盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年6月18日)

令和6年6月18日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

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第4回日中韓教育大臣会合の開催報告、南極観測船「しらせ」の視察、防災科学技術研究所による南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の整備完了、骨太の方針2024の策定状況について、東京女子医大で同窓会への寄付等を考慮した教員人事が行われているという報道、東京大学の授業料引き上げに係る学生団体の要望、福岡県春日市の自死した新任教師の遺族が訴訟を起こすという報道について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年6月18日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年6月14日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年6月18日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、今日は3件ございます。まず、15日土曜日ですがソウルで開催されました日中韓教育大臣会合に出席してまいりました。御報告させていただきます。本会合では、DX時代における教育協力や青少年交流の強化、3カ国での大学間交流プログラムであるキャンパス・アジアの充実などについて意見交換を行い、共同声明を採択いたしました。また、意見交換の中で、各国における教育のデジタル化について紹介があり、特に韓国ではデジタルAI教科書の導入や教員研修への多額の予算措置を進めているとの紹介がありました。このほか、両国の教育大臣とバイ二国間会談を行い、韓国の教育大臣との間では、教育交流に関する協力覚書を締結しました。日韓で締結する初めての教育交流全般についての覚書であり、未来志向での人的交流の拡大や教育に関する局長級の共同作業部会の設置と定期的開催などが、主な内容であります。次に、中国の教育大臣とも会談を行い、2018年から2022年までの日中教育交流5か年計画を継続する新たな5か年計画に合意をいたしました。引き続き、中国とも教育交流を進めてまいります。今回の会合は、先月の日中韓サミットの後、初めて開催される閣僚級の会合でした。首脳間でも重視された人的交流をはじめとする教育協力について、未来志向の前向きな議論を行うことができ、有意義な会合となりました。次回の会合は日本が主催いたします。
 それから、次に2件目です。昨日17日月曜日、南極観測船「しらせ」視察のため、ジャパンマリンユナイテッド鶴見工場を訪問いたしました。「しらせ」は、南極地域観測隊や必要な物資を南極に輸送するという非常に重要な役割を担っており、現在、次の南極への出港に向けて整備をしているところです。昨日は、「しらせ」の整備状況を拝見するとともに、艦長との意見交換を通じ、南極地域観測を支える「しらせ」の役割の重要性を改めて実感いたしました。今回の視察を踏まえ、南極地域観測事業の着実な実施とさらなる極域研究の推進に向けて、引き続きしっかり取り組んでまいります。
 それから、3件目です。防災科学技術研究所が、2019年から整備を進めている、南海トラフ海底地震津波観測網、N-netと言います、これについて、このたび沖合システムの整備を完了し、7月より試験運用を開始することとなりました。本システムの観測データは、防災科学技術研究所のホームページ上で、今年の秋から一般に公開するほか、気象庁にも提供され、今後、緊急地震速報や津波情報等にも活用される予定です。なお、今年の秋から、残りの沿岸システムの整備を行い、今年度末にはN-net全体の整備が完了する予定です。文部科学省としては、引き続き、関係省庁とも連携し、防災に関する研究開発を推進してまいります。以上です。
 
記者)
 先週なのですけれども、経済財政諮問会議が開催されたと思います。そこの中で骨太の方針の原案が示されたと思いますが、文科省として検討状況をお伺いできればと思うのと、大臣としてどのような点が原案として足りないかなど、御意見ありましたらぜひ教えていただければと思います。
 
大臣)
 先週の11日の火曜日に、今年度の「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる骨太の方針というやつです、これについての原案が経済財政諮問会議において示され、今週中の取りまとめに向けて、現在検討中ということであります。原案においては、公教育の再生、研究活動の推進、科学技術の振興・イノベーションの促進、文化芸術・スポーツなど、文部科学省に深く関係ある項目について記載をされています。与党の、今協議をしている最中でございますが、与党の意見を踏まえて、文部科学省としても、骨太の方針に必要な内容が盛り込まれるよう、引き続き、しっかり取り組みますということでございまして、現在検討中というところですね。
 
記者)
 東京女子医科大で医学部卒業生を教員として採用したり昇格させたりする際に、同窓会組織の「至誠会」への寄付額などを評価対象としていたとのことですけれども、この役職を金で買うような仕組みについて大臣の受け止めを教えていただけますでしょうか。
 
