令和8年1月9日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化
島根県東部を震源とする地震への対応、受験生への応援メッセージ、SNS上で拡散されている暴力行為動画への対応、JAXA諏訪誠宇宙飛行士のISS長期滞在の決定、現在ISSに滞在中の宇宙飛行士の早期帰還、エジプト・アラブ共和国への出張の発表、国立博物館・国立美術館における入場料のいわゆる「二重価格」の導入、学校現場における「メディアリテラシー」の涵養のための教育指導の在り方の検討、継続的な研究力強化のための次の一手、鹿児島大学における計画と異なる動物実験が行われたことへの見解
令和8年1月9日(金曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和8年1月9日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
まずは、明けましておめでとうございます。令和8年が始まりまして最初の定例記者会見となります。本年もどうぞよろしくお願いをいたします。
冒頭、私からは5件ございます。まずは、1月6日火曜日に発生をいたしました島根県東部を震源とする地震につきまして、被災された方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。今回の地震による文部科学省関係の被害につきましては、昨日時点で児童生徒等の被害の報告は受けておりませんが、複数の学校施設などで窓ガラスの破損等の被害があったとの報告を受けているところであります。文部科学省では、引き続き関係自治体のニーズを踏まえながら必要な支援に努めてまいります。今後、本格的な入試シーズンも始まります。文部科学省としては、引き続き災害対応や危機管理に万全を期してまいりたいと存じます。
続きまして、2件目であります。年が明けまして、先ほども申し上げましたけれども、入試シーズンが本格化をしてまいりました。特に大学入試におきましては、17日及び18日に令和8年度大学入学共通テストが、そして2月1日からは各大学の一般選抜が実施をされるところであります。受験生の皆さんにおかれましては、試験本番では今まで積み重ねてこられた力を存分に発揮できるように心から願っているところであります。しかしながら、近年、SNSにおきまして受験生を標的に痴漢を煽る悪質な投稿が見受けられるところであります。痴漢は極めて卑劣な行為でありまして、そして犯罪でありますから、もちろんのこと許されるものではないわけでありますが、試験場に急ぐ受験生を不安にさせるような投稿自体、許されるものではありません。絶対にこうしたことはやめていただきたいというふうに思っているところであります。また、実際にこうした様々な事柄を受けまして大学入試センターのホームページにおきましては、例えば試験会場に向かうにあたっての服装について、別に制服では構わず(注1)、そうした服装等に関してのそうしたQ&Aでの発信というものも行っているところでありますし、また試験会場に向かう途中に事件に巻き込まれた場合や痴漢の被害に遭った場合、追試験の対象になるということも明記をさせていただいているところであります。ぜひこれからSNS等を通じて文部科学省としてもこうした広報発信に努めてまいりたいと思っておりますけれども、ぜひこうしたことというものも学生の皆さん、そして学校関係者の皆様方には知っていただいて、適切な対応をぜひお願いを申し上げたいと思います。痴漢被害を防止するために、警視庁(注2)をはじめ関係省庁、また鉄道事業者などと連携をしているところでありますけれども、受験生の皆さんが安心して試験に臨むことができるように引き続きあらゆる手立てを講じてまいりたいと存じます。
続きまして、3件目になります。現在、SNS上で学校における児童生徒による暴力行為動画が拡散をされております。私のところのXにもそうしたことが、こういうことがありますということで実は動画というものが私のところにも回ってまいりまして、それも拝見をさせていただきました。大変痛ましく感じているところであります。安全・安心であるべき学校におきまして、暴力行為やいじめが行われることは決してあってはなりません。学校や教育委員会などにおきましては、児童生徒が安心して過ごすことができる環境の確保と心のケア・相談窓口の充実を図るとともに、必要に応じて警察とも連携した対応を行っていただくことが重要であると考えているところであります。このため、本事案を受けまして各都道府県教育長及び指定都市教育長を集めた緊急オンライン会議を来週開催することといたします。今回の事案を受けた対応につきまして、文部科学省から説明を行ってまいります。加えて、こども家庭庁と共にいじめ防止対策に関する関係省庁会議(注3)を来週開催いたします。警察庁などの関係省庁とともに今後の対応を検討すること、この2点を私から事務方に対して指示をし、実施をすることになっております。文部科学省として関係省庁と緊密に連携をしつつ、安全・安心な学校環境を守るべく対応を進めてまいりたいと存じます。
