令和6年8月2日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化
7月23日~8月1日のフランス、ウクライナ、ポーランド出張,「佐渡島の金山」の世界遺産登録,令和6年度全国学力・学習状況調査の結果,日本海側の海域活断層の長期評価の公表,東京女子医科大学の第三者委員会調査報告書について,国際化学オリンピックでのメダル獲得について,全国知事会の国民スポーツ大会の見直し意見に対する受け止め,茨城県の教員採用選考における「教職専門」の筆記試験廃止について,部活動における熱中症対策,オリンピック選手に対するSNSでの誹謗中傷,iPS細胞による心筋作製の臨床試験の成果について
令和6年8月2日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年8月2日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
今日は4件ございます。まず最初ですが、7月23日(火曜日)から昨日8月1日にかけまして、フランス、ウクライナ、ポーランドの3か国を訪問しました。まずフランスでは、ユネスコ主催のスポーツ閣僚級会合に出席いたしました。そして、フランス政府主催の「持続可能な開発のためのスポーツサミット」というものに出席しました。また、フランスの国民教育・青少年大臣と意見交換を行いまして、技能オリンピックについての働きかけを行うとともに、ウクライナの青年・スポーツ省大臣代行とスポーツ交流についての意見交換を行いました。そして、その翌日になるわけでございますが、パリの2024オリンピックの開会式に出席するとともに、代表選手団の支援のために設置されたサポートハウスの取組や競技を視察いたしました。そして、ギメ東洋美術館やパリ・オペラ座を視察いたしまして、文化施設の運営や人材育成等に関する意見交換を行いました。次にウクライナへの訪問ですが、まず、ブチャにある市民の犠牲者埋葬地、そしてキーウにある慰霊碑で献花を行いました。また、イルピンという、ロシアの侵攻を防ぐために、その市の四つの橋を落としたそうでございます。ウクライナ側が自ら爆破したのでしょうね、そういうところも拝見しました。そして、そういうことも含めて、ロシアによる攻撃によって一般市民に多大な被害が発生していることを写真その他も含めて見まして、目を覆うような写真もございましたが、強い憤りを覚えました。また、ウクライナの、前に一度行ったことがあるのですけれども、侵略後、侵略を受けては初めて入りましたので、自分の目で見ることができました。復興への支援、特に、教育などソフト面での貢献の重要性を感じたところです。そして、本年2月に、文部科学省とウクライナの教育科学省との間で締結した協力覚書に基づいて開催されました第1回日本ウクライナ教育科学技術合同委員会に出席しました。合同委員会では、教育科学大臣に対しまして、ウクライナの高校生や大学生、研究者の日本への招へい、また、日本の絵本の寄贈と出版支援など、日本としての貢献策を伝達し、先方からは歓迎の意が示されたところであります。会議の成果は両大臣が署名した共同サマリーとして、公表しております。さらに、文化やスポーツの分野での会談を行いました。文化・情報政策大臣代行との間では、ウクライナの文化遺産の保護や、ウクライナのオーケストラの来日公演開催に対する支援、青年・スポーツ省との間では、ウクライナのスポーツ選手の日本での合宿・トレーニングの実施に対する支援をお伝えし、先方から歓迎の意が表明されました。今後、これらを踏まえて、教育、科学技術、文化、スポーツの各分野における貢献を行います。最後のポーランドでは、国民教育大臣と会談を行いました。ウクライナ避難民の子供の教育や教育のデジタル化、教員の確保方策についての意見交換を行い、また、技能オリンピックについての日本での開催の働きかけを行いました。両国が共通して直面している課題について中身のある意見交換を行うことができ、有意義な会談であったと思います。また、国立原子力研究センターやポーランド日本情報工科大学の視察を通じまして、両国の関係強化の重要性を強く認識いたしました。以上です。
それから2点目です。もう御存じのとおりですが、27日土曜日に、インド・ニューデリーで開催された第46回世界遺産委員会において、我が国が推薦しておりました「佐渡島の金山」を世界遺産一覧表に「記載」することが決議されました。我が国21件目の世界文化遺産として、「佐渡島の金山」が世界遺産一覧表に記載されたことに心からの祝意を表するとともに、新潟県・佐渡市をはじめとする地元関係者の皆様の長年にわたる御尽力に敬意を表します。世界遺産一覧表への記載はゴールではなくスタートであります。今後、地元自治体等において、「佐渡島の金山」の保護に引き続き万全を期すとともに、世界中の多くの人々が現地を訪れ、その魅力に触れることができるよう、価値の発信や受入れ環境の整備等が進められることを期待しています。我々文部科学省としても、関係省庁と連携しながら、地元自治体等による取組に協力をするつもりです。
次に3件目です。29日(月曜日)に、令和6年度全国学力・学習状況状調査の結果を公表いたしました。調査の実施に御協力いただいた各教育委員会や学校関係者の皆様に、改めて感謝を申し上げます。今後、各教育委員会及び各学校等におかれては、調査結果を十分活用し、学力・学習状況の把握・分析及び教育施策の検証を行っていただくとともに、小・中学校全体を通じて資質・能力を育成するため、児童生徒の学びの充実を図っていただきたいと考えており、文部科学省としても、そうした取組の支援や更なる分析に努めてまいります。
