令和6年8月8日(木曜日)
教育、スポーツ、文化
地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議の設置,国立映画アーカイブ関連施設の視察,全国高等学校野球選手権大会の開会式の出席、国立民族学博物館・大阪市立東洋陶磁美術館の視察,日本私立大学連盟「新たな公財政支出のあり方について」の提言について,OECDシュライヒャー局長の教員処遇改善に関するコメント,戦争体験者が高齢化する中での平和のための教育,日大ラグビー部における未成年元部員の大麻使用等の事案に関する報道について,東京女子医科大学の理事長解任に関する報道
令和6年8月8日(木曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年8月8日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
今日は3件ございます。まず、新たな地域スポーツ・文化芸術の創造と部活動改革の実行に向け、今後の方向性等を検討するため、先日5日の月曜日に「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」を設置いたしました。部活動改革については、現在、令和5年度から令和7年度を改革推進期間として、地域の実情に応じた部活動の地域連携・地域移行の取組を支援しておりますが、少子化が進む中でも、子供たちが将来にわたって継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保することは、改革期間以降においても引き続き重要であると考えております。このため、今回の実行会議では、これまでの取組の成果や課題、地方自治体の状況等も踏まえた上で、その解決策や令和8年度以降の支援方策等について御検討いただき、来年春頃を目途に、一定の方向性を取りまとめていただきたいと考えております。
2点目です。一昨日6日の火曜日に、国立映画アーカイブを視察してまいりました。神奈川県相模原市にある相模原分館では、映画フィルムの保存棟を視察するとともに、映画やアニメのフィルム等の収集保存について意見交換を行いました。また、京橋の本館では映写室や企画展等を視察し、日本映画の普及や資料の活用などについて意見交換を行いました。今回の視察や意見交換等を踏まえ、映画の振興に向けて、関係施策の充実に取り組んでまいります。
最後、3件目です。昨日7日、兵庫県と大阪府に出張いたしました。まず、阪神甲子園球場で今開催されています、第106回全国高等学校野球選手権大会の開会式に出席し、祝辞を述べました。本大会は、高校球児にとって夢の舞台です。甲子園のグラウンドに立つ高校球児の堂々とした姿が印象的でした。誕生からちょうど100周年となる甲子園球場において、今年も、多くのドラマが生まれることを期待しています。次に、大阪府吹田市にある国立民族学博物館で、世界各地の民族に関する資料の展示を拝見するとともに、館長らと文化人類学、民族学の研究の取組状況や課題等について意見交換を行いました。また、大阪市立東洋陶磁美術館では、国宝である「油滴天目茶碗」をはじめ、日中韓を中心とするアジアの陶磁器で構成された世界有数のコレクションを拝見し、展示の工夫や運営等について伺いました。今回の出張を通じて得られたことを踏まえ、引き続き、関連施策の充実にしっかり取り組みます。以上です。
記者)
昨日、日本私立大学連盟が、新たな学校財政支援の在り方について提言をしたのですけれども、この中に国立大に対して授業料の上限規制を撤廃して収入増による国際競争力を強化すべきといった内容が盛り込まれたのですけれども、この提言については大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。
大臣)
昨日、日本私立大学連盟が、今の趣旨の御指摘があった、提言があった、そしてその中で、国立大学の授業料について指摘されているということは承知しております。国立大学の授業料については、国立大学法人に自主性・自律性を持たせながらも、教育の機会均等や計画的な人材養成を実現する観点から、適正な水準を確保するため、国が標準額を示しつつ、その120%を上限として各法人が個別に設定する仕組みとしております。その上で、現在、文部科学省におきましては、「国立大学法人等の機能強化に向けた検討会」を開催し、御指摘の「質の高い教育の実施」や「国際競争力を強化し高度専門人材を育成」することや、教育に係る費用負担の観点も含め、国立大学法人等が全体としてその機能を強化していくための対応策等について御議論をしていただいているところでございます。その状況を踏まえながら、引き続き、必要な改革支援に取り組みたいと考えます。以上です。
記者)
私大連の提言に絡んでもう1問、教育国債の創設についても盛り込まれていまして、機関補助とか個人補助に再配分すべきといった内容だったのですけれども、大臣としては教育国債について実現性など、どう現状をお考えでしょうか。
大臣)
そういうアイデアがあることは私どもも承知をしております。そういうことをおっしゃる方は今の私大連だけではなくて、これまでにもいらっしゃいます。ただ、国債、債権の発行ということ自体につきましては、安定財源の確保ということと財政の観点、そういう点から、慎重に検討する必要があるということに当然財務省が言ってくると思います。今後、しっかり検討しながらということになろうかと思います。まず当面、今の時点では令和7年度予算要求に向けて検討をしているということでございます。
