令和7年12月5日(金曜日)
教育
目黒区立上目黒小学校の視察、授業時数の柔軟化に係る課題と今後の方針、留学生の授業料の設定に関する見解と東北大の授業料値上げの受け止め
令和7年12月5日(金曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年12月5日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは1件であります。昨日、目黒区立上目黒小学校を視察いたしましたので御報告をいたします。上目黒小学校では、文部科学省から研究開発学校の指定を受けておりまして、各授業を5分短縮し、生み出した時間を用いて特色ある教育活動を実施しているところであります。今回は、子供たちが自ら探究したい事項を決めて学習を進める「はかせタイム」というものを視察いたしましたが、子供たちが受け身ではなくて積極的に学ぶ姿が印象的でありました。これまでの学校教育では必ずしも得ることができなかった経験ができているということを感じたところであります。教育委員会や学校の先生方とも意見交換をさせていただき、授業時間を5分短縮しても学力は維持できているということ、「生み出した時間」の一部を用いて先生方が研究や研修を行いながら特色あるプログラムを実施していることをお伺いいたしました。時間数は減ったけれども、子供たちに教える内容というものは決して減らしていないということであります。また、こうした取組を区内で広めていく過程で教育委員会による学校への伴走支援体制の構築や各教師による授業改善、保護者に必要性を理解してもらうことなど、様々な課題を乗り越えてこられたことも伺い、大変参考になったところであります。上目黒小学校の研究は、次期学習指導要領の基本的な方向性とも一致する大変重要な取組であります。今回の視察を通じて得られた知見を今後の検討に生かしてまいりたいと考えております。私からは以上です。
記者)
御視察された上目黒小の取組に関連してでございます。時間数の柔軟化、これは目黒区では非常に成果を上げていると伺っておりますけれども、やはりこれに関しては地域によって様々な意見があり、懸念もありますし、また時間数を柔軟化というのもそもそも削減してほしいというような意見もあると聞きます。今回視察されて、改めて授業時数の柔軟化というものに関して感じた課題があれば大臣から伺いたいと思います。
大臣)
先ほどもお話をさせていただきましたけれども、大変成果を上げているという報告もおっしゃるとおりいただいた一方で、これを広めていく過程においては様々な声があったということもお伺いをしたところであります。例えば、学校の先生も5分がやはり削減されるということで授業の内容についての再構築が必要になった部分があったりですとか、でも逆にそれが実際に今までやっていた授業の中身を改めて先生方も精査をして、非常に効率的な授業をすることになったということもメリット、デメリット、それぞれあったということだと思います。それを乗り越えてこられたということだと思いますし、また保護者の方にも御理解をいただくのもやはりそれなりにいろいろと大変な状況というか課題があったということでありますが、そこのところについても地域の理解というものを得るということも大変だったというようなお話もお伺いをしたところでありますが、それを乗り越えて今では保護者の皆さんにも大変好評をいただいている、理解をいただいているということがありました。現在、目黒区をはじめとする自治体の取組も参考にしつつ、多様な形で教育課程の柔軟化できる仕組みを検討していますが、並行して学校や教育委員会が経験や知見を十分に蓄積しておく必要性というものも感じたところであります。このような取組につきましては、今年度から目黒区を含む約50校で実施されており、事例の蓄積を進めているところであります。さらに、来年度からは「教育課程柔軟化サキドリ研究校」といたしまして、全ての都道府県・指定都市で多様な事例を数多く創出し、知見の全国的な共有を強力に推進したいと考えております。詳細はさらに検討してまいりますけれども、教師と子供の双方に余白を生み出し、全体として教育の質の向上につながることが大事であり、年間を通じた授業時数の平準化や必要に応じた内容の精選の在り方も含めまして中央教育審議会で丁寧な審議を進めてまいりたいと存じます。やはり、いきなりやれというような話だったりとか言われても、なかなか現場での対応というのは大変だと思いますが、そうやっていろいろな事例を先行的に積み上げている、そうした現場のノウハウであったりとか経験というものをしっかりと蓄積をして、それを体系的に全国に広げていくということで、それぞれの学校がこれまで苦労したようなポイントを乗り越えるための手助けというものもしっかりとやっていくことが大事なのかなということはすごく感じたところであります。
記者)
東北大が留学生の授業料値上げを発表しました。私学でも早稲田大学が値上げを検討していると報道されています。留学生受け入れには日本語支援など、日本の学生とは別の費用がかかるので学費に転嫁するというのが必要という議論もある一方で、値上げをすると留学生の受け入れの競争のところでも競争力が低下する可能性もあります。留学生の学費設定に関する文科省としての考え方や東北大の発表に対する受け止めを教えてください。
大臣)
外国人留学生の受入れは、大学における教育研究活動の質や国際競争力の向上に資するものと考えております。授業料は各大学の自律的な判断に基づいて設定されるものでありますが、外国人留学生の受入れのための体制整備やきめ細かい持続的・安定的な支援などには相当のコストがかかるものと承知をしているところであります。そのため、文部科学省といたしましては各大学の実情に応じて必要かつ適切な授業料を設定し、留学生の受け入れ環境の質向上を図りつつ、大学の国際競争力の向上に取り組んでいただきたいと考えております。なお、東北大学は今回の授業料改定により外国人留学生の受け入れ環境を整備し、さらなる教育、研究、生活環境の質の向上を図る取組を充実させると聞いておりまして、国際卓越研究大学として我が国を牽引していただくことを期待しているところであります。
(了)
大臣官房総務課広報室