令和6年9月10日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化
東京大学柏地区キャンパスの視察、世界文化遺産推薦候補の選定(飛鳥・藤原の宮都)、文化施設による高付加価値化機能強化支援事業の採択結果、パリ・オリパラ大会の振り返りとIOC会長の後任候補について、コメ不足の学校給食への影響について、公益社団法人AED財団との面会について、通級による指導実施状況調査結果の受け止め等、科学研究費助成事業の予算倍増の要望について
令和6年9月10日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年9月10日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私から3件ございます。まずは、昨日9日月曜日ですが、東京大学柏地区キャンパスを視察してまいりました。共同利用・共同研究拠点である物性研究所及び宇宙線研究所では、最先端の研究設備や最先端技術を集約している研究現場を視察し、それぞれの研究分野において国内外の研究を先導していることを実感いたしました。また、世界トップレベル研究拠点プログラムの拠点であるカブリ数物連携宇宙研究機構では、世界中から集まった卓越した研究者が直接議論し、融合研究を生み出していくことの重要性を改めて感じました。今回の視察や意見交換等を踏まえて、関係施策の充実に取り組んでまいります。
2件目です。昨日9日に開催されました文化審議会世界文化遺産部会において、世界文化遺産の推薦候補として、「飛鳥・藤原の宮都」が選定されました。この資産は、中国大陸と朝鮮半島との緊密な交流のもと、日本列島において初めて生まれ、後代にも文化的影響を与えた古代国家の宮都の考古学的遺跡群等となります。東アジアの古代国家形成期において、中央集権体制が誕生・成立した過程を、二つの連続する時代の宮都の変遷から示すことができる唯一無二の資産であり、世界的にも顕著な普遍的価値が認められ得るものであると考えております。今後、関係自治体と連携しながら、今月中のユネスコの暫定推薦書の提出をはじめとして、必要な準備にしっかり取り組んでまいるつもりです。
最後、3件目であります。令和5年度補正予算により設置した基金を活用した「文化施設による高付加価値化機能強化支援事業」の採択先を決定いたしましたのでお知らせをいたします。この基金については、本年6月に、「クリエイター等育成事業」の採択を行ったところですが、今回の事業は、国内外で活躍が期待されるクリエイター等の育成の一環として、クリエイター等の活動の拠点となる文化施設の機能強化を複数年度にわたって支援するものとなります。今回、延べ63件の応募に対し、専門家による審査を経て、海外発信力や高付加価値化等の観点から、優れた成果が期待できる構想として13件を採択しました。本事業を通じて、次代を担うクリエイター等の活躍・発信の場である文化施設の機能強化を図り、クリエイター等の活動を後押ししてまいります。
記者)
昨日、世界文化遺産候補に奈良の「飛鳥・藤原の宮都」が選出されましたが、順調に行けば2026年の夏頃に登録の可否が決まるとの見通しですが、大臣はどういった点をどのようにこの候補について期待されているか、改めて所感をお聞かせください。
大臣)
先ほど言ったこととちょっとダブりますけれども、「飛鳥・藤原」は日本列島において、古代国家が誕生した、成立した、そういう場所でございますので、そういう点で我々日本にとって大変重要なものであるということ、そしてそれを世界の人々にそういう価値を知っていただくということが、世界文化遺産の登録によってつながっていくのではないかなと、そんなふうに期待しているところです。
記者)
オリンピック・パラリンピックに関連して2問させていただきます。先日、パリのパラリンピックが閉幕しましたけれども、五輪も含めて日本勢の活躍が目覚ましかったですけれども、オリパラ大会を通して大臣の受け止めがあれば教えていただきたいのと、もう一つ、IOCのバッハ会長が退任する意向を表明していますけれども、来年3月に決まる後任候補の1人として、国際体操連盟会長の渡辺守成さんの名前も浮上しておりますけれども、文科省として日本人が候補者として名前が浮上している現状への思いと、今の調整状況など現時点で入っている情報があれば教えていただければと思います。
