松本洋平文部科学大臣記者会見録(令和8年4月28日)

令和8年4月28日(火曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

「人材育成システム改革ビジョン」のとりまとめと実現に向けて重点的に取り組みたい事項、産業・科学革新人材事業 INSIGHT の公募開始と従来事業との相違点および事業開始のねらい、デジタルの教科書の使用を制限する学年と教科の考え方および教科の特性や障害の有無といった児童生徒一人一人の状況に応じた活用の考え方、いわゆる「平和教育」の内容に関する全国調査の実施意向、学校法人同志社に対する現地調査で明らかになった沖縄・辺野古沖での事故対応上の課題と法人および高校の対応への所見ならびに今後想定している対応スケジュール、高速実験炉「常陽」の運転再開に向けた対応方針と医療用ラジオアイソトープの国内製造への影響

松本洋平文部科学大臣記者会見映像版

令和8年4月28日(火曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和8年4月28日松本洋平文部科学大臣記者会見

令和8年4月28日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

松本洋平文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは2件となります。1件目は、「人材育成システム改革ビジョン」についてであります。昨日、第5回人材育成分科会を開催いたしまして、ビジョンの取りまとめを行いました。ビジョンでは、AX時代における産業基盤を支える人材育成に向けた高校、高等教育の一体的改革といたしまして、「高校教育改革交付金」等、高校教育改革を進めるための新たな財政支援の仕組みの構築、理工・デジタル系人材育成の強化や知事と学長、産業界などが連携した地域の医療・福祉、産業、インフラなどを支える人材育成の充実などの高等教育改革、大学などにおける17の戦略分野をはじめとした成長分野のリ・スキリングプログラムの開発や全学的体制整備、専門学校の教育の質向上、奨学金などの支援策の充実など、実践的職業人材の育成を、次に成長分野を牽引する人材育成といたしまして、国立大学法人運営費交付金と科研費の大幅拡充を含む基盤的経費と多様な競争的研究費の充実・強化、国際頭脳循環の強化、新たな研究大学群の形成や国立研究開発法人のプラットフォーム機能の強化、コンテンツ分野の人材育成強化を、さらに「人材力」の基盤整備といたしまして、キャリア教育の推進、学校や研究施設・設備の計画的な整備など、AX時代に向けた環境整備、「AI for Science」の推進とそれを支える研究インフラの構築、運動・スポーツを活用した健康インフラの構築などを強力に進めていくことが重要であるといったことをまとめているところであります。また、同日午後に開催されました経済財政諮問会議におきましては、本ビジョンについて報告をいたしまして、総理からも「人材総活躍社会」の構築に向けて各取組を力強く進めていくよう、改めて指示をいただいたところであります。「高校から大学・大学院を通じた一体的な人材育成システム改革」は、私が大臣就任前から関わってまいりました「いわゆる教育無償化」の議論の過程で取りまとめた「三党合意」においても、このことが必要性、財源の在り方とともに示されているものであります。こうした「三党合意」の経緯も踏まえまして、ビジョンの内容の実現に向けて取り組んでまいりたい、そのように考えております。
 続きまして、2件目です。産業・科学革新人材事業(INSIGHT)の公募を本日より開始をいたします。本事業は、国際社会が激化している先端技術分野におきまして、産業界・アカデミア双方で研究開発と人材育成を一体的に実施する新たな資金支援制度となっております。これによりまして、優秀な科学技術人材の育成・確保や研究開発力の飛躍的向上を図るとともに、産業界から大学への人的資本投資の大幅拡充、これを実現してまいりたいと考えております。本年4月より開始をいたしました「第7期科学技術・イノベーション基本計画」の推進を通じた「新技術立国」の実現に向けまして、多くの大学から我が国の研究開発力や人材力を抜本的に強化する意欲的な提案、これをいただけることを心から期待をしております。私からは以上となります。
 