大臣)
 報道で、東京女子医科大学から、平成30年の6月から令和5年8月までの間、同大学の卒業生が昇進等の申請をする場合には、至誠会、ここが発行する「至誠会活動状況報告書」の大学への提出を義務付けており、この報告書には、「至誠会での役職」「至誠会総会等への出席状況」「至誠会への寄付実績」などの項目があり、点数化されていたこと、そして、昇進等の可否は、この点数も踏まえて判断していたことなどについて報告を受けております。我々文部科学省は、東京女子医科大学に対して、この仕組みの導入の経緯や実態等について、既に設置されている第三者委員会の調査事項に加えるよう、要請しております。ということで、現時点でのコメントは控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、各大学における教員評価については、各大学において、あるべき教員像を示し、教員の業績を適正に把握した上で、公正かつ厳格に行われるべきであり、関係者をはじめ、社会の理解が得られるものであることが必要であると考えています。
 
記者)
 東京女子医大は寄付を強要していたわけではなくて問題があったと考えていないという認識なのですけれども、今のと関連するかもしれないですけれども、大臣は倫理面も含めてどのような考えをお持ちですか。
 
大臣)
 さっき言いましたけれども、第三者委員会での報告が7末までにまとまるというふうに聞いておりますので、それを踏まえての対応ということになるということで、今日のところは御了承いただきたいと思います。
 
記者)
 東京大学が授業料の引き上げを検討していることに関連してお伺いします。東京大学の学生さんたちが反対集会を開いたり、こちらでも会見をするなどして反対の声を上げているのですけれども、これらは大臣が直接お聞きになったわけではないのですけれども、直接当事者になるかどうか、どういう最終的な判断になるか分からないのですけれども、当事者になる可能性のある人たちがこういう意見をあげているということについて、大臣はどのようにお考えになりますか。
 
大臣)
 先週14日ですか、学生団体の集会が開催されて、運営費交付金の増額、それは我々に対してという話でしょうね、それから授業料免除の拡充、物価高などに伴う負担増に対する予算措置などについて、国に対する要望があったという報告を受けております。各大学でどういうふうに教育であり研究活動を行っていくのかということで、私たちは基盤的経費の確保に努めるとともに、経済的に困難な学生に対しては高等教育の修学支援新制度も含めた総合的な支援というようなこともやっております。他方、国立大学の授業料については、国が標準額を示し、その120%を上限として、各大学が授業料を個別に設定することができるという仕組みでございますので、その中で各大学が授業料相当のというのですかね、学生に対して十分な教育の充実、これができるのかということと、経済的支援が必要な学生が学ぶ機会を逸することがないようにすること、こういったことが大事だと思います。こういったことを踏まえて、現在、東京大学では御検討され、今動きをしておられるということだと思いますし、そしてまた伺っているところでは、今週にでも学生と総長が対話する機会を設けることを予定しているとも聞いておりますので、学生との間でも適切な対応がされることを期待しているというところです。
 
記者)
 N-netの沖合系統の設置完了について、これによって期待されること、大臣御自身のお考えをお願いします。どういうことが期待されるのか、何を期待しているのか教えてください。
 
大臣)
 やはり地震に対しての動き、これを少しでも早く検知することができる、そのためのものということであります。それで、御承知かと思いますが、四国の南、南海トラフ向けのもの、これを今整備をしているところでありますが、さらに沖合についてまずやって、そしてこれから沿岸のもうちょっと近いところについても整備をしていくところでございますので、 こういったものの整備が進むことによって、今年の4月1日に設置をしました地震調査研究推進本部(※)、こういうところでの検討に資するものになると思います。また、将来的には地震のメカニズムの解明であり、あるいは少しでも早い地震の予知というのかな、予測というのかな、そういうようなものにつながっていき、地域の皆様、国民の命であり、そして財産、こういったものが少しでも確保されることを期待しているというところでしょうか。
(※)地震調査研究推進本部が設置されたのは、正しくは平成7年7月です。
 
記者)
 今日、福岡県の春日市というところで春日市立小学校の教員が5年前に自殺したという件について記者会見が行われる予定なのですけれども、月に2か月連続で100時間超えの超過勤務を教員がしていて、公務災害に認定されています。それに対して損害賠償請求をするということなのですけれども、何か大臣はこの件に対して思うこと、教員のこういった自殺などについて思うこと、国として対策できるかなと思う場所があったら教えてください。
 
大臣)
 今の報道自体、すみません。私は今初めて聞いたので詳細については全く承知しておりません。ただ他方、教師、教員全体の働き方改革ですね、これをどう進めるのかというのはこれまでもずっと国会での答弁、あるいはこちらでの会見を含めて明らかにしているところであります。まずは、あまり長い超勤、こういう人の超勤を減らしていく、そして全体としての超勤というか、学校にいる在校等時間、これをどう短くしていくのか、処遇の改善ですとか、それから学校の中における体制の充実、こういったものをまとめて対応していくということに尽きると思います。
 
(了)

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