盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年9月17日)

令和6年9月17日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

G7文化大臣会合出席等のためのイタリア出張(9月18日~23日)、大阪公立大学の視察、北海道旭川市におけるいじめの再調査委員会の報告書公表について、武部貴則教授らの研究グループのイグ・ノーベル賞受賞、私立学校振興・共済事業団の調査結果を受けた今後の大学教育の在り方、火山調査研究推進本部のこれまでの取組の評価と今後の見通し、国立極地研究所で保管する火星の隕石の大阪・関西万博での展示、2013年の安倍元首相と旧統一教会会長との面談に関する報道について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年9月17日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年9月17日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年9月17日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は2件ございます。明日18日水曜日から23日月曜日の日程で、G7文化大臣会合に出席するため、イタリアを訪問します。今回の会合では、文化の多様性の保護と促進や、気候変動や自然災害に対する文化遺産の回復力の強化といった課題がテーマとなっており、我が国の取組を紹介するとともに、各国の取組を把握したいと考えております。G7文化大臣会合の後に、拡大文化大臣会合も予定されており、アフリカの文化遺産の保護や持続可能な開発への支援についても議論される予定となっています。また、この機会を利用し、今月、大臣に御就任されたイタリアのジューリ文化大臣との面会を予定しております。出張については以上となりますので、詳細については、後ほど担当課にお尋ねいただきたいと思います。
 2件目です。先週13日の金曜日に、大阪公立大学を訪問いたしました。大阪公立大学は、大阪市立大学、大阪府立大学が統合して令和4年度に開学した大学ですが、今回は、令和7年度の開設に向けて準備が進められている大阪市内の森之宮キャンパスを視察し、理事長や学長をはじめとする関係者と意見交換を行いました。森之宮キャンパスは、統合を象徴するキャンパスとして、全学部・学域の初年次教育やスマートシティ実現に向けた最新技術の実装といった特色ある教育研究が実施される予定であり、建設中ではありましたが、約6千人が集うことになるキャンパスのポテンシャルを十分に感じることができました。また、大阪公立大学は、都市シンクタンク機能と産学官民共創の場を推進する「イノベーションアカデミー事業」に取り組んでおり、文部科学省における重要な政策課題でもある強みや特色ある研究力を核とした産業界との連携によるイノベーションの創出や、社会人に対するリカレント教育の推進に向けて、貴重な意見交換を行うことができました。今回の視察や意見交換等を踏まえ、関係施策の充実に努めていきたいと考えています。
 
記者)
 先週13日の金曜日に北海道の旭川市で2021年にいじめを受けて亡くなった女子中学生に関して、旭川市の再調査委員会が最終報告書を公表しました。改めて受け止めをお願いします。合わせて、この問題については以前の報告書が外部流出したという事案があったと思うのですけれども、この経緯であったり文科省としての対応について教えていただけますでしょうか。
 
大臣)
 先週13日金曜日に、旭川市の再調査委員会の報告書が公表されたということは承知しております。公開された報告書には、SNSの分析等により、いじめ被害が自殺の主たる原因であった可能性が高く、いじめ被害が存在しなければ、当該生徒の自殺は起こらなかったことなどが指摘されております。旭川市教育委員会及び関係の学校においては、今回の事案を踏まえて、自らの対応を鑑みるとともに、今後、このような痛ましい事案が二度と繰り返されることのないよう、全力を尽くしていただきたいと願っております。文部科学省としても、先月30日に、いじめ重大事態の未然防止や平時からの備えを図るためのガイドラインを改訂したところであり、各教育委員会や学校等に対して丁寧に情報発信を行うなど、他の自治体においても、同様の事案が発生することのないよう、しっかり取り組んでまいります。また、市教育委員会が実施した第三者委員会の調査報告書の非公表部分が流出したという疑いについてもお尋ねがございましたが、一般論として申し上げれば、調査報告書の非公表部分が、第三者に流出するということは、個人情報保護の観点からも絶対にあってはならないことであります。その上で、現在、市教育委員会において原因等の調査を行っているのではないかと思いますけれども、今般の調査報告書が公表されたことも受けて、改めて、北海道教育委員会を通じて、報告を求めたところとなりますので、旭川市教育委員会の調査結果を待ちたいと考えています。
 
記者)
 今年もイグ・ノーベル賞を日本人が受賞しました。今回は哺乳類が腸で呼吸する仕組みを医療に結び付ける研究が選ばれましたけれども、大臣としての受け止めをお願いします。
 
大臣)
 今回の大阪大学及び東京医科歯科大学に籍を置かれる武部貴則教授らの研究グループが、イグ・ノーベル賞の生理学賞を受賞されたことにまずお祝いを申し上げたいと思います。そして、我が国の研究者が18年連続でイグ・ノーベル賞を受賞していることを喜ばしく思っています。イグ・ノーベル賞は、「人を笑わせ、考えさせる業績」に与えられる賞であると承知していますが、研究者の方々の自由な発想に基づく学術研究は、新たな知的・文化的な価値を創造するために重要であり、当省としては、引き続き、多様な学術研究の振興を図っていきたいと考えています。
 
記者)
 先日、私学事業団が、2024年度の入学者が定員割れした私立大が59%に上ったとの結果を公表しました。18歳人口の減少が進んで、地方や小規模、中小規模の大学に限らず、三大都市圏の私大の定員充足率も初めて100%を下回ったという状況でしたけれども、この結果についての受け止めを聞かせいただきたいのと、文科省は今年度から5年間を集中改革期間と位置付けて経営改革の支援などに乗り出していますが、大臣として私大の数など、規模の話ですとか質がどうあるべきだとか、今後の私立大についてどのようにお考えでしょうか。
 
