令和8年5月26日(火曜日)
教育
同志社国際高校の教育活動を「政治的中立性」違反としたことに対する否定的意見の受け止め、国が「政治的中立性」を判断することに対する見解、「政治的中立性」を判断する過程における学校法人同志社側の材料提示の不足と設置者の責任に基づく判断、多面的でセンシティブな社会問題を取り扱う学習が委縮する懸念についての見解と学習指導要領に基づく平和教育の推進、姫路獨協大学の譲渡交渉に係る獨協学園理事の現金受領や会食接待に関する把握状況、日本語指導を必要とする児童生徒数が過去最多を更新したことへの所感と課題認識および今後の対応、工業高校の志願倍率低迷に関する日経新聞調査の受け止めと対策、巨人・阿部慎之助監督の逮捕に関するコメント
令和8年5月26日(火曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和8年5月26日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
記者)
1点お伺いします。辺野古の事故の関係なのですけれども、先週公表された是正指導の内容について、一部の野党ですとか沖縄県知事、あるいは平和学習に関係する方々から、今後の学習への影響を懸念する声などが上がっています。そういった意見についてお考えをお聞かせください。また、過去には文科省所管ではないものの、大阪府内の私立幼稚園で教育勅語を暗唱させたり、当時の首相、頑張れと園児らに言わせたいという教育が行われていたことが話題になったこともありますけれども、これについては教育基本法違反だと思われるでしょうか。見解をお願いします。
大臣)
まず、今回の同志社国際高校への指導につきましては、生徒が亡くなるという重大な事案であったこと、学校法人同志社の所轄庁が国でありまして、設置者としての管理運営のあり方と安全管理、教育活動等のあり方を一体的に確認する必要があったことを踏まえまして、高校の所轄庁であります京都とも認識を共有しながら行ったものであります。教育基本法第14条第2項に反するものであったと示したことにつきましては、抗議船による見学のプログラムを組み実施していたこと、研修旅行初日の開会礼拝のメッセージにおいて牧師から複数年にわたって法令に反するものを含め抗議活動に関する説明が行われていたこと、研修旅行のしおりにヘリ基地反対協議会による座り込みをお願いする文章を掲載していたこと、これらと並行して生徒の考えが深まるような様々な見解を十分に提示していなかったことなどを総合的に勘案した慎重な判断の結果であります。一方、大阪のことをおっしゃられましたけれども、本事案におきましては所轄庁であります大阪府の指導により適正化がなされたものということで承知をしているところであります。私からは以上です。
記者)
同志社国際高校の関連も含めてちょっと2点お伺いします。今回の調査報告に関連してなのですけれども、今回、辺野古への施設移設に関する研修旅行とその教育内容に関して、教育基本法14条2項(注)違反という判断を文科省としてしたということになっていますけれども、ここでテーマになっている基地移設自体について国は当事者という立場かと思います。国が当事者である事柄をめぐる教育内容の中立性について、国の一機関である文科省が判断し得るのか、それこそ中立的に判断し得るのかという問題も含まれているかと思いますけれども、この点についてどのように考えるかというのを教えてください。もう1点、別件なのですけれども、兵庫県の姫路獨協大学に関連して、大学の譲渡の交渉に際して大学を運営する獨協学園の理事が現金を受け取ったり、会食接待を受けたりしていた事案が明らかになりました。文科省としてこの事案についてどの程度把握しているか教えてください。また、事案の発覚を受けて文科省として何か対応することはお考えでしょうか。合わせて、私立大の譲渡交渉の中でこうしたコンプライアンス違反が起きていたことへの見解も含めてお答えください。
大臣)
まず最初のご質問でありますけれども、多様な見方や考え方のできる事柄を取り上げる場合には、特定の見方でありますとか考え方に偏った取り扱いによりまして生徒の主体的な考えや判断を妨げないよう、政治的中立性を確保した上で教育を行うことが重要であると考えております。今回の事案につきましては、現地調査等を通じまして研修旅行の状況を詳細に確認していく中で、現時点で我々が把握をした範囲ではこれらの通知などで示してきた政治的中立性が確保できていなかったことが明らかとなったことから、教育基本法を所管する文部科学省として所轄庁であります京都府と認識を共有しながら慎重に事実を積み上げて見解をまとめたものであり、問題のあるものではない、そのように考えているところであります。なお、ここで申し上げております政治的中立性を確保するということの趣旨でありますけれども、多様な見方や考え方のできる事柄を取り上げる場合には、特定の見方や考え方に偏った取り扱いで生徒の主体的な考えや判断を妨げないようにするというものでありまして、政府の立場のみを中立とするというようなものではないということは付言をさせていただきたいと存じます。後段の御質問でありますけれども、御指摘の件につきましては、学校法人獨協学園から第三者による調査委員会を設置したとの報告があったところでありますが、詳細につきましては法人に確認をしているところであります。公教育の担い手として高い公共性を有する学校法人につきましては、法令遵守はもとより健全なガバナンスが求められていることは当然であります。このような事態が生じていることは遺憾に存じております。遺憾であります。本事案につきまして、今後、適切な調査によりまして事実関係が十分に明らかにされることが必要であります。文部科学省としても、必要に応じて指導助言を行うなど、適切に対応をしてまいります。
