令和8年2月20日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他
幼稚園設置基準の改正と意義、H3ロケット打上げ失敗の原因究明の状況と早期の打上げ再開の重要性、高市新内閣の閣僚として再任されたことへの意気込み、「生命の安全教育」の普及状況と普及に向けた対応、学校保健統計調査での視力1.0未満の子供の割合の高止まりと子供の近視予防、在京中国大使館による日本の歴史教科書に関するSNS上での情報発信、18歳人口の減少による今後の私立大学の経営状況への影響及び大学の規模適正化・機能強化
令和8年2月20日(金曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和8年2月20日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは1件、幼稚園の設置基準の改正についてであります。幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎が培われる極めて重要な時期であります。幼児教育の質の向上は重要な政策課題の一つです。文部科学省におきましては、これまでも幼児が施設類型や設置者が異なる様々な幼児教育施設から小学校へ就学することを念頭にいたしまして、幼児教育と小学校教育の円滑な接続に向けて、5歳児から小学校1年生までのカリキュラムを幼小協働で策定することなどに取り組む「架け橋プログラム」の推進、幼稚園教育要領等の改訂や幼稚園教諭の養成・採用・研修の在り方について、関係省庁と連携した検討などに取り組んできたところであります。他方で、近年では小学校低学年の不登校の児童や特別な配慮が必要な幼児が増加するなど、幼児期から一層行き届いた教育を推進する必要がございます。このため、今般、幼稚園設置基準を改正いたしまして、原則35人以下となっていた学級編制の基準を31年ぶりに見直しをいたしまして、原則30人以下に引き下げてまいります。本日公布をいたしまして、施行日は本年4月1日となっております。なお、幼児教育の質的向上の環境整備のため、設置者が行う施設整備や人材確保については従前より必要な支援を行っているところであります。今後とも様々な取組を通じて幼児教育のさらなる質の向上に向けて取り組んでまいりたいと存じます。私からは以上です。
記者)
まず、宇宙関連で1点お伺いしたいことがあります。H3ロケットが、打上げを初めて成功してからちょうど丸2年が経過をいたしました。これまで5回の打上げに成功する一方で、前回の8号機の打上げが失敗して原因究明が進んでいると思います。何度か報告は受けていますが、原因究明に関して進展した内容があれば教えてください。また、日本の打上げ失敗、日本の打上げは失敗すると再開までに1年ないしそれ以上の時間がかかります。海外の打上げ再開に比べても時間がかかることが指摘されていますが、早期な打上げ再開に向けて大臣はどのようなことが重要と考えているか、教えてください。
大臣)
御指摘の原因究明の状況についてでありますけれども、打上げ失敗以降3回の有識者会議を開催しているところであります。その評価でありますけれども、衛星カバー(フェアリング)分離直後に何らかの要因で衛星搭載構造に損傷が発生したことが起点となった、との評価を受けているところでありまして、原因のさらなる絞り込みを現在は行っているという状況であります。また、打上げの再開時期について予断を持って申し上げられる状況では現状ありませんが、原因究明と並行いたしまして各種試験や関係者との調整を進めまして、打上げ再開に向けた時間をできるだけ短縮することが重要であると考えております。今申し上げたように原因究明と、あと打上げ準備のツートラックで今走りながら、できる限りここの時間を短縮するということで今、取組を進めているところであります。引き続きH3ロケット8号機失敗の早急な原因究明や対策検討とともに、早期の打上げ再開に向けても全力で取り組んでまいりたいと存じます。やはり我が国にとって宇宙とアクセスをする手段として、このH3ロケットは唯一の手段でもありますから、現状において、そういう意味ではしっかりと早期の打上げ再開に向けて我々としても全力を尽くしてまいりたいと思います。
記者)
2点ありまして、一つ目が冒頭発言でありました幼稚園設置基準の一部の改正省令についてなのですけれども、今回、35人以下から30人以下に引き下げるということで、冒頭で質の高い幼児教育が大事だとお話があったのですけれども、この引き下げによってどういったこと、どういった効果とか、こういう教育がよりできるとか、大臣が望まれていることをお伺いしたいです。あと二つ目が、18日に改めて高市第2次内閣が発足いたしまして、閣僚は皆さん再任で変わらないということだったのですけれども、第2次内閣が発足したということで大臣の改めての意気込みですとか新たな思いをお聞かせください。
