令和7年11月25日(火曜日)
教育、スポーツ
「観世宗家伝来 世阿弥能楽論『風姿花伝』」のユネスコ「世界の記憶」事業における国際登録への新規申請、アジア競技大会・アジアパラ競技大会の開催に向けた期待と支援の方向性及び過去の閣議了解を踏まえた対応、高校無償化に伴う学力・経験格差の是正に向けた支援、私立大学における入学金に係る学生の負担軽減に関する調査、中野区で発生した教員間におけるセクハラ問題への見解
令和7年11月25日(火曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年11月25日松本洋平文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは1件です。先週、ユネスコ「世界の記憶」関係省庁連絡会議が開催をされました。これを受けまして、我が国からは「観世宗家伝来世阿弥能楽論「風姿花伝」」をユネスコ「世界の記憶」事業における国際登録の新規申請案件として推薦することを決定いたしました。「風姿花伝」は、能を大成した世阿弥が15世紀前半に執筆した代表的な能楽論で、世界的に高く評価される演劇論であります。今回推薦する記録物は、観世宗家に伝わる最古の写本一冊と世阿弥直筆とも伝わる第六巻、第七巻の三冊からなります。今後、今月末までにユネスコに申請書を提出し、ユネスコにおける専門家による審査を経て2027年春に登録の可否が決定される予定となっております。文部科学省としても、登録実現に向けて引き続き申請者等と連携して取り組んでまいります。私からの冒頭発言は以上となります。
記者)
愛知・名古屋アジア大会についてです。開催まで300日を切りました。まず、32年ぶりの日本開催となりますが、この大会への期待をまず伺いたいと思います。もう1点、組織委員会は国に400億円の支援を求めていると伺っております。一部には130億円の支援との一部報道もございますが、それも含めて支援の見通しについてお話を伺えればと思います。
大臣)
まず、愛知県と名古屋市で共催するアジア・アジアパラ競技大会が、今お話がありましたように日本、愛知・名古屋で開催されるというのは本当に私自身嬉しく思っているところでありますし、大変期待をしているところでもあります。オリンピック・パラリンピックと違ってこのアジア大会、そしてアジアパラはアジア特有の競技といいますか、そういうものもあるところでもありまして、そういう意味ではいわゆるオリンピックやパラリンピックとは違うまたいろいろな見方ができる、そういう大会だとも思いますし、またアジアならではのそうした素晴らしさみたいなものをぜひ国民の皆さんにも知っていただくような、そういう機会になるような、そんな大会ではないのかということを感じております。私自身も一国民として大変楽しみにしているところであります。本大会につきましては、大会に関する特別措置法案が議員立法によって今国会に提出をされる予定と承知をしているところであります。21日に閣議決定されました経済対策においても大会に対する支援についてが、盛り込まれました。まだ実際の議員立法が出ていませんし、当然国会での議決を経たわけでもありませんので、具体的な中身についてのコメントというのは現時点においては差し控えたいと存じますが、過去の国際競技大会等の支援内容も踏まえますとアジアパラ大会経費であったりとか、競技場警備に係る費用の一部並びに機運醸成や地域スポーツ振興に対する支援を考えており、必要な額に関しましては実際に議員立法が国会で議決をされた後にしっかりと精査をしてまいりたいと存じます。
記者)
今、幹事社質問でもありましたアジア競技大会について追加でお伺いします。大臣もおっしゃられたように経済対策、総合経済対策でアジア・アジアパラ大会について開催支援に取り組むと明記されていましたが、2018年の閣議了解では大会運営費については国による負担も助成も行わないとされています。政府としてこの閣議了解をどう乗り越えるのかをお伺いします。国費負担の在り方についてもお考えを伺います。
もう一つ質問がありまして、また別件なのですけれども、公立学校の比較の関連について伺います。私立高校の授業料の実質無償化では、高所得世帯が浮いたお金を塾代などに回せることから保護者の経済力による学力であるとか経験の差というのが懸念されているところかと思います。これも総合経済対策のほうで教育の再生として基金による支援が盛り込まれて、地域や大学との連携による高教育の再生として放課後などに進学や就職、あと探究活動などを地域と連携して進めるというところも今、その充実を図る取組の推進が検討されているということも伺っております。その取組の内容や目的、あと大臣のお考えについて伺います。
大臣)
ありがとうございます。まず、前段のアジア競技大会並びにアジアパラ競技大会に関してでありますけれども、閣議了解によって国からの支援は行わないことというふうにされていることは私自身ももちろん承知をしているところでありますけれども、ただ先ほどもお話をしたように議員立法において大会に対する国の支援について規定された特別措置法案が今国会に提出をされる予定というふうに承知をしておりますので、そういう意味ではこの国会で御決議をいただいたというか、国会で審議の上、議決をし、そして成立をする予定になっているのですかね。この特別措置法案というものに沿って我々としては支援を、先ほど申し上げたように精査をし、行ってまいるということになろうかと思います。
