令和8年9月1日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化
令和8年熊本地震の被災地への視察および令和8年度「防災の日」、新学期開始に伴う大臣メッセージの公表、令和9年度版学習資料「一家に1枚」のテーマ決定と公表、映画「ルックバック」とのタイアップ、次期学習指導要領審議まとめ案の公表および現代社会における学習指導要領の意義、国際科学オリンピックの結果への受け止め、相次ぐ教員による児童生徒の水筒への不適切行為に対する受け止めおよび児童生徒や保護者のもつ不安への対応、2030年冬季オリンピックにおけるノルディック複合の除外に伴う白馬村の強化施設指定に関する今後の対応、神戸市による全ての市立中学校での部活動の地域移行開始への受け止めおよび今後の課題
令和8年9月1日(火曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和8年9月1日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは4件であります。1件目は、昨日、令和8年熊本地震の被災地であります熊本県を視察してまいりました。視察では、被害の大きかった八代市立龍峯小学校や、その間借り先であります宮地小学校での学校生活の様子、未だ避難所が残る氷川町の氷川中学校、熊本県立宇土中学校・高等学校や平成音楽大学の被害状況を拝見させていただきました。また、八代城跡や松浜軒、熊本城といった文化財の被害状況を確認してきたところであります。訪問先では、施設被害の実態や関係の皆様が復旧・復興に献身的に取り組まれている姿を拝見してまいりました。また、木村知事をはじめ各自治体の首長、教育長や法人の理事長、その他多くの教職員の方々とも意見交換をさせていただいたところであります。被災地が1日でも早く元の姿を取り戻すことができるよう、復旧・復興に向けた決意を新たにいたしました。特に印象に残りましたのは、龍峯小学校と宮地小学校の児童が元気に過ごす様子でありました。八代市におきましては、8月28日に学校再開をし、始業式を迎え、私が見に行った昨日、8月31日は最初の授業の日だったわけであります。また、ちょうど視察中に休み時間がありまして、その時間に児童とも交流をすることができたわけでありますけれども、学校に来られて楽しいかと聞いたら楽しいというふうに元気いっぱいに答えてくれて、私の周りにも子供たちが集まってきていろいろ話をしてくれたりしました。本当に子供たちが元気な姿を見て安堵をしましたし、また、その場にいらっしゃった方からはやはり子供たちがこうやって元気に活動をしている姿を見ると地域もすごく元気になるというような、そういうお話というものもお聞きをしたところであります。そうした環境を整えてくださった先生方、そして関係の皆様の御努力に心から感謝を申し上げたいと思います。また、各訪問先の多くで子供たちの心のケアの重要性についてお話を伺いました。そうしたお声を踏まえまして、文部科学省といたしましてもスクールカウンセラーの追加配置を全額国費で行うなど、しっかりと支援してまいりたいと思います。また、本日は「防災の日」であります。政府として災害対応力の向上を図るため、閣僚等の徒歩参集訓練及び本部運営訓練が行われまして私も参加をしてまいりました。引き続いて開催された閣議では、令和8年熊本地震非常災害復旧復興本部の設置が決定をいたしました。文部科学省としても、今回の地震からの復旧・復興を総合的に支援していく体制を整備するため、新たに復興対策本部を設置することといたしました。文部科学省としても、引き続き復旧・復興支援に全力を尽くしてまいります。なお、先週から北陸地方を中心に大雨が続くなど、今季、各地において豪雨被害が生じておりまして、文部科学省としても被害情報の収集や早急な復旧支援などに努めているところであります。引き続き関係機関における防災対策や防災の研究開発に取り組むとともに、被災地の支援に全力を尽くしてまいります。
