盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年7月5日)

令和6年7月5日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

文部科学省の幹部人事について,イタリアで開催されたG7教育大臣会合への出席,イタリア出張時の各国大臣との会談,ITER式典への出席,名古屋大学、三菱重工業株式会社名古屋航空宇宙システム製作所の視察,宇宙戦略基金の公募開始,第1回「Global×Innovation人材育成フォーラム」の開催,北海道旭川市におけるいじめと自殺の因果関係を認める再調査結果公表について,東京女子医科大学の理事会に文部科学省から指導を行うことを求める要望書,H3ロケット3号機の打上げ成功について,円安下での海外留学の支援方策について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年7月5日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年7月5日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年7月5日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は1週間ほど飛んでしまったものですから、7件ございます。まず1件目ですが、本日の閣議におきまして、7月11日付けの局長級以上の人事について、内閣の承認を得ることができました。藤原事務次官、増子文部科学審議官については引き続き留任、そして藤江文部科学審議官が勇退し、その後任として、矢野初等中等局長を文科審に起用します。その新たな体制で文科行政における最重要課題に着実に取り組んでもらいたいと考えております。その他の人事の内容は配っているのかな、この後配るのですかね、その資料のとおりになります。今回、適材適所を基本とした人事を行ったところでございます。新たな布陣によって、これからの文部科学行政をより一層強力に推進していきたいと考えております。
 2件目です。先月27から29日、イタリアのトリエステで開催されましたG7教育大臣会合に出席いたしました。今回のG7教育大臣会合は、「全ての個人の能力の価値向上支援」及び「革新的な教育と将来のための新たなコンピテンシー」なかなか難しいですが、これをテーマに議論をしました。会議におきましては、ウクライナの教育大臣からのビデオメッセージがあり、G7各国に対して、戦禍に苦しむ子供たちの教育の機会確保のための支援が求められ、今回の合意文書においても、ロシアのウクライナ侵略への非難とあわせて支援の必要性が盛り込まれております。そしてまた、本年がAU、アフリカ連合の教育年であるということも踏まえまして、AUの代表者を初めて招待し、今後のアフリカ諸国との協力について議論が行われることになります。私からは、来年日本でTICADが開催されることについて紹介をしたところです。そして、会議の中身でございますが、私から学校における働き方改革や、教育現場におけるデジタル技術の活用や環境整備に関する日本の取組を紹介することで、質の高い教員の確保、教育分野におけるAIの取扱いなど、各国に共通する課題とそれに対する具体的な取組に関して充実した議論を行うことができ、各国、様々な取組を通じて「教育」に力を入れていると実感したところであります。日本としては、「誰1人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進」の実現を目指した取組を進めているところですが、今回のG7教育大臣会合を踏まえて、ウクライナやアフリカ、また、日本国内でも教育機会が十分に確保されていない子供たちへの対応や、多様な教育ニーズへの対応の必要性を再認識いたしました。様々な事情のある子供たちに対して、文部科学省としてどのような支援ができるのか検討を進めてまいります。
 3点目です。今回の出張の中で、ローマで、イタリアのサンジュリアーノ文化大臣そしてベルニーニ大学・研究大臣とバイ会談を行いました。また、G7会合の際に、同じくイタリアのヴァルディターラ教育大臣と、そしてさらにカナダのアルトマーレ・マニトバ州教育大臣と会談をしました。サンジュリアーノ文化大臣との会談では、今年6月に発表された「日伊アクション・プラン」に基づき、文化分野における両国の連携強化を進めていくことなどについて意見交換を行いました。ベルニーニ大学・研究大臣との会談では、昨年、両省間で署名した覚書に基づき、「蓄電池」と「重力波」の分野における連携強化に合意するなど、両国間の科学技術連携について意見交換を行いました。ヴァルディターラ教育大臣との会談では、日本とイタリア間の教育交流を強化していくための方策について意見交換を行いました。カナダのアルトマーレ・マニトバ州教育大臣との会談では、タブレットや生成AIなど、新たな技術について、日本がいかにして教育現場での活用を進めているかについて説明し、意見交換を行いました。今回の各大臣との会談の結果も踏まえ、文部科学行政の国際化や各国との関係強化をさらに進めてまいります。
 4点目です。7月1日月曜日ですが、南フランスのITER機構を訪問し、核融合実験炉ITERのトロイダルコイルの納入完了記念式典に出席しました。ITERは、世界7極がフュージョンエネルギーの実現のために長年取り組んできており、このたび、最も重要な機器の一つであるトロイダルコイルを完成させたということで大きな成果だと考えています。私から、関係者の皆様への祝意を述べるとともに、バラバスキ機構長との会談や、日本人職員との意見交換を行いました。また、そのすぐ近所にございます、PACA国際学校を視察し、各極と協力し、ITER機構の職員の子供たちだけではないのですが、ITER機構の職員の子供含めて受け入れている国際学校です。ここでの質の高い教育を提供していることに拝見させていただきまして、感銘を受けたということでございます。引き続き、ITER計画を含め、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた取組を進めてまいります。
 そして5件目です。昨日、名古屋大学と三菱重工業株式会社名古屋航空宇宙システム製作所飛島工場を視察しました。名古屋大学では、杉山総長らとの意見交換のほか、留学生とも懇談をさせていただきました。また、「未来エレクトロニクス集積研究センター」を視察し、次世代半導体の研究開発や人材育成について、理解を深めることができました。三菱重工の飛島工場では、H3ロケットや国際宇宙ステーションに物資を補給する「新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)の製造過程を視察し、ロケットの低コスト化に向けた工夫などを実感できる重要な出張になりました。今回の視察を通じて得られたことを踏まえ、関連施策の充実にさらに取り組みます。
 6件目です。本日、JAXAより「宇宙戦略基金」の公募が開始されました。文部科学省としては、宇宙分野の「輸送」、「衛星等」、「探査等」の領域から、早急に着手すべき13の技術開発テーマを設定しており、本日公募を開始した二つのテーマを皮切りに、今後、順次、公募が開始されます。本基金では、「市場の拡大」、「社会課題解決」、「フロンティア開拓」という三つの出口に資することを目的としており、今後、多くの民間企業や大学等からの独創的かつ画期的な御提案を期待しております。
 最後の7件目です。留学促進の在り方について、産学官のステークホルダーが集い、意見交換を行う場として、「Gloval×Innovation人材育成フォーラム」を設置し、本日、第1回会合を開催いたしますので、お知らせをいたします。日本人の留学については、令和5年4月の教育未来創造会議第二次提言において、2033年までに「日本人学生の海外派遣者数を50万人」にするという目標が掲げられております。この目標を達成するためには、社会全体で留学機運の醸成を進め、志ある若者が安心して留学にチャレンジできる環境の整備等についてスピード感をもって対応していくことが重要になります。この会合を通じて、多くの若者の留学実現に向けた推進力をいただくことにより、社会や地域にイノベーションを起こすグローバル人材の排出につなげていきたいと考えております。以上です。
 
