令和8年7月28日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化
経団連および日商への訪問と奨学金代理返還制度の活用や企業での運動・スポーツ実施の促進、「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録に対する受け止め、辺野古沖での転覆事故の遺族による学校・団体への刑事告訴に対する見解、全てがデジタルの教科書の導入基準に関する見解およびデジタル教科書に関する大臣の所見、科研費「基盤研究」に関する今後の支援強化の方針、東野圭吾氏の逝去に対する受け止め
令和8年7月28日(火曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和8年7月28日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは1件となります。先週21日に日本経済団体連合会の筒井会長と、そして24日には日本商工会議所の小林会頭と面会をいたしました。用件は、「企業等における奨学金の代理返還制度」や「企業における運動・スポーツ実施」の促進について意見交換を行ったところであります。「企業等によります奨学金の代理返還制度」は、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を借りていた社員に対しまして、企業が返還額の一部または全額を代わりにJASSOへ直接送金をする制度となっております。返還支援を受ける社員だけではなくて、企業にとっても返還支援に充てる経費を損金算入できるなど、税制上の優遇措置でありますとか、人材定着といったメリットがございます。本制度の利用企業数は毎年着実に増加をしているところでありますが、文部科学省として奨学金の返還負担のさらなる軽減を図るため、令和9年度末までに1万社への利用企業数の増加を目指してまいりたいと考えております。このため、会員として1,580社の大企業を有する経団連、約124万もの事業者を有する日商に対しまして、本制度の普及についてお願いをしてきたところであります。両団体からは、本制度は非常に意義があり、利用企業数のさらなる拡大に向けまして制度の周知をはじめ、連携しながら取り組みたいとの前向きな回答をいただいているところであります。文部科学省といたしましても、もちろん奨学金の返還負担の軽減に向けた不断の見直しを我々としても進めてまいりますが、今回、日本を代表する経済団体から前向きな回答をいただいたことは学生や若者に対する力強いメッセージになるのではないかと考えております。ぜひ報道の皆様方におかれましても、奨学金の代理返還制度の発信に御協力をいただきまして、広く多くの企業にこの制度を理解してもらった上で御活用をいただき、そして奨学金の返済に対する若者の負担軽減に御協力をいただけますと幸いでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。また、「企業における運動・スポーツの実施」の促進につきましても、従業員の健康増進や生産性向上などの企業における取組の意義・効果と、文部科学省の支援策を説明いたしまして賛同をしていただいたところであります。今後とも経済団体と連携しながら、企業における代理返還制度の普及や運動・スポーツの実施促進を図ってまいります。私からは以上となります。
記者)
世界遺産について伺います。ユネスコ世界遺産委員会で「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録が決定しました。登録の意義をどう考えるかという点と、今後の保全活用にどう取り組むか、お考えをお願いいたします。もう1点ですけれども、国内の次の世界遺産候補を巡っては「彦根城」の地元が推薦書案を再提出しています。推薦の前提となる暫定リスト入りを目指す動きも各地にございますが、今後の推薦候補の検討や暫定リスト拡充をどのように進めるか、併せてお考えをお願いいたします。
大臣)
