第8節 障害のある児童生徒の可能性を最大限に発揮するための特別支援教育

1.特別支援教育をめぐる現状

 障害のある子どもについては,その能力や可能性を最大限に伸ばし,自立し,社会参加するために必要な力を培うため,一人一人の障害の状態などに応じ,特別な配慮の下に,適切な教育を行う必要があります。このため,障害の状態に応じ,盲学校・聾学校・養護学校や小・中学校の特殊学級,あるいは通級による指導(注1)において特別の教育課程,少人数の学級編制,特別な配慮の下に作成された教科書,専門的な知識・経験のある教職員,障害に配慮した施設・設備などを活用して指導が行われています。
 平成18年5月1日現在,盲・聾・養護学校や小・中学校の特殊学級に在籍している幼児・児童生徒と通級による指導を受けている児童生徒の総数は約25万600人です。このうち義務教育段階の児童生徒は約20万人であり,これは同じ年齢段階にある児童生徒全体の約1.9パーセントに当たります。
 近年,障害のある児童生徒をめぐっては,障害の重度・重複化や多様化,学習障害(LD)(注2),注意欠陥/多動性障害(ADHD)(注3),高機能自閉症(注4)などの児童生徒への対応や早期からの教育的対応に関する要望の高まり,高等部への進学率の上昇,卒業後の進路の多様化,社会のノーマライゼーション(注5)の進展などの状況が見られます。
 平成15年度から24年度までに講ずべき施策の基本的方向を定めた「障害者基本計画」(14年12月閣議決定)では,1一貫した相談支援体制の整備,2盲・聾・養護学校などの専門機関の機能の充実と多様化,3教員などの指導力の向上と先導的な指導方法の開発や体制などに関する研究の推進,4社会的・職業的自立の促進,5学校施設のバリアフリー化(注6)の促進などが盛り込まれています。また,この基本計画の前期5年間において重点的に実施する施策及びその達成目標などを定める「重点施策実施5か年計画」(14年12月障害者施策推進本部決定)には,障害のある子どもに対して,一貫して効果的な相談支援を行う体制や,小・中学校におけるLD,ADHDなどの児童生徒への教育的支援を行う体制を整備するための取組などが盛り込まれています。

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