第6節 初等中等教育段階におけるキャリア教育の推進

3.中学校における進路指導の改善

 中学校における進路指導は,生徒が自らの生き方を考え,将来に対する目的意識を持ち,自分の意志と責任で進路を選択・決定する能力・態度を身に付けることができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的・組織的に指導・援助することです。そのため,中学校においては,学校としての全体計画と個々の計画を策定し,生徒の能力・適性,興味・関心や将来の進路希望などに基づき,進学しようとする高等学校や学科の特色などを生徒が十分理解した上で,第1学年から計画的かつ一貫性のある進路指導を行うことが必要となります。
 しかし,中学校における進路指導は,高等学校への進学率が高まる中で,長年,業者テストの偏差値などに過度に依存したものとなっていました。このため,文部科学省では,各都道府県教育委員会などに対する通知等を通じて,中学校の進路指導を生徒一人一人の能力・適性などを考慮した本来の進路指導に立ち返るよう求めた結果,現在では,すべての都道府県において,中学校の進路指導の際,業者テストの偏差値などに過度に依存することはなくなっています。
 また,平成16年に実施した「中学校における進路指導に関する総合的実態調査」によると,10年前,5年前の結果と比較して,「学ぶことや働くことの意義」,「産業や職業の種類や内容」などについての学習が広く行われるようになり,生徒自身の進路に関する認識が深まっています。また,体験的学習の機会も飛躍的に増え,生徒がより主体的にかつ真剣に自らの進路を考え,目的意識を持って進路選択を行うようになってきており,中学校の進路指導が大きく改善されてきています。
 なお,学校生活への適応や現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力の育成に関して,ガイダンスの機能の充実を図ることが学習指導要領に規定されるなど,中学校における進路指導の改善は着実に進んでいます。

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