令和8年3月31日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化
「生命(いのち)の安全教育」に関する「教材」および「指導の手引き」の拡充・改訂と公開、先端研究基盤刷新事業(EPOCH)の公募開始、博物館の設置及び運営上の望ましい基準の全部を改正する告示の公布、立命館アジア太平洋大学の在留資格手続の「適正校」からの除外による訪日留学生への影響、改正民法の施行に伴う共同親権の導入による学校現場における負担の増加に対する見解と軽減策、「生命(いのち)の安全教育」の効果検証の意向および性教育として位置付けていないことへの認識
令和8年3月31日(火曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和8年3月31日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは3件となります。まず1件目です。この度、「生命(いのち)の安全教育」に関しまして、その「教材」及び「指導の手引き」の拡充・改訂を行い、本日より文部科学省のホームページで公開をするとともに、その内容を解説した全国の教育委員会などに向けましたオンライン説明会も本日、オンデマンド配信で開催することといたしましたのでお知らせをいたします。今回の拡充・改訂では、より多くの学校で活用が促進されるよう、これまで生命(いのち)の安全教育に取り組んでこられた学校現場の声を踏まえまして、教材などの改善・充実を行ったところであります。これまで「生命(いのち)の安全教育」に取り組んでいなかった学校においても、広く教材などを活用していただけるよう、さらなる普及展開を進めてまいります。また、令和5年の刑法改正による「不同意性交等罪」の創設といった社会情勢の変化も踏まえ、例えば「性的同意」についても学べる内容を盛り込むなどの拡充・改訂を行ったところであります。私といたしましても、この「生命(いのち)の安全教育」は性暴力・性犯罪を防止する極めて重要なものと認識をしております。全国の学校で全ての子供たちが「生命(いのち)の安全教育」の内容をぜひ学んでいただきたい、そのように期待をしているところであります。なお、現在、中央教育審議会における次期学習指導要領に関する議論におきましても、性暴力・性犯罪への対応の観点も含めまして専門的かつ総合的な検討をいただいているところであります。引き続きこの議論の状況も注視しつつ、文部科学省として子供たちが自分や相手の心と体を大切にし、一人一人を尊重する態度を身につけることができるよう、「生命(いのち)の安全教育」の普及展開に取り組んでまいります。
続きまして、2件目になります。先端研究基盤刷新事業、「EPOCH」と呼びますけれども、の公募を本日より開始をいたします。本事業は、先週金曜日に閣議決定をされました第7期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえまして、若手を含めた全国の研究者が挑戦できる魅力的な研究環境を実現するために新たに創設をされたものであります。全国の大学等におきまして、地域性や組織の強み・特色なども踏まえた研究設備・機器を整備しつつ、これを国内に広く共用するとともに、技術職員などの人材を備えた「コアファシリティ」を戦略的に整備するものであります。科学の再興を目指し、我が国の研究基盤の一翼を担う構想・計画が全国の大学などから提案されることを期待しております。
続きまして、3件目となります。本日、博物館の設置及び運営上の望ましい基準の全部を改正する告示を公布いたしました。本告示は、令和4年の博物館法の改正やその他の社会情勢の変化を踏まえまして、博物館の望ましい基準を約15年ぶりに全面改正したものであります。そのうち、博物館資料の管理をめぐりましては適正な管理をしつつ、貴重な博物館資料をどのように守っていくかという観点から、文化審議会のワーキンググループで御議論をいただいており、先月のワーキンググループでの御意見を踏まえまして更なる修正の検討を行ってきたところであります。本日公布した告示におきましては、博物館資料がわが国と郷土の歴史、文化などの正しい理解に必要で貴重な財産であり、できる限り良好かつ安全な状態で将来の世代に継承することが重要であるということをまず明記をさせていただいております。そして、博物館資料の廃棄について検討する場合には、価値のある博物館資料をしっかり残していくということ、その際、第三者も交えまして資料の価値付けや取り扱いに伴う影響などの評価を適切に行うことが重要であること、こうしたことを考えているところであります。このため、他の手段を検討した上でなおやむを得ないと認められるときにおいても行うものとすることを告示に追記をいたしました。安易な廃棄に歯止めをかける規定とさせていただいたところであります。文部科学省としては、本改正の趣旨が各設置者や博物館、そして国民の皆様にしっかりと伝わるよう、周知を行ってまいりたいと存じます。私からは以上となります。
記者)
大分県にある立命館アジア太平洋大学の留学生の入国の遅延の問題についてお尋ねします。大学が入管難民法に基づいて必要な留学生の受入調査の届出を怠りまして、在留資格取得の手続きが簡素化される適正校から除外されたことで4月入学の留学生約100人の入国が遅れています。キャンパスで学ぶことができない事態が起きているということです。入管庁より届出がないということの指摘があったにも関わらず放置した結果、留学生の入国の遅れのほか、費用負担の増加などを招いています。大臣の御見解を教えてください。また、今後、文科省として対応することがありましたら併せてお考えをお伺いします。
大臣)
