第2章 科学技術の戦略的重点化

第2節■政策課題対応型研究開発における重点化

[横断的分野]

2 安全・安心に資する科学技術

 第3期科学技術基本計画には、政策目標として「安全が誇りとなる国―世界一安全な国・日本を実現」が掲げられ、この達成に向け、分野別推進戦略に沿って、安全・安心な社会の構築に資する科学技術の取組を推進している。
 総合科学技術会議「安全に資する科学技術推進プロジェクトチーム」では、平成18年6月、「安全に資する科学技術推進戦略」を取りまとめた。この中では、大規模自然災害、重大事故、新興・再興感染症、食品安全問題、情報セキュリティ、テロリズム及び犯罪の事態別の推進方策と研究開発体制、国際協力、人材育成等の推進方策など基本計画の期間に推進すべき七つの取組の基本を示した。
 文部科学省では、上記の七つの脅威に対する科学技術の研究開発を進めるとともに、平成18年7月に「安全・安心科学技術に関する研究開発の推進方策」を取りまとめた。同推進方策では、研究成果を安全・安心を守る公的機関や民間事業者に導入することや、現場のニーズに的確に対応した研究開発を推進することを目的とした、新たな研究開発の仕組みの必要性が指摘されている。
 国際協力については、日米、日英、日仏の二国間の科学技術協力協定の枠組みの中で取組を推進している。特に、平成18年10月に日米安全・安心科学技術協力イニシアティブ第3回ワークショップを開催し、テロや犯罪への対応、重要インフラの保護等のための科学技術に関して、共同研究を含めた協力を進めることを合意した。
 また、科学技術振興機構社会技術研究開発センターでは、社会における具体的な問題解決を図り社会の安寧に資することを目的に、自然のみならず人文・社会科学の知見を活用し、現場における様々な知見や経験に基づいた問題解決型の研究開発を「安全安心」、「脳科学と社会」、「情報と社会」、「科学技術と人間」の四つの領域で推進している。

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