大臣)
まず、最初のオリパラの閉幕と言うのでしょうか、成果についてということかと思いますが、オリンピックについては前回もちょっとこの場でもお話ししたかと思いますが、パラリンピックでございますが、今回初めての種目での金メダルというのがあります。例えば車いすラグビーもそうですし、そして、車いすテニス・女子の上地結衣選手がシングルスとダブルスと両方で金メダルを取られるですとか、また、メダリストとしては18歳から61歳の、息が長いと言うのでしょうか、幅が広いと言うのでしょうか、そういう日本人選手のメダリストが誕生したなと思います。そして、海外開催大会、パラリンピックの海外大会としては過去最多になる11競技でメダルを獲得し、金メダルは過去最高タイの10位ということでございますので、大変素晴らしい結果だったと思います。それから、先日お話したオリンピックでも金メダルが3位でしたし、総メダル数でも海外開催大会で過去最多であるということは前回お話したとおりであります。このオリンピック、そしてパラリンピックを通して、この夏も多くの皆さん、睡眠不足になる方が時差の関係で多かったのではないかと思いますけれども、選手の皆さんが本当に全力を尽くすと言うのですかね、あるいは自分の能力以上のパフォーマンスを発揮する、そういうような姿というのは、私もそうでありますし、多くの国民の人にとって、感動もそうですし、あるいは自分も頑張らなくては、頑張れるのではないかというような勇気、こういったものをもたらしたのではないかなと思います。そういう点で、選手のオリンピック・パラリンピック、メダルを取った取らないに関わらず、出場された選手の皆さんに心から感謝と敬意を表したいと思います。そしてまた、我々文部科学省としては、これはこれまでオリンピックのメダリスト、その他がお見えになったときもお話していることですが、我々ができることはやはり選手の皆さんがより一層活躍できる、そういうような環境を整えることが私たちの役割ですので、そういうふうな力を今後とも尽くしていきたいと考えています。
それからもう1点、バッハ会長の後任候補のお話がありましたが、これは我々文科省がコメントをする話ではないと思います。ただ、そうは言いながらも、一日本人として日本人のお名前が出ているということは大変嬉しいなと、そんなふうに思います。そこまでですかね。IOCの会長選挙につきましては、IOCの規定において、政府からの支援は禁止されているということでございますので、御承知いただければと思います。
記者)
先月頃からコメ不足が言われはじめまして、一般消費者をはじめお米が手に入りにくいという状況が続いています。米の供給量が減ったり、仮に今後新米が入ってきても価格が上昇したりというようなことがあれば、2学期から始まっている学校給食での米飯提供などに何らかの影響が出るのではないかというところも気になるところです。この点についての見解をお聞かせいただければと思います。
大臣)
学校給食につきましては、各学校の設置者であります市町村等において、計画的に米その他の物資、食料を調達しているところであります。現在、各学校設置者からはコメ不足の影響が出ているという声は承知をしておりません。しかしながら、引き続き、学校給食が円滑に行われるよう、必要に応じてということかもしれませんが、農林水産省等の関係省庁とも連携してまいりたいと考えております。
記者)
先ほど大臣、日本AED財団と面会されて、中でも小学校における心肺蘇生、AEDに関する実技を伴った指導を導入してほしいなどの要望を受けられたと伺っております。この要望に対する大臣の受け止めが現時点であればお願いします。
大臣)
これまでもいろいろなことをやってきているところでございますが、今日の御要望は、AED財団の理事長がお見えになられたのでございますけれども、とりあえず中高については学習指導要領には記述されているというところは評価をしていただいていて、小学校については記述を入れてほしいということ、そして、保健の先生ですとか体育の先生だけではなく、全ての先生がAEDの使い方を含めて認識をしてほしい、マスターをしてほしい。