第3節 大学入学者選抜の改善

 大学入学者選抜において,どのような学生を受け入れて,どのような教育を行い,どのような人材として社会に送り出すかは,その大学の個性・特色の根幹を成すものです。受験生の能力・適性,履修歴などが多様化していく中で,各大学は,入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を明確にし,入学志願者や社会に対して明示するとともに,選抜方法の多様化や評価尺度の多元化などの工夫・改善を図り,それらを実際の選抜方法や出題内容などに適切に反映していく必要があります。
 また,大学入試は,大学教育だけでなく高等学校などの教育にも大きな影響を及ぼすものであり,常に改善策を見いだせるよう,不断の努力が必要とされる重要な課題であることから,これまでにも臨時教育審議会や中央教育審議会などにおいて様々な提言が行われてきました。これらの提言を踏まえ,文部科学省では,大学入学者選抜の改善に向けて様々な施策に取り組んでいます。

1.大学入試センター試験の改善・充実

 昭和54年度入試から共通第1次学力試験が実施され,難問・奇問を排除した良質な出題により,高等学校段階での基礎的な学習の達成度を判定することが可能になりましたが,その反面,いわゆる大学の序列化を招来するといった問題点も指摘されました。このような指摘や臨時教育審議会の答申を受けて,平成2年度入試からは,共通第1次学力試験に代えて大学入試センター試験が実施され,各国公私立大学が,それぞれの入学者受入れ方針と創意工夫に基づき,選抜に利用する教科・科目や配点を自由に定めること(アラカルト方式)ができるようになりました。
 この大学入試センター試験は,年々利用大学数が増加し,平成19年度入試(19年1月20日・21日実施)においては,すべての国公立大学,450の私立大学(全私立大学の82パーセント)や150の公私立短期大学が利用することとなっています。
 今後とも,大学入試センター試験が十分活用されることにより,各大学や短期大学における入学者選抜の工夫・改善が図られるよう,センター試験の質の向上・充実を一層進めていきます。

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