松本洋平文部科学大臣記者会見録(令和7年12月2日)

令和7年12月2日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

ユネスコ無形文化遺産への提案案件の決定、旧統一教会の名称変更に係る行政文書の公開請求に係る判決、学校基本調査における18歳人口・大学進学率算出時の特別支援学校中学部卒業生の除外、総合科学技術・イノベーション会議における総理からの基礎研究および基盤的経費への投資の大幅拡充指示、H3ロケット8号機の打ち上げと今後のロケット技術の発展に向けた取組、生成AIを活用した検索サービスにおける新聞記事の収集引用と著作権の関係、北海道大学の後期入学試験と大規模イベントとの重複によるホテル需要の高騰と受験の機会確保

松本洋平文部科学大臣記者会見映像版

令和7年12月2日(火曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和7年12月2日松本洋平文部科学大臣記者会見

令和7年12月2日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

松本洋平文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 まずは昨日、グループインタビューを行わせていただきまして、本当にありがとうございました。またしっかりとメディアの皆さんとも懇談をしながら私自身の思い、また文科省の思いをこれからも伝えていくことができればと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 冒頭、私からは1件であります。11月28日金曜日に開催されました文化審議会におきまして、ユネスコ無形文化遺産に関しまして、新規提案候補といたしまして「神楽」、「温泉文化」を選定し、ユネスコによる審査の優先順位は「神楽」、「温泉文化」の順とする、拡張提案候補として「山・鉾・屋台行事」、「風流踊り」、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を選定するとの答申がなされたところであります。同日、これを受け開催されました無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議において了承されましたので御報告をいたします。今回提案が決定した案件につきましては、いずれも我が国からユネスコに提案するにふさわしい案件として選ばれたものであります。これを機に、国内外における認知の向上やこれらの文化の保護・継承が一層進むことを期待しております。今後、登録に向けて必要な準備にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。私からは以上となります。
 
記者)
 旧統一教会が2015年に名称変更した経緯を記した行政文書を文化庁が不開示としたことにつきまして、大阪地裁が先日、不開示決定の一部を取り消す判決を出しました。この名称変更の経緯について、原告側はこの検証は公益性が高いというふうに主張しておりまして、判決ではこの文書の全てを不開示とするというのは合理性がないというふうに判決を出しております。受け止めを大臣から伺いたいと思います。
 
大臣)
 先月の28日、平成27年に認証された旧統一教会の名称変更に係る行政文書の情報開示請求訴訟において、国が一部敗訴する旨の判決が言い渡されたところであります。本判決では、国の主張の一部が認められなかったものと認識をしているところであります。今後につきましては、判決の内容を精査した上で関係省庁とも協議をいたしまして適切に対応してまいりたいと存じます。以上です。
 
記者)
 学校基本調査についてお伺いします。文科省が毎年算出している大学進学率について、分母として18歳人口を使っていると思うのですけれども、ここに特別支援学校の中学部の卒業生の方が含まれていなかったということが分かりました。例年、約1万人いる卒業生なのですけれども、分母から除外されることと、それによって大学進学率が実態と異なる数字となっていることがどうなのかなという思いがあります。適切だとお考えかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。また、過去にさかのぼって集計し直すことも可能だと思いますけれども、18歳人口の定義ですとか、それに基づく集計をし直すというお考えはありますでしょうか。
 
大臣)
 今、お話がございましたように、学校基本調査報告書においては、経年比較するデータとして本算出方法を従来より用いてきたところでありますが、御指摘のような懸念はしっかりと受け止め改善を図るべきであると考えております。当時の経緯は不明でありますけれども、必ずしも適切ではなかったというふうに私自身考えているところであります。このため、大学進学率の算出方法の在り方については早急に見直すように指示をしたところでありまして、その中で、学校基本調査で用いる18歳人口の範囲の変更や再集計についても検討をしてまいります。文部科学省といたしましては、適切なデータ把握の観点から調査、統計の不断の改善に取り組んでまいりたいと存じます。以上です。
 
記者)
 特別支援の中学部を卒業した方々に何かメッセージがあれば教えてください。
 
大臣)
 今しがたも申し上げましたけれども、遅くとも1999年からこういう形になっていたということであります。また、学校種ごとの大学進学率のところには特別支援学校の皆さんの数字というものも示されているところであります。ただ、先ほども申し上げましたように何でこういう形になったのかという当時の経緯というものは不明であるという状況でありますけれども、ただ昨今の状況、またいろいろな御指摘をいただく中で私自身の思いといたしましても必ずしも適切ではなかったということから今回、早急に見直すようにという指示を私のほうから出して、今それに基づいて文科省の中で検討が行われているところであります。これによって、不快な思いであったりとかをされた皆さんには私からもお詫びを申し上げたいと思いますし、今後こうしたことがないようにしっかりと徹底をしてまいりたいと思います。
 
記者)
 11月28日に開催された総合科学技術・イノベーション会議において、高市総理から関係閣僚に対して日本の研究力を高めるために国立大学に配分される運営費交付金などの基盤的経費や基礎研究を当初、大幅に拡充するよう指示がありました。こうした指示を受けて文科省としてどう取り組んでいくのか、見解を教えてください。
 