続きまして、4件目になります。JAXAの諏訪理宇宙飛行士がISSに長期滞在することが決まりましたので、ご報告を申し上げます。諏訪宇宙飛行士は、2024年10月に宇宙飛行士として認定され、今回の長期滞在の初めての宇宙飛行となります。滞在時期は2027年頃を予定しております。本日、諏訪宇宙飛行士によるJAXAの記者会見が予定されておりますので、詳細につきましてはそちらをご覧いただきたいと存じます。文部科学省といたしましては、今回のISS長期滞在を通じまして諏訪宇宙飛行士が我が国の宇宙開発の発展に貢献し、活躍されることを期待しているところであります。
最後、5件目になります。来週1月13日火曜日から17日土曜日までエジプト・アラブ共和国を私自身、訪問いたします。今回の出張では、昨年8月のTICAD9の際に署名をいたしましたエジプト教育・技術教育省との意向表明書(LOI)に基づく初の政策対話を行うこととさせていただいております。合わせて、日本型教育を実践するエジプト日本人学校(EJS)(注4)のほか、昨年9月に開校をいたしましたエジプト日本高専(EJ-KOSEN)、昨年11月に全面開館し、今後、日本の博物館との一層の連携が期待されます大エジプト博物館(GEM)の訪問などを予定しているところであります。今回の出張を通じまして、エジプト・アラブ共和国における教育の現状や課題を把握するとともに、日本型教育の海外展開の今後について検討するとともに、教育や科学技術分野におけるさらなる連携を図り、両国の協力関係を深化させてまいりたいと考えております。私からは以上です。
(注1)「別に制服では構わず」は、正しくは「別に私服でも構わず」です
(注2)「警視庁」は、正しくは「警察庁」です
(注3)「いじめ防止対策に関する関係省庁会議」は、正しくは「いじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議」です
(注4)「日本型教育を実践するエジプト日本人学校(EJS)」は、正しくは「日本型教育を実践するエジプト日本学校(EJS)」です
記者)
昨年末に政府が国立美術館などを策定する来年度からの計画に訪日客の入場料を高くする「二重価格」の設定の記載をまとめる方針といった各社の報道がありました。この事実関係の確認と、もし事実であればそういった方針をとった狙いを教えてください。
大臣)
いわゆる「二重価格」の導入についてでありますけれども、財務省の財政制度等審議会の令和8年度予算の編成などに関する建議において指摘されているということと承知をしております。その対応につきましては、今後、国立美術館・国立博物館を設置する各独立行政法人の令和8年度から始まる次期中期目標・中期計画を策定する中で具体的な検討を進めることとしておりまして、現時点で方針が定まっているものではありません。今後、国内外の事例も踏まえつつ、導入に必要な経費、国内と海外の居住者の識別方法、インバウンド需要への影響など、導入に際しての課題を整理し、美術館・博物館と意見交換を行いながら文部科学省としても検討を進めてまいりたいと存じます。現状、以上です。
記者)
先ほど大臣からも言及があったSNS上のいじめ、暴行動画に関連してなのですけれども、刑事事件になるかならないかは別として、こういうものがあるというのと別の問題として、学校教育におけるSNSとの付き合い方とか、SNS上のフェイクみたいなものを子供たちがどう捉えるかなど、メディアリテラシー教育というところも重要になってくるかと思うのですが、今話し合われている次期学習指導要領の中にどう盛り込むかといったあたりも踏まえて大臣御自身のメディアリテラシー教育についての考えを聞かせていただけますか。
大臣)
