令和8年9月4日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化
令和8年度世界遺産の推薦候補への彦根城の選定及び今後の認定に向けた取組状況、大臣のベトナムおよびカンボジアへの訪問、YouTubeで福島大を揶揄する発言に対する文科省の受け止め、偏差値のみで大学や学生の価値を判断する風潮への大臣の受け止め、指導主事未配置の教育委員会の割合が2割強という調査結果に対する受け止め、ノーベル化学賞受賞者の白川英樹氏の逝去、同志社国際高校の教諭が逝去された事案に対する受け止め、旧香川県立体育館の解体工事一時中断の受け止め及び近代建築保存の在り方への見解
令和8年9月4日(金曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和8年9月4日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは2件となります。昨日3日になりますが、開催されました文化審議会世界文化遺産部会におきまして、世界文化遺産の推薦候補といたしまして「彦根城」が選定をされました。文化審議会において、彦根城は諸外国に類を見ない江戸時代の「大名による統治システム」を物証できるものといたしまして、世界的にも顕著な普遍的価値が認められ得るものであると評価されたところであります。今後、関係自治体と連携しながら今月中のユネスコへの暫定推薦書の提出を始めといたしまして、必要な準備に取り組んでまいります。
続きまして、2件目であります。9月6日から10日まで、ベトナム及びカンボジアを訪問いたします。今回の出張に関しましては、今年6月に来日されましたベトナムのレー・ティエン・チャウ副首相とは半導体の人材交流や海賊版対策などについて、また7月に来日されたカンボジアのハン・チュンナロン副首相兼教育・青少年・スポーツ大臣とは日本の教育を取り入れた学びなどについて意見交換をさせていただき、その際に両者からぜひ来てもらいたいということで要請があったことを踏まえて伺うものであります。両国は、ASEANにおける我が国の重要なパートナー国であります。そうした両国と教育、科学技術、文化分野における協力関係を一層進展させるため、カンボジアのハン・チュンナロン副首相をはじめとした両国の政府関係者との意見交換を行います。そのほか、詳細な日程は最終調整中ではありますが、プノンペン教員養成大学等の視察も予定しております。今回の出張を通じまして、両国とのさらなる連携を図り、協力関係を深化させていきたいと考えております。私からは以上となります。
記者)
8月末にいわゆる学歴系YouTuberが公開した動画の中で、福島大学の原子力や放射能に関する研究を揶揄するような発言があり批判の声が上がっています。一方で、地方の国公立大はメディアなどで取り上げる機会が少ないこともあり、YouTubeチャンネル全体の価値まで否定するべきではないとの意見もあります。そこで、こうした偏差値や学歴を基準に研究の良し悪しを図るようなコンテンツについてどのように受け止めているか、大臣のお考えをお願いします。
大臣)
お尋ねの事案についてでありますけれども、福島大学から学長によるコメントが公表をされておりまして、既に配信者により動画は削除され謝罪がなされているものと承知をしているところであります。その上で一般論として申し上げますが、学生・教職員に対しまして尊厳を傷つけるような言動はあってはならないと考えております。また、大学の研究力については、偏差値を持って判断することは適切ではありません。多様な定量的指標とともに、定性的指標も適切に組み合わせて把握をする必要があると考えております。大学におきましては、それぞれの強み・特色を生かして研究力の強化を図っていくことが重要であり、福島大学におきましては原子力災害や環境放射能に関する研究のほか、再生可能エネルギー、地域防災・復興に関する研究など先導的な研究に取り組んでいただいておりまして、大変多くの成果を挙げていただいているというふうに承知をしているところであります。具体的には、原子力工学分野において燃料デブリの性状把握のための手法の開発、分析の難しい放射性核種の分析法の開発、それらを活用した東京電力との間での廃炉研究と人材育成を推進するための研究拠点の設置などの研究成果が創出されているものと承知をしておりまして、大変大きな貢献をしていただいているというふうに承知をしているところであります。文部科学省としても、こうした取組の着実な実施に向けて引き続き必要な支援に努めてまいりたいと思いますし、また、こうした各大学の素晴らしい取組につきまして多くの国民の皆さんに知っていただけるように我々としても取り組んでまいりたいと思います。
