令和6年6月21日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他
国立大学法人東京科学大学の初代理事長選出について、宇宙研究開発機構(JAXA)へのサイバー攻撃について、旧統一教会からの財務書類提出、「こどもの性暴力防止法」の成立、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの改訂素案について、会期末を迎える第213回国会に関する所感
令和6年6月21日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年6月21日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
記者)
先日、東京工業大学と東京医科歯科大学が統合してできる東京科学大学の理事長候補として、東工大の大竹尚登教授が選出されたと思います。これに関して、大臣の受け止めと今後の期待など、お考えがあれば教えていただけますでしょうか。
大臣)
国立大学法人東京科学大学の合同選考会議において、大竹尚登先生が初代理事長候補者として選出されたということは、承知しております。大竹先生からは、責任を重く受け止めて、活力と善意に満ち溢れた大学づくりを目指すとの意気込みが表明されていると承知をしております。指導力・発信力を十分に発揮していただいて、法人統合のメリットを活かしつつ、戦略的な法人運営に取り組んでいただきたい、統合して成功だったと言われるような大学にしてほしいと期待しています。
記者)
朝日新聞の取材で、JAXAが昨年以来複数回のサイバー攻撃を受け、機密指定を受けたり、NASAやトヨタと秘密保持契約を結んだ、外部組織とやり取りをしていたとする文書を含む大量のデータが攻撃者側に流出した恐れがあることが分かりました。JAXAを所管し、宇宙研究開発分野を担う文部科学省としての受け止めをお伺いできればと思います。
大臣)
昨年来、外部からJAXAに対して複数のサイバー攻撃が行われたということは報告を受けています。JAXAでは、それぞれの事案について侵害及び影響の範囲などを特定するための調査を直ちに開始するとともに、不正アクセスに関係し得る一部ネットワークの遮断などの措置を講じたこと、また不正アクセスが行われたネットワークではロケットや衛星の運用等の機微な情報は扱われていないという報告を受けております。現在、JAXAにおいてそれぞれの事案について内閣サイバーセキュリティセンターなどの専門機関の知見と協力も得て詳細調査を進めているところと承知しております。これらの対応を早急に進めるとともに、必要な対策を十分に講じていただきたいと考えています。
記者)
旧統一教会から先日提出された財務書類について伺います。今月7日に届いて今日で2週間で、精査は続けてきたと推察されますが、今のところどう評価・分析なさっているのかお聞かせいただけますでしょうか。また、特別指定宗教法人の指定について現時点でおっしゃれることがあればお聞かせください。
大臣)
今おっしゃったように、6月7日に特定不法行為等被害者特例法に基づく、「指定宗教法人」への指定を受けた旧統一教会から、令和5年度の第4四半、つまり今年の1-3月ですね、これの財務書類の提出がありました。これを十分に精査してきたところでありますが、現状において、「特別指定宗教法人」の要件を満たすと認められる状況は確認されておりません。ということで、引き続き、旧教会についての情報収集に努め、「財産の隠匿・散逸のおそれ」があるかないのか把握された場合には、法例に則って、適切に対処していくということでございます。
記者)
一昨日成立したこども性暴力防止法について伺いたいのですけれども、法律の柱となる日本版DBS制度では現職の教員も性犯罪歴確認の対象となっていて、幼稚園教諭とか保育士を含めると230万人の確認作業が必要となるのですけれども、現時点で学校現場での確認作業の負担を軽減させるなどの方策があれば教えていただけますか。
大臣)
