令和8年9月29日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ
「AI for Science革新的研究推進事業(ARiSE)」の採択結果の発表と採択課題への期待、北極域研究船「みらいⅡ」の引渡日の決定および今後の予定、18歳未満の選挙運動を一律禁止とする公選法を「憲法違反」とする地裁判決の受け止めと主権者教育への影響、ノーベル賞受賞者発表への期待と基礎研究への支援方策、東京大学における次期総長選考に関する受け止め、コミュニティ・スクールに期待する役割および導入拡大に向けた課題認識、アジア競技大会における運営上のトラブルに対する受け止めと今後の国際大会招致への影響の有無
令和8年9月29日(火曜日)に行われた、関芳弘文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和8年9月29日関芳弘文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
皆様、おはようございます。ただ今から会見をさせていただきたいと思います。冒頭、私から2件申し上げたいと思います。まず1件目でございます。本日、AI for Science革新的研究推進事業「ARiSE」についてでございますが、採択課題の31件を決定いたしました。本事業でございますが、AI for Scienceについて世界を先導する科学研究成果の創出及び世界トップレベルの研究機関・研究者との戦略的な国際連携等を推進するフラッグシッププログラムでございます。今回のARiSEとあらゆる分野でAI for Scienceのすそ野拡大を図ります「SPReAD 1000」を両輪として進めますことで、我が国がAI for Scienceの先進国の地位を築くことを目指してまいりたいと思います。さらに、AI for Scienceをめぐる国際競争がますます激化します中で、令和9年度の概算要求ではこれらの事業の拡充を盛り込んでいるところ、我が国の研究力向上に向けましてAI for Scienceをより一層強力に推進をしてまいりたいと思います。これが1点目でございます。
2件目を申し上げたいと思います。令和3年8月より建造を進めてまいりました北極域研究船「みらいⅡ」でございますが、本年の12月18日に造船会社からJAMSTECのほうへ引き渡しされることが決定をいたしました。引き渡し後は、JAMSTECでは複数の海域で砕氷航行や観測作業の訓練等を行います「慣熟航海」、これを実施しつつ、年度内に首都圏でのお披露目、来年4月に青森県むつ市や函館市での一般公開を実施していく予定でございます。各イベントの詳細につきましては、決定次第、JAMSTECや開催地の地方公共団体より発表予定でございます。文部科学省といたしましては、みらいⅡを国際研究プラットフォームといたしまして積極的に活用して、引き続き海洋・極域分野の研究開発を通じまして我が国の発展に貢献をしてまいりたいと思います。私からの報告は以上でございます。
記者)
18歳未満の選挙運動が公職選挙法の規定で禁止されているのは憲法違反だとして、17歳から20歳までの4人が国を訴えた裁判で今月25日、東京地方裁判所は表現の自由を保障した憲法に違反するという判断を示しました。一審判決についての大臣の受け止めと、学校現場における主権者教育などへの影響などを教えてください。
大臣)
今月の25日の金曜日でございますが、東京地方裁判所におきまして18歳未満の選挙運動を禁じる公職選挙法の規定が憲法違反であるとの判決が出たとの報道につきましては承知をしているところでございます。公職選挙法は総務省の所管の法律でございますから、判決につきましては私からのコメントは差し控えたいと思います。
記者)
冒頭発言でございましたARiSEについてお伺いをしたいと思います。SPReADについては既に公表されておりますが、今回、ARiSE初めての採択、公表となります。AIについては危険性も指摘される一方、研究においてはAIの活用が欠かせないとも指摘もされております。今回、ARiSEが初めての公表となることで意気込みと申しますか、研究に期待したいことを大臣のほうからお願いいたします。
大臣)