記者)
先ほどの幹事社質問に関連してお尋ねします。今回、YouTubeチャンネル、この問題となったYouTubeチャンネルが注目を集めているということですけれども、偏差値や学歴という指標で判断するという世の中の風潮が根強いのですけれども、このことについて大臣がどのように受け止めるか教えてください。また、こうした状況を踏まえてそれぞれの大学の教育内容だったり研究だったり、そういった多様な価値に目を向けることについて、文科省として今後、受験生や社会に向けて何らか発信をしていくお考えがありますでしょうか。
大臣)
私といたしましては、社会や産業構造が今大きく変化をしている、そういうときにもあります。これからの社会を担う若者たちには、自分たちで考え判断をし、そしてその結果の責任を引き受ける基礎、こうしたものを大学教育において養ってほしいと考えております。このため、偏差値という一つの指標だけではなくて一人一人の学生が必要な能力を身につけられる学びの密度の高い環境を持つ大学が評価されるべきというふうに考えております。こうした観点から、文部科学省においては認証評価制度を見直し、学生が大学教育を通じてどのぐらい成長したかという観点で「教育の質」を適切に評価するとともに、その評価結果についても社会に分かりやすく公表する「新たな評価」制度を構築するための検討を進めているところであります。引き続き、高校から大学・大学院の一体改革を進め、若者が学んだことを基礎に社会において活躍できるよう、大学教育の質向上に取り組んでまいりたい、そのように考えているところであります。
記者)
先ほど冒頭発言がありました世界文化遺産の候補物件として彦根城を選定されたことについてお伺いしたいと思います。彦根城に関しましては、暫定リスト登録から34年という長きにわたってずっと候補に選定されない状態が続きました。一方で、昨日の世界文化遺産部会長の菱田さんも城だけではなくてその周辺の施設も含めて完全性がある、保存状態が良いということで評価され、一方で高さ規制を行うなど、地元への取組も強化されていました。そうした長い間なかなか登録されない中でも地元の人たちがめげることなく取り組んでこられた成果が今回、選定につながったと思いますが、大臣としてそうした地元の取組に対してのコメントをいただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
大臣)
今回の登録(注)に関しまして、まずもって地元の皆さんの御努力に心から敬意を表したいと思います。今お話がありましたように、今回の登録(注)に際しましては様々な指摘、様々な課題というものがこれまで存在をしてきたわけでありまし、また、それらは一朝一夕に、そして地元の皆さんの御理解なくしてそれらの課題を解決するということはなかったと思います。そういう意味でも、本当に地元の皆さんが一体となって地元の彦根城、またそれを中心としたそうした文化財についての深い理解と、そしてそれを守っていこうという思い、そして多くの皆さんに知ってもらうために取り組んできた様々な指摘に対する対応、こうしたものが評価をされた上で今回こうした登録に至ったということだと思っております。そういう意味では、引き続きぜひ地元の皆さんの御協力もいただきながら、そして連携をしながら我々といたしましては暫定推薦書の提出をはじめとした必要な準備に取り組んでまいりたいと思います。引き続き、地元の皆様方の御努力、御協力を心からお願いを申し上げたい、そのように思います。
(注)「登録」は、正しくは「選定」です。
記者)
2000年にノーベル化学賞を受賞された白川英樹さんが先月下旬に亡くなられたことが昨日公表されました。電気を通すプラスチックの発明ということもそうですけれども、国の有識者議員のほうも務められて、日本の科学にまさに貢献されてきた研究者だと思いますが、大臣のほうからコメントをいただけますでしょうか。
大臣)
今、御紹介をいただきましたように2000年にノーベル化学賞を受賞されました白川英樹博士が8月24日にお亡くなりになられました。心より哀悼の誠を捧げたいと思います。白川博士は、プラスチックは電気を通さないという従来の常識を覆しまして、高分子科学に前例のない「導電性高分子」という新しい領域を開拓いたしまして、その発展に貢献をされました。白川博士のような未踏の研究領域を開拓する研究者でありますとか次代を担う若手研究者が夢と希望を持って研究に邁進できるよう、文部科学省としても引き続き教育・研究環境のさらなる充実に努めてまいりたいと思います。そういう意味では、本当に大変我が国の科学の分野を牽引してくださいましたし、または若い人であったりとか、これからに続くような研究者、その後にもつながるような、そうした指導も含めて大変大きな貢献を果たしていただいたと思います。先ほど心より哀悼の誠を捧げますというお話をさせていただきましたが、それに付け加えるのであれば心から感謝を申し上げたい、そのように思います。
