松本洋平文部科学大臣記者会見録(令和8年6月12日)

令和8年6月12日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

「学校教育法の一部を改正する法律」の成立およびデジタル教科書に関する諸課題への対応方針、サッカーワールドカップの開幕に伴う違法賭博への注意喚起と日本代表への期待、「高等専門学校機能強化パッケージ(仮称)」の方向性の策定と高等専門学校振興の意義、クマの出没に伴う休校措置の解除判断に関する基準の提示および自治体における取組事例の収集・横展開の意向、H3ロケット打上げへの期待と宇宙分野における民間企業の活躍への期待、政治的中立性違反認定をめぐる被爆者団体の抗議声明に対する受け止め

松本洋平文部科学大臣記者会見映像版

令和8年6月12日(金曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和8年6月12日松本洋平文部科学大臣記者会見

令和8年6月12日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

松本洋平文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは3件となります。今国会に提出をしておりました「学校教育法等の一部を改正する法律案」でありますが、10日水曜日の参議院本会議におきまして可決され成立をいたしました。国会審議でも申し上げておりますが、今回の制度改正はデジタル化を目的とするものではなくて、これまで紙だけで認められてきた教科書にデジタルを取り入れて作成することを可能とすることによりまして、教科書の内容を子供たちにとってより分かりやすく、学びやすくすることが目的であります。文部科学省としては、国会審議などを通じていただいた御指摘も踏まえつつ、デジタルな形態を含む新たな教科書の発行、採択、使用などが円滑に行われるよう、今後、大臣指針や検定基準の策定などを行ってまいります。
 続いて、2件目となります。本日早朝より北中米3カ国を舞台に4年に一度のサッカーワールドカップが開幕をいたしました。日本代表の選手には、これまでの努力の成果を存分に発揮していただくことを期待しておりますし、私も一生懸命応援をさせていただきたいと思います。一方、異例ではありますが、スポーツに注目が集まるこの機会に1点、注意喚起をさせていただきたいと思います。昨今、諸外国におきましてはいわゆるスポーツベッティング市場が急速に拡大をしておりまして、本大会におきましても市場が盛り上がるものと予想されますが、我が国ではオンライン上で海外のベッティングサイト等を利用することも刑法で禁止される賭博行為に該当するところでもあります。国民の皆様には、こうした違法な賭博には決して関わらないように改めてお願いを申し上げます。なお、我が国におきましては法律に基づく適正なスポーツ振興くじがございます。本大会の各国の試合結果も対象とされているところでありますので御活用をいただきたいと思います。
 3件目であります。高等専門学校は、子供たちの関心を5年間にわたって一貫して伸ばし、高度な技術者や専門人材を養成する高等教育機関として産業界など社会からの期待は大変大きく高まっているところでもあります。昨日も自民党文部科学部会より、高専の機能強化に関しまして大変意欲的な決議文を、受け取りをいたしました。このような状況も踏まえまして、高専の機能強化策を取りまとめるべく具体的な検討を開始することとし、まずはその端緒といたしまして政策パッケージの方向性を提示させていただくことにいたしました。具体的には、「量的拡大」として公私立高専の新設に向けた支援や工学以外の領域拡大について検討を行うこと、「質的向上」といたしまして物価等に連動した運営費交付金の拡充や教員確保に向けた取組を進めること、「国際通用性確保」といたしまして高専本科卒業生への「学位」授与について検討を行うことなど、複数の観点から高専の高度化に向けた取組を総合的に検討・実施していきたいと考えております。このため、今月中に有識者会議を設置いたしまして速やかに議論を開始し、高専生が社会で一層活躍できるよう、高専の機能強化に向けた具体的方策について議論を深めていただきたいと思っております。文部科学省といたしましても、全力で取り組んでまいります。私からは以上となります。
 
記者)
 大臣、冒頭にも御発言ありましたが、デジタル教科書を正式な教科書とする学校教育法改正案などの関連法案が10日に成立しました。これに伴い、教科書は紙、紙とデジタルのハイブリッド、完全デジタルの3形態となりますが、子供の思考力や集中力、書く力や視力の低下、ネット依存を懸念する声もあります。紙とデジタルのベストミックスのあり方の議論が不十分との指摘もありますが、文科省としてこの問題に今後どう取り組んでいかれるのかお教えください。
 
大臣)
 まず、思考力・集中力に関してでありますが、紙媒体とデジタル媒体で学習効果等を比較する先行研究もあるところでありますが、被験者の年齢でありますとかデジタル媒体への慣れなどの条件によって紙優位の結果が出ているものもあればデジタル優位の結果が出ているものもありまして、一概に申し上げることは難しいと考えているところであります。また、今後策定をいたします大臣指針におきまして、これは私も国会でも何度も答弁をさせていただきましたが、書く活動を学習活動の中で確保することの重要性でありますとか、医学的な知見も取り入れた健康上の留意点を明記するほか、情報モラル教育の充実にも取り組んでまいります。法案成立を受けまして、今後、有識者会議におきまして学年教科別に紙・デジタルそれぞれの活用が期待される学習場面につきまして、各学校種の代表者等からヒアリングを行うなど、検討の具体化を進めてまいります。そして、これによって真に子供たちの教育の質が高まったということを皆さんに実感をしていただくことができるように我々としても検討、取組を進めてまいりたい、そのように考えております。
 
