令和6年10月1日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他
内閣総辞職、大臣在任中の成果や課題、大臣在任中における出張や視察、教員の働き方改革、旧統一教会の事案に対する所感
令和6年10月1日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年10月1日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭の発言というのは、先ほどの臨時閣議で内閣総辞職が決定されました。要は、辞表を取りまとめをしたということでございます。昨年9月13日に文部科学大臣に就任して以来、この記者クラブの皆さんを含め、多くの方々に大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。以上です。
記者)
大臣の期間を振り返って最も印象に残っていたことは何でしょうか。
大臣)
なかなか最もと一つに絞るのは難しいのですけれども、いろんなことをさせていただいた。就任のときにも申し上げたかと思うのですが、学校教育のICTはやっていましたけれども、それ以外はあまり文部科学の分野はそれほど明るくなかった、あまりやっていなかったものですから、そういう点で、教育、科学技術、スポーツ、そして文化・芸術と、この四つの分野、いろんなものに携わらせていただいて、私にとりましては本当に勉強になった、いい経験をさせてもらったと、そんなふうに思います。あとは何でしょう。もっと各論を言えと、こういうことでしょうか。
記者)
その中でもということで。
大臣)
やはり1番私にとってしんどかったのは、旧教会のことでしょうね。2月、3月は本当にひどい報道でしたと私には思えるのですけれども、あれがやはり1番しんどかったですかね。他の国会答弁ですとか予算要求ですとか、それはいろいろ結構しんどい折衝ですとかね、厳しい質疑応答、答弁、そういうのはありましたけれども、精神的に厳しかったのはやはり旧教会の関係ではないかと思います。もう一言付言させていただければ、某社の会長、社長には先日お目にかかったときに申し上げましたけれども、やはりちゃんと中立的な報道をしてほしいですねということは申し上げました。事の本質は何であって、何をどう報道するのが正しいのか、そういうことをぜひ考えてもらわないと、やはり会長、社長に会ってもいい顔はできませんよということは申し上げたことはございます。
記者)
全て断ち切れていらっしゃいますか。
大臣)
私自身ですか。全く関係はありません。そして、今なお、例の去年の10月13日の解散命令請求から約1年が経とうとしております。その結論が早く出ることをうちの担当者とともに待っているところです。
記者)
約1年間にわたりお疲れ様でした。教師の働き方改革ですとか人材確保が課題となる中で、大臣も就任会見の際に正直妙案はありませんということをおっしゃられていたかと思うのですけれども、それでもこの1年間の間に中教審答申を基に環境整備推進パッケージを取りまとめるなど、前進した部分がかなりあるのではないかなと思っております。ただ、これらの施策が現場で変化とか効果みたいなところを実感できるようになるまでにはもう少し時間がかかるのかなというところで、ぜひ大臣から学校現場の教師ですとか、あるいは教師を志す若い人たちに向けてメッセージがあればいただけますでしょうか。
大臣)
今、ありがたい評価をいただきましたけれども、今なお現在進行形ですよね。教師の働き方改革ということで、勤務時間というか、学校にいる拘束時間をどう短くするかであり、処遇の改善であり、そしてまた学校における学校の中での組織と言うのでしょうか、こういうもの、これを一体的に改善に取り組んでいこうということでやっているところであります。実際の具体的な目に見える成果が出てくるにはやはりまだ時間がかかると思いますけれども、これは過去の記者会見でもお話したと思うのですけれども、外国のフランスであれ、あれはポーランドですかね、ですとか、イギリスもそうかな、各国の大臣、担当大臣等と話をしたときに、やはりそれぞれの国もなかなか教師になる、教師不足、そしてそれへの対応で御苦労しておられるということをやはり同じように感じました。ただ、だいぶプレスの皆さんには働かせ放題というような御批判はいただいたのですけれども、OECDも含め、ほかの国もやはり教師というのは普通の労働者とは違うということでは皆さん同じ発言でありました。