記者)
旧香川県立体育館について質問させていただきます。香川県が解体工事を一時中断するという発表をしました。保存再生を望む市民団体との訴訟で争点となっている耐震性能の鑑定に協力するためとしています。建築文化を振興する文化庁を所管する大臣としての受け止めをお願いします。また、アスベストや耐震など、近代建築の保存には課題があります。例えば、黒川紀章さんの代表作の一つ中銀カプセルタワービルはアスベストの問題があって、現在カプセルの移動や公開が制限されていると聞きます。一方で、登録有形文化財に登録されたり、重要文化財に指定されたりする近代建築もあります。建築文化振興のための近代建築の保存の在り方について、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
個別の建物の保存・活用の在り方について、この場で私からコメントをすることは控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げますと関係者間の意思の統一を図りつつ、建築を文化として捉え、その振興を図っていくことは重要である、そのように考えております。また、御指摘のアスベスト対策や耐震基準への適用など、近代建築の保存にかかる課題につきましてはこれまでも文化財の所有者や自治体からの相談に応じまして、文化庁からも必要な指導助言を行ってきたところであります。実際にこれまでも近代文化財においてそうした指導助言を行い、それらの対応を行ってきたという事例もあるところであります。建築文化の振興に向けましては、文化審議会の文化経済部会におきまして「建築文化ワーキンググループ」を設置し、施策の在り方を議論しているところであります。これまでの文化財保護における知見も踏まえまして、近代建築の保存、継承にかかる課題への対応について議論を深めてまいりたい、そのように考えております。
記者)
8月31日に発表された「教育委員会の現状に関する調査」で、指導主事が未配置の市町村教育委員会が2割強に上ることが分かりました。指導主事制度の根拠となる地方教育行政法の18条の2項(注)では、指導主事その他の職員を置くという記述があります。今回の調査結果に対する受け止めと、指導主事の担う役割とその重要性について、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
教育委員会が学校を適切に指導・支援するためには、学校教育に関して高い専門性を有する指導主事の役割が一層重要になっているというふうに認識をしております。地方教育行政法において、市町村教育委員会における指導主事の配置は努力義務とされておりますが、今回の調査結果におきまして小規模な市町村ほど指導主事の配置率が低い傾向にあるということであります。こうした小規模自治体における教育委員会の体制整備の観点から、例えば校長経験者等を「指導主事に準ずる者」として配置すること、都道府県による指導主事の派遣、近隣の市町村間での指導主事の共同設置などに取り組むことが有効であると考えられているところであります。文部科学省としては、こうした考え方が示されました有識者会議の報告書でありますとか、また好事例を掲載した手引きを周知することなど、各市町村の参考となるように引き続き着実に取り組んでまいりたい、そのように考えております。
(注)「18条の2項」は、正しくは「第18条第2項」です。
記者)
沖縄辺野古沖で小型船が転覆をして同志国際高校の生徒たち、生徒らが亡くなった件で先日、保護者説明会が行われまして、研修旅行に同行していた男性教諭が亡くなった旨が明らかにされたと、そういう報道もございましたけれども、男性教諭は自殺とみられておりまして、大臣のこの件に関する受け止めをお願いします。
大臣)
まずは、同志社国際高校の教諭が亡くなられたことにつきまして哀悼の意を表したいと思います。その上で、同校においては生徒や教職員の心身の状況、これらを十分配慮いたしまして、一人一人の気持ちに寄り添いながら心のケアに適切に取り組んでいただきたい、そのように考えているところであります。
(了)
大臣官房総務課広報室