最後の4件目です。私が本部長を務めます地震調査研究推進本部において、能登半島沖を含む、日本海側の海域活断層の長期評価を行いましたので、公表をいたします。今回の評価は、能登半島地震を受けて、兵庫県沖から新潟県沖までの海域を対象とし、検討に時間を要する地震の発生確率の評価結果を待たず、活断層の位置・形状や地震の規模について、前倒しで公表するというものであります。文部科学省としては、引き続き、関係自治体における防災対策の強化に御活用いただけるよう、評価結果について丁寧な広報に努めてまいります。以上、4件でございます。
記者)
東京女子医大の一連の問題を受けて、第三者委員会が31日に調査報告書をまとめて文部科学省に提出されたところだと思います。本日、報告書公表予定とのことですけれども、報道によると、経営陣のガバナンス不全などを指摘した内容となっているということです。報告書についての大臣の受け止めを教えていただきたいのと、報告書を踏まえ文科省として今後どのような対応を検討していらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。
大臣)
一昨日ですか、東京女子医科大学から、第三者委員会の報告書が提出されたという報告は、事務方から受けております。報告書本文については、今日この後、何時からですかね、午後になるのでしょうか、大学から公表されるものと承知しておりますが、現在、事務方で報告書の内容の精査を行っているということでございます。また、公表前のことですので、私からのコメントは現段階では控えさせていただきたいということになります。そして、今後の対応というお問い合わせでございますけれども、これにつきましては、この報告書をよく見た上で、近日中に大学を呼んで説明を求めて、必要な対応を行っていくということでございます。
記者)
31日にこちらのほうに子供たちが来ました。国際化学オリンピックの金2、銀2ということで、金の斎藤さんは多分大臣の後輩の方だと思い、2年生では珍しい高いメダルだったと思いますが、御所感があれば一ついただければと。別に後輩という話ではなくて、こういう高校生のオリンピックということに関して御所感があればお聞かせください。
大臣)
毎年のことだと思いますけれども、化学だけに限りませんが、こういうところで若い学生さんがメダルを取られる、あるいはそういうレベルに達しているということは大変素晴らしいことだなと、また、金メダル銀メダル、4人今回全員が受賞されたということは嬉しいことであると思います。安江政務官が文部科学大臣表彰というのを授与されたというふうに報告を受けておりますけれども、国際大会で優秀な成績をおさめられるということは、付け焼き刃でなかなかできるものではないと思いますから、普段からよく勉強して、あるいは関心を持ってやっているのだろうなと思います。この国際化学オリンピックといったようなところで賞を取るということだけが目標では当然ないわけでありますが、我々文部科学省としては、初中教育段階における理数系教育の充実に努めるとともに、次世代の科学技術・イノベーション人材の育成に取り組みたいと思います。以上です。
記者)
昨日ですけれども、全国知事会が国民スポーツ大会の在り方について、改革案の一つにありました開催費の50%を国と日本スポーツ協会などが負担するとか、都道府県対抗方式を見直すとか、そういった踏み込んだ内容になっておりますけれども、まずその改革案についての大臣の受け止めと、あと、9月の日本スポ協の有識者会議が今後の在り方を議論していくと思われるのですけれども、その議論についてこういったところを期待したいとか、どういう議論がなされるべきかというようなお考え、御所見があればお願いします。
大臣)
詳しい内容についてはまだ承知しておりません。前々から知事会の村井会長のほうからは、今のやり方では限界なのでいろいろ考えているのだという問題提起は直接伺っていたところであります。そして、今後はよく関係者の中で相談もしていただいて、皆さんが合意できるいいプランをまとめていただければありがたいなと思います。以上です。
記者)
先日、茨城県教育委員会が、来年度から公立学校の教員採用一次試験で「教職専門」を廃止すると発表しました。教員試験の志願者が減り続けているため、受験者の負担を減らすことという説明をされています。「教職専門」を筆記試験から無くすことについて、まずどう受け止めていらっしゃるかということと、また、これに対して教員の質の低下を招くとか、働き方改革を進めることが先決で根本的解決にならないのではないかといった批判がありますが、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
大臣)
今御指摘がありました、茨城県教育委員会が来年度の教員採用選考試験から、第一次選考において、教職専門の試験を廃止されたということは承知しております。こういう試験、選考においてどのような内容のやり方をされるのかというのは、任命権者である各教育委員会の権限と責任で判断されるものでございますので、今回のは、茨城県の教育委員会としての御判断であると考えます。そうは言いながらでありますけれども、教職を担うにふさわしい人材の選考を、ぜひとも、茨城県だけではありませんが、それぞれのところでしていただきたいと思います。それから試験のあり方、教職専門というものを無くすということで、だからということには私は必ずしもならないのではないかなと思います。教員の質の低下ということには直接はつながらないと個人的には思います。どのようにして教職そのものの魅力を上げていくのか、これは我々にも問われている課題でございますが、そういうことを我々もやり、そして各教育委員会や現場でも取り組まれることだと思います。そういったことを含めていい人材をということではないですかね。ちょっと例えがいいかどうか分かりませんが、昔、外務公務員試験というのがありましたが、外務省の外交官、これは今なくなりましたよね。国家公務員試験の上級で1本でやっております。だから外務省のレベルが下がったかというと必ずしもそうではないと思いますから、試験のやり方一つで一喜一憂することではないのではないかなと思います。