記者)
 北海道の旭川市でのいじめ問題のことで、2021年にいじめを受けていて凍死した女子中学生の件で先日、旭川市長直属の再調査委員会が報告書をまとめて、いじめが自殺の主な原因だった可能性が高いことを結論付けました。当初、第三者委員会が出した報告とは違う結論になっていまして、SNSの分析などを駆使した形なのですけれども、この件についての大臣の受け止めと、いじめの重大事態の調査の在り方や再発防止策についてどうお考えか、お知らせください。
 
大臣)
 今の点につきまして、先日30日に、旭川市の再調査委員会が報告書の概要を旭川市長に対して、提出したことは承知しておりますし、また、当省としても、旭川市より報告を受けております。その中で、学校が当該生徒の心身の苦痛を踏まえたいじめの認知、いじめへの対処を怠っていたこと、さらに、市教育委員会もいじめの認知、対処について指導助言することを怠っていたこと、当該生徒のSNSの分析等により、いじめ被害が当該生徒の自殺の主たる原因であった可能性が高く、いじめ被害が存在しなければ、当該生徒の自殺は起こらなかったことなどが指摘されております。いじめにより尊い命が失われたことは大変遺憾でございます。旭川市教育委員会及び関係の学校においては、今回の報告書の概要、今後提出される予定の報告書を真摯に受け止め、自らの対応を省みるとともに、今後、このような痛ましい事案を二度と繰り返さないため、再発防止に全力を尽くしていただきたいというふうに考えております。また、文部科学省においては、現在、重大事態ガイドラインの改訂を進めております。改訂の素案では、学校・教育委員会等における円滑かつ適切な調査の実施、いじめを受けた児童生徒等に寄り添った対応や再発防止策の策定を促すため、学校等の関係者の対応をより明確化しているところです。重大事態ガイドラインを改訂した際には、丁寧に周知・情報発信を行い、趣旨の徹底を図っていきたいと考えています。以上です。
 
記者)
 冒頭発言にありました局長級以上の人事についてもう少しお伺いしたいのですけれども、この新しい体制に大臣が期待されることとか、こういうことに取り組んでほしいとかということがありましたら教えてください。
 
大臣)
 文部科学行政をより一層強力に推進していくための新しい布陣となります。藤原次官と増子文科審は留任でございますが、新たに矢野文科審になってもらいますので、この3人を中心にして、学校における働き方改革のさらなる加速化、教師の処遇の抜本的改善、高等教育費の負担軽減の推進、科学技術・イノベーション政策の強化、文化芸術の振興、スポーツ立国の実現などの重要課題に着実に取り組んでもらいたい、新たな布陣によって一層強力に、何しろいろんな課題を我々は抱えていますので、そういったことにしっかりと対応していってほしいというふうに願っております。
 