御指摘のとおり、立命館アジア太平洋大学におきましては、出入国在留管理庁による「適正校」となるために必要となる事務的な届出を怠った、その結果、令和7年の「適正校」として選定をされず、令和8年4月の留学生受入れからこれに基づく審査が適用されることについて大学から報告があったところであります。立命館アジア太平洋大学におきましては、直ちに第三者の調査委員会を設置されたというふうに承知をしております。本事案の原因分析及び再発防止策を検討いたしまして、3月25日に大学としての再発防止策をまとめ、福岡出入国在留管理局に提出をしたというふうに承知をしているところであります。本事案により、4月入学の留学生の一部について入国が遅れ、新学期に間に合わない恐れがあると承知をしているところであります。なお、大学におきましては遠隔授業を活用するなど、学業への影響や学生に不利益がないよう柔軟な対応を講じる、そのように聞いているところであります。文部科学省といたしましては、このような事務的なミスが再度起きることがないように再発防止策を徹底していただくとともに、今回のことにより留学生に不利益が生じた場合は適切な措置を講じていただきたい、そのように考えているところであります。
記者)
離婚後の共同親権の関係でお伺いします。明日4月1日から改正民法が施行されて離婚後の共同親権が導入されていくと思いますけれども、法務省が関係省庁と作成したどのように手続きをするかといったQAを見ると、場合によっては学校が双方の親権者に意向を確認したりですとか、協議をしてくださいというような、その結果に基づいて対応するというようなことが示されていました。これを見るとなかなかお忙しい学校現場がさらに業務負担が生じ得るのではないかなと思うのですけれども、どういうような負担が生じるお考えでしょうか。その対策も合わせて教えていただければと思います。
大臣)
父母の離婚後の子の養育に関するルールを改正する民法等の一部改正法、これが明日から施行をされるということになっております。この改正法につきましては、関係府省庁による連絡会議で作成されました「Q&A形式の解説資料」があります。こちらでは御指摘のように、「監護及び教育に関する日常の行為」につきまして、親権者間で矛盾する意思が示された場合には学校などが双方の親権者に確認をし、親権者の協議の結果に基づいて対応することが望ましい、このようにその旨が記載をされているところであります。一般的に学校は親権者の親権行使にあたりまして、親権者双方の意見を調整したり、親権者間の協議の内容の是非を判断する立場にはないということが前提となります。学校としては、親権者に協議結果を確認することはその結果に基づく対応を取るために必要な手続きであると考えているところであります。文部科学省として、引き続きこうした考え方を整理した解説資料などの丁寧な周知に取り組んでまいりたい、そのように考えているところであります。
記者)
冒頭発言にありました「生命(いのち)の安全教育」の関連でお伺いいたします。全国展開を始められて3年で今回、教材の見直しもされたということですけれども、これは学校現場では学習指導要領の歯止め規定があるためになかなか性交とか妊娠の経緯について教えることができないと、それでは不十分ではないかといった声も出ています。現時点では教材をどのぐらい使っているかとか、そういう実施率は取っていらっしゃると思うのですけれども、こういった現場の声を聞いていくとか、教育の効果と課題について改めて検証をするおつもりはないのか教えてください。また、この教育自体、実現した背景に大臣もメンバーであられた性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟、いわゆるワンツー議連と言われたものですけれども、ここが中心となってこの教育を導入してきた経緯があります。ただ、この議連の会長の上川議員によりますとこの「生命(いのち)の安全教育」というネーミング、これは性という言葉を使わずに生命(いのち)というふうにしたのはやはりこういった性教育に対する抵抗感を持つ人もいるということが背景にあります。この背景にさらにやはり自民党を中心とした性教育バッシングの背景があるというふうに聞いております。子供への性暴力とか望まない妊娠というのがなかなかなくならない、SNSもあって深刻化している中で、こういった政治的な壁を乗り越えるためにこのネーミングになったという側面がある一方で、こういった政治的な忖度によって性教育というふうに位置づけられないまま性交についても教えられないという状況が続いていくことについて、この教育の導入時から関われていた大臣としても思い入れがおありになるかなと思いますので、こういった進め方でいいのか、変えていくべき点があるのか、御見解をお聞かせください。
大臣)
冒頭申し上げました今回の拡充・改訂では、これまで「生命(いのち)の安全教育」に取り組んでこられた学校現場の意見などを踏まえまして、より現場のニーズに対応できるよう教材の改善・充実を行ってきたところであります。今後、これに基づく教育の成果や課題についても把握をしながら、引き続きさらなる普及・展開に向けて改善を図っていくこと、これが重要であると考えております。生命(いのち)の安全教育は子供たちを性暴力の加害者、被害者、そして傍観者にしないことを目的としております。その内容については、性に関する指導と関連する部分も含まれておりますが、性暴力などに関する正しい知識、他者への尊重や人間関係、防犯、SNSなどとの向き合い方など、様々な学習内容を含むものであり、児童生徒や学校の状況などを踏まえまして教育課程内外の様々な活動を通じて実施することを推進しているところであります。自分や相手の心と体を大事にし、一人一人を尊重する態度を身につける教育であります「生命(いのち)の安全教育」につきましては、今御紹介いただきましたように私自身も個人として大臣就任前から非常にその必要性を強く感じて取組を進めてきたところであります。全国の学校で実施をされまして、児童・生徒一人一人に理解をしてもらえるようにしっかりと推進をしてまいりたい、そのように考えているところであります。
記者)
こういった教育が実際やはり推進していくことの障壁に自民党を中心とした性教育バッシングがあったということについては、大臣としては今どのような主観をお持ちでしょうか。
大臣)
私自身は、性教育バッシングという言葉が正しいのかどうかはありますけれども、いわゆる多様な意見がやはり存在をするということだと承知をしております。
(了)
大臣官房総務課広報室