盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年9月6日)

令和6年9月6日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

鹿児島県の奄美大島・徳之島視察、「初代門司駅」の関連遺構に関するイコモスの「ヘリテージ・アラート」、教員採用試験の日程の早期化・複数回実施、令和7年度概算要求における「医学系研究支援プログラム」について、岡山県PTA連合会が本年度末で解散を決めたという報道について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年9月6日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年9月6日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年9月6日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、1点ございます。一昨日と昨日の2日間で、鹿児島県の奄美大島と徳之島に出張いたしました。奄美大島では、奄美市立奄美博物館、鹿児島県立大島高等学校、東京大学医科学研究所奄美病害動物研究施設、そして大島紬村を視察いたしました。奄美群島唯一の総合博物館である奄美博物館では、離島に立地する博物館が抱えている課題や民俗資料を継承していくための取組について、DXハイスクール事業の採択校でもある大島高校では、島外各地の大学や地域の企業等と連携した探究的・実践的な学びの充実に関する取組について、奄美病害動物研究施設では、感染症に関する特色ある研究の現状や課題について、インバウンド客も多く訪れるという大島紬村では、地域における伝統文化の継承や発信に関する取組について、意見交換をさせていただきました。昨日徳之島に移動し、徳之島町立花徳小学校、伊仙町立犬田布中学校、そして天城町役場を訪問しました。ICTを活用した教育実践に特色のある花徳小学校では、遠隔地の小規模校との合同授業の実施に関する取組について、そして所在する伊仙町が、文部科学省の働き方改革に関する実証事業に参画している犬田布中学校では、学校における働き方改革に関する取組について、そして天城町役場では、離島における特色のある教育等に関する取組について意見交換をさせていただきました。今回の視察の内容も踏まえ、離島における教育の充実や、地域に伝わる伝統文化の振興、そして感染症研究の支援に、引き続き取り組んでまいります。
 
記者)
 3日だったのですけれども、北九州市の初代門司駅に関する遺構について、ユネスコの諮問機関であるイコモスが北九州市の解体方針を中止するように求めるヘリテージアラートというものを出したようです。このアラートは、文科省文化庁もその対象になっていて、この評価であるとかに関して市に対する助言、指導を行うように求めているのですけれども、このアラートに対する受け止めと、国としてどのように対応するかを教えていただけますでしょうか。
 
大臣)
 お尋ねの件は、北九州市による複合公共施設の建設に際して、明治24年に九州鉄道の起点駅として開業した初代門司駅の機関車庫等の遺構が発見されたということと理解しております。御指摘のように、イコモスからヘリテージアラートが出されたということは我々承知をしておりますが、遺構の保存も含め、埋蔵文化財行政は、地方公共団体の自治事務であります。また、市議会等においても様々な議論が行われていると聞いておりますので、福岡県や北九州市において、適切に御対応いただければと考えております。
 
記者)
 教員採用試験について1点お伺いいたします。大分県教育委員会が今年実施した教員採用試験で、出願者数が昨年よりも減少して予定の採用者数を確保できなかったために、秋に追加で選考試験を実施するということがありました。大分県教委は、試験日程を1か月今回早めたのですけれども、期待していた効果は得られなかったというような見解も示しています。文科省としては、教師人材の確保のために教員採用試験の早期化というのを促しているかと思いますが、まずこの大分県の結果をどのように捉えているのかということ、それから、まだ各県結果がこれから出てくると思いますけれども、同様のケースですとか、あるいは受験者が複数の自治体を受けて内定辞退をするというようなことになると、かえってこれは逆効果とも言えるような状況が起こり得るとも思うのですけれども、そういったような状況が起きかねないというところで、一旦この流れを止めるといったような考えがあるのかどうかといったことも含めて、お考えをお伺いできればと思います。
 
大臣)
 なかなか厳しい御指摘でございますけれども、教員採用選考における受験者数全体の減少の背景にありますのは、近年の大量採用によります。これは大量退職となって大量採用になるということですが、既卒受験者数が減少していることが主な要因ではないかと考えています。その中でも、特に中学・高校で、新卒の受験者数についても減少している状況については、我々も危機感を持っているところです。試験日程の前倒しは、他業種への就職が多い学部出身者が受験をする中学・高校の新卒受験者を確保することを狙ったものでありますので、試験日程の早期化が必要な取組であると我々は考えています。そして、大分県が実施を検討している試験の複数回の実施についても、受験機会の充実の観点から促進しているところです。できるだけ多くの教師志望者を確保するためには、選考の実施の時期だけではなく、これまでも何度も申しておりますが、学校における働き方改革、指導・運営体制の充実、教師の処遇改善など、総合的な取組を進めていくことが、抜本的に重要なことではないかと思います。我々としましては、この本年度の採用選考の状況を丁寧に把握した上で、試験日程の早期化の効果について検証を行いたいと思います。現在のところ、まだそこまで効果がはっきり分析できるという段階ではないと考えています。今後とも、我々文部科学省は、優れた必要な人材を確保するために、取組を進めていきたいと考えています。
 
記者)
 大学病院から診療活動の増大や医師の働き方改革の影響で、医学系研究者の研究時間が大幅に減っていることが指摘されています。そうした中、来年度概算要求の中に新たに医学系研究支援プログラムを組み込みましたけれども、大臣としては各大学病院とか医学部にどのような取組を期待したいのかを教えてください。
 
大臣)
 今御指摘いただいたように、今回の7年度の概算要求で、大学病院と医学部の研究力強化のための、「医学系研究支援プログラム」を新規で要求しているところです。この事業では、研究者の研究活動と、研究環境改善を図る組織的な取組を一体的に支援することによって、研究時間の確保と研究者の多様性・流動性の向上、これを同時に図りたいと考えています。また、基礎研究と臨床、これが融合した研究を促進して、医学系研究の研究力を強化したいと考えています。具体的には、研究活動の実施日の設定、研究支援人材の確保、研究DX等による研究時間の確保や、異分野を含めた多様な人材からなる研究チームの形成、あるいは周辺大学や産業界、海外機関等との頭脳循環の推進等による多様性・流動性の向上、こういったことに取り組んで、国家戦略に貢献する先駆的・革新的な研究成果が創出されるということにつなげていくことができればと期待しているところです。
 
記者)
 PTAの話題についてお尋ねします。岡山県内のPTAが加盟する岡山県PTA連合会が、会員数の減少によって活動が継続できないとして、今年度末で解散することになりました。この解散への受け止めと、PTAは任意団体ではあるのですけれども、何らかの支援を文科省として行う考えがあれば合わせて教えてください。
 
大臣)
 岡山県PTA連合会の解散ということは我々も承知しているところでございます。今おっしゃったように、PTAは任意団体ということで、保護者と教師が自主的に組織する団体です。ただ、その内容、活動としては、学校と家庭や地域の連携を図りながら、児童生徒の充実した学校生活のためにこれまで様々な重要な役割を果たしてきたというふうに考えています。我々がというよりは、PTAの活動や組織の在り方については、連合体である都道府県や市町村単位の団体も含めて、地域の状況等に応じて判断されるものであります。岡山県PTA連合会の判断を我々としては尊重せざるを得ませんが、児童生徒の健やかな成長のためには、学校だけではなく、保護者や地域の方々の参画が不可欠であることに鑑みまして、御地元での今後の御検討ということになるのでしょうけれども、そういった地域や今のタイミングに合った、これまでにはない、これまでとは違う活動の在り方、そういうようなものについて支援をしていくことができればとは考えています。
 
(了)

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