大臣)
まずは、幼稚園の基準の引き下げによって当然1人の教諭の方が担当をする子供の数というものが減っていく、逆にそれによってそれぞれの先生方がお一人一人の子供たちにかけられる時間であったりとか、触れ合う時間というものを増やすことができていくという状況の中で、やはり幼児期における教育の重要性というものを鑑みたときに、より質の高い教育というものを幼児教育段階から子供たちに提供をしていくということにつながっていくことが大変大事なことだと思っておりますし、そうしたことを我々としても目標、目的といたしまして今回こういう改正に踏み切らせていただいたところでもあります。そういう意味では、よりきめ細かいそうした幼児教育というものが、そして高い質の教育というものが今回の改正によってより提供されていくということを我々としては期待をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
また、先日、おかげさまで認証を受けまして改めて文部科学大臣に再任をいただいたところであります。改めて身の引き締まる思いでありますし、また加えてこれまで昨年の10月21日に文部科学大臣に就任をしてからも、この4カ月間で大変多くの様々な取組というものを進めてきたというふうに自負をしているところでもありますし、また文部科学行政におきましても様々な課題が浮き彫りになっている、そういう事象というものも多々あるというふうに承知をしているところでもあります。そういう意味では、今回再任をすることができたということによってこれら4カ月間で進めてきたものをさらに力強く前へと進めていくことができるように全力を尽くしてまいりたいと思いますし、また文部科学行政が抱える課題にも果敢に、文部科学省の仲間たちと一体となって全力を持って進めていきたい、そのように思っているところであります。まずは今、国会が始まりました。この国会におきましても、予算の中には例えば、予算だけではないです。ごめんなさい。法律も含めて高校無償化でありますとか、中学校における35人学級、こうしたものもありますし、また予算の中には学校給食費の抜本的な負担軽減など、大変新年度から実施をしております政策というものも多くあるわけでありまして、また国民の皆さんの関心も極めて高い分野だというふうに認識をしております。そうしたところをしっかりとやっていきたいと思っておりますし、また昨年の年末に予算編成も行いまして、令和8年度予算の審議が行われます。また、加えて昨年の経済対策、補正予算の中でも新たな文部科学省の取組というものも計上をさせていただいているところであります。以前から文部科学省の中でも私自身申し上げておりますけれども、これらはあくまでも手段でありまして、目的はこれらを使ってどういう文部科学行政を作り上げ、そして国民の皆さんにお届けをしていくのか、またそれを実感していただくのかということが極めて大切なところだと思っておりますから、そういう意味では勝負はこれからだと思っております。そういう緊張感を持ってぜひ文部科学大臣としての職責を果たしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
記者)
「生命の安全教育」についてお伺いします。生命の安全教育、全国での普及が始まってから間もなく3年となります。性犯罪・性暴力防止のための教育を実施しているというところは今約45%でして、文科省の生命の安全教育の教材、これを使っているのは学校全体の約15%未満となるようです。この数字や普及の状況についてどう評価されるのか、またなかなか全体的に全国での展開というのがなかなかまだ課題があるのかなというふうに思うのですが、これが広がらない原因というのをどう考えるのかというのを教えてください。また、今後、教材に県の改正とかを踏まえて性的同意といった言葉を明記するなど見直しもされるようですが、一方でやはり教えられる内容というのは未だに学習指導要領の歯止め規定によってかなり制限がかかっているという現場の声があるのが実態です。具体的には妊娠とか中絶について、やはり学習指導要領に沿う限りは命の安全教育で教えることができないという実態がありまして、性暴力を教える上でこういったことが教えられないということで現場の方々がちょっと難しいと、どういうふうに教えていいのかという声も聞こえてくるのですが、実際、学習指導要領によって生命の安全教育の推進自体に事実上、歯止めがかかってしまうような状況はちょっと課題があるのかなというふうに思うのですが、そのことについて大臣はどう捉えていらっしゃるのか教えてください。
大臣)