そして小学校も、高学年になったらば十分に、例を聞いたのは御自身の父親が倒れたときに救急車が来るまでの6分間の間、心肺蘇生をされて間に合ったというようなケースもあるようですし、突然死というのを防ぐことが、小学校の高学年以上だったらできるケースがあるので、子供さんにもやはり早く研修をして、そしていざというときには自分で何ができるのか、こういうふうに誰かのところへ連絡をするようなことも含めて、そういうことが身につくようにしてほしい、また研修というのも一度やったら終わりということではなくて、こういうところで倒れた場合にはどうする、こういうようなことがあったらばどうすればいいのか、そういうようなケース分けも含めて繰り返し訓練をしていく、そういうことが大事であると、こういうような御要望を受けました。我々としても、消防庁と連携しながらいろいろな対応をこれまでにもやってきております。昨年、御要望も実は受けておりますけれども、それ以降の進展も御説明したところでございます。それはそれとして、引き続き、御要望の趣旨を踏まえて、突然死を少しでも減らすことができるよう、救命措置を少しでも早く行うことができるよう努めてまいりますという、そんなやり取りをいたしました。
記者)
先日、文科省が発表した通級指導の調査結果の件でお尋ねします。発達障害などを理由に通常学級に在籍しながら通級指導を利用した小中高校生の数が2022年度は19万8,343人となり、これまで最多だった21年度より約1万4千人増えたことが明らかになりました。発達障害への理解が広がりを見せていることが背景にあると思われますが、この結果への大臣の受け止めを教えてください。また、個別の支援が必要だと判断された子供のうち、通級を利用しない子供の個別教育支援計画を見ると、これを作成できているかどうかという部分で地域差があることも明らかとなったかと思いますが、このことへのお考え、今後考えられる対策等もあれば合わせて教えてください。
大臣)
今おっしゃったとおり、通級の生徒さんが過去最多となったということであります。通級は、通常の学級に入っていて、そして更に必要な特別な指導を必要とする児童生徒に対して障害に応じた特別な指導を行うということでございますので、障害のあるお子さんと障害のないお子さんが一緒に学び遊ぶというインクルーシブ教育システム、これを推進する観点からも充実を図ってきました。そして、公立小中学校における通級による指導の担当教員の基礎定数化、あるいは公立高等学校における加配定数の措置、こういうのに今取り組んでまいりました。こういうような、今回増えたということは、こうした体制の整備や特別支援教育に対する児童生徒、あるいは保護者の理解・認識の深まりが進んだ結果、こういうふうに増えてきた、増加をしてきたということではないかと思います。引き続き必要な支援を進めるわけでございますけれども、もう一つの御質問の地域間の格差ということは、これは確かに、現在、そのようなばらつきが地域によってあるというのは事実でございます。我々、学習指導要領においても、個別の教育支援、個別の指導計画を作成し活用に努めることとしているところではございますけれども、今回の過去最多という調査結果を踏まえまして、先週6日付けで、個別の教育支援計画の作成を含め、特別支援教育体制の充実を図るよう、各都道府県・指定都市の教育委員会等に対して改めて通知を発出いたしました。そういうようなことでもありますし、また、今後の都道府県教育委員会等の関係者が出席する会議等において周知・情報発信を丁寧に行うなど、更なる取組を促したいと考えています。
記者)
先週の金曜日だったと思うのですけれども、大臣は複数の学会などから科研費を倍増してほしいという要望を受けたと思うのですけれども、大臣としての受け止めと、今後どのように取り組んでいくか教えてください。
大臣)
15の学会連合等からそういうような予算の増額に関する要望書を受け取って意見交換を行いました。面談もそうでありますし、これまでいろいろなところへ行きまして、昨日の柏キャンパスもそうでございますが、学術研究を幅広く助成する科研費の重要性については、私だけではなく文科省全体として認識を深めているところであります。そう申した上で、現在、科学技術学術審議会において科研費について質的、量的充実のための方策について御審議をいただいているところでございます。このような審議会の議論も踏まえて、我が国の研究力の向上、強化に向けて科研費の拡充、改善、充実に今後とも取り組んでいきたいと考えているという、ちょっとそれ以上具体的ではない、そういうような気持ちです。
(了)
大臣官房総務課広報室