第9節 科学技術・理数教育の推進

 知的創造力が最大の資源である我が国にとって,子どもたちが科学技術や算数・数学,理科に対する興味・関心をはぐくみ,豊かな科学的素養を身に付けることができるようにすることが重要です。
 OECD(経済協力開発機構)やIEA(国際教育到達度評価学会)が実施した国際比較調査の結果によれば,我が国の児童生徒の算数・数学,理科の成績は,国際的に見て上位に位置しているものの,その一方で,学習に対する積極性が乏しく,得意だと思う生徒が少ないなど,児童生徒の学ぶ意欲などが必ずしも十分ではないことが明らかになりました(参照:本章第1節1(1))。
 こうした状況を改善するため,現行の学習指導要領では,観察・実験,数学的な活動などの体験的・問題解決的な学習などを重視し,知識の表面的な理解にとどまらず,実感を伴った理解を促し,児童生徒の学ぶ意欲や知的好奇心,探究心を高め,算数・数学,理科が好きな児童生徒が増えるよう,内容の改善を図りました。また,中学校・高等学校においては,選択学習の幅を一層拡大し,生徒の興味・関心,能力・適性,進路希望などに応じて,算数・数学,理科などについて深く学習できるようにしています。
 また,理科教育振興法に基づき,公・私立の小・中・高等学校等における実験用機器をはじめとした理科,算数・数学教育に使用する設備の計画的な整備を進めています。
 こうした取組のほか,「科学技術・理科大好きプラン」として,以下の施策をはじめとする科学技術・理数教育充実のための取組を総合的に推進しています。

1.スーパーサイエンスハイスクール

 文部科学省では,平成14年度から,科学技術・理数教育を重点的に行う学校を「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定し,将来の国際的な科学技術系人材の育成のための取組を着実に推進しています。具体的には,高校と大学の接続の在り方について大学と連携した研究や理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発の研究を実施しています。
 このSSHにおいては,現行の教育課程の基準によらない教育課程を編成・実施して教育課程の研究開発を行うこともできます。その経費については,国,科学技術振興機構から支援が行われます。平成18年度においては,全国99校の高等学校が科学技術・理数教育について特色のある取組を進めています。

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