続きまして、2件目です。本日から多くの学校では新学期を迎えることとなると思います。この長期休業期間には自然災害による被害も生じている地域もございますが、被害を受けた児童生徒も含めて全ての児童生徒が安全に充実した学校生活を送ることができるよう、文部科学省として全力で取り組んでまいりたいと思います。学校の長期休業明けに児童生徒等の自殺者数が増加する傾向にあることを踏まえて、先日、私から児童生徒や学生などに向けたメッセージを発信するとともに、広報啓発動画や相談窓口の周知を行い、学校や教育委員会において長期休業明け前後の自殺予防の取組を充実していただくよう依頼をしたところであります。また、今月9月10日から16日は「自殺予防週間」となります。この週間に合わせまして、本日、上野大臣、黄川田大臣と連名で若い世代の皆さんへのメッセージを発信いたします。児童生徒や学生の皆様におかれましては、悩みや不安を抱えている場合にはどうか一人で我慢をすることなく御家族、先生など信頼できる身近な人に相談をしたり、SNSやチャットの相談窓口で気持ちを話してみたりしていただきたいと思います。加えて、休業日明けの時期は子供の体が暑さや学校等における様々な活動に慣れていないこともあり、熱中症事故のリスクが高い時期と考えられます。先月18日には文部科学省から各教育委員会等に対しまして熱中症事故の防止のための事務連絡を発出いたしました。各学校におかれては、引き続き熱中症予防に万全を期していただくようお願いをいたします。
3件目です。文部科学省では国民の皆様に科学技術への理解を深めていただくため、毎年、学習資料「一家に1枚」を制作しております。この度、令和9年度版のテーマを「炭素~命と地球のすべてを形作る~」に決定をいたしました。炭素は地球上のあらゆる生命や物質の構成要素として重要な役割を果たしている一方で、温室効果ガスを構成する元素でもあります。令和9年は京都議定書採択から30周年、またGREEN×EXPO 2027の開催年でもあります。国民の皆様に地球環境問題への理解を深めていただくことは非常に有意義である、そのように考えているところでもあります。来年4月の科学技術週間に向けて制作をいたしまして、その後、全国の学校、科学館等への配布を予定しており、学校や御家庭等で親しんでいただくことを期待しております。私も持っておりますけれども、大変面白いので過去のものをホームページにもアップをされておりますので興味のある方はぜひ御覧をいただければと思います。
最後、4件目です。9月11日から映画「ルックバック」が公開されることを受けまして、この度、映画とタイアップを行うことといたしました。本作品では、漫画を描くことを通して出会った主人公たちが互いに心を動かされ、ときにすれ違いながらもひたむきに創作活動を続ける姿が描かれています。タイアップとして作成したポスターは、そのような主人公たちの姿に合わせまして「創作は人を動かす」というキャッチコピーを加えたものであります。文部科学省では、文化芸術教育の充実や文化芸術の体験機会の提供に取り組むとともに、次代を担うクリエイターの挑戦を支援しております。このポスターを全国の小学校や中学校、高等学校等に配布いたしまして、子供たちが作ることの楽しさを知り、自分を表現し、仲間とつながるきっかけとしてほしいと考えております。報道関係者の皆様も積極的に取り上げていただければ幸いであります。長くなりましたけれども、私からの冒頭発言は以上となります。
記者)
昨日、中教審の特別部会で次期学習指導要領の審議まとめ案が示されました。この中には民主社会の創り手、子供は民主社会の創り手ということも明記されています。特に情報教育の拡充というのが大きな柱になると思うのですけれども、特に偽情報とか誤情報とか、そういうものによって選挙が歪められて、ひいては民主主義社会が歪められてしまうという、そういう危機感も背景にあるのかなと思うのですが、こういった危機感を踏まえて今回の審議取りまとめ案の意義をどんなふうにお考えでしょうか。
大臣)
社会全体の多様性が増し、SNSを介した偽情報、誤情報の拡散などによりまして社会の分断の芽が生じている、そうしたことも指摘をされる中、学校教育を通じて民主主義社会を支える基盤を確立することは一層重要となっており、教育課程の基準であります学習指導要領が果たす役割は極めて大きいものがある、そのように考えております。こうした認識のもと、審議まとめ素案におきましても「当事者意識を持って自分の意見を形成し、対話と合意ができる」ことを重視する方向性が示されております。例えば情報活用能力の育成の抜本的向上を図り、その中でメディアリテラシー・情報モラルの育成を強化する、特別活動でクラスメイトと納得解や暫定解を作り上げる合意形成を重視するなど、多岐にわたる方策を示していただいているところであります。今後、パブリック・コメントでありますとか関係団体等の御意見も踏まえつつ、こうした趣旨を実現することができるように学習指導要領の改訂に向けた準備を丁寧に進めていきたい、そのように考えております。
記者)
今年の世界の高校生がサイエンスの知識を競う7教科の国際科学オリンピックには31人の日本代表が出場され、8個の金メダルを含む29個のメダルを獲得しました。御所感をお願いします。
大臣)