ぜひ教師になって、これは小学校、中学校、高校、大学、幼稚園も含めて対象とする年齢はいろいろ違いますけれども、そういうお子さんを育てる、そしてそういうお子さんからするとやはり先生というのは絶対的な存在ですから、先生が言うことは正しいと普通は思うわけですよね。ですから、そういう点で皆さんの役割は大変大きいものがありますよと。そして、きっと私も小学校の先生も中学校の先生も、あるいは大学の先生もよく覚えていますけれども、尊敬する先生というものに対してはお子さんはきっと一生忘れない、一生お付き合いをする、そういうような存在ですから、ですから我々としてもできるだけ先生方の働く環境、これを改善したいと、これからも努力しますけれども、ぜひ意欲を持って教職という世界に飛び込んでいただきたいなと、そんなふうに感じます。
記者)
本日発足する東京科学大についてなのですけれども、指定国立大学法人同士の統合は初めてで大変注目を集めているかと思いますが、改めて大臣のこの新大学への期待をお聞かせください。
大臣)
国立大学同士で、ちょっと古い言い方をすると一期校同士(注)ですね、私が受験していたころは一期校、二期校です、一期校同士(注)でそれぞれ立派な大学である東工大と医科歯科が合併するというのは大変なインパクトがあると思います。そして、これは他の大学にも大きな影響を与えるのではないかと思います。そして、文理融合という言葉がありますけれども、そういうようなもの、そしてそれぞれの学部の縦割りの垣根を超えて、例えば工学と医学、歯学、こういったところが垣根を超えて共同で研究をするだとか、あるいはやはり同じ大学という傘の下で密接に顔を合わせていろんなアイデアを出していく、そういうようなことでこれからの新しい課題ですとか、そういうものの解決に大きく牽引者となっていただける、そういうような大学、あるいは研究拠点になるのではないかなと期待しているところです。ぜひ法人が統合して、ただ単に物理的に名前が一つになったということだけではなく、くっついたということでこんなに良かったというふうに、大学関係者だけではなく多くの国民の皆様にも感じていただけるような、そういうような成果を早く出していただきたいなというふうに心から期待しております。
(注)一期校・二期校とは昭和24年度から昭和53年度まで実施されていた国立大学の入学者選抜に関する制度区分のことで、東京工業大学は一期校、東京医科歯科大学は二期校に区分されていました。
記者)
約1年間、大変お世話になりました。在任中、国内外問わず多くの出張ですとか視察に行かれていたかと思うのですけれども、印象に残っている視察先ですとか、視察を生かせた施策、あるいはまだ生かしきれなかったものなどがもしあったら教えていただきたいのと、御記憶にあれば何か所、何回くらい行かれたのかとかももし分かれば教えていただければと思います。
大臣)
なんとこのメモを見ますと、国内出張は90回、海外出張は7回ということでございます。1番最初にインパクトがあったのは、これは本当に行かないといけないの、と私のほうから問い合わせをしました、1泊4日というユネスコ総会への出張でありまして、金曜の夜中に出て土曜日の朝着いて、土曜日のユネスコ総会で演説をして、発表して、壇上でもちょっとやりましたね。それで、一泊して翌日の日曜日の便に乗って月曜の朝に成田に着いて、そのままここへ入ってモーニングに着替えて勲章伝達式か何かに行ったというのが、なかなか人遣いの荒いところだなというふうに思いました。あとは、やはり印象に残るのは総理のお供で4月に日米首脳会談にくっついて、私は首脳会談のメンバーではないのですね。首脳会談のメンバーは総理と外務大臣、経産大臣で、私はその他随行ぐらいになりますけれども、ネルソンという向こうのNASAの長官と署名をして、アルテミス計画ですね。そういうものを推進することができた。そしてまた、ホワイトハウスに初めて入ってバイデン夫妻ですとかにも会いましたし、それから向こうのアメリカの下院だったと思いますけれども、ここへ入って岸田総理の演説を聞くことができた。こういうのは今までになかったことなのですごく印象に残っています。あと、成果ということで言うとG7の大臣会合、あるいは日中韓の3か国の会合、こういうのもやりまして、それなりに署名や何やらで進んだのではないかと思いますが、実はやはり強く印象に残るというか、行ってよかったなと思うのはウクライナとポーランドでしょうね。ウクライナは、閣僚としては4人目、岸田総理、林外務大臣、そして上川外務大臣に続き4人目で日帰りで行きました。今後のウクライナの復興・復旧に向けての教育ですとか、科学技術、あるいはスポーツもそう、文化財、こういうところの話をできて協力ができたのは良かったと思いますし、ウクライナにとって文部科学大臣が訪問したというのは初めてだと聞きました。またその翌日、ポーランドでも教育担当の大臣その他と話をしたのですけれども、ポーランドも文部科学大臣が行くのは初めてということでざいましたので、各国から我々日本、文科省に対する期待が高いなということは強く感じました。そういう点で、今後とも文科省の大臣にはいろんなところへ行って協力、そういうものを進めていっていただければなと思います。