本事業では、我が国の強みを最大限に生かしまして重点分野への集中投資となるような課題が、採択されております。例えば、マテリアル分野でございますが、新素材の開発速度10倍を目指します「マテリアルAI基盤」構築プロジェクト、さらにはライフサイエンス分野ではあらゆる生物のゲノム情報データ等を統合しまして創薬等の開発を加速する「ゲノム言語モデル」構築プロジェクト、さらには大型研究施設分野では国内の11の放射光施設の測定・解析の自動・自律化を目指します「AI放射光基盤」 構築プロジェクト等がそれに当たると思います。これらの課題を通じまして、我が国の研究力向上に向けましてAI for Science をより一層強力に推進をしてまいりたいと思います。以上です。
記者)
科学技術関連で質問させてください。来週からノーベル賞の発表が始まるかと思います。去年は二人の日本人受賞者が、日本人が受賞していますが、日本には多くの受賞候補の先生方がいらっしゃると思います。今年の発表に向けた期待を大臣からお伺いできればと思うのと、また日本の基礎研究力の強化について文科省で取り組むことに関して教えてください。
大臣)
我が国の優れた研究者がノーベル賞の受賞という形で世界的な評価を受けますことは、本当に国の誇りであると考えております。また、国民の皆様方にとっても大変励みになることと思っております。昨年の北川先生や坂口先生の受賞に続きまして、日本の受賞者が発表されることを強く期待をいたしております。また、基礎研究でございますが、人類の発展の基盤となります貴重な知的財産、資産を創造いたしまして、ひいてはイノベーションの源泉を生み出すものでございます。基礎研究力の向上は喫緊の課題と考えているところでございます。我々文部科学省といたしましては、研究者の自由な発想に基づく研究を支える科学研究費助成事業、いわゆる科研費でございますが、これの大幅の拡充等の競争的研究費の充実が一つ考えておりまして、二つには継続的な、安定的な教育研究活動を支える基盤的経費でございます国立大学法人運営費交付金の大幅な拡充を考えております。そして三つには、世界トップレベルの研究者が集まります国際的な研究拠点の形成(WPI)の取組を進めているところでございます。引き続きまして、必要となります政策を総動員いたしまして基礎研究力のさらなる向上に取り組んでまいりたいと思います。
記者)
東大の総長選の関係でお伺いします。東京大学が次期総長選で藤垣裕子教授を選出いたしました。女性初の総長となりますが、直面するガバナンス問題も含めてどのようなかじ取りを期待するのかお伺いします。
また、昨今の国立大学の総長選では教職員による意向投票で1位でない候補者が選出される事例もありまして投票した教員らの反発も起きています。現行法では最終決定権は選考会議にあると定められていまして、多くの大学では意向投票は判断材料の一つと位置づけられているようなのですが、投票を行う以上、最終的な選出の基準や理由をより丁寧に説明する必要があるかなと思っています。大臣のお考えをお伺いします。
大臣)
お尋ねの事案でございますが、昨日28日、東京大学の総長選考・監察会議におきまして、次期総長候補者が選考をされたものと承知をいたしております。総長選考・監察会議におきましては、今回なぜそのような判断をしたのか、学内にしっかりと説明する必要があると考えておりまして、総長選考・監察会議の対応を注視してまいりたいと思っております。
そして意向投票の順位の件でございますが、国立大学法人の学長の選考でございますけれども、学内外の意見を反映いたしますために法律上、学内、学外同数の委員により構成される学長選考・監察会議において行うとされておるところでございます。選考理由及び選考過程をしっかりと説明していくことなどが学長選考・監察会議が確実に説明責任を果たしていくことにつながると思いますので、それをしっかり我々も重視をしまして今後、対応を注視してまいりたいと考えているところでございます。
記者)
今後の期待について何かありましたらお願いします。
大臣)
今後の期待ですか。
記者)
女性初の総長となるということで。
大臣)
まずは今後、今回の選考の結果を受けまして総長選考・監察会議、いろいろまた対応に関しましていろいろな過程があるかもしれませんので、とりあえず今のところは先ほど申されたような投票の結果など、いろいろなところがまだいろいろな過程を通るかも分かりませんので、もう少し状況注視をしておきたいなと思っているところでございます。
記者)