まずは、一昨日成立したばかりでございますが、内容についてはもう御案内のとおりと思いますけれども、教育や保育に従事させようとする人、あるいはしている人、こういう人の性犯罪歴の確認、あるいは確認された場合の防止措置、そういう内容のものでございます。それで、現在の先生ですね、こういったものも含むということですので、大変多くの数の方が対象になるというのはそのとおりであります。こども家庭庁と連携しながら、本法律の施行というのはまだだいぶ先になりますので、施行までに必要となる政省令・ガイドライン等の整備にまずは我々として協力していくということ、そしてそれができた後次のステップに入るということなのでしょうけれども、そこら辺も学校設置者等の意見も聞きながらですね、現場の負担というのがあるかと思いますので、こういうものを勘案しながら具体的な事務の詳細について今後検討していくということになると考えています。
記者)
もう1点なのですけれども、性犯罪歴がなくても性加害のおそれがあると判断されると配置転換などを講じなければいけなくなるのですけれども、教員の定数が決まっている中で配置転換となると再配置とかにだいぶ影響も出てくると思うのですけれども、その辺の運用面で大臣が懸念されていることが現時点であれば教えてもらえますか。
大臣)
今のところまだそこまではいっておりません。まずは、今言った政省令・ガイドラインを含めてですね、中身の制度設計をどうするのか、そしてそれと合わせて実際に学校現場でですね、足りなくなるのかどうか含めて見ていくということではないかと思います。それで、まずは今教えている人、今従事している人、ここということになりますから、現在の先生がそういう恐れがある人がいないことをまずは期待するわけでございますけれども、ちょっとこれからの話ですね。
記者)
先ほどのJAXAのサイバー攻撃について伺いたいのですけれども、文科省としてはこうしたJAXAの一連のサイバー攻撃の把握をいつ時点されていたのか、その都度報告を受けていたかということを伺いたいのと、こうしたサイバー攻撃について報道が先行することについてこうした攻撃の情報体制や管理体制をどう考えていらっしゃるのか、2点伺いたいです。
大臣)
具体的な報告時期ということでありますけれども、サイバーセキュリティという事柄の性質上、ちょっとこれについてはお答えは差し控えるということであります。そして、なぜこういうような報道がなされるのか、報道機関の方の取材が厳しかったのかどうか、ちょっとよく分かりませんですけれども、あまり望ましいことではありませんね、報道が先行するということにつきまして。ただ、今どのような形でどういうふうになったのか、そしてそれをどう防いでいくのか、それをJAXAのほうで検討を進めている最中であると思いますので、その辺が一段落してある程度対応策を含めて公表できることになる時期までちょっとお待ちいただきたいなと、そういうふうに思います。
記者)
先ほどのJAXAに関連してなのですけれども、一部報道ではNASAやトヨタの関係機関・企業との秘密保持契約を結んでいる情報も流出した恐れがあると指摘されています。先日、大臣は実施取決めをアメリカとNASAとの間で結ばれるなどしていますが、今後の協力関係とかに影響が出る可能性もどのように考えていらっしゃるのか、所感をお聞かせください。
大臣)
我々としては、そういうような機密に当たる情報が出ているというふうには承知しておりません。ということで、御懸念はあるのかもしれませんが、それほど大きな御懸念に及ばないのではないかと思います。
記者)
一昨日公表されたいじめの重大事態調査のガイドライン改訂の素案について質問します。今回の素案はかなり重大事態へのきめ細かい対応が記載されていると思いますが、まだ素案段階ではあるのですが、一連を巡る課題解決に向けて期待できるポイントについて大臣はどうお考えかお話いただきたいのと、あともう1点、今回の素案の現行のガイドラインの分量が約4倍にも上っていますが、忙しい教職員にいかに内容を理解してもらうかということも課題になると思うのですが、そうした学校関係者に浸透させるための対応策についてどうお考えか、お話いただけますでしょうか。
大臣)