あと、国内もいろいろ見せていただきました。そうですね。ごく最近で印象に残ったのはやはりスーパーカミオカンデを見に行った、岐阜県の富山県との県境に近い上岡にある施設でしょうか。スーパーカミオカンデは確か600メートルぐらいの深さだったのですかね。それでハイパーカミオカンデというのを今はやっていて、これも何百メートルのところですけれども、よくこういうような施設を、小柴先生がそれのもっと小さいただのカミオカンデというのを昔作ったわけなのですけれども、いろんな関係者を口説き落として作ったなと。それがきっかけになって今はスーパーになり、さらにその次のハイパーというのを準備しているわけなのですけれども、東大の先生が、こんな冬場はきっと雪で閉ざされるような上岡によくこういうものを作ろうと思ったなと思いましたし、またいろいろみんなが反対する中、関係者を1人1人口説き落として、よくこういうニュートリノを発見できるような施設を作ったなということは、本当に脱帽、尊敬という感じであります。以上です。
記者)
パッケージの関係で、教職調整額の件で現行の3倍以上となる13%に引き上げる方針というのを概算要求に盛り込みましたけれども、ここまで筋道をつけたところで思うところと、実際に折衝はこれからになりますけれども、新大臣に期待するところがあれば一つというのを聞かせていただきたいのが1点と、もう1点は冒頭に出ましたけれども、旧統一教会との関係でいろいろ報道もある中で、一方で所管する大臣として解散命令を出していろいろ対応に追われたところではありますけれども、関係と対応を振り返って改めてもう一言いただけますでしょうか。
大臣)
教職のほうは13%というような形で今要求しております。ただ、処遇の改善だけではなく、先ほど冒頭も御説明しましたけれども、やはり拘束時間をどう短くしていくのか、労働環境、働き方改革、そして学校の中での体制の整備、それとやはり三つ一体になって改善をしていくべきものですから、そこだけを取り上げるというのはちょっと我々としてはどうかなと思います。いずれにせよ、学校の先生になって頑張ろうと思ってもらえるような環境を作っていくというのが私たちの今の目標ですから、要求をするところまでは私が担当させてもらいましたけれども、これからは新大臣にしっかりそれを引き継いでうまく進めていっていただければと思います。
旧教会の話は、先ほども冒頭に言ったとおりであります。淡々としっかり、できるだけ早い対応を我々としては望んでいるところでございます。付言するのであれば、旧教会側から起こされた訴訟、つまり我々がいろんな指示を出し、そしてそれに対する回答がなかったということに対しての先方側からの訴訟は、東京地裁も東京高裁も退けられておりますから、そういう点で、彼らがそちらのほうをどうするのかは知りませんですけれども、いわゆる本訴にあたります我々の解散命令請求、これについての結論をできるだけ速やかに裁判所に出していただきたい、そして今後の被害者への救済、これをどのようにしていくのかということに尽きるのではないでしょうか。それだけこの過程でも明らかになってまいりましたけれども、私の報道なんかもそうですが、旧教会側はマスコミの皆さんのお力も借りて、いろんな、自分たちがこうなのだ、しっかりちゃんとやっているのだ、みたいな報道をしているように私には感じられます。自分たちは悪くないというか、自分たちのほうが被害者だと言わんばかりの形のもの、そういったものに対する報道というのは正直いかがなものかなと私は感じております。いずれにせよ、早く裁判所で結論を出していただいて、そして次のステップに進んでいくということになるかなと考えています。
本当にどうも、1年間大変お世話になりました。誠にありがとうございます。今後、ここを離れますけれども、またどうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
(了)
大臣官房総務課広報室