(注)「教育基本法14条2項」は、正しくは「教育基本法第14条第2項」です。
記者)
先ほど幹事社さんの質問で安倍政権時代に籠池理事長がやっていた森友学園の建設、小学校の建設を巡って、幼稚園で教育勅語を斉唱させるなどの行為がありました。当時、野党が、これが政治的中立に当たらないのかということで、安倍さんは非常に問題だと思うということですが、文科省の調査ということでその後、教育基本法違反ということにはなりませんでした。先ほど、森友学園のような問題も政治的中立性という意味では様々な批判がありましたが、当時は、文科省は踏み込まなかった。今回のことも、先ほどから当日の牧師から抗議活動やヘリの座り込みの文書などが入っていたなどありますが、同志社国際が年間を含めてどのような形で政府の立場、県の立場を説明していたか、長期間にわたるロングスパンでの検討というのが必要だと思うので、この当日のこと、短期間のことを持ってのみ政治的中立性に問題があると見込むのはやはりまさに16条にある教育は不当な支配に服することなくということに対しても整合性が取れないのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
大臣)
まず、先ほども幹事社さんの質問にお答えをさせていただきましたけれども、学校法人同社の所轄庁は国であります。設置者としての管理運営のあり方と安全管理、教育活動等のあり方を一体的に確認する必要があったということであります。一方で、大阪の事例に関しましては、所轄庁は大阪府でありまして、そちらによって適正な形で対応がされたというふうに承知をしているところでありまして、文科省としてこの大阪府、所轄庁であります大阪府の指導についての見解をお示しすることは差し控えさせていただきたいと考えております。あと、今回、学校法人同志社に対しまして様々な聞き取り等を行って、京都府とともに確認を行っていく中で、事務方からは多様な意見を扱った証拠を出してくれというふうに学校側に何度も尋ねております。学校からは沖縄県のホームページしか出てこなかったということであります。そして、学校もそうした対応が不十分であったことを認め、厳粛かつ真摯に受け止めて対応する、そのように述べているというふうに我々としては承知をしているところであります。
記者)
2026年度の公立高校の入試状況について日建新聞でアンケートを行いまして、39都道府県で工業科の志願倍率が1倍を切ったとの調査結果が出ました。5年前と比べても急増しています。文科省では、人材育成システム改革ビジョンなどを通じて工業高校など専門高校の機能強化を図っていると思います。その一方で、足元でこういう工業離れのような傾向が出てしまっていることへの受け止めと今後の対応について教えてください。
大臣)
文部科学省として、各都道府県の志願倍率について網羅的には把握をしておりませんが、御指摘の調査については報道を通じて承知をしているところであります。工業高校は我が国の優れた技術を生かしたものづくり産業を担う人材を育成するとともに、地域社会や経済を支える重要な役割を果たしていただいております。その特色化・魅力化を加速していく必要がある、そのように認識をしているところであります。このため、文部科学省では昨年度、補正予算におきまして「高校教育改革促進基金」を創設いたしまして、例えば工業高校における企業と連携した実社会の課題解決、市場ニーズ等を分析した製品化や販売、次世代に必要とされるAIやロボティックスの学習など、都道府県における先導的な学びのあり方を構築するパイロットケースの創出に取り組むこととしているところであります。また、工業高校などの専門高校の魅力を広く社会に発信するため、昨年度から専用のインスタグラムでありますとか実習動画などを集めたホームページを新たに開設いたしまして、積極的な情報発信に努めているところであります。文部科学省としては、工業高校などの専門学校(注)がこれまで以上に社会から評価をされ選ばれる存在となるように、各都道府県の取組に伴走をして、財政面も含めしっかりと支援をしていくことができるように取り組んでまいりたい、そのように考えております。
(注)「専門学校」は、正しくは「専門高校」です。
記者)