いじめ重大事態の発生件数が過去最多となったということ自体大変深刻な問題でございます。なぜそうなったのかということで、学校、学校設置者との平時からの連携が不足しているのではないかですとか、事前の説明不足によって保護者とトラブルになったりしているのではないかですとか、いろんな背景があるのだろうと思います。我々は、有識者会議での議論を踏まえた上でガイドラインの改訂を行いました。それで、円滑かつ適切な重大事態調査の実施や、いじめを受けた児童生徒・保護者に寄り添った対応を促してまいりたいということで、一昨日の有識者会議における意見を踏まえた上で必要な修正を行った上、パブコメをこれから実施をして、今年の夏頃を目途に改訂を行う、先ほどちょっと間違えました、今後改訂を行うというつもりであります。それで、ボリュームが増えるのではないかということについては、確かにボリュームは分厚くなっていると思いますが、これはチェックリストその他ですね、これまであまり分かりにくいですとか、そういうような御意見もあったわけでございますので、分かりやすくという点でボリュームが増えるわけであります。記載の明確化、内容の充実ということになるわけでありますが、だからといって、分量が増えたからといって、それを理解するのが大変になるかというと、逆に分かりやすくするために詳しく丁寧にというつもりですので、そこはそんな御懸念に及ぶ必要はないのではないかと我々は考えておりますけれども、いずれにせよチェックリストを作り、改訂の後、説明会の実施や、必要に応じて教育委員会等の研修会への講師の派遣など、学校現場に着実に浸透していっていただけるよう、周知・情報発信に努めていきたいと考えています。
記者)
JAXAのサイバー攻撃について追加でお伺いをさせていただきたいと思います。先ほど来、ロケットなどの機微な情報というのは含まれていないということですが、情報流出自体はあったという理解で構わないのでしょうか。その上で、もしサイバー攻撃で情報が流出するということであればそのこと自体についての大臣の受け止めもお聞かせいただければと思います。
大臣)
先ほど来、繰り返しになりますけれども、何らかの情報流出はあったということですね。ただ、機微な部分についての情報流出はないというふうに我々は聞いております。そして、それも含めて現在対応しているということでございますので、その対応の結果というのですかね、完了というのでしょうか、それを待ちたいと考えています。
記者)
今のに関連して、先ほど二つぐらい前の質問に関連してなのですが、NASA、トヨタなどの機密に当たる情報はないとおっしゃったと思うのですが、機密に当たらない部分であってもNASA、トヨタなどの情報が入っているところが攻撃を受けたということでよろしいのでしょうか。
大臣)
いずれにせよ、JAXAにおいて現在対応しております。侵害及び影響の範囲等の詳細な調査、確認を今やっておりますので、範囲の詳細等についてはお答えは差し控えさせていただきたいということで、その対応が終わるのを待っていただきたいと思います。
記者)
通常国会が事実上、今日で会期末を迎える、いよいよ会期末を迎えるということになるのですけれども、今国会を振り返って、序盤は大臣は大変御苦労されたようなイメージがあるのですけれども、文科省に関わる法案が二つと、あとはDBSに関わる法案とかもありましたけれども、何かもしあればお聞かせください。
大臣)
今おっしゃったように、閣法と議法ということで無事できました。学校教育法の改正については幸い衆参ともに全会一致ということでございましたので、そういう点では大変ありがたいなと思っております。それから、元日に発生した能登の地震の関係でいろいろ対応をさせていただいたわけでございますが、国会の審議でもそういうようなことについての御質問も受け、対応というのですかね、そういうことをさせていただきました。それから、大変だったのではないかというのも、確かに2月から3月にかけまして一部の報道で大変しんどい思いをいたしましたが、そういったことも無事御理解をいただけたのではないかなと、私の立場というのでしょうかね、何ら関係がないということは御理解いただけたのではないかなと、そんなふうに思います。国会は一応、形式的には明後日日曜日です。実質的には今日で閉会となります。ただ、我々は国会が終わったからこれで夏休みだということにはなりません。今、骨太をやっています。閣議決定の予定です。そして、閣議決定されたら次は我々予算要求、概算要求に向けての作業もございます。またその他のいろんな対話ですとか会議ですとか、そういうものもございますので、それぞれのそういった事項というのでしょうか、そういうような内容についてしっかり全力で取り組んでいきたいと考えています。
(了)
大臣官房総務課広報室