記者)
中教審の質の高い教師の確保特別部会で審議した教員の処遇改善策についてなのですけれども、OECDのシュライヒャー教育・スキル局長が、読売新聞の取材に支持をしたいと。教職調整額の引き上げの方向性は正しい、残業代支給をすると長時間労働を認めてしまうことになる恐れがある、PISAの成績上位国でも残業代を払う国は少ないということを話しています。この残業代か教育調整額の引き上げかというのはいろいろ現場でも議論があるところだと思うのですけれども、このシュライヒャー局長のコメントについて大臣の所感をお伺いします。
大臣)
その記事は私も拝見いたしました。OECDのシュライヒャー教育・スキル局長は、OECD加盟国の教育の状況をよく、加盟各国の状況をよく御案内の方でございます。そして、その局長が我々中教審の「審議のまとめ」の内容を支持してくれたというのは、大変心強く、嬉しく感じております。そして、「審議のまとめ」の中においても、教師の処遇改善とあわせて、働き方改革の更なる加速化、学校の指導・運営体制の充実、これらを一体的・総合的に進めることが必要であると示しているところであり、一体的にこれらを進めていくということで、OECDのシュライヒャー局長が言っている部分と合致をしていくことになるのではないかなと考えています。中教審自体の最終的な答申はこれからということになりますので、その答申の内容も踏まえた上で、OECDの局長の方向性と言うのですかね、言っていること、そういったことと、我々は今のところ同じ方向を向いているのではないかと思いますけれども、学校の教師と言うのでしょうか、先生の働き方改革、こういったものに取り組んでいきたいと考えます。以上です。
記者)
残業代を求める声はやはり現場にもまだあったりすると思いますが、そのあたりはどうお考えですか。
大臣)
これまでも何回か答えているところでございますが、中教審のメンバーには教育現場をよく御存知の方が入った上での答申というか、まとめでございます。いろんなことがあるのは事実でありますけれども、中教審で、残業ということではなくこういう形での処遇の改善というふうに答申をいただいているところでありますし、シュライヒャー局長もそれを支持しているということでもあります。そしてまた、私が今回の出張でフランスの教育担当大臣やポーランドの教育担当大臣とも話をしましたけれども、両大臣とも同じような見解でございました。以上です。
記者)
今後の平和教育についてお伺いさせていただきます。今年、戦後79年を迎えます。戦争を経験した人たちが直接この体験を聞くというような機会が年々少なくなってきているというような状況があると思いますけれども、改めて次の世代に戦争の悲惨さ、あるいは平和の尊さといったものをどうやって継承していくのかということが課題になっているかと思います。今後、学校などでどのような形での平和教育に取り組んでいく必要があるのかというところで大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
戦争もそうですし、地震や災害もそうなのですけれども、やはり喉元を過ぎれば熱さを忘れると言うのでしょうか、どうしても忘れがちでございますので、次の世代、更にその次の世代と、そういう経験その他を伝えていくことが大事だというふうに考えます。そして、特に戦争は人が起こすものですよね。天変地異というものとは違いますから、そういう点で我々人間、人類が戦争を起こさないようにするということを我々が理解をする、そして平和で民主的な、あるいは国際的に協調するような平和の実現に努めるということが大事ですので、それをどう子供たちに伝えていくのかと、こういう観点かと思います。厚生労働省と協力をしながら「平和の語り部事業」というものを我々は推進しております。ただ、これは語り部になる方自体が、先ほど来年で80年という話もありましたけれども、当然高齢化しております。ということで、どのように持続可能な形でと言うのでしょうか、つないでいくのかということでございます。例えば、広島市では戦争体験者の生の声を盛り込んだデジタル教材を作成しておられるわけですし、またNHKさんもNHK for Schoolというところで様々な動画を公開しておられます。こういった取組例を我々参考にしながら、「語り部事業」との連携を密にしていきたいと思いますし、学校教育において、このようなデジタル教材の活用、普及の推進、あるいは平和な世界をどう実現するか、日本が行っている国際協力について考える活動の充実、そういったことを含めて、平和教育の一層の充実に努めたいと考えております。以上です。
記者)
日大に関して伺います。日大ラグビー部の元部員が2022年に寮内で上級生から大麻の吸引を複数回強要され、それが原因で退部・退学をしたと訴えています。この件について大臣の御所感をお願いします。また、日大ではアメフト部の一連の事件もありましたが、学生が安心して学業やスポーツに励むため、どのような改革を文科者として望まれますでしょうか。
大臣)
