松本洋平文部科学大臣記者会見録(令和8年9月11日)

令和8年9月11日(金曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

前線等による大雨の影響と今後の対応、PISA2025の結果の受け止め、ベトナムおよびカンボジアへの出張、東京大学の教授による皇族に関するSNSでの投稿に対する受け止めと国際卓越研究大学制度の審査への影響、活字文化議員連盟による教科書の媒体に関する要望書の受け止めと今後の対応、SPring-8-IIへの移行期における放射光利用研究への支援に関する要望の受け止めと今後の対応、北海道大学における薬品での死亡事故を受けた通知の発出状況および今後の対応、PISA2025で判明した読解力の低下などの諸課題に対する学習指導要領の改訂を含めた今後の対応

松本洋平文部科学大臣記者会見映像版

令和8年9月11日(金曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和8年9月11日松本洋平文部科学大臣記者会見

令和8年9月11日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

松本洋平文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは3件でございます。まずは、前線等による大雨についてであります。前線等による大雨で亡くなられた方に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。今回の大雨による文部科学省関係の被害についてでありますけれども、昨日木曜日12時時点で人的被害として生徒の軽傷5名、教員の軽傷1名が報告をされております。主な被害の内容といたしましては、自転車転倒による負傷などであります。物的被害といたしましては、学校施設で735件、社会教育施設等で27件の被害が報告をされております。主な被害の内容といたしましては、外装材、屋根材などの剥がれや落下、雨漏りなどであります。文部科学省といたしましては、直ちに災害情報連絡室を設置して対応してきたところでありますが、引き続き関係機関と連携をいたしまして情報収集に努めるとともに、児童生徒等の安全確保及び復旧支援に全力を尽くしてまいります。
 続きまして、2件目となります。9月8日火曜日、OECDが実施をいたします国際的な学力調査であります「PISA2025」の結果が公表されました。本調査におきまして、我が国は調査開始以来、初めて、科学コンピテンシー、読解力、数学的リテラシーの主要3分野全てにおきましてOECD加盟国中第1位となりました。また、高い社会経済的公平性を有しているなど、日本の教育水準が国際的にトップレベルを維持していることが示されたところであります。この結果は、子供たちや学校現場のたゆまぬ努力、そして保護者や地域の方々など関係する多くの皆様の御尽力の賜物と受け止めておりまして、心から敬意を表したいと思います。一方で、読解力の平均得点の低下、低得点層の割合の増加といった改善(注)も明らかとなったところであります。今回の結果を踏まえながら、引き続き全ての子供たちの可能性を引き出していくことができるように学習指導要領の改訂をはじめ、教育施策の更なる充実に力を尽くしてまいります。
 続きまして、3件目となります。9月6日日曜日から10日木曜日までの5日間、ベトナム及びカンボジアを訪問してまいりましたので御報告を申し上げます。今回のベトナム訪問では、チャウ副首相及びタイン文化スポーツ観光大臣等との会談を行いまして、半導体をはじめとする科学技術分野での共同研究や人材交流のさらなる推進への期待、これを表明するとともに、海賊版漫画サイトによる著作権侵害について適切な対応を求めつつ、人材育成や専門的知見の提供等に関する両国間の協力の取組について今後、事務レベルで具体化していくことを合意いたしました。カンボジアにおきましては、ハン・チュンナロン副首相兼教育・青少年・スポーツ大臣との会談を行い、カンボジアにおける日本式教育のさらなる拡充をはじめとした日本とカンボジアの教育分野における連携の深化について合意をしたところであります。副首相からは、人材育成に関する日本の貢献が8日に公表されましたOECDのPISA2025におけるカンボジアのスコアの大幅な改善につながったとしても謝意を示していただいたところであります。また、プノンペン教員養成大学や日本型教育を行っておりますインターナショナル幼稚園などを訪問いたしまして、日本型教育への高い関心と期待を改めて認識をしたところであります。今回の訪問では、両国の政府要人と直接意見交換を行うことができ、日本と両国の関係深化に向けて大変有意義なやりとりができたものと考えております。今回の出張の成果、これを今後の文部科学行政に最大限生かしてまいりたい、そのように考えております。私からの冒頭発言は以上となります。
(注)「改善」は、正しくは「改善点」です。
 