学習指導要領の改訂に向けました中央教育審議会の教育課程部会情報・技術ワーキンググループにおきまして、本日、メディアリテラシーについて委員からヒアリングを行いまして議論を行うこととしているところであります。まずは、こちらの有識者の皆様方、中教審での議論というものをしっかりと見守ってまいりたいと思います。SNSとの付き合い方につきましては、現在の学習指導要領におきましても情報モラルを含む情報活用能力を「学習の基盤」と位置付けております。「情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動」などに取り組むよう、全ての学校現場に求めているところであります。今後とも情報モラル教育の充実に努めるとともに、学習指導要領の改訂に向けた検討におきましても情報モラルやメディアリテラシーの育成強化も含めた情報活用能力の抜本的向上に向けて引き続き検討を進めてまいりたいと考えているところでありますし、また同時にメディアリテラシーの問題、もちろん学校教育の現場でもいろいろと検討をし進めていきたいと考えているところでありますけれども、当然、家庭も含めていろいろなそうした多角的な側面、そして各省庁と連携をするということもこれまた大変重要なことだと思っております。まず、文科省としては中教審の中での議論というものを見守って、そして我々として取り組めるものはしっかりと取り組んでいくということになろうかと思いますけれども、一方でそれで終わりではなくて他省庁も連携しながら全体としてどう考えていくのかということは改めて考えていくことが必要なのではないかと私自身は思っております。
記者)
研究力強化についてお聞きしたいのですけれども、運営費交付金とか科研費の増額は来年の予算案に盛り込まれて一旦強化の方向は出たと思うのですけれども、また来年度に限らず継続的に取り組んでいることは大事だと思うのですけれども、研究力をさらに引き上げていくために大臣として次の一手についてどのようにお考えなのか教えてください。
大臣)
令和8年度の予算案におきましては、御指摘いただきましたとおり、国立大学法人運営費交付金、また科研費をはじめといたしまして我が国の研究力の抜本的強化による「科学の再興」に向け所要の予算を計上することができたところであります。共に当初予算で増額という形、大幅な増額という形で決着をすることができたということは本当に良かったことだと思っておりますし、まずはこの我々のメッセージというものを現場の皆さんにはお受け止めをいただいて、さらなる奮起というものをぜひお願いを申し上げたいと思います。こうした財源も活用しつつ、我が国の研究力の国際的な優位性を取り戻していく、そのためには現場の声も聞きながら新たな研究領域の継続的な創造、国際ネットワークの構築、科学技術人材の育成・活躍促進、時代に即した研究環境の構築、基盤的経費の確保と大学改革の一体的な推進などを総合的に進めていくということが大変重要だと考えているところであります。文部科学省といたしましては、「新技術立国」の実現に資する我が国の科学を再興するため、来年度から始まります第7期科学技術・イノベーション基本計画も踏まえまして研究力の抜本的強化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
記者)
鹿児島大学で行われていた不適切な動物実験に関してお伺いをします。大学が承認した動物実験が計画と異なって肺炎の牛を使った実験が行われていたということが明らかになりました。実験の信頼性というものが疑われることになった、あるいはなって畜産など医療面を支える人材を育成する大学でこうしたことが起きたということについて大臣の御所感をお伺いします。また今後、文部科学省として対応をお考えでしたら大臣のお考えについても合わせてお伺いします。
大臣)
鹿児島大学におきまして、大学として承認した計画と異なる動物実験が実施をされ、当該実験は学長の指示により昨年5月に中止をされたというふうに承知をしております。文部科学省として、承認した計画と異なる実験が行われたということは大変遺憾に思っているところであります。文部科学省告示の「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本方針」(注)を遵守すること、また大学における動物実験の管理体制を検証し、再発防止策を講じること、これを昨年の7月に我々のほうから指導をいたしているところでもありまして、現在、大学側で当時の実験管理体制の検証が行われているというふうに承知をしております。鹿児島大学が国民の理解や信頼を得ながら適切に研究を進められるよう、今後も必要に応じて我々として指導助言を行ってまいりたいと存じます。