文部科学省におきましては、国際科学オリンピックへの日本代表選手の派遣・強化などを支援しているところでありまして、これを通じまして今年度は日本代表選手29名がメダルを獲得したというふうに承知をしているところであります。このうち、国際地学オリンピックにおきましては、日本代表選手が総合成績で世界第1位の記録を残したと聞いているところであります。国際大会における日本代表選手の健闘を大変喜ばしく思っております。出場選手の皆様には、私や小林副大臣、清水政務官から文部科学大臣表彰などを授与するとともに、大会の感想でありますとか将来の目標等について懇談を行ってまいりました。国際大会で優秀な成績を収めた出場選手の皆様の日ごろのたゆまぬ努力に改めて心から敬意を表するとともに、今後の活躍を期待したいと思います。また、私自身も表彰の場というか、表彰状を渡して懇談をさせていただきましたけれども、やはりそうした若い児童生徒の皆さんがこうした大会を通じて、そもそもこうした様々な科学オリンピック、様々な種目について興味を持ってもらうということもすごく大事でありますが、これに限らずやはり児童生徒の皆さんが、自分が夢中になれるものを見つけていく、それはどういう分野でもいいと思いますが、やはりそういうことがとても大切だということも改めて痛感をしたところでもありまして、そうした科学オリンピックに限らず、やはりそうした児童生徒が自らそうした興味を持つ分野というものを見つけ、そして自らがそれに取り組んでいくという、そういう主体的な姿勢を身につけてもらうということもまた大変大事なことだということも大変強く痛感をしたところであります。文部科学省といたしまして、国際科学技術コンテストへの派遣を含めまして引き続き次世代の科学技術人材の育成に向けた幅広い取組を積極的に推進してまいりたいと思いますし、ぜひこうした優秀な成績を収めた子供たち、そうした活躍というものをより多くの皆さんにも知っていただいて、児童生徒がこういうこともあるのだということを知ってもらうということも今後大変大事なことだと思いますので、ぜひメディアの皆さんにもいろいろとお力添えをいただければと思います。
記者)
教員による不祥事が後を絶たないことについてお伺いします。先月、群馬の県立高校で教師が生徒の水筒に異物を投入し懲戒免職となっています。教師の不祥事が後を絶たないことへの受け止めと、何らかの指示や対応があれば教えてください。
大臣)
御指摘の報道につきましては承知をしているところでもありますが、捜査中の案件でもありますので個別の事案に対するコメントは控えさせていただきますが、子供を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してこのような不適切な行為を行ったことは大変遺憾であります。その上で、教師から児童生徒への性暴力は断じて許されない行為であります。教育職員等による児童生徒性暴力等があった場合には懲戒免職にすべきこと、児童生徒等や保護者等に対して相談窓口を広く周知をすることなど、あらゆる機会を捉えて教育委員会に対して指導を行い、児童生徒性暴力等の根絶への取組を進めてまいります。また、直近では9月下旬ごろから配信を予定しております都道府県指定都市教育委員会向けの管理指導事務主管部課長会議というものがあるわけでありますけれども、ここでも注意喚起をしてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、こうしたことが起きないように我々文部科学省といたしましても各自治体、現場と連携をしつつ取組を強化してまいりたい、このように考えております。
記者)
長野県白馬村のナショナルトレーニングセンターの関係でお伺いいたします。2030年の冬季五輪でノルディック複合が実施種目から除外されたことを受けてスキー複合(注)のナショナルトレーニングセンター競技別強化施設に2施設が指定されている地元の白馬村長と長野県知事が先週、拠点施設の継続を求めて文科省を訪ね、大臣自ら要望書を受け取られました。現在の強化指定の指定要綱では、対象施設は五輪競技が前提となっているかと思います。文科省として、この白馬村の2施設を強化施設として引き続きしていくのかどうか、現在、要綱の見直しの可能性なども含め今後のお答えについて御所見をお聞かせください。
(注)「スキー複合」は、正しくは「ノルディック複合」です。
大臣)
