令和6年9月24日(火曜日)
教育、文化、その他
中国・深圳日本人学校における事件への対応、G7イタリア文化大臣会合の出席、能登豪雨における被害状況と文部科学省の対応、性的被害に遭った児童生徒への適切な対応について
令和6年9月24日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年9月24日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
今日は二つございます。まず、深圳日本人学校の児童が逝去された件でございますけれども、深い悲しみを私も感じておりますし、心から哀悼の意を表したいと思います。未来ある子供の命がこのような形で突然にして奪われるということは、絶対にあってはならないということで、先日談話を公表したところでございますけれども、こういう結果になったということは大変残念なことであり、強い憤りを感じる次第であります。当文部科学省としては、外務省と連携をして、深圳日本人学校の児童生徒や保護者の方々の心のケアに努めるとともに、それ以外の在留教育施設を含めた安全対策の徹底を図っております。さらに、一昨日22日の日曜日には、心のケアを万全にしつつ、学校のニーズを的確に把握するため、文部科学省職員とスクールカウンセラーを派遣をいたしました。現地での対面による支援も開始しております。今後とも、深圳日本人学校はもちろん、世界各国に所在する在外教育施設に寄り添った支援に努めてまいる所存です。
それから2件目でございます。現下の様々な状況に鑑みまして、ちょっと予定を早めて帰国いたしましたが、18日の水曜日から22日日曜日の日程で、イタリアのナポリで開催されたG7文化大臣会合に出席してまいりました。今回の会合では、文化の多様性の保護と促進や、気候変動や自然災害に対する文化遺産の回復力の強化といったテーマについて議論が行われ、私からは、我が国の取組として、文化遺産の保護・継承や、過去の震災における被災した文化財の救援や修復に関する取組等を紹介しております。また、G7文化大臣会合の翌日には、アフリカ連合等が加わった拡大文化大臣会合が開催され、文化分野の支援の重要性が議論されたところです。両会合において、持続可能な社会の実現に向けて文化が重要な役割を果たすことや、課題解決のための国際的協力の重要性などが改めて確認され、合意文書が取りまとめられたところです。また、両会合における議論を通じて、我が国の文化遺産の保護や国際協力の取組等について理解を得ることができたことも成果であると考えております。また、この機会を活用して、今月、大臣に就任されたイタリアのジューリ文化大臣と会談し、我が国とイタリアとの文化交流や大阪・関西万博などについて意見交換を行いました。引き続き、文化協力における諸外国との連携・協力を進めてまいりたいと考えております。
記者)
質問ですけれども、日大の重量挙部以外でも奨学生の不正徴収がありました。これについての受け止めと、今後の文部科学省としての対応をお願いします。
大臣)
先週18日の水曜日、日本大学の陸上競技部やアイスホッケー部における金銭不祥事に関する調査結果が公表されたことは承知しております。重量挙部以外の部活動においても、このような事案が行われていたことについては、大変残念に考える次第です。先週、日本大学から事案の概要の報告を受けた際に、日本大学に対して、事案の究明や、被害者への丁寧な説明及び被害の回復、関係者に対する厳正な処分を行うよう改めて求めたところでございます。しっかりとした対応を進めていただきたいと考えています。
記者)
石川県での大雨についてお聞きします。現時点での休校の情報など、文科省が把握している現地での被害や影響の情報をお聞かせください。また、文科省としてこの大雨に対する対応であったり現地での支援について、お考えがあれば合わせてお聞かせください。
大臣)