記者)
 冒頭の御発言にありました高専について伺います。有識者会議を今月中に設置するということなのですけれども、取りまとめなど、今後のスケジュール感を教えてください。あと、改めて高専新興に関してその意義をどのように大臣はお考えになっているか、教えてください。
 
大臣)
 高等専門学校は、そもそも我が国の経済発展、科学技術の進歩による技術者不足に対応するために中堅技術者を養成する学校といたしまして設立をされ、そして今日に至っているところでもあります。社会や産業構造の急速な変化でありますとか少子化の進展を背景といたしまして、子供たちの関心を5年間にわたって一貫して伸ばし、高度な技術者や専門人材を養成する高専の期待はますます高まっているところであります。以前も御紹介をさせていただきましたが、先般、熊本高専にお伺いをいたしまして直接その現場を拝見し、またお話を聞かせていただいたところでありますけれども、2025年卒の学生さんたちのデータを聞いてみますと、本科卒業生で有効求人倍率が48倍、専門科卒業(注)の子供たちに至っては163倍というような、そうした求人倍率でありまして、そういう意味では社会からもやはり高専で学んだ生徒たちにぜひ自分たちの会社で働いてもらいたいという、そういう期待も非常に大きいということをこの数字は表しているのではないかと思っているところであります。そのため、文部科学省といたしましては量的な拡大、質的向上、国際通用性の確保の観点から高専の高度化を図る必要があるというふうに認識をしているところであります。このため、今月中に有識者会議を設置して速やかに議論を開始するわけでありますが、今後のスケジュールに関しましては年内を目途といたしまして政策パッケージについて一定の取りまとめを行いたい、そのように考えているところであります。
(注)「専門科卒業」は、正しくは「専攻科修了」です。
 
記者)
 クマの件について質問させてください。宇都宮市をはじめ、学校が臨時休校になるケースも出ております。こうしたクマの出没した際の休校ですとか学校再開の判断基準を国として示す考えはあるのかということと、あと福島市では昨年のクマの出没を受けて学校の対応ルールを決めて実際に運用しているそうです。今、全国各地で出ておりますが、こうした自治体の取組を文科省で集約して共有する必要性などについてどのようにお考えでしょうか。
 
大臣)
クマの出没によりまして、今、御紹介をいただいたように休校措置という対応をとられている自治体があることについては報道などによって承知をしているところであります。また、オンライン授業へ切り替えて授業を行っている、そういう自治体もあるというふうに承知をしているところであります。休校の判断につきましては、学校教育法施行規則によって校長が判断することとなっておりますが、各地域のクマの出没情報などによりまして行政や地域とも連携の上、適切に御判断をいただく必要があると考えております。その上で、文部科学省といたしましては児童生徒などの安全を最優先に、危険と判断した場合には躊躇なく休校等の措置をとっていただくとともに、オンライン授業の切り替えなどの措置も合わせて検討をいただきたいと考えております。また、御指摘をいただきました福島市のクマ出没時の対応マニュアルについても承知をしているところであります。一般的にクマ出没が想定をされる地域におきましては、学校の危機管理マニュアルにおきましてクマの出没に対する対応も記載されていることが多く、また、児童生徒に対しクマが出没した場合の指導や訓練なども行われていると承知をしているところであります。こうした好事例につきましては、昨年10月、文部科学省より周知をしているところであります。さらに、先月末には児童生徒などへの注意喚起といたしまして、環境省と協力をいたしましてクマ対策についての動画を政府広報として作成をいたしまして周知をしているところであります。引き続き、文部科学省としても先進自治体の危機管理マニュアルでありますとか、児童への指導などの取組事例も踏まえまして、注意喚起を行いながら児童生徒などの安全確保にしっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えております。
 
記者)
 間もなく予定されておりますH3ロケットの打上げについてお伺いします。昨年12月にはH3の前号機の打上げ失敗がありまして、今年3月には民間ロケットであるカイロスの失敗もあり、今、国内の基幹ロケットが、不在が続いている状況にあります。今回、非常に短い期間での打上げ再開となりましたが、打上げへの期待、意義をお願いしたいのと、合わせてなのですが、打上げの成功云々とはまた別に、まだ商業打上げの今後の参入、打上げの頻度化という課題は依然として残っていると思います。今後どう取り組んでいくべきなのかのお考えもお願いいたします。
 