記者)
 INSIGHTについてお伺いします。産学のクロスアポイントメント制度というのは以前からあったと思うのですけれども、その後、広がりが以前は限定的だったと思います。今回の制度というのは、どのような違いがあるのかとか、あるいはどのような課題の解消が狙いなのかというところを改めてお伺いしたいです。
 
大臣)
 御指摘のとおり、文部科学省におきましては産業界・アカデミア双方で研究開発と人材育成を一体的に支援する、そうした取組というものは進めてきたところでありますけれども、今回、新たなこのINSIGHTということで公募を開始したところであります。これまでの産学官の人材交流に関してでありますけれども、クロスアポイントメント制度などが設けられたことによりまして一定の増加傾向にあったわけではありますが、ただ事務手続きの煩雑さや負担増、また教員に対する給与面でのメリット不足、こうしたことによりまして必ずしも積極的な活用は進んでいなかったものと承知をしているところであります。このため、本事業におきましては大学における研究開発マネジメント人材や事務職員などの体制強化による制度活用に関する事務負担の軽減でありますとか、また大学の人事給与マネジメント改革を通じました同制度の適用研究者などに対しましての給与であるとか処遇面の充実などのインセンティブを付与していく、こうしたことを求め、これらに必要な資金などを支援することによりましてクロスアポイントメント制度の活用拡大などを図ることとしているところであります。こうした取組が効果を奏しましてアカデミアと産業界の研究開発や人材育成に関する連携・強化が一層拡大することを期待しております。ぜひ今回の公募に多くの方々に応募をしてきていただきたい、そのように考えているところでありますし、また今回の公募結果を踏まえまして我々としても速やかに支援を加速してまいりたい、そのように考えております。
 
記者)
 24日の衆議院文科委員会のときに松本大臣が、全てがデジタルの教科書について小学4年生以下では認めるべきではなく、教科についても当面は国語、社会、道徳などは認めるべきではないとの趣旨の答弁をなさっていたかと思います。これについて、ちょっと2点伺います。まず、障害のある子供たちの中にはデジタルのほうが学びやすいというようなお子さんもいらっしゃると思うのですけれども、学年で一律に線を引いてしまうとそういったようなときにデジタルのほうが学びやすいという子供にとっては学習を制約させてしまうことにもなるのではないかと思うのですけれども、この点について大臣はどうお考えなのかということが1点目で、もう一つは教科に関してなのですけれども、国語、社会、道徳、この3教科を上げた理由とか根拠といったものを教えていただきたいのと、あと答弁の含めるところとしては中学校のほうのこれらの3教科についても含めるものなのか、それから国語の場合は書写ですとか、社会の場合は地図帳といったものも教科書としてはありますけれども、これらも含まれているのか、ちょっとそのあたりも確認も含めてお願いします。
 
大臣)
 まず、前提として学教法等の一部改正法案、現在国会で審議中であります。ですので、当然、審議の結果、国会でお認めいただければということが前提になるということではありますが、全てがデジタルの教科書を認める学年・教科につきましては、今後、大臣指針の中でお示しをしていくというふうに考えております。その指針の内容につきましては有識者会議で御議論をいただいているところでありますが、先日国会で私が答弁を申し上げましたとおり、現行の教科書代替のデジタル教科書を大規模に提供してきたのは、これまでも小学校5年生以上であること、中教審や有識者会議においても学校現場の実態を踏まえまして、小学校低学年や中学年では慎重に考えるべきという意見が多く出されているということなどを踏まえまして、現時点では小学校4年生以下では認めるべきではないというふうに考えているところであります。また、中学校・高校段階も含む小学校5年生以上でも、教科一律ではなく教科の特性を踏まえた対応が必要であるというふうに考えております。例えば、文脈を理解しつつ読み込んだり書き込んだりする学習場面が想定される国語や道徳、文章と資料を一覧で見る学習場面が多い社会などでは全てがデジタルの教科書はふさわしくないと考えておりまして、現時点での考えとして国会で答弁をしたところであります。その他の教科などの取り扱いも含めまして、今後、有識者会議で御議論を深めていただきたい、そのように考えているところであります。また、障害によりまして学習上の困難を有する児童生徒の個々の状況に応じた対応も重要である、そのように認識をしているところでありまして、今回の制度改正により教科書バリアフリー法に規定されております「教科用特定図書等」の中に検定教科書の内容をそのままデジタル化したものを位置づけ、国としても標準規格を策定して発行を促進する考えであります。紙媒体の教科書では学習が困難な児童生徒についてはこれを使用することができるようにしてまいりたいと考えているところであります。そういう意味では、拡大教科書でありますとか点字教科書、こうしたものもしっかりと準備をしてまいりまして、そうしたハンデのあるお子さんたち、生徒たちにもしっかりと寄り添った対応ができるように我々としては対応してまいりたい、そのように考えております。
 