記者)
 東京大学の本田由紀教授が旧ツイッター、Xに皇族の三笠宮彬子様の写真を添えるような形で遺伝的要因の恐ろしさという書き込みをした問題があります。これについて重大な人権侵害ではないかという御指摘が上がっているのですけれども、まずこうした行為について大臣の見解を伺いたいのと、あと東京大学をめぐっては国際卓越研究大学の審査がまだ継続中ということで、その中ではガバナンスの問題というものが再三指摘をされてきました。今回の問題がこのガバナンスの問題についてどのように影響するのかについても併せてお考えをお願いします。
 
大臣)
 今お尋ねのあった事案でありますけれども、これにつきましては東京大学において当該教授に対して注意を行うとともに、今後速やかに構成員に対しまして人権尊重及びコンプライアンスの重要性について周知を行うというふうに聞いているところであります。そもそも他者の尊厳を毀損するような言動、これはあってはならないというふうに考えているところであります。個別事案における具体的な対応につきましては、大学において適切に判断されるべきものでありますが、大学は公共性や普遍性を踏まえ、知的な価値を創造することにより社会をリードする、これが使命だと考えております。東京大学におきましては、今回の事案に対する適切な対応とガバナンスやコンプライアンスの強化に取り組んでいただきたいと考えております。また、国際卓越研究大学の審査についてでありますが、審査中であることからコメントは差し控えますが、引き続き法人としてのガバナンス体制が実効性ある形で十分徹底しているか、有識者会議にて議論されるものと承知をしているところであります。
 
記者)
 先ほど活字文化議員連盟がデジタル教科書についての要望書を提出されましたが、その受け止めと今後の対応方針について教えてください。
 
大臣)
 先ほど活字文化議員連盟から「デジタルな形態を含む教科書」の発行・採択等の指針に関しまして、紙の教科書を主軸に学びの継承・発展を図ること、学力・健康への影響の検証について御要望をいただいたところであります。大臣指針についてでありますが、従前の紙中心の学習環境を基本としつつ、デジタルの特性が活きる場面でデジタルを取り入れる、こうした考え方の下で発達段階や教科特性を踏まえた指針となりますように認知科学でありますとか、発達心理学等の専門的知見を有する委員にも御参画をいただいておりまして、有識者会議で丁寧に今議論をしていただいているところであります。また、学力・健康への影響についてでありますけれども、「デジタルな形態を含む教科書」の導入後も継続的な実証研究を行ってまいります。本日要望いただいた内容も踏まえまして、秋ごろまでの取りまとめを目指して検討を進めてまいりたい、そのように考えておりますし、またこれまでも国会でも答弁をしてまいりましたけれども、デジタル化を推進することが我々の目的ではありませんので、ぜひこれらをうまく活用をすることによって何が本当に子供たちの学びに役立つのか、質を高めていくのか、この観点から有識者の皆さんにもしっかりと議論をしていただいているというふうに承知をしております。
 
記者)
 8月24日に日本放射光学会がSPring-8-IIへの移行期における放射光利用の研究基盤、研究への研究基盤への継続、継続的支援を求める要望書を文科省に提出しました。昨日も記者会見を開いて重要性をアピールしたのですけれども、今回の要望を踏まえた今後の対応方針について教えてください。
 
大臣)
 お尋ねのSPring-8-IIにつきましては、先月、私も整備現場を視察いたしまして様々な分野への貢献が期待されるとともに、その整備自体が我が国の技術力の向上に大きく寄与するものと考えているところであります。今後、SPring-8の高度化に向けた整備を進めるために来年度後半から約1年間の運転停止を予定しております。その間、研究活動の停滞でありますとか、国外への技術流出等を招きかねないことから必要な対応につきまして審議会で議論を重ねてきたところであります。運転停止期間中は、代替となる国内の施設を最大限活用することが極めて重要であると考えておりまして、今回の概算要求におきましても産学の利用者の受入体制を整備するため、代替施設の運転時間の延長、また施設間の連携促進等に必要な経費を計上しているところであります。学会等の要望も踏まえつつ、審議会で議論を継続するとともに、必要な予算の確保を努め、御要望に応えられるように我々としても努めてまいりたいと思います。
 
記者)
 先日、北海道大の理学部で大学院生が猛毒を浴びて死亡した事故なのですけれども、札幌市のほうが9月2日に毒物及び劇物取締法に違反していたということで行政指導を行いました。文科省としても昨日、毒物の適正な保管管理を求めて大学に通達を出されたようなのですけれども、このような通達を実際に出されたのかどうかということと、この事案に対する大臣の見解をお聞かせください。
 