学校と地域の連携という点についてお伺いします。現在、中教審の学校安全部会で第四次学校安全の推進に関する計画の策定に向けた議論が進んでいます。諮問では、学校内外の安全確保などの検討についてコミュニティ・スクールの仕組みの活用を通じて家庭や地域、関係機関と連携した対策を実行することが求められており、学校安全部会でもコミュニティ・スクールが議論の中で挙がるということがありました。ただ、制度発足以降、コミュニティ・スクールが、20年が経過しているのですが、まだ設置率が65%程度にとどまっているという現状があります。学校安全に限らず、学校と地域の連携を推進していく中でコミュニティ・スクールにどのような役割を期待するのか、また今後の導入に向けた課題を教えてください。
大臣)
コミュニティ・スクールでございますけれども、法律によりましてその設置が努力義務化されました平成29年4月当時の導入数でございますけれども、全国の公立学校の3,600校でございました。その後、着実に導入が進んでまいりまして、令和7年5月現在では22,009校、先ほど申されましたように、おっしゃいましたように約65%が導入されておりまして、傾向としましては増加傾向にございます。これまでコミュニティ・スクールの導入によりまして学校と保護者・地域住民との相互理解や、また特色ある学校づくりや教育課程の改善や充実、また学校安全・地域防災の取組などの成果、これらが挙げられております。学校と地域が連携協働した取組が進んでいる姿だと思います。本年の8月に取りまとめられました中央教育審議会の生涯学習分科会の審議過程経過報告、審議の経過報告におきましても、子供たちを取り巻く課題が多様化・複雑化しておりますと。そういうふうな中におきまして、地域全体で子供の学びや成長を支えますためにその基盤となりますコミュニティ・スクールのさらなる推進、これが求められているところでございます。一方で、地域間や学校種間におけます導入状況の差や協議の形式化といった課題も生じておりまして、文部科学省におきましては一つには導入促進や協議の実効性の向上に向けました有識者による伴走の支援、また一つには自治体におけますアドバイザー配置等の体制構築や研修に対します支援、また一つには全国フォーラムの開催や大臣表彰等を通じました好事例の周知、こういうふうなことをコミュニティ・スクールの導入促進と機能強化に向けて我々は引き続き取り組んでまいりたいと、そのように考えているところでございます。以上です。
記者)
愛知県で開催中のアジア大会についてお伺いいたします。アジア大会では今回、国歌の流し間違いや車両の手配ミスなどのトラブルが相次いでおります。選手団などから不満の声が上がっているとの一部報道がありますが、文科省、スポーツ庁では直接所管されていないかもしれませんが、開催経費の一部を負担している立場からのお受け止めと、今後の国際的なスポーツ大会招致に及ぼす影響をどのように考えているか、お伺いできればと思います。
大臣)
アジア競技大会の運営を巡りまして、様々な批判の声があるとの報道につきましては承知をいたしております。大会運営に当たりまして、選手が安心して競技に集中できる環境を確保することが重要であると、そのように考えております。大会組織委員会におきましては、個々の事案に対しまして原因の検証を行うとともに再発防止等の徹底を図るなど、安全・安心で円滑な大会運営に向けました対応を進めているものと承知をいたしております。引き続き、大会組織委員会におきまして選手や関係者の皆様の声を丁寧に伺いながら適切に対応をしていただきたいと思っております。また、今後、国際競技大会の招致等についての影響等は特段考えていないところでございますけれども、我々も組織委員会とこまめにコミュニケーションを取って大会運営にはしっかりと協力はしてまいりたいと、そのように大会主催者である大会組織委員会に適切に対応していただくこともフォローをしていきたいと、そのように考えているところでございます。
記者)
冒頭のNHKさんの質問にありました18歳選挙権の判決なのですけれども、総務省所管で判決については差し控えたのは承知した上で、主権者教育ですとか教育活動への影響についてどう取り組むかのお考えをお願いします。
大臣)
現段階で直ちに学校におけます主権者教育に影響が今の段階で生じてくるという感じでは我々は捉えておりませんが、いずれにしましても引き続き関連法令等も踏まえつつ、政治的中立性を確保していくこと、そして主権者教育には取り組んでいただきたいと、そのように考えているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
(了)
大臣官房政策課広報室