26日、韓国で開催中の世界遺産委員会におきまして、我が国から世界遺産に推薦をしておりました「飛鳥・藤原の宮都」を世界遺産一覧表に記載することが決議されたことを大変嬉しく思っております。また、これにあたりまして関係自治体をはじめ、本当に多くの皆様方に御努力をいただきました。心から敬意を表したい、そのように考えているところであります。世界遺産への登録は、我が国の文化遺産の保護・継承を一層促進するものだけでなくて、国内外における認知の向上でありますとか、地域活性化にもつながるといった意義があるものと認識をしているところであります。文部科学省といたしましては、今後とも関係自治体及び関係省庁と連携をしながらこの貴重な遺産の保護に万全を期すとともに、世界遺産としての価値の発信や受入環境の整備などにしっかりと取り組んでまいります。なお、今後の推薦候補の検討及び暫定リスト拡充の進め方に関する御質問がありましたけれども、これにつきましては今、文化審議会において審議されているところでありますので、今後の審議を見守ってまいりたい、そのように考えております。
記者)
2点伺いたいのですけれども、1点目が今朝報道でありましたけれども、同志社国際高校の事故を巡って海上保安庁が高校を家宅捜索したという報道がありました。また、遺族が高校も含めて刑事告訴をしたということもございました。これについて、まず大臣の所感を伺えますか。
大臣)
今御指摘の報道につきましては承知をしているところでありますけれども、こちら海上保安庁において捜査中ということでありますので、これに関してのコメントというものは控えさせていただきたいと思います。
記者)
2点目が、国会が終わりましたけれども、本国会の一つの文科省にとって目玉がデジタル教科書だったと思います。デジタル教科書は正式な教科書として導入されるということになりましたけれども、大臣御自身の感想というか、感覚でお伺いしたいのですけれども、御自身が例えば小学生とか中学生だったときにああいうデジタル教科書があったら使ってみたいなとか、実際御自身が子供だったらどんなふうな感想をお持ちになるかというのと、あとデジタル教科書を巡っては発達段階に応じた導入というところが欠かせないと有識者が指摘をされるところではありますけれども、大臣は国会答弁の中で小学校4年生までは紙の教科書ということを答弁されましたけれども、この線引きというか、4年生の妥当性みたいなところはどのようにお考えでしょうか。
大臣)
まず、今国会は4本の法案というものを国会でお認めをいただきまして成立をすることができました。いずれも目玉となるような大事な法律案だったと思いますので、そのことを申し上げた上でちょっと順番は入れ替えながらお答えをさせていただきたいと思います。まず、今回の制度改正によります教科書のデジタル活用のメリットといたしまして、英語のネイティブ音声でありますとか、理科の実験動画などを掲載することで児童生徒にとってより分かりやすく学びやすい教科書となることなどが考えられているところであります。一方で、国会審議における御指摘もありました教師の指導力向上や健康への影響などは課題であると認識をしているところでありまして、今後の実証研究などを通じてその対応に取り組んでまいります。また、全てがデジタルの教科書の扱いについてでありますけれども、今後、秋ごろまでに策定予定の大臣指針の中でお示しをする考えでありますが、中教審でありますとか、これまでの有識者会議におきまして「小学校低学年や中学年では慎重に考えるべき」という意見が多く出されていることでありますとか、現行の教科書代替のデジタル教科書を大規模に提供してきたのは小学校5年生以上であることを踏まえまして、その時点の考えとして小学校4年生以下で認めることは適当ではないとお答えをしたものであります。引き続き有識者の方々の御意見も踏まえつつ、デジタルな形態を含む新たな教科書の円滑な導入に向けて取り組んでまいりたいと思います。私自身の個人がもし自分が今小学生だったらという、仮のお答えはなかなかちょっと想像がしづらい部分がありますので何とも言えないところでありますけれども、当然、デジタルにしても紙にしてもそれぞれの良さというものはあるのだろうということは私自身強く感じる部分がございます。実際、今私も読書をするにあたっては紙のほうが読みやすいなと思う一方で、でも自分自身も今読書をするときに結構デジタル版の本を購入してそれで読んだりしているような、そういうケースもあったりします。そういう意味では、それぞれの良さというものがあるということもそうだと思いますし、またとりわけ私自身が実際デジタル教科書を使って勉強をしている、そういう現場などにお伺いをさせていただきました。先ほどもちょっと例で出しましたけれども、やはり例えば英語の授業なんかは、我々の時代には「This is a pen」から始まって、「Repeat after me」から、先生の後について発音をしてなんていうようなことがありましたけれども、やはりデジタル教科書を使うことによってネイティブの音声を個別に自分たちのスピードに合わせて聞けたりとかというようなことというのは、私は非常に効果があるであろうし、自分の時代にもそういう勉強方法があればより理解が深まっただろうなということを感じる場面もありました。