生命の安全教育についてでありますけれども、子供たちを性犯罪・性暴力の加害者、被害者、そして傍観者にさせないために大変重要な教育であるというふうに承知をしているところであります。一方、令和3年度から開始いたしましたけれども、学校現場への趣旨の浸透が未だに十分ではありません。御指摘のとおり、令和5年度におきましては約15%の学校での実施にとどまっているということでありまして、実施率の向上は急務であるというふうに考えております。まず、実施率の向上のため現在、既に生命の安全教育に取り組む学校現場の意見等を踏まえまして、今年度末に向けてさらに使いやすくなるよう教材の改訂作業を進めているところであります。また、教材の改訂にあたりましては2023年の刑法改正によりまして、「不同意性交等罪」が創設されたことを受けまして、人と人との距離感や自分や相手を尊重する態度を身につける中で、「性的同意」についても学べる内容を盛り込む予定にしております。さらに、学校における学習内容といたしまして、例えば中学校1年生の「保健体育」におきましては「異性への関心」や「性的要求」が位置づけられており、生命の安全教育の内容はこうした学習内容と関連を図って指導をすることも考えられているところであります。自分や相手の心と体を大事にし、一人一人を尊重する態度を身につける教育であります生命の安全教育につきましては、私個人としても大臣就任前からその必要性を強く感じていたところであります。全国の学校で実施され、児童・生徒一人一人に理解をしてもらえるようにしっかりと推進をしてまいりたいと考えております。そのために、どういう方策をとることが大変有効なのか、そういうことに関しまして、またちょっと現場の声というものもしっかりとお聞きをしながら生命の安全教育を推進し、性暴力、性犯罪の加害者、被害者、傍観者にならないような環境というものを作っていくことは大変急務であるというふうに承知をしておりますので、私自身、そういう危機感、問題意識を持って取組を進めてまいりたいと思います。
記者)
2点目の質問にあった実際、学習指導要領に沿わせることによってやはり教えられない内容が出てくるという、それによって性暴力を教えることに難しさを感じているという声があることについてはどう受け止めますか。
大臣)
生命の安全教育に関しては、その点に関しましては今、学習指導要領の中でどういう位置付けをするのかということも含めて検討をしていただいているというふうに承知をしておりますので、そういう意味ではまずはそうした有識者の皆様方にいろいろと御意見をいただきながら学習指導要領の中でどう位置付けをしていくのかというものを議論していただきたい、それを私自身も関心を持って見守ってまいりたいというふうに思っているところであります。一方で、これらの教育につきましては保護者の理解を始めとした様々な理解というものも得ながら進めていかなければいけないという観点もあろうかと思いますので、そうした様々な関係者の皆さんの御意見というものもしっかりとお受け止めをしながら、真に子供たちのために何が必要でどういうことが有効なのかということを真摯に我々としても考えていきたいと思っております。
記者)
先週交付された学校保健統計調査に関してお伺いしたいのですが、児童生徒の視力低下が高止まりしているということが分かりましたが、まずこの結果の受け止めをお伺いしたいということが1点です。また、子供の視力低下に関しましては、文科省は令和3年度から3年がかりで相当詳細な近視実態調査を行っておりまして、調査に協力した団体からは画期的な調査であったと評価されているのですが、一方でその後の対策に反映されていないと、海外に比べて遅れていると指摘されています。これは視力低下対策の文科省だけの問題ではないと思うのですが、大臣は子供の視力低下に関してどんな役割を果たすべきとお考えか、また今後の対策に向けたお考えがありましたらお伺いしたいと思います。
大臣)
今、御指摘がありましたとおり、先日公表いたしました学校保健統計調査の結果におきましては、裸眼視力1.0未満の者の割合が依然として高い状態にあるということでありまして、大変危惧をしているところであります。近視を予防するためには、屋外で過ごす時間を増やすこと、また長時間近いところを見続けないことなどが有効であり、学校においても家庭においても適切に対策を講じることが重要と考えているところであります。このため、文部科学省におきましては子供の目の健康を守るための啓発資料の周知、日本学校保健会を通じた講習会の実施に加えまして、学校での電子機器活用に関して「児童生徒の健康に留意したICTを活用するためのガイドブック」の周知などを進めているところであります。今お話がありましたように、これは文部科学省だけで対応できるものではなくて、やはり何よりも大切なのはやはり家庭とどのようにこの問題意識を共有していくのかということだと考えているところでもあります。そういう意味では、学校でのこうした保健統計調査の結果というものを文部科学行政の中にとどめ置くのではなくて、関係省庁にもしっかりと連携をした上で危機感を共有し、そして同時にこれをよく各家庭の皆さんにも知っていただくことによって家庭での対応にも役立ててもらう、そうした一体となった取組が必要だというふうに考えているところでもあります。しっかりとこの結果というものを関係省庁並びに多くの国民の皆さんにも知っていただくことができるように我々としても努めてまいりたいと思います。