報道があったことは承知しておりますし、また、今御指摘の事案については、今年の1月に公表された日本大学の外部調査委員会の報告書等において、既に指摘されていると承知しています。それで、報告書の中では、ラグビー部員による大麻使用の噂についても指摘され、同時に公表された「報告書における提言策への対応状況」では、部員全員に対する検査を行い、陰性であることを確認するとともに、不定期に検査を継続していくとされており、実際にも、複数回検査を行っているというふうに今は聞いているところです。我々文科省としては、引き続き、日本大学さんに対して、大学全体で社会の信頼に応えることができるよう、改善計画に沿って、しっかり対応を徹底していただきたいということをこれまでも申し上げているところでございますし、これからもそのように日本大学さんとはやり取りをしていきたいと考えています。
記者)
大臣の冒頭発言にもありましたが、昨日開幕した夏の甲子園についてお伺いいたします。今大会から午前、午後の2部制の試験的な導入が行われたり、その他にも7イニング制の検討であったり、ドーム球場を利用した方がいいのではないかという声が上がっていたりする中ですが、大臣も参加された開会式の中で、智弁和歌山高校の辻キャプテンの選手宣誓で、甲子園球場が100年先も聖地であり続けること、私たちの憧れであり続けることを夢として語っていました。私個人としてもこの言葉というのは高校球児の率直な思いであるかなと感じています。大臣はこれを現場で生で聞いてどう感じられたかということと、大臣としても甲子園球場自体が身近であると思いますが、夏の甲子園のあり方についてどう考えていられるか、お伺いできますでしょうか。
大臣)
前にお話したかどうか覚えていませんが、私は甲子園口というところに家がありましたので、当時はまだ西宮球場もありましたので、うちからですと西宮球場の歓声は聞こえる距離だった。甲子園は歓声は聞こえないのですけれども、ナイターなんかだったら空が明るくなっているのが見える距離で、中学ぐらいの頃からですかね、自転車でよく、高校野球は外野はタダだったものですからよく行っていました。そういう点で、甲子園自体、選抜も含めて夏の高校野球、そういったものに親近感はずっと持っておりました。その中で、智弁和歌山の選手宣誓の御発言、よく高校生でこれだけ立派な発言をするなと思って正直感心して聞いていました。今回が106回大会ということですが、甲子園球場ができたのが今から100年前ということで、甲子園に移って丸100年ということであります。高校生からすると、やはり甲子園でやりたいということで聖地なのだろうなということを改めて昨日強く感じたところであります。ドーム化ということについても、そういうような御意見、御要望もあるということは承知しておりますけれども、これも実は昨日、開会式の前に関係者が揃っていたものですから、そこでそんな話題も出ましたけれども、なかなか今のところ球場側のほうですね、そちらの責任者の方からは、今我々としてはドーム化というのは考えられる状況ではございませんと、そういう言い方でした。ただ他方、私が中学・高校生の頃と今では正直暑さがだいぶ変わってきていると私も肌で感じます。昔も暑かったのですけれども、30度を超すと今日は暑いねと言っていたのが、今は35度を越さないと今日は暑いねと言わないぐらいに温暖化が進んでいると思いますし、そして何より夜が涼しくなくなった。夜から明け方にかけて冷えなくなった、それだけ地球温暖化、蓄熱化が進んでいるということだと思います。そんな中でのスポーツ、これは高校野球だけに限らないと思いますけれども、どういうふうにしていくのかはやはり工夫をしていかないといけない。やはり我々も対応策、適応策というふうに、地球温暖化では、環境の世界では言いますけれども、適応策の方を我々も考えないといけないと思います。そのためにも1部2部制ですとか、その他いろいろ、クーリーングタイムだとかいろいろ工夫をしつつあるわけで、そういったことを含めて、どのように今後とも、100年かどうか分かりませんですけれども、高校野球をうまく続けていくことができるのか、これは高野連のほうでもお考えでございますし、我々も含めて関係者が知恵を、より一層の知恵を出していくよう努力していくということではないかと思います。とりあえず、今回から2部制を導入しました。そして昨日、第3試合、最後の試合は21時半を過ぎていたかと思いますけれども、そんな時間にもなっているわけですから、そういうような時間に終わるということも含めて、どういうやり方がいいのかを検討していくということになるのではないかと思います。以上です。
記者)
女子医大についてお伺いいたします。昨日、女子医大の岩本理事長のほうが解任が決まりまして、文科省のほうからは先日訪問があって、改善の計画を検討するように求めているということだと思うのですけれども、大臣の受け止めと改善について期待することがあればお伺いできますでしょうか。
大臣)
まず、31日の水曜日に、東京女子医科大学から、第三者委員会の報告書が提出されました。これは先日申し上げたと思います。これを受けて、一昨日、6日の火曜日、法人に文科省に来ていただきまして、第三者委員会の指摘を受け止めた上で、責任の所在を明確化するとともに、速やかに、管理運営体制の再構築などの改善計画を策定するよう指導しております。今後、この報告書を踏まえた法人の対応状況を確認しながら、しっかりとした対応をしていきたいということでございますので、我々としましては、まずは東京女子医科大学側の今後の対応を見守っていきたいと考えております。以上です。
(了)
大臣官房総務課広報室