大臣)
 御指摘の「基礎研究への投資の大幅な拡充」に関する総理指示につきましては、先般まとめられました「科学の再興」の有識者会議の報告書においても提言をいただいておりまして、文部科学省としても最優先で取り組むべき課題の一つとして認識をしているところであります。先般閣議決定されました令和7年度補正予算(案)におきましても、物価、人件費の上昇などを踏まえ、国立大学法人運営費交付金421億円を含みます国立大学の教育・研究基盤維持費などや科研費創発事業による若手研究者の国際的・創発的研究などへの支援433億円などの必要な経費を計上しているところであります。文部科学省としては、令和8年度当初予算を含めまして来年度から始まる第7期科学技術・イノベーション基本計画におきましても、基盤的経費や基礎研究への投資の大幅な拡充に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。加えて、他府省・民間企業などからの基礎研究への投資が進むようにしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。先日もこの定例の記者会見の場で、財政審の指摘に対してということで私のほうから基礎研究をしっかりと支えていかなければいけないですし、そのためには運営費交付金を確保していかなければいけないということをお話させていただいたと思いますけれども、それに沿う形で総理が大変力強い声明と言いますか、発言を会議の場でおっしゃっていただいたことというのは私自身、大変嬉しく思っているところであります。この総理の御発言というものを受けて、令和8年度予算編成の今真っただ中でありますけれども、必要な額を確保することができるように文科省としても全力で取り組んでまいりたいと思います。
 
記者)
 宇宙関連で1点お伺いをしたいのですが、来週にH3ロケット8号機の打上げが迫っているかと思います。今回は政府の衛星「みちびき」を打ち上げます。2025年度内に7号機体制に向けて着々と準備を進めていますが、今回の打上げを含めた今後への期待を教えていただきたいのと、H3ロケットは今回成功すれば6回連続の成功というふうになりますが、今後、高度化や日本の輸送技術の強化に向けて文科省が取り組むべきことがあれば教えてください。
 
大臣)
 12月7日日曜日に、H3ロケット8号機によりまして準天頂衛星「みちびき」の打上げが予定されております。国民の皆さんからも大きな関心が寄せられておりますし、私自身も打上げの成功を期待しておるところであります。御指摘のとおり、これまでH3ロケットは5機連続で打上げ成功ということでありまして、我が国のロケット技術の信頼性の高さを示すことができているものと考えているところであります。今後も引き続き打上げ実績を着実に積み重ねるとともに、小型衛星を複数同時に打ち上げるための技術開発やロケット打上げの高頻度化のための種子島の射場施設等の整備を進めることとしているところであります。文部科学省としては、これらの取組によりまして打上げコストの低減につなげ、国際競争力を強化し、我が国の宇宙開発利用の発展に大いに貢献してまいりたいと思います。
 
記者)
 生成AIの検索サービスに関する質問です。アメリカの生成AI事業者が展開する検索サービスで新聞社などの記事を無断で収集、利用しているということで、新聞社のほうで提訴をしたり抗議したケースが相次いでいます。こうしたフリーライトが行われている状況に著作権法など知的財産関連の法令の見直しや整備を求める声も上がっておりますけれども、著作権法を所管する大臣としての御見解をお願いします。
 
大臣)
 生成AIを活用いたしました検索サービスの提供をめぐりまして、新聞社から訴訟の提起等がなされていることに関しては報道などによって承知をしているところであります。AIと著作権の関係については、権利者の懸念を払拭する観点から文化庁におきまして「AIと著作権に関する考え方」をまとめ、AI学習やAIを活用した検索サービスでの著作物の利用について、権利者から許諾を得ることが必要な場合があり得ることなどをお示ししているところであります。他方で、この考え方については社会への浸透を進める必要があり、文化庁においてはこの「考え方」やそれを分かりやすく解説した「チェックリスト&ガイダンス」を通じた周知啓発などに積極的に取り組んでいるところであります。こうした周知・啓発や具体的な裁判判例、裁判例の事例の蓄積、AIやこれに関する技術の発展、諸外国における検討状況の進展などについて、引き続き情報の把握、収集に努め、必要な検討を行ってまいりたいと存じます。御指摘の件は、アメリカの恐らく検索会社、AIの検索サービスの件かと思いますけれども、実際、米国内でも米国の新聞社から当該者に対して訴訟などの措置が行われているというふうに承知をしているところでもありまして、そうした様々な状況というものもしっかりと我々として把握をしながら、どういう対策をしていくことが適切なのか検討してまいりたいと思います。
 
記者)
 大学入試についてお伺いしたいのですが、北海道大学の後期の日程の翌日から人気アーティストのコンサートが開催されるということで受験生の宿泊先が確保されないのではないかという心配の声が上がっているようです。受験生はもちろん、両者にとっていい結果になるのが1番かなと思っているのですが、大臣の考えを教えていただけたらなと思います。
 
大臣)
 北海道大学の令和8年度入学者選抜の後期日程とアイドルグループのコンサートの日程が隣接をしているということで、宿泊需要が高まっているとの報道は承知をしているところであります。現在、北海道大学の生活協同組合においては受験生のためのフライトパックを案内しているということでありまして、また北海道大学においては受験生の皆さんが安心して受験に臨めるよう情報の発信に努めると伺っているところであります。私といたしましても、まずは状況を注視していきたいと思いますが、受験生の皆様におかれましては大学などの公表する情報によく注意を払っていただき、落ち着いて受験の準備を進めていただきたいと思います。札幌市長も先日の記者会見におきまして、この問題に対する懸念、そしてそれに対して対応していきたいというような形の会見での発言があったというふうに承知をしているところでもありまして、大学当局もそうですし自治体とも文科省としても連携をしてまいりたいと思います。
 
(了)

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大臣官房総務課広報室