大臣)
 お尋ねの報道についてでありますが、まずは亡くなった学生に哀悼の意を表するとともに、御遺族に対し心からお悔やみを申し上げたいと存じます。また、怪我を負った学生もおります。いるというふうに承知をしておりまして、この学生に対しましてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。毒物及び劇物についてでありますが、法令に基づく適切な保管・管理及び記録の整備が求められているところでありまして、大学を含む教育研究機関においても安全管理を徹底するということが重要であります。文部科学省といたしましては、北海道大学に対しまして保健所から指摘を受けた事項について速やかに是正を図るとともに、実効性のある再発防止策を講じるよう指導をしたところであります。また、本事案を踏まえまして全国の大学等に対し、毒物及び劇物の適切な管理及び法令遵守の徹底について事務連絡を発出いたしましたということですね。各大学における、大学等における安全管理の一層の徹底を図ってまいりたい、そのように考えております。
 
記者)
 冒頭で御発言のありましたPISAの結果についてお伺いします。今回の調査では、日本の課題の中でも読解力の平均得点の低下であるとか、低得点層の増加、家庭の支援的関わりの弱さ、この3点について注目が集まったかなと思っています。読解力については、OECDの分析官が全ての学びの土台というふうに位置付けておりまして、世界的な読解力の低下を懸念していました。背景については好奇心の低下、あとは注意力低下、ソーシャルメディアや生成AIの普及による注意力の分散などを指摘していました。今までは特に「読みの流ちょう性の正答率が有意に低下したというところが課題として挙げられていたかと思います。また、3分野全てで低得点層が初めて増えたこと、あとは家庭の支援的関わりが回答したOECDの中で最下位だったというところも課題だったかと思っています。次期学習指導要領についても議論が進んでおりまして改訂を控えておりますが、この結果に対して、この課題に対して大臣の受け止めと、あとは結果を受けて検討している対策について改めてお伺いします。
 
大臣)
 今回のPISA2025の結果でありますが、今御指摘をいただきましたように読解力の平均得点の低下でありますとか、低得点層の割合の増加、また家庭の支援的関わりの頻度の少なさが見られたことは御指摘のとおりであります。文部科学省としては、こうした結果も踏まえまして次期学習指導要領に向けた検討におきまして、「好き」を育み、「得意」を伸ばすことを重視するほか、言語能力の教科的、横断的な育成(注)、国語科における文章の内容を正確に捉える指導、メディアリテラシーや情報モラルの育成強化、多様な子供たちの課題や特性等に応じた取組を可能とする「調整授業時数制度」の創設、自立的な学習習慣の形成や効果的な学び方の指導などを進めまして、習熟度が低い児童生徒を含めまして全ての子供が必要な資質・能力を身につけることができるように引き続き丁寧に検討を進めてまいりたいと思います。また、読解力の低下ということもあったわけでありますけれども、確かに日本は読みの流ちょう性の設問について正確に読めた生徒の割合が低下をしたものの、比較的長い課題文の設問や情報を探し出す、理解するに関する設問の正答率はOECD平均が低下する中で日本は横ばいだったということであります。また、評価、熟考するに関する説明につきましては、OECD平均がこれも低下をする中で日本は有意に正答率が上昇しているというようなことが明らかとなっているところでもあります。いずれにいたしましても、今回のこの結果というものを我々としてはより精緻に分析をして、これからの子供たちの学びについて我々としても考えていきたいと思っております。また、加えて家庭の支援的関わりということも今御指摘をいただいたわけでありますけれども、これも実際の設問がかなり一面的だというふうに我々は思っておりまして、やはりこれをもう少ししっかりと分析をしていくことが大変大事だと思っております。ただ、大切なことはやはり教育というのはもちろん学校として責任を持ってしっかりとやっていくわけでありますけれども、家庭や地域の理解というものもあって成り立つものだと思っているところでもありまして、そういう意味からも今回のPISAの調査結果というものはぜひ学校現場、教育現場だけで共有をされるものではなくてより多くの皆さんに見ていただく、知っていただくということが私は大変大事なことなのではないかなというふうに思っているところでもあります。文部科学省のホームページにおきましても、この結果を受けて我が国としてどういうふうにその内容というものを整理しているのかということにつきましては、国立教育政策研究所がまとめたものを実はホームページ上にも公表をしているところでもありますので、ぜひこういうものもより多くの国民の皆さんに見ていただきたいというふうに思っております。
(注)「教科的、横断的な育成」は、正しくは「教科等横断的な育成」です。
 
(了)

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