記者)
熱中症対策についてなのですけれども、近年、学校での熱中症死亡事故の6割以上が高校生の運動部活動だということが分かりましたけれども、その新たな対策を何か検討されないかということ、その象徴でもある甲子園で暑さ指数31というのが日本スポーツ協会のガイドラインで言えば原則運動中止となっていますけれども、それを超えて行われるのではないかというようなことも想像されます。その辺についてどのようにお考えかお聞かせいただけますか。
大臣)
今御指摘がありましたように、気温の高い日、スポーツだけではないと思うのですよね。外での活動一般全体にそうだと思いますけれども、熱中症対策に十分配慮していただくということが必要ではないかと思います。そして我々文部科学省では、今年の5月に既に各都道府県のスポーツ主幹課等に対し、活動の場所や種類に関わらず、暑さ指数に基づいて活動中止を判断すること、それほど気温の高くない時期から、暑熱順化を行うこと、スポーツ等の活動の前に適切な水分補給を行うとともに、必要に応じて水分・塩分の補給ができる環境を整え、活動中や終了後にも適宜補給を行うこと、熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、早期に水分・塩分の補給、体温の冷却、病院への搬送等を行うことなど、適切な措置を講ずるよう、既に通知は発出しております。我々は、引き続き公益財団法人日本スポーツ協会等の関係機関等とも連携し、スポーツ活動における熱中症事故の防止に向けて必要な対策に取り組む、注意をしていくということに尽きるのではないかなと思います。そして、今おっしゃった夏の高校野球ですか、これにつきましても今回、少し工夫をするということで始めるようでございますから、いろんなやり方を御担当の皆様で考えていただいて、事故がないように努めていただくということではないかと思います。
記者)
前段のところですけれども、なかなかそれでも熱中症による重大事故が減らないですけれども、通常は5月にずっと通知で出しているわけですが、それでは足りないのではないかということで伺っているのですが、いかがでしょうか。
大臣)
それはやはり現場でよく徹底していただくということに尽きるのではないでしょうか。おかしいと思ったらやはりすぐストップをしたり対応するということ、それをもう少し徹底していただくということではないでしょうか。
記者)
国では特に何か。
大臣)
今は特に考えていないですね。
記者)
大臣が開会式に出席されたというパリオリンピックについてお伺いしたいのですけれども、パリオリンピックに出場している選手に対してSNS等での誹謗中傷するような投稿が相次いでいて、その誹謗中傷の投稿を受けて、選手本人も傷ついたというような投稿をするような事態となっています。昨日、日本の選手団も声明を発表している状況なのですけれども、これについて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
オリンピック選手だけではないと思いますけれども、他人を誹謗中傷するという行為自体は許されないことだと思います。特に、今回のオリンピックのように、国を代表して全力でプレーをされているという選手の皆様を貶めると言うのでしょうか、妨害すると言うのでしょうか、こういう行為は決して正当化されるものではないと思います。投稿されている選手がおっしゃるように、やはりそういうものを見ると選手の心は萎えるというか、傷がつくと思いますね。ですから、できる限り応援をされる皆さんにおかれては、選手の心を傷つけるということではなく、選手を応援する、選手の心を支える、そういうような言葉を発信していただきたいと思います。子供のいじめなんかもそうでございますが、どうもSNSというのは顔が見えない形で匿名で出すというようなことで、何て言うのですかね、非難しやすいのかどうか分かりませんですけれども、そういう行為がしやすくなるのでしょうか。ちょっと残念なことだなと、悲しいことだなと思います。
記者)
先日、京都大学発ベンチャーのHeartseed社がiPS細胞から作った心筋細胞の移植について安全性と有効性が確認されて、次、臨床応用に向けて次のステップに入ると発表しました。文部科学省は基礎研究の段階からいろいろ支援してきたと思うのですけれども、大臣としての受け止めをお願いします。
大臣)
今おっしゃったように、我々文部科学省では、iPS細胞等の再生医療研究について、支援をずっと行ってまいりました。今のお話も、革新的な治療法の開発に向けた大きな一歩になるのではないかということで、承認されたということは大変嬉しいニュースでございます。また、令和5年度から、「再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム」を実施しておりますので、研究の早期の段階からの実用化戦略を支援するなど、更なる実用化を見据えた支援を実施しているところでございます。我々日本が強みを有するこういった分野の研究成果を、いち早く国民の皆様に届けることができるよう、我々文部科学省としても、引き続き、関係省庁と連携をしながら、支援をしていきたいと考えています。以上です。
(了)
大臣官房総務課広報室