大臣)
 今おっしゃった、私学事業団が実施した調査結果によれば、入学定員が未充足の私立大学の割合は59.2%ということで、2年連続で50%を超えています。しかしながら、もう少し見ていただきたいのですが、入学定員充足率が、2年連続で100%を下回ったとはいうものの、三大都市圏では99.9%、全体では98.2%、これも調査開始以来最低の数字ではあるのですが、6割近くが未充足の私立大学があると言いながら、他方、生徒(注)の数で言いますと、全体では98.2ということで、2%足らずのマイナスにとどまっているということですので、そのあたり、大学の数で未充足のところは多いけれども、全体の学生(注)さんの数でいくとそれほどでもないということはぜひ御認識いただきたいと思います。つまり、大学の規模、あるいは都市圏にあるか地方圏にあるか、そういうので変わっているということが大事なポイントではないかと思います。いずれにせよ、いろいろな要因が複合的に関係しているものと思いますが、やはりベースにございますのは、18歳人口が減少局面にある、これはやはり否めない大きな要素の一つであると思います。これからも我が国の人口が減っていく、あるいは子供の出生数が減っていくという見通しがある中では、今後、私立大学だけではないのですが、私立学校、あるいは公立、国公立の学校も含めて、学校の在り方というのはこれから特に私立の場合には経営環境ということになりますし、そういうものが厳しくなっていくということはこれから避けては通れない大きな課題だと承知しています。我々文部科学省では、令和6年度から令和10年度までの5年間を「集中改革期間」と位置付けて、将来を見据えて、収容定員の減を含む教育研究面の構造的な転換や資源の集中等による機能強化等に向けた私立大学等の経営改革に向けた取組への支援等に取り組んでいるところでございます。そして、現在、中央教育審議会で、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について議論を深めていただいておりますので、数や規模も含めて、私立大学だけではなく、高等教育機関全体の在り方を踏まえた様々な観点から検討すべき課題であります。中教審の議論も踏まえながら、必要とされる施策を講じていきたいと考えています。
(注)「生徒」「学生」は、「入学者」の意です。
 
記者)
 火山関係で3点お聞かせください。まず1点目は、今年4月に発足された火山本部の関係で、先日、政策委員会で火山本部の取り組むべき方向性、定められた総合基本施策であったりとか調査観測計画の要点がまとまったと思います。また、今月中には調査委員会のほうで全国の火山の活動評価も予定されているという話を伺っておりますが、発足して半年が経った火山本部のこれまでの取組について、大臣の評価をお伺いできればと思います。二つ目は、先日の概算要求で、文科省の火山調査研究関係と前年度比で9億円増の21億円と伺っております。この中で前年度比の増加幅が大きいのが常時観測点の運用で、前年度に比べて7億円増、8億円だったというふうに伺っているのですけれども、23年度の補正で同様の事業に22億円計上しているという話も伺っております。政策委員会で先日コメントを出された観測点の維持については、引き続きの予算確保というのを求められたと思いますが、文科省として火山本部が適切な役割を果たしていくために、今後どのような予算措置を考えていらっしゃるのか、その方針についてお伺いできればと思います。最後に、火山本部の委員の中には、文科省の中の一組織ではなくて、予算措置の権限のある火山庁の創設を求める御意見も引き続きあるのですけれども、このあたりについての大臣の御見解をお伺いできればと思います。
 
大臣)
 御案内のとおり、今年の4月に火山調査研究推進本部が設置されました。約半年経過ということになります。この間、火山調査研究推進本部は、総合基本施策及び調査観測計画の要点とりまとめ、火山調査研究に関する予算の事務の調整、全国111の活火山の活動状況の確認・評価など、我が国の火山調査研究の司令塔として、精力的にその役割を果たしているのではないかと考えています。火山を有する都道県知事や市町村長等からは、本部に対する強い期待を受けていますので、本部長として、しっかり対応していきたいとまず考えているということです。
 そして予算の話がございましたけれども、火山観測網に関する予算につきましては、今後、火山調査研究推進本部において、調査観測計画を具体化していくこととしております。本部での議論も踏まえて、引き続き必要な予算の確保に努めます。
 それから組織の話でございますが、火山調査研究推進本部は、活動火山対策特別措置法第31条において、関係行政機関の火山に関する調査研究予算等の事務の調整を行うこととされております。今後とも、この法に基づいて、この本部において、本部が定める総合基本施策等の方針のもと、予算の事務の調整を行うとともに、関係行政機関と協力して、必要な予算の確保に取り組むこととしており、現時点で、組織をどうするかということは考えておりません。
 
記者)
 一部の報道で、来年の大阪・関西万博に国立極地研究所が保管する火星の隕石が展示されることが決まったという報道がありました。この事実関係と、火星由来の隕石の価値、また万博でこれを展示して来場者に観覧してもらうことの意義をどういうふうに大臣としてお考えかお聞かせください。
 
大臣)
 国立極地研究所が、南極地域観測隊が持ち帰って、同研究所で保管している火星の隕石について、大阪・関西万博での展示に向けて、経産省及び主催者との間で調整を進めているということは承知しております。当省としては、今回の展示が実現すれば、南極地域観測隊や国立極地研究所の活動を国民の皆様に知っていただく、よい機会になるというふうに、大変結構なことであると考えております。
 
記者)
 一部報道でありました、2013年の安倍元総理が当時の旧統一教会の会長と面談しているという写真の掲載の報道について、もし御覧になられていたら、受け止めなどをお伺いできたらと思います。
 
大臣)
 今朝の朝日の1面で拝見しましたが、こういうことがあったのかなと思ったということにつきます。当省としては、特にコメントする立場にはありません。
 
(了)

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大臣官房総務課広報室