そういう意味では、そうしたデジタルによって新たな学びが開かれているという現場も拝見をしましたし、これを活用するということは私は子供たちにとってもプラスの面というものもあるのではないかというふうに大変強く感じたところであります。いずれにいたしましても、これから様々な議論を経て指針を決めていくということにあるわけでありますけれども、紙には紙の良さがあると思います。デジタルにはデジタルの良さがあると思います。一方で、デジタルによって失われてはいけないやはり教育の大切なもの、読み書きであったりとか、やはり紙にものを書く、をはじめとした、そうした様々な事柄というのはやはり我々は、これも国会答弁でも申し上げましたけれども、これからの時代はより意識的にしっかりと学校教育制度の中で教えていくということも、逆にこのデジタルを取り入れることによってやっていかなければならない課題だというふうに思っているところでもありまして、そうした点も含めながら我々として本当に最適な教育というものを子供たちに提供をしていく、そして教育の質を高めていく、そうした考え方で今後取り組むことが重要だと思っております。
記者)
科研費についてお伺いしたいのですけれども、いろいろな政策文書の中で若手の研究や独創的な研究などへの支援の強化というふうに盛り込まれているのですけれども、学術研究を推進するためには科研費の中核となっている基盤研究種目への強化が必要だろうと思うのです。来年度概算要求も含めて、科研費の基盤研究を今後どのように増やしていくのか、大臣のお考えを教えてください。
大臣)
科研費における「基盤研究」は、他の種目と比較をいたしましても応募、そして採択件数が多くなっているところでもあります。研究者の自由な発想に基づく学術研究を幅広く支える観点から重要な役割を果たしているというふうに考えているところであります。科学技術・学術審議会におきましても、「基盤研究」の充実に向けた検討を進めていただいておりますが、その役割や機能につきましては多様な学問分野の発展、中長期的な視点に立った研究の推進、研究者のキャリアアップへの貢献、挑戦的・国際的な研究への展開などの観点から議論をいただいているところであります。令和8年度予算におきましても、「基盤研究」に関しまして国際性の高い研究を対象に拡充をしているところであります。科学技術・学術審議会での議論も踏まえつつ、第7期科学技術・イノベーション基本計画などに基づきまして、科研費を大幅に拡充することなどによりまして多様な学術研究を支援をし、我が国の知の基盤の強化に貢献をしてまいりたい、そのように考えております。実際、様々な文書にそうした文言というものが掲載、記載をされているところでありますけれども、我々といたしましてはこれらに基づきまして令和9年度、来年度予算に向けてしっかりと必要な額を確保することができるように今後全力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
記者)
先ほど本の話、読書の話が出たのですが、昨日、東野圭吾さんが亡くなりました。文学界や文学において非常に影響を与えた方だと思うのですけれども、大臣の受け止めなどをお願いできますでしょうか。
大臣)
まずは、東野圭吾さんが今月23日に亡くなられたということで、報道で承知をしているところであります。改めて心から哀悼の意を表したいと存じます。東野さん、デビュー作が「放課後」ということで、江戸川乱歩賞を受賞されたほか、直木賞を受賞されました「容疑者Xの献身」でありますとか、国内外で映像化されました「白夜行」など、ミステリーを中心に100作を超える小説を発表されました。多くのベストセラー小説を生み出され、2023年には紫綬褒章を受章されたところでもあります。我が国のミステリー界を牽引され、海外でも人気を博す優れた作品を生み出された東野さんが今回、御逝去されたということであります。改めて心からの哀悼を表するとともに、文学界、そして国民に対して素晴らしい作品を御提供いただいたことに心から敬意を表したいと思います。私自身も本のほうは実は読んだことはないのですけれども、映画化されたものはいくつも拝見させていただいておりました。本当に素晴らしい作品で楽しませていただきました。本当にありがとうございましたと申し上げたいと思います。
(了)
大臣官房総務課広報室