今御紹介をいただきましたように、先般、長野県知事並びに白馬村長がお越しになられて私自身、御要望をお受け止めしたところであります。ナショナルトレーニングセンター競技別拠点、強化拠点でありますけれども、オリンピック・パラリンピック競技を対象にいたしまして競技団体が強化活動を行う施設をスポーツ庁が日本オリンピック委員会(JOC)もしくは日本パラリンピック委員会(JPC)と協議の上で指定をするというものであります。本件につきまして、今御紹介をいただきましたように本年7月7日、国際オリンピック委員会(IOC)がフランスアルプス2030冬季オリンピック競技大会の競技種目からノルディック複合競技を除外することを決定したことを受けまして、先日、長野県知事、白馬村長がお見えになり、当該拠点の指定継続の検討、また困難な場合にはノルディック複合競技への支援の充実等を求める要望をいただいたところであります。ノルディック複合競技でありますけれども、我が国が冬季オリンピックを始めとする国際競技大会において長年にわたり優れた成績を収めてきた競技であります。私からもスポーツ庁としての対応を検討するように指示をしたところでもあります。今後、スポーツ庁における検討でありますとか競技団体等の意見も踏まえつつ、文部科学省としても冬季競技をはじめとする我が国の国際競技力の向上に向けて引き続き必要な支援に取り組んでまいりたい、そのように考えているところであります。そういう意味では、今後の対応については今後検討していくということで、大変恐縮でありますけれどもよろしくお願いしたいと思います。
記者)
部活動の地域移行についてお伺いします。神戸市は今日から全ての私立中学校で部活動を廃止して地域移行する、平日を含めて行うという初めての、全国の政令指定都市で初めてとなる取組を始めました。大臣の受け止めと、今後の地域移行のさらなる展開に向けて地域間格差や指導者確保、安全管理といった課題も指摘されていますけれども、文科省としてどう取り組むか方針をお伺いします。
大臣)
神戸市が今月から平日も含めまして全ての私立中学校の部活動、これを地域展開することは承知をしているところであります。神戸市を含めまして様々な課題を乗り越えながら休日・平日一体的に部活動の地域展開に取り組む自治体の事例は、他の自治体が部活動改革に取り組む上で大変参考になるものと考えているところであります。文部科学省におきましては、昨年12月に策定をいたしました部活動改革に関する新たなガイドラインにおきまして、令和8年度からの6年間を「改革実行期間」と位置づけまして、公立中学校等を対象といたしまして休日については当該期間内に原則全ての学校部活動において地域展開の実現を目指すこと、平日については各種課題を解決しつつ、さらなる改革を推進することなどをお示ししているところであります。また、部活動の地域展開に取り組む自治体を総合的に支援するため、令和9年度概算要求において前年度より拡充をいたしまして計155億円を要求しているところでありまして、地域の実情に合った指導者確保の在り方など、実現可能な活動の在り方や課題への対応策の検証を行う実証事業などによりましてさらなる改革を進めたいと考えているところであります。文部科学省としては、引き続き自治体への総合的かつ継続的な支援によって部活動の地域展開等の全国的な実施を推進してまいりたいと思います。私自身もずっと部活動をやってきた、熱中をしてきた人間であります。私はやはりこれまでの日本の教育において部活動が果たしてきた役割というのは非常に大きいと思います。これだけ児童生徒がすぐ自分たちの間近なところ、身近なところで運動であったり文化であったり、こうした部活動という形の活動に参加をして行くことができる環境というのは、私は大変素晴らしいものがあると思っております。ただ一方で、今、人口減少に伴う児童生徒数の減少があったりしてなかなか学校ではチーム競技などにおいてはチームを編成することができないというような問題があったりとか、また教師の皆さんの負担というものを考えたりとか、いろいろなものを考えたりとかしたときに今この社会の変わり目にあって部活動というものを我々としてはどういう形で、部活動という形から少し形を変えるかもしれないけれども、子供たちがそうした運動であったり、また文化活動であったり、今まで同様に身近にしっかりと触れ合う機会をつくることができるのかということが極めて重要なことだと思っていまして、そのために今我々が進めようとしているのが部活動の地域展開ということだと思っております。ぜひそういう我々自身の思いというものも御理解をいただきつつ、やはりこれを実現していくためには学校現場だけではなくて行政並びに地域の御理解、御協力というものが必要不可欠だと思っております。ぜひそうしたことも御理解をいただきながら、我々としても予算を計上し、またそうした優良先行事例をしっかりと横展開をし、またいろいろと悩みを持っていらっしゃるそうした方たち、そうした人たちの御相談にもしっかりと乗りながら伴走をしてそうした取組というものを進めていきたいと思います。以上です。
(了)
大臣官房総務課広報室