第1節 政策評価の実施

 平成13年1月の中央省庁等改革に伴い,政策評価制度が全府省に導入されました。14年4月からは,「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(以下「政策評価法」という。)が施行され,各府省において,政策評価の適切な実施に取り組んでいます。
 政策評価は,次のような点を目的としています。

 これらの実現に向けて,政策評価を「企画立案(Plan)」,「実施(Do)」,「評価(Check)」,「企画立案への反映(Action)」というマネジメント・サイクルの中に,制度化された仕組みとして明確に組み込んで,客観的かつ厳格にこれを実施することが求められています。

1.政策評価の適切な実施

 文部科学省では,政策評価法を受けて,「文部科学省政策評価基本計画」(平成17年3月文部科学大臣決定,18年3月一部改定)と「平成18年度文部科学省政策評価実施計画」(18年3月文部科学大臣決定)を策定し,これに基づき,実績評価,事業評価,総合評価の三つの評価方式を用いて政策評価を実施しています。
 政策評価の実施に当たっては,事務次官を議長とする「政策評価会議」において,政策評価に関する決定を行っています。また,政策評価の客観的かつ厳格な実施を確保するため,学識経験者などを構成員とする「政策評価に関する有識者会議」を開催し,評価手法・実施方法などの改善,個別の評価書などの内容について助言を得ています。
 これらの計画などに基づき行われた個別の評価結果については,報道発表を通じて公表するとともに,文部科学省のホームページにおいて公表しています(参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/main5_a11.htm(※政策評価結果へリンク))。

実績評価,事業評価,総合評価の三つの評価方式

[実績評価]

 指標や主な政策手段などの状況を踏まえながら,施策(共通の目的を有する行政活動の一定のまとまり)ごとに,施策目標(基本目標)及び達成目標の達成度合いを把握して事後評価を実施し,併せて今後の課題や将来の政策への反映方針を明らかにするもの。

[事業評価]

 個々の事業・プロジェクトなどを対象とし,事業を決定する前に政策効果や費用などを推計・測定し,必要性(「上位の施策目標,達成目標を達成する上で必要か」,「国民や社会のニーズに照らして妥当か」など),効率性(「予算などに見合った効果が得られるのか」,「必要な効果がより少ない予算などで得られるものがほかにないか」など),有効性(「達成年度が到来し,事後的な検証を行う際に効果をどのような方法で測定・検証する予定なのか」など)の観点から評価するとともに,事前に行った評価内容を踏まえ事後的に検証するもの。

[総合評価]

 政策の決定から一定期間を経過した後,問題解決に資する多様な情報を提供することにより,政策の見直しや改善に資する見地から,特定のテーマについて,当該テーマに関する政策効果の発現状況を様々な角度から掘り下げて分析し,政策に関する問題点を把握するとともに,その原因を分析するなど総合的に評価するもの。

(1)実績評価の実施

 平成18年度においては,17年度の施策の実績についての評価結果を「文部科学省実績評価書―平成17年度実績―」(18年8月)として公表しました(図表2-15-1)。

図表●2-15-1 文部科学省実績評価書における施策目標(基本目標)・達成目標の達成度合い

 実績評価の実施に当たっては,政策の体系を明らかにするため,「文部科学省の使命と政策目標」として9の政策目標と45の施策目標を設定し,施策目標に対して更に具体的な217の達成目標を設定しました(図表2-15-2)。さらに,目標ごとに平成17年度の達成度合いを測定するため,できる限り定量的データなどを用いて分析を行い,施策の効果について検証しました。評価の結果を記述するに当たっては,施策目標(基本目標)及び達成目標の達成度合いを「想定した以上に達成」,「想定どおり達成」,「一定の成果が上がっているが,一部については想定どおり達成できなかった」,「想定どおりには達成できなかった」の4段階の分類(注)で表しています。

図表●2-15-2 文部科学省の使命と政策目標(平成18年3月改定)

  • (注)4段階の分類
     施策の特性などから,年度ごとに達成度合いを記述することが困難な場合には,施策の進捗状況として「想定した以上に順調に進捗」,「おおむね順調に進捗」,「進捗にやや遅れが見られる」,「想定したとおりには進捗していない」の4分類により効果を記述。

(2)事業評価の実施

 平成18年度においては,以下の二つの事業評価を実施し,その結果を「文部科学省事業評価書―平成19年度新規・拡充事業等―」(18年8月)として公表しました。

  • 1新規・拡充事業評価(事前評価)
     平成19年度概算要求において新規要求あるいは予算額の拡充を予定している事業のうち,社会的影響又は予算規模の大きいものを対象に,事業の必要性・有効性・効率性,得ようとする効果などについて98事業の評価を実施
  • 2継続事業評価(事後評価)
     「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」における「成果重視事業」に登録される継続事業などについて3事業の評価を実施

 新規・拡充事業の事前評価においては,可能な限り定量的なデータを用いながら,より具体的な達成効果と達成年度を設定するよう努めています。

(3)総合評価の実施

 文部科学省が「スポーツ振興基本計画(平成13年一部改正)」に基づき実施している国際競技力向上施策が国際競技大会における日本選手の成績向上にどのような効果があったのかなどについて,16年度から2か年かけて,評価を行い,その結果を「国際競技力向上施策の効果に関する評価について」(18年3月)として公表しました。18年度においては「大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システム改革(仮称)」の総合評価に取り組んでいます。

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