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重粒子線がん治療は,治療を短期間に終えることや通院のみの治療が可能で,また,術後もQOL(生活の質)を高く保てる治療法で,次のような特徴があります。
このような優れた特徴により,例えば早期肺がんを1日で完治させた例や,一度腫瘍に侵された骨が元に戻り,手術後,歩けるようになった例もあります。
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重粒子線がん治療の適応部位 |
世界初の重粒子線がん治療装置は,昭和59年に始まった「対がん10か年総合戦略」の一環で,放射線医学総合研究所(以下,放医研)に建設されました。平成6年に重粒子線がん治療臨床試験が開始され,15年には厚生労働省より高度先進医療の承認を得ました(現在においては,厚生労働省より先進医療(注)として認められています。)。治療開始以来,治療患者数は年々増えており,17年度には年間400名を超えました。
このように,重粒子線がん治療は優れた特徴と実績を持っており,全国での施設導入の検討が活発になってきましたが,高度な技術や大型装置が必要であることから,全国展開が進んでいませんでした。そこで,放医研は平成16年度より装置の小型化開発を実施しており,普及の足掛かりとなる小型化1号機の建設に着手しています。また,重粒子線がん治療装置の普及を念頭に置いた,新しい施設に必要となる人材の育成を強化することとしています。
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放医研の重粒子線がん治療装置「HIMAC」 |