外国人の児童生徒の教育に関してお伺いします。公立小中高校などで日本語指導を必要とする児童生徒の数が過去最多を更新したという調査結果が昨日公表されました。まず大臣の受け止めについて教えてください。あと、学校現場からは対応がなかなか追いつかないといったような声も聞かれています。大臣はこの現状の課題についてどのように捉えているでしょうか。また、今後の対応策についてお伺いします。
大臣)
今回の調査結果によりますと、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒等の数は約8万5千人ということでございまして、前回から約1万5千人増加をいたしました。また、当該児童生徒が在籍している学校数でありますけれども、前回調査から約1,500校増えまして全体で約1万3千校となったところであります。いわゆる集住と散在(注)、また多言語化、こうしたものが同時に進行しておりまして、日本語指導が必要な児童生徒が急激に増加をしております中、文部科学省として日本人・外国人双方の児童生徒の教育の質を保障しつつ、学校現場の負担軽減を図ることが急務である、そのように受け止めているところであります。本年1月に取りまとめた政府の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」におきましても、日本語教育の充実の方向性が示されているところであります。こうした状況も踏まえまして、現在、文部科学省の有識者会議で議論をしていただいておりますが、プレクラスなどの日本語教育の初期指導、これを強化すること、どの地域でも一定水準の指導が行えるよう、国が主導をいたしまして生成AIでありますとかオンラインの効果的な活用方法を含めた指導内容・方法に関するガイドラインを作成すること、日本語指導補助者等の配置への支援を拡充することなどについても議論をいただいているところでありまして、スピード感を持って日本語教育の充実、これに取り組んでまいりたい、そのように考えております。
(注)「集住と散在」は、正しくは「集住化と散在化」です。
記者)
また同志社国際の件でちょっと何点か教えてください。冒頭の毎日新聞さんの質問にちょっと続く形になりますけれども、同志社国際の今回の違反、14条2項(注)の違反に関して、冒頭の大臣のお答えだと生徒が亡くなるという重大違反があったってということも一つ、構成要因の一つのようにお話されていたと思いますけれども、仮にそういう施設がなくならないケースでも他の学校のこういう研修とか学習において違反がないかどうか今後お調べになる予定はあるのかということをちょっと教えてください。それと、あと偏っているということが、政治的中立性が保たれていないということがやはり誰がどういうふうに線引きをするのかというので、その線引きは正しいのかということがやはりまだちょっと判定できないところがあるので大臣のお考えを教えてください。最後に、この政治的中立性とか政治的な活動は、例えば他の学習ですと広島、長崎に原発が落ちたとか、福島で原発が起きたとか、多分、学習で教えた方がいい結構重要な問題は多面的でセンシティブなものが多いと思うのですけれども、こういうところの学習に対して萎縮効果みたいなのが今回の今の時点であるのかということを教えてください。
大臣)
御指摘のような事柄も含めまして、多様な見方でありますとか考え方のできる事柄を取り上げる場合には、特定の見方や考え方に偏った取り扱いによりまして生徒の主体的な考えや判断を妨げないよう、政治的中立性を確保した上で教育を行うことが重要であることについては、これまでも繰り返し周知をしてきたところであります。今後とも、各学校では関係法令や通知などを踏まえながら総意を工夫いたしまして、政治的中立性を確保した上で政治的教育や平和に関する学習に取り組んでいただきたいというふうに考えているところであります。例えば、実際、先般も参議院の文教科学委員会で答弁をさせていただきましたけれども、当然、平和学習の大切さ等々に関して、また戦争がもたらした惨禍等々に関して、これらに関しましては学習指導要領等においてもきちんと子供たちに教えてもらいたいということは当然書いてあるわけでありますので、ぜひこうした学習指導要領に沿った形でこうした判断というものがされていくのだろうと私自身は思っているところでありますが、ぜひそうした点、御理解をいただいて今後の教育の充実に努めていただきたいと思っているところであります。また、今後に関しましては、先般も発表させていただきましたように、4月7日に通知を発出させていただいて、そのフォローアップをさせていただくということにさせていただいているところであります。その内容や時期についてはまだ何ら決まっているものではありませんけれども、そうした取組というものも併せて実施をしてまいりたい、そのように考えております。
(注)「14条2項」は、正しくは「第14条第2項」です。
記者)
萎縮効果を生むかどうかについてお願いします。
大臣)
今申し上げたような観点から申し上げれば、特に萎縮効果を生むということは、私は全くないというふうに考えております。
記者)