(注)「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本方針」は、正しくは「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」です。
記者)
冒頭の発言でもありましたSNS上の件なのですけれども、栃木県の高校で発生した暴力事件については現在、加害側、被害側、その審議を問わない形で個人情報がSNSにアップされている状況、いわゆる晒されている状況になっています。この現状について、まずどのようにお考えでしょうか。また、この暴力事件についてはこの件でいわゆるいじめが明らかになったというふうに動画を暴露することについて一定の支持があるように読める書き込みというのもありまして、そういう状況になっていると思います。こうした事態について、大臣は現在どのように御認識かというのも合わせてお伺いさせてください。
大臣)
御指摘のような御意見があることも承知をしておりますが、一方で動画の拡散によりまして個人情報が流出をしたり、また当該児童生徒を特定したりすることは誹謗中傷など子供たちへの新たな人権侵害を生むことにつながるため、国民の皆さんには冷静な対応をお願いしたいと考えております。ただ一方で、実際に今回の例えば栃木の事案なんかに関して言えば、これがそもそもいじめとして認識をされていなかったというようなお話もある中で、顕在化していないそうしたいじめをどういうふうに我々として、現場としてそれを把握し、そしてそれに対応していくのかという観点において課題があるというのは私自身大変強く感じているところであります。必要なことは、被害に遭った生徒が声を上げやすい環境整備を始めといたしまして、各学校において自ら暴力行為やいじめについて早期の発見に努めつつ、それが明らかになった場合は必要に応じ警察などとも連携しつつ、直ちに組織的に対応を行うことであると考えているところであります。こういった早期発見・早期対応の必要性につきましては、先ほども申し上げましたが来週開催する予定の緊急オンライン会議等において徹底をしてまいりたいと考えておりますし、またこうした事案、今、警察が栃木については入っているわけでありますけれども、教育委員会も含めてどういう状況になっているのか、何が問題だったのか、様々なことが今、検証作業が進んでいると言いますか、実態解明というか事実把握が進んでいるというふうに承知をしているところでありまして、これらが分かり次第、文部科学省のほうにも報告が上がってくるものと承知をしております。そうした今回の事案がなぜ発生をしたのかとか、そういうことをしっかりと我々としても検証をさせていただいた上で、先ほど申し上げたように実際に存在をするいじめをなかなか学校であったり、そして行政が把握できていないということを、いかようにしてそれをしっかりと把握することができるようにすることができるのかということについても検討していくということが必要ではないかと思っております。まずは今回の件について今、調査中ということでありますので、その調査結果をしっかりと我々として受け止めて今後に生かしていかなければいけない、そういうふうに考えております。
記者)
冒頭発言でもありましたISS、国際宇宙ステーションに関してですけれども、ちょっと今日の朝の話でまだ情報が十分にないかもしれないのですけれども、体調不良者が出たということで油井飛行士が早めに帰還されるという話が出ています。先ほどの話では諏訪飛行士が来年にもということでしたけれども、現状、一連の計画が少し狂ってくるとか、何か明らかになっているとかあれば教えてください。また、諏訪飛行士のISS行きに関して何か影響があるのかということも合わせて教えてください。
大臣)
米国時間の8日、米国航空宇宙局、いわゆるNASAから国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士に健康上の問題が生じたため、油井宇宙飛行士を含むクルードラゴン宇宙船運用11号機の搭乗員を早期に帰還させると発表したことについては承知をしているところであります。ただ、今後の対応につきましてはNASA、JAXAを含むISS参加各局で調整されるものと認識をしているところでありまして、我々としてはそちらのほうの調整というものを見守ってまいりたいと思っているところであります。なお、油井宇宙飛行士の健康状態は問題ないというふうに聞いております。
(了)
大臣官房総務課広報室