一 教育審議会における改編の方針

教育審議会の答申

 教育審議会は、昭和十三年十二月八日「国民学校、師範学校及幼稚園ニ関スル件」について答申を行なった。すなわち、小学校を国民学校と改称し、修業年限を八年とし、これを義務教育とすべきこととする方針と関連しながら、師範学校の改革の方針を「師範教育ニ関スル要綱」として示したのである。要綱によれば改革の方針は、「一 師範学校ハ道府県立トシ、国民学校ノ教員ヲ養成スル所トスルコト 二 師範学校ノ修業年限ハ三年トシ、中等学校卒業程度ヲ以テ入学資格トスルコト 三 道府県ハ高等国民学校卒業者ニ対シテモ適当ナル教育施設ヲナシ、師範学校人学ノ途ヲ開クコト」などを骨子とするものであった。そのほか、教科、教科書、寮舎教育などについても詳細な提案を行ない、財政については設置および維持の費用は道府県の負担とするが生徒の学資、校長・教頭の俸給、一般の教員俸給の半額は国庫の負担とすることを提案している。

 教育審議会は、十五年九月十九日「高等教育ニ関スル件」について答申を行なったが、この答申には「中等学校教員、高等学校教員及師範学校教員ノ養成及検定ニ関スル要綱」が含まれていた。要綱は景初に「中等学校、高等学校及師範学校ノ教員ハ大学卒業者ヲ以テ之二充ツルヲ本則トナスコト」と改革の基本方針をあげている。ただし「中等学校教員ニ関シテハ当分ノ間修業年限四年以上ノ専門学校卒業者ヲ以テ之ニ充ツルヲ得シムルコト」とし、「高等師範学校及女子高等師範学校ヲ専門学校トシ之ヲ存置スルコト」とした。文理科大学の内容を刷新し、体育に関する学科を設置すること、女子大学を創設すること、音楽、図画及工作の教員養成機関の修業年限を延長し、拡充・整備すること、「大学及専門学校ノ学生ニシテ教員タラントスル者ニ対シ必要ナル課程ヲ履修スルヲ得シムルコト」なども提案している。大学における教員養成を原則とし、当分の間専門学校における養成をも認めることとしたのである。そのほか教員検定制度の刷新、教員試補制度の樹立、試補修練のための教員練習所の設置、教員の需給配分の適正化など、中等学校以上の教員の養成および検定に関して詳細な提案を行なった。

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