コラム7 次代を担う人材への理数教育の充実(理科支援員等配置事業)

 科学技術を振興する上で、次代を担う科学技術関係人材の養成は重要な課題であり、子どもが科学技術に親しみ学ぶことができる環境を充実するとともに、子どもが伸びうる能力を伸長することができる効果的な環境を提供していく必要がある。
 このような観点から、小学校の頃から子どもたちの理科に対する興味・関心や学習意欲を高めるため、文部科学省では、科学技術振興機構を通じ、平成19年度から全国約3,000校を対象に「理科支援員等配置事業」を実施する。
 「理科支援員等配置事業」では、小学校5、6年生を対象とした理科の観察・実験活動等において、授業の準備・実施や授業計画の立案、教材開発等の支援を行う「理科支援員」を配置する。理科支援員は、大学・企業等の退職研究者・技術者や大学院生、優秀な退職教員等の理科が得意な人材が担う予定である。
 これにより、理科の授業のさらなる充実を図るとともに、教員にとって、観察・実験手法の工夫や新たな教材の開発等に挑戦できる機会となり、教員の資質向上にも寄与することが期待される。
 本事業の本格実施を前に、平成18年度、千葉県、石川県、兵庫県でそれぞれ試行を実施している。ある学校では、3名の理系大学生が週1回8時間ずつ、実験の準備から授業の実施までをトータルに支援している。
 理科支援員の配置を行っている学校の教員からは、「理科支援員が児童に助言する姿を見て、教員が新たな視点や指導法に気づき、指導に生かすことができる」「理科支援員と分担し、児童にきめ細やかに指導・助言でき、子どもの学習意欲が高まった」などの意見が寄せられている。また、理科支援員として活躍している学生からも、「自分の進路(教員)に役立つ」「友人にも紹介したい」といった前向きな声が聞かれる。
 「理科支援員等配置事業」では、このような実験・観察の準備、授業の実施支援を中心とした取組のほか、教材開発等の支援や、校内研修支援等を行う理科支援員の配置も可能となっている。各学校の状況に応じて本事業が活用され、授業のさらなる改善・充実につながることが期待される。


理科支援員が参画した授業

写真:文部科学省

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