記者)
 沖縄県の辺野古の転覆事故の関連でお伺いをしたいのですけれども、先週の金曜日に学校法人同志社に文科省として調査を行いました。こういった辺野古沖での政治的活動に該当しかねないと判断されるような平和学習というのは同志社国際だけではなくても他の私立高校でもあるようなのですけれども、実際、大阪府なんかはこういった活動がないかどうか調査を始めているようなのですが、文科省が直接、あるいは自治体を通じたような形で他の学校への広がりみたいなものを調査の検討等々していくようなお考えおありでしょうか。
 
大臣)
 ご指摘いただいたとおり、先週24日、学校法人同志社に担当職員を派遣いたしまして現地調査を行ったところであります。文部科学省としては、今年度の教育活動が本格化する前の4月7日になりますけれども、全国の学校に対しまして安全管理の徹底とともに政治的中立性を確保するように通知を発出しておりまして、本通知に基づく対応の徹底を図るとともに、まずは今回聞き取った内容、これを十分に精査いたしまして、その結果も踏まえてさらに必要な対応を検討してまいりたい、そのように考えております。
 
記者)
 また同じ同志社への現地調査のことについて改めて伺います。これまで把握されていたこととして安全確保に向けた取り組みの一つである事前下見の欠如、保護者への説明の不足と引率体制の不備などについて問題点を把握されたと発言されておりました。精査中であるということではあるのですが、他に把握された問題点がありましたら教えていただきたいと思っています。あと、大臣としては法人や高校の対応について何が問題と感じているのか、改めてお伺いします。あと、24日の調査後のぶら下がり取材では同志社サイドから回答、精査するということだったのですが、今後いつ頃までに何をする予定かというものもありましたら御意見をお伺いします。
 
大臣)
 今回の確認においてでありますが、これまで所轄庁であります京都府を通じて確認を進めてきた内容を踏まえ、例えば事前の安全指導・教育の実施状況、研修旅行計画の決定過程や現在のようなプログラムが実施されることになりました経緯、事前事後学習を含む教育活動の状況などについて、高校関係者からも直接お話をお聞きし、確認を進めたところであります。なお、現在、学校法人・学校からの回答内容を精査しているところでありますので、個別具体的なやり取りなどにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。また、学校法人としての対応についても確認を行いました。学校法人においては、事前又は事後に関わらず研修旅行の内容を把握していなかったことなどを我々として把握をしたところであります。今回の確認におきまして、文部科学省からの様々な確認事項につきまして一定の回答は得られたものの、事実関係などについて未だに十分に明らかになっていない点、これにつきましては改めて回答を求めているところであります。引き続きこのような重大な事故が起きた要因でありますとか、法人、学校の対応の問題点などにつきまして所轄庁であります京都府とも連携をしつつ、しっかりと検証をした上で今後の具体的な対応について検討してまいりたいと存じます。また、スケジュールについてでありますけれども、現時点においてこれについても特に申し上げられる状況にはないところで、今精査中ではありますが、ただ国会でも答弁をいたしましたとおり、いつまでもこのことをやっていていいという話ではなくて既に学校現場は動いているわけでもあります。そういう意味では、我々としてスケジュール感も意識をして、時間がかかりすぎることがないようにこうした作業というものを進めてまいりたい、そのように考えております。
 