まず、阿部慎之助監督が逮捕、保釈されましたけれども、娘さんへの暴行ということについてのコメントと、それから萎縮を生むことはないと大臣は言っていますが、私、昨日、沖縄の関係者に取材をしました。今回のこれは沖縄県に対してだけでなく、全国の平和学習に取り組む学校側、そして指導者側、先生の側を萎縮させると。非常に今、沖縄というのはやはり平和学習は非常に広島同様大変充実しており、いろいろな様々な体験場所を見に行ったりと、戦争の悲惨さを伝えてきたけれども、今回、やはり偏ったというのが、それは政府の、文科省の側としての判断ではないのかと。森友問題は大変政治的中立性は問題になりましたが、それは当時の大阪が判断したことと言っておりますが、教育基本法に踏み込むことはありませんでした。やはり今回のことはやりすぎなのではないか。一部情報では、他の学校がアメリカの在日米軍基地の中でショットガンの練習をした、研修をしたというような話も出ております。こういったところを含めて問題にならないのかなど、現場からはこれは平和学習、特に沖縄や広島などを中心にした平和学習をやっている側を萎縮させる意図があるのだと思うという批判の声が上がっているのですが、これにどうお答えになるのか。それからもう1点。昨日、琉球タイムズが書いているのですが、第1次安倍政権の官邸の圧力が発端となり、30枚近い気になる記述という一覧が官邸サイドから回ってきまして、当時の文科省の教科書調査官が昨年経緯を記した本に書かれているのですが、そのときの30枚近い教科書の記述の一覧が回ってきて、政治家の言うとおりにしたらこれは国際問題になるということで、最終的には一覧の中で唯一の国内問題が沖縄戦の集団自決のことだったので沖縄が犠牲にされたと、政治的にここは歪められた検定だったと話しております。こういった元教科書調査官の告発本などを見ていても、政治的中立という名の下にやはり政府が恣意的にときの歴史的な見解に関する修正を、教科書を作る側に求めていたというようなことが、こういうふうなことが書かれています。こういったことを含めて、大臣が発する中立ということが結果としてはやはり政府に批判的なものに対する見方や学習などをやはり抑制する効果が出てしまうのではないか、この点についてもお答えください。
大臣)
ちょっと質問を三ついただきましたので漏れていたらごめんなさい。かつ、ちょっと順番を変えて、かつ通告というか、事前にちょっとどういう質問をするというのもお聞きしていないのでちょっと私の記憶、考えベースになるということは御理解をいただきたいと思っております。まず最初に、平和学習の萎縮の話でありますけれども、これは先ほどTBSさんにもお答えをさせていただきましたけれども、我々といたしましては平和学習というものに関しましては学習指導要領上においてもしっかりと位置づけられているものでもありまして、これに則ってやっていただく分におきましては何ら問題がないというか、むしろ我々としてはしっかりと進めていただきたいと考えているところでありまして、そういう意味におきまして特に萎縮をされることはないと私自身は考えているところであります。二つ目の教科書の問題でありますけれども、私、その細かな内容について承知をしているものではありませんが、ただ適切な教科書検定の仕組みの中で適切に判断をされた上で検定がなされているというふうに私としては承知をしているということであります。三つ目は、阿部慎之助監督の件でありますけれども、こちらに関しましては現在捜査がなされているということでありまして、私といたしましてもその詳細について今知る立場ではありませんのでコメントは差し控えさせていただきたい、そのように考えております。
記者)
萎縮させることはないと言いつつ、これは現場のほうが萎縮をさせられているという声が出ているということ、それから他の事故には至っていないけれども、ショットガンをやったとか、他の学校の中で政治的な偏りということに関しても今後、文科省として調査をしていくということなのかということ、あとそれから大臣が判断を踏み込みましたけれども、やはり総理官邸に最終判断については判断を仰いだのかという点についてもお聞かせください。
大臣)
先ほど申し上げましたように、平和教育について我々としては明確に位置づけを行っているところでもありますので、ぜひそれに従って萎縮することなく進めていただきたいということであります。また、個別の事例に関しまして私がこの場でそれぞれにおいても事情が違いますし、また総合的に判断されることでありますので、私のほうからのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。また、今回のこの判断に至るに当たって、何か官邸から指示であったりとかというようなものがあったかということにつきましては、全くそういうものは一切ございませんということはここで明言をさせていただきたいと思いますし、また私自身もそうでありますけれども、今回この検討をするに当たって基地問題に関する私自身の認識でありますとか、政府の立場などに対する発言というものは、私は一切省内の会議等々でもしておりませんし、私自身、結論ありきで指示を出したことも一切ないということはここで申し上げておきたいと思います。
(了)
大臣官房総務課広報室