大臣)
 本日9時53分にH3ロケット6号機・30形態試験機の打上げが予定をされているところであります。今回の6号機は、昨年12月の8号機失敗以降初となる打上げであると同時に、液体燃料エンジン3基のみで飛行する新しいタイプのロケットの試験機となっております。国民の皆様からも大きな御期待をいただいているところでもあります。文部科学省としても、またJAXAとともに万全の準備に努めてきたところであります。今回の打上げを無事に成功させ、今後とも打上げ実績を着実に積み重ねることで国内外の信頼を回復し、我が国の宇宙開発利用のさらなる発展につなげていきたい、そのように思っているところであります。まずは、今回の打上げをとにかく成功をさせてほしい、そのことを願うばかりでありますけれども、当然、今回の打上げを成功させ、そして今後のロケットの打上げ、そして民間のそうした事業者の皆さんにも参入、御協力をいただく、こうした取組というものを我々としてはぜひ加速度的に進めていきたい、そのように考えているところでもありまして、そうした取組も進めていきたいと考えておりますけれども、まずは本日の打上げをしっかりと見守りたい、そのように思っております。
 
記者)
 同志社国際高校の件についてお伺いします。長崎の被爆者団体が文科省の判断に抗議する声明を出し、前回の会見時は詳細を把握していないというところでしたけれども、その後、大臣のもとにも届いているかと思われます。声明を受け取りどのように読まれたのか、受け止めと指摘された事項にどう対応していくのか、お伺いしたいです。
 
大臣)
 お尋ねの声明につきましては、私自身拝見をいたしまして、目を通して確認をさせていただいたところであります。その上で、先日も申し上げたとおり、平和に関する学習につきましては学習指導要領等において沖縄戦や広島・長崎への原子爆弾の投下を始め、空前の戦禍を被ったことに着目をさせ、平和で民主的な国際社会の実現に努めることの重要性を自覚させるようにすることとしているところでもありまして、極めて重要な教育活動であると考えているところであります。このため、厚生労働省と連携をいたしまして「平和の語り部事業」を推進するとともに、令和7年7月に戦後80年や日本被団協のノーベル平和賞受賞を契機とした学習指導案を作成いたしまして活用を呼び掛けているところであります。なお、今回の同志社国際高校の事案は政治的活動を行う抗議船として日常に使用される船に、生徒を乗船させるなどという極めて異例の事案への対応として見解を示したものであり、平和に関する学習を否定するものではありません。いずれにいたしましても、文部科学省としては平和に関する学習を積極的に推進し、この度の事案への対応についても誤解なきように丁寧な説明を行ってまいりたい、そのように考えているところであります。
 
記者)
 最後のところを少し確認したいのですけれども、丁寧に説明を行うというところで、何か現時点で説明をどこかで、説明会とかをやっているとか、またはこれまで、これから行う予定があるかといったことはありますか。
 
大臣)
 現時点において何かを予定をしているということではありませんけれども、当然これからも現場の教育関係者の皆さんと意見交換等々をする機会というものはあります。そうした場合において必要であればそうしたことについて説明をするということも我々として考えてまいりたいとは思っております。ただ、一方で私どもが国会でもそうですし、この記者会見でもそうですけれども、申し上げていること、そしてそれらがメディアの皆さんによって報道されたりしているわけでありますけれども、そうしたことを見ていただければ全くこの平和学習等々に萎縮をする必要はないということは分かっていただけると私自身は思っているところでもあります。そうしたことも踏まえつつ、必要とあればそうした学校現場の皆さんに我々としてさまざまな機会を通じて説明をしていくということは今後考えてまいりたいと思います。
 
記者)
 冒頭でワールドカップについて少し期待を示されていましたけれども、具体的にどういう選手がとか、何を期待するかみたいなところがもしあればお願いします。
 
大臣)
 具体的な選手名とかはちょっと控えさせていただきたいと思いますけれども、やはり今回、これまでのいわゆるテストマッチと言いますか、練習試合と言いますか、事前の強化試合等でも日本チームが大変素晴らしい成績を挙げてきたというようなことも相まって、今回のワールドカップで今までにないような強いチームを組んで挑戦をしているのではないかというようなこともいろいろと報道されているところでもあります。そういう意味では、ぜひ我々に大きな希望を与えてくれるような、そんな成果が上がればということは大変強く思っているところではありますが、ただそのためにも大切なことはやはり選手の皆さんが日頃の練習の成果というものをしっかりと発揮をしていただくということ、あと、ぜひ日本らしい戦い方、そしてチームワークを基にして、チームとして一体となった戦いの中でぜひ素晴らしいパフォーマンスを示してもらいたいというようなことを大変強く思っているところであります、結果云々ではなくて、ぜひ日本代表の選手たちにはとにかく悔いの残らないような、そういう試合をしていただきたいと思っておりますし、ぜひそうした懸命な姿というものをぜひ見られることを期待したいと思っております。初戦は来週月曜日の朝5時からだと承知をしておりますけれども、私も朝早起きをしてぜひ応援をテレビの前からしたいと思います。テレビで見られてよかったと思っております。
 
(了)

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