記者)
 冒頭発言でも触れられていた人材育成システム改革ビジョンについて伺います。先ほどいろいろと具体的に挙げていただいたと思うのですけれども、この改革ビジョンを進めいく上で大臣として特に優先的に解決すべきだとお考えの課題や、今後力を入れて取り組んでいきたいポイントなどがあればお聞かせください。
 
大臣)
 今回のポイントは、高校・大学・大学院を通じまして一体的な人材育成システム改革を進めることであります。産業構造の変化でありますとか各地域の人材需要などを踏まえまして、高校、大学などが共通の認識や目的を持ちまして、連携して文理分断からの脱却でありますとか、また地域のニーズに対応した人材育成などの改革を進めること、これが重要だと考えております。そのためにも、まずは「高校教育改革交付金」等の新たな財政支援の仕組みの構築によりまして、各地域における高校教育改革をさらに促進をするとともに、これと連動した高等教育の改革が進むように支援をしたい、そのように考えております。また、知事と学長、産業界などが連携をいたしまして、地域に不可欠な人材を育成する方策を協議・実行する仕組みづくりを推進してまいります。加えて、戦略17分野等におけます(注)成長を牽引する人材も重要なポイントであります。産業競争力強化に貢献する新技術立国の核となる新たな研究大学群の形成でありますとか、国研機能強化を力強く進めてまいりたいと考えております。今後、日本成長戦略会議での検討も踏まえまして、ビジョンに掲げた取組について関係府省や自治体とも連携をして具現化をしてまいりたいと思いますが、今申し上げたように非常に今どれもこれも、今、我が国にとって必要な取組ばかりというふうに認識をしているところであります。ただ、基本的な考えを申し上げれば以前から申し上げておりますけれども、今回のこの改革というものはやはり我々の国、我々の地域、我々を取り巻く社会が大きく変化をしているということにどう対応していくのかということが大変重要なことだと思います。人口減少による生徒数の減少もそうでありますし、また人口減少によって地域をどのように守っていくのかということもそうでありますし、またAIやデジタルといった新たなこうした技術によって社会が変化をしてきているというものもそうでありますし、国際社会の中で様々な我が国の経済、産業の競争力、競争が激化をしている中で、日本の国の豊かさをこれからも維持発展をしていくための人材供給をどういうふうに進めていくのかということもそうであります。そして、その根底にあるのはやはり児童生徒たち、子供たちの可能性を我々教育がどのように広げ、高めていくのか、そしてそれによってそれぞれの個人の自己実現をいかに後押ししていくのか、こういうことが一番のベースにあった上でそうした社会の変化にどう対応していくのかということが我々にとっては大変大事な事柄だと思っております。どれもこれも必要な政策だと考えて、また有識者の皆さんからも様々な貴重な御意見をいただく中でこうしたものをまとめさせていただいたところであります。ぜひこれらをしっかりと実現をしていくことができるように全力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
 
記者)
 先日、JAEAが「常陽」の運転再開見直しを発表しました。文科省として何かテコ入れを図る考えがあるか、医療用RIを国内製造にどのような影響を及ぼすか、お聞かせください。
 
大臣)
 高速実験炉「常陽」についてでありますけれども、規制審査におきまして地震への安全対策などといたしまして追加の調査が必要になった結果といたしまして、令和8年度半ばとしておりました運転再開時期を見直すこととしたというふうに承知をしているところであります。文部科学省といたしましては、引き続き安全確保を大前提といたしまして、「常陽」の運転再開に向けまして原子力機構とともに必要な取組を進めてまいります。「常陽」では、運転再開後にアクチニウム225の製造実証、これを予定していたところでありますが、運転再開時期は今後の規制審査によるため、製造実証の見込みを現時点でお示しをすることは困難な状況であります。いずれにいたしましても、関係機関と連携をいたしまして改めて計画を検討してまいりたい、そのように考えております。
(注)「おけます」は、正しくは「おいて」です
 
(了)

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