記者)
ここ最近、中国大使館がほぼ毎日と言ってもいい頻度で日本の歴史教科書、特に中学生が使う歴史教科書について投稿を続けています。その内容というのが、例えば中国侵略という記述が教科書から消えてしまっているというようなかなり実態と乖離したものも含まれていまして、文科省で教科書検定制度というものも所管しておりますので、大臣の見解をぜひ伺いたいと思います。
大臣)
御指摘のような我が国の歴史教科書に関する在京中国大使館の一連の発信については承知をしておりますけれども、その逐一について、政府として、文部科学省としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。その上で申し上げれば、我が国の教科書において学習指導要領を踏まえ、どのように記述するかにつきましては、欠陥のない範囲において発行者等の判断に委ねられております。このことを前提として、教科書検定は教科用図書検定基準に基づきまして、その時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして実施されているところでありまして、国が特定の認識や歴史事実を確定するという立場に立っているものではありません。文部科学省としては、このような仕組みのもとにこれまでに適切に行われてきた教科書検定、これを今後とも揺るぎなく引き継いでいくことは重要であると考えているところであります。
記者)
1点、私立大学の現状について伺います。大学の2026年問題と言われていますけれども、18歳人口が減少してそろそろ、そう遠くないうちに私立大学の一部が経営できない、かなり厳しくなってくるということが指摘されていますけれども、その中で特に小規模校とか地方の学校というのが厳しくなるのではないかという中で、教育のある意味、空白圏みたいなところが出てしまうと問題があるなと思っているのですけれども、大臣の受け止めとお考えをお願いします。
大臣)
おっしゃるとおりで、2040年までに急激な人口減少が発生をいたします。これに伴いまして、大学進学者数が3割程度減少するとも言われておりますし、またAIとかロボットを利活用できる人材等が大幅に不足をするというようなことも見込まれているということであります。必要な施策を早急に講じなければ、私立大学の経営に大きな影響を及ぼします。2035年以降の急激な大学の閉鎖などが相次いで生じまして、人材育成を含め社会全体への悪影響が出るのではないか、波及するのではないかということが考えられているところであります。そのために、人材需要に応えつつ、大学の規模適正化に直ちに取り組む必要があると考えているところでもありまして、こうした状況も踏まえ、文部科学省としては2026年度より「大学の量的規模適正化総合施策」というものを講じてまいりたいと存じます。地域の医療、福祉、産業等の人材を確保する上で必要な高校、大学の在り方や規模の把握、大規模私学の理工・デジタル分野への展開や人社系学部のダウンサイジングによるむしろ1人1人の教育の質の向上、経営指導や留学生の在籍管理等を通じた経営体力のある段階での円滑な撤退の促進などの政策というものを通じて、大学の規模適正化と機能強化に向けて取り組んでまいりたいと存じます。これは、確かに学生の数は減っていくかもしれないけれども、でも一方で社会機能を維持していくためには当然こういう教育機能は必要だよねというようなことはそれぞれあるわけでありまして、そういう意味では学生の数と大学の数というものが一概にリンクをするというものでもないとも考えているところでもあります。だからこそ、やはり各都道府県をはじめ自治体の皆さんと一緒になってこれから教育の在り方というものをそれぞれの地域でどう考えていくのかということを、やはり我々としても一緒に悩みながら考えていき、それに基づいて教育の在り方というものをどう考えていくのかということをやっていかなければいけないということだと思っているところでもあります。そういう意味では、大変教育界におきましても大きな転換期に差し掛かっているのが今の状況だと思っております。先ほどNHKさんのお話の中で、今回大臣に再任されてというようなお話もいただいたわけでありますけれども、そうした時期にこうして大臣として再任をすることにもなりました。しっかりと私もそうした問題意識を持ちながら文部科学大臣として、そして各自治体、都道府県の皆さんともしっかりと連携をしながら今後の我が国の教育の在り方というものを考えていき、そして結論を得て進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
(了)
大臣官房総務課広報室