もう1点、公立の高校に関して、いわゆる高校無償化によってむしろというか、それによっていわゆる所得による教育格差が生じるのではないかというようなことのお尋ねであります。もちろん高校無償化というのは、経済的負担の軽減はもとより多様で質の高い教育機会の確保とともに、生徒が高校で学ぶ選択肢の充実を目指すものということであります。そして、我々三党の合意におきましては、我々ではないですね。ごめんなさい。三党の合意におきましては、公立高校への支援の拡充を行うこととされているところでありまして、国として「高校教育改革に関するグランドデザイン」を提示いたしまして都道府県によって計画を策定していただくというような形になっているところであります。総合経済対策におきましても、グランドデザインに沿った緊要性のある取組等について都道府県に造成する基金等による先行的な支援を実施していくこととなっているところであります。現在、このグランドデザインについての検討というものを進めているところでもありますし、また私のもとに設置をされましたタスクフォースにおきましても、高市総理から指示を受けた人材の育成に向けた総合的な取組というものを文部科学省一丸となって今検討を進めている最中であります。私は常日頃から家庭の環境等々によらないで子供たちの教育の質をしっかりと高めていくことができるようにしていかなければいけないということをお話させていただいていると思います。実際にそのつもりでこれから私自身先頭に立って様々な政策を実現するための調整、また協議というものをしていきたいと思っておりますけれども、家庭の環境によらないという部分をどこに捉えるのかということかと思いますが、当然そこはもちろん高校であったりとか学校の授業料といったような、そういう経費はもちろんでありますけれども、今おっしゃられたようにいわゆる学校外教育に係る費用というものをどう考えるのかということも私は同時に考えていくことが極めて必要なことでもありますし、適切なことなのではないかと私は個人として大変強くそこの意識は持っているところであります。今申し上げたように、具体的なそれに対する対応や施策というものについては当然、公立学校の教育の質を上げていくということももちろんその解決策の一つだと思いますし、また学校外教育をどう考えていくのかということも一つの考え方と言いますか、論点だと思っているところでもあります。いずれにしても、今検討途中のものでありますから、今日この場で何か具体的なお話ができるということではありませんけれども、そうしたことも念頭に置きながら家庭環境やそうした地域によらず子供たちの学びの機会、そして質の確保をすることができるように全力あげて取組を進めてまいりたいと思います。
記者)
18日に民間運営団体の入学金調査プロジェクトが会見を行いまして、都内の私立大学で入学金の返還などの負担軽減制度を募集要項に明記していたのが4校だけだったという結果を報告されていました。この大学の入学金の負担軽減の検討に関しては、文部科学省で6月に通知を出しているかと思いますし、今調査もするというふうなお話も出ています。ただ、都内だけとはいえ、現状この少なさについてどのように思われるのかということと、今後調査などを通じて大学側にどのような働きかけをしていくのかというところも教えていただければと思います。
大臣)
御指摘の民間団体の調査結果については報道などにより承知をしているところでありますが、調査の詳細な対象であったりとか、また設計については承知をしておりませんのでこの場でのコメントは差し控えたいと考えておりますが、先ほどお話をしたとおり、文科省としての考えは既に通知という形で各大学にお示しをしたところでもありまして、こうした取組というものが広がっていくことを私自身は期待をしているところであります。文部科学省といたしましては、本年6月の通知を踏まえた各大学の対応状況や今後の対応の方向性などについて、現在、全私立大学を対象としたアンケートを実施しております。このアンケートは11月に開始をいたしまして、11月28日締め切りという形でアンケートをお願いしているところであります。結果がまとまり次第、公表することを予定しておりますが、このアンケートによって全体の取組状況を把握するとともに、得られた好事例などについて各大学の参考となるように周知を図る等、大学の対応もしっかりと進むように取り組んでまいりたいと存じます。
記者)
東京都中野区で教員間のセクハラについて、学校が虚偽の報告書を教員に提出していたことが判明しました。学校は被害者側の女性教諭に聞き取りをせず、報告書は加害者とされる男性教諭の言い分のみを盛り込んだ内容となっていますが、区教委は作成途中のメモであると説明し、再調査には否定的です。この件に関する大臣の受け止めと、教育委員会、学校でのセクハラ調査の在り方に関する考えを教えてください。また、中野区教育委員会に何らかの指導をする考えがあれば合わせて教えてください。
大臣)
御指摘の事案については報道で承知をしております。まずは、第一義的に東京都教育委員会を通じて状況の確認を行うこととしておりまして、その上で状況を踏まえまして必要な指導・助言を行ってまいりたいと考えております。なお、一般論として申し上げればセクシュアル・ハラスメントが疑われる事実があった場合は、関係者から聞き取りを行うなどして事実確認の上で適切に対処することが重要だと考えております。いずれにいたしましても、セクシュアル・ハラスメントをはじめ、職場におけるハラスメントは決してあってはなりません。文部科学省としては、各教育委員会に対しましてハラスメント対策措置の実施、行為が明らかになった場合の厳正な対処を求めているところでありまして、引き続きハラスメントの防止に取り組んでまいりたいと存じます。
(了)
大臣官房総務課広報室