第7節 青少年の健全育成の推進

4.青少年を取り巻く有害環境対策の推進

 青少年を取り巻く社会環境は,発達途上にある青少年の人格形成に様々な影響を及ぼしています。とりわけ,書籍,雑誌,映画,テレビ,インターネット,テレビゲームなどの各種メディア上の行き過ぎた性・暴力表現などについては,これらが日常的に生活の中に入り込むことにより,青少年へ悪影響を及ぼすことが憂慮されます。これらの様々なメディアの関係団体などには,青少年に及ぼす影響力の大きさを認識し,青少年の健全育成を図る上でより良い環境をつくり上げていくための自主的な取組が求められています。
 政府全体としては,関係省庁で構成される青少年育成推進課長会議(内閣府主催の課長級会議)において取りまとめた「青少年を取り巻く環境の整備に関する指針」(平成16年4月)に基づき,地方公共団体や関係業界などに対して,必要な取組をより一層充実させるよう要請を行っています。
 また,相次いで発生した児童生徒による重大な問題行動の中には,インターネット上の有害情報の影響を受けたと考えられるものもあることから,政府では,表現の自由や通信の秘密などに配慮しつつ,インターネット上の違法・有害情報対策を検討し,平成17年6月「インターネット上の違法・有害情報対策について」を取りまとめ,各省においてもその取組を一層推進しています。
 文部科学省では,メディア関係業界などに対し一層の自主規制の要請を行ったり,経済団体に対しスポンサーになるに際しての配慮を要請しています。また,保護者や地域住民による有害情報に対する取組を促進するため,社団法人日本PTA全国協議会などが実施しているテレビ番組の全国モニタリング調査(注1)に対する支援を行っています。なお,これらの団体ではこの調査の結果に基づき,テレビ局やスポンサーに対する要請を毎年実施しており,放送関係業界の自主的な取組ともあいまって,番組内容に一部改善が見られるなどの成果を上げてきています。
 平成16年度からは,「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」を実施し,地域における有害環境対策の推進体制を整備するとともに,地域の大人たちが有害環境から子どもを守るための取組や,子どもとその保護者を対象として,メディアの有用性や子どもをめぐる様々な問題,メディア・リテラシー(注2)などについての教育の機会を提供しています。また,地域の実情に応じたフォーラムの開催などの啓発活動事業等を実施しています。
 携帯電話やインターネット利用の在り方,有害情報対策などの取組についての全国的な啓発を推進するため,平成16年度から全国フォーラムを開催しており,19年2月には,「有害情報対策のためのネットワーク推進フォーラム」を開催しました。
 平成19年1月,中央教育審議会答申「次代を担う自立した青少年の育成に向けて」の提言の中に,「特に携帯電話等の情報メディアを悪用した犯罪やトラブルの危険性から青少年を守り,これ以上の被害者を出さないためにも,青少年一人ひとりに直接届く形での啓発や情報提供を早急に行う必要がある。」と提言されています。これを受けて,同年2月に,携帯電話のインターネット利用に際しての留意点やトラブルの例,対応方法のアドバイスなどを盛り込んだ啓発リーフレットを作成し,全国の小学校6年生全員に配付しました。
 さらに,インターネット上の有害な情報への対応については,フィルタリングが有効な対策の一つと認識されていますが,その普及はいまだに低水準にとどまっていることから,平成19年2月,文部科学省,総務省及び警察庁は合同で,都道府県知事,都道府県教育委員会及び都道府県警察等に対し,携帯電話におけるフィルタリングの普及促進について啓発活動に取り組んでもらうよう依頼しました。

▲子ども向けリーフレット「ちょっと待って,ケータイ」

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