重要な内容をなすものとされた。また、生徒指導(ガイダンス)および職業指導も学校教育における重要な任務とされていた。

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