今年元日の能登の地震、これからまだ復旧されていない中で、今回また奥能登地域を中心としてひどい豪雨災害があったということで、本当に大変お気の毒なことだと私も心を痛めております。まずは、お亡くなりになられた方に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々には心からお見舞いを申し上げたいと思います。現在、警察・消防・自衛隊等による懸命な捜索・救出・救助活動が行われております。まだ全体の概要がはっきりしていないところがございますけれども、安否が分からなくなっておられる中学生1名をはじめとして、現在も行方不明、安否が分からない方々の無事を心より願う次第であります。文科省関係の被害状況ということでありますが、昨日夕刻の段階で、学校敷地の一部の崩れ、あるいは建物への浸水など、5件が確認されているほか、大雨特別警報が出ていました、これはもう解除はされていますけれども、輪島市の小中学校全校では、今日と明日の2日間、休校措置がとられる予定であります。そして、今回の豪雨災害を受けてということになりますけれども、当省では、先週金曜日20日です、災害情報連絡室を立ち上げ、関係都道府県教育委員会等に対し、大雨の備えを万全とするよう注意喚起を行うとともに、児童生徒の安全を確保するため、本日、被災した学校で教育を再開する際の留意点を通知することとしております。また、国土交通省からは、JAXAの衛星「だいち2号」による能登半島の緊急観測の要請がありました。一昨日22日の12時頃に観測が行われ、当日中に提供された衛星データを基に、国土交通省にて土砂移動及び浸水の状況把握がなされたと承知しています。引き続き、関係機関等とよく連携しつつ、被害情報の丁寧な把握や、被災地域のニーズを踏まえた子供たちの安全確保、学校施設等の早期復旧に全力を尽くしてまいりたいと考えています。
記者)
今年の5月に神奈川県の茅ヶ崎市の小学校で、女子児童が上級生の男子児童から体を触られるという性的な被害を受けたという事案がありました。被害者側としては、学校内で加害者側と接触しないような対策を求めていましたが、結果的に、学校行事の際に両者が、被害者と加害者が鉢合わせることがあったり、学校側が保護者に了解を取らないまま加害者側の心情を被害者側に伝えてしまうといったことがありました。その後、女児はPTSDと診断され、市教委は学校の対応について謝罪をしています。この件についての大臣の受け止めをお聞かせください。また、生徒指導提要などで、トラウマに関する知識と理解を持つことや、児相などとの連携についても明記されています。茅ヶ崎市で策定されているマニュアルでも児相との連携について明記がされていましたが、今回はそれができていませんでした。学校における性暴力の事案が絶えない中で、どのような対策が必要と思われるか、その御意見についてもお聞かせください。
大臣)
御指摘の事案につきましては、報道等によって承知をしております。令和4年12月に改訂した生徒指導提要におきましては、被害に遭った児童生徒に対して、誤った指導を行うことで二次的な問題が生じないよう、最大限配慮することが求められること、また、性的被害等に遭遇した児童生徒は、PTSDを引き起こすことも多く、心身に及ぼす影響は深刻なものが多いため、慎重な対応が求められることなどを入れているところでございますが、そういうことを踏まえますと、今回の教育委員会や学校の対応は不適切であったと言わざるを得ないと考えています。当省では、今申し上げました生徒指導提要の周知・情報発信のほか、子供たちが性暴力の加害者・被害者・傍観者にならないようにするための「生命(いのち)の安全教育」の取組を全国の学校において推進しております。子供たちが充実した学校生活を送り、健やかな成長を遂げるためには、教育委員会や学校における取組が極めて重要であることは言うまでもありません。今後、茅ヶ崎市教育委員会等において、生徒指導提要や「生命(いのち)の安全教育」などを踏まえつつ、適切な対応をとっていただきたいと考えています。また、今後の対応についてもお問い合わせがありましたが、性被害に対する対応に関する全国で統一のマニュアルはないのですけれども、この生徒指導提要の一項目として、性的被害者への対応、あるいは性的被害者の心身のケアにおける留意点を示すとともに、「生命(いのち)の安全教育」の教師用の指導の手引きにおいて、授業後に、児童生徒が性暴力被害を受けていることについて相談を受けた場合の対応ポイントを示しております。当省としては、引き続き、これらの趣旨・内容について、全国の教育委員会・学校等に周知徹底を図ってまいりたいと考えています。
(了)
大臣官房総務課広報室