記者)
 東京女子医大の件でお伺いするのですけれども、有志の医師が先日2日に文部科学省を訪れて、理事長や理事会に対して適切な指導を行うよう要望書を提出したところですけれども、第三者委が調査中という状況ではありますけれども、今回の要望書を受けての大臣の受け止めですとか、文科省としての今後の方針があれば教えていただけますでしょうか。
 
大臣)
 2日に要望書が提出されましたという報告は受けております。要望書の内容については私から今更言うまでもないと思いますが、文科省から理事会に対して適切な指導を行うよう求めているというものであります。現在、同窓会組織の不正支出等に関する東京女子医科大学をめぐる一連の事案について、大学が設置した第三者委員会における調査が行われておりますので、我々当省としては、その結果を踏まえた上で、必要な対応を検討していくということで、今のところはここまでということになります。
 
記者)
 先ほどの旭川の事案に関係してもう一つ伺わせてください。初めの委員会ではいじめとの関連性は否定していたものが、別の第三者委員会では因果関係が認められるという形になっていて、この第三者委員会のあり方について非常に我々は疑念を感じております。それについての大臣の所感をお聞かせ願えればと思います。
 
大臣)
 最初の報告、調査というものはやはり十分ではなかったということに尽きるのではないでしょうか。その後の第三者委員会の報告書が出た後、いろんな御意見、特に御遺族の関係でしょうけれどもいろいろあって、それでこういう動きにつながったということでありますから、本来、何のために第三者委員会を設置してチェックをしているのだということになりますので、決して望ましい動きではなかったと言わざるを得ないと思いますね。それで、今度こそちゃんとやろうとしているようでございますので、まだ中間報告ということで最終ではないと聞いておりますから、しっかりとしたものにして、そして亡くなった命というのは元に戻らないわけですけれども、今後のこういう事件が再び繰り返されないように、ぜひいい結論と言うのでしょうかね、いい方向性を分析をしていただければと希望している次第です。
 
記者)
 少し時間が経ってしまったのですが、H3ロケット3号機と「だいち4号」の打上げについて、大臣からの談話は拝見させていただいたのですが、改めて所感をお伺いしてもよろしいでしょうか。
 
大臣)
 そのときにも書いてあったと思いますが、去年失敗をしたわけですね、それでどうなるかと思っていたのが今年の2月に2号機で成功して、そして結局1日ですか、予定より遅れたので7月にずれ込みましたけれども、今回無事成功した。しかも、今度は衛星をちゃんと積んでいったということで、そこも成功したということで正直嬉しく、ほっとしているという感じでしょうか。これで大体去年の失敗から回復して、安定してきたのかなと、そんなふうに思います。今回の「だいち4号」という衛生についても、軌道上で衛星を安定して維持できる状態であるというふうにも言われておりますので、予定どおり進んでいるということですので、今後のいろんな衛星からいろんな観測をする、そしてそのデータが地球に来る、そういうことも含めてロケット本体であり、そしてそこに積まれている衛星、そういうものが両方とも安定して動いていくということが、だいぶ今後信頼性が一層高まってきた、そういう打上げの成功ということではないかなと考えています。
 
記者)
 留学生を増やすというお話ですけれども、今は円安でかなり厳しい状況が続いていますが、それに対する何か対処、対応はありますでしょうか。
 
大臣)
 なかなか厳しいですね。正直言いましてね。今日もお話しした審議会というか、グローバルイノベーション人材育成フォーラムですか、こういうところでも御議論をしていただくわけでありますし、どのような支援を手厚くしていくことができるのか、結局財源、お金との話になりますので、そことの関係を含めながら対応を講じていくということになると思います。あまり一般的で中身のない答えに聞こえるかもしれませんが、今はなかなかそれ以上言えませんよね。それから、強いて言うならこの円安がいつまで続くのかということでもあろうかと思うのですね。100円だった頃から考えると5割というのか、あるいは3分の2というのか、どちらから見るかで変わりますけれども、これだけ為替が変わっているわけですから、円で見ていたところからすると相当違いがありますのでね。日本の経済自身が強くなれば、それは私の世界ではなくて日銀なんかの金利の話もあれば、それからエネルギーや資源という日本の脆弱性、世界中の紛争が起こっているだとか、中国や北朝鮮なんかとの脅威ですとか、そういうことを含めて為替のレートが決まっていくわけですから、そこがいつどういうふうに回復するかは私では何とも言えません。日本全体として、これは政府だけではなく企業の方も含めて、日本全体の競争力をどう高めていくのか、脆弱性をどう減少していくのか、そういうのと含めて為替が決まってくる、そしてそういうのを睨みながら、今の状態でどうすれば日本の留学生が少しでも行きやすくなるのか、そういうことを検討していただいて、予算措置もありますし、あるいは予算だけではなく、要は政府側の予算だけではなく、企業や民間の方々の御協力というのもあろうかと思いますので、そういったことを含めての留学ということではないかと思います。
 
(了)

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