盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年6月4日)

令和6年6月4日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

川崎市の殿町国際戦略拠点キングスカイフロントの視察、研究者の諸外国との交流状況に関する調査結果の公表、「佐渡島の金山」の世界遺産の登録への期待、今夏の学校における熱中症対策について、国立競技場運営事業に関する優先交渉権者の決定について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年6月4日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年6月4日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年6月4日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭2件ございます。昨日、川崎市の殿町国際戦略拠点キングスカイフロントというところを訪問し、オープンイノベーション拠点での最前線の取組を視察してまいりました。ナノ医療イノベーションセンターでは、ライフサイエンス分野におけるオープンイノベーション拠点としての施設の特色や先端的な取組について、また実中研では、医療・創薬の基盤である実験動物に係る最先端研究について、それぞれ現場の研究者からお話を伺いました。今回の視察を通じて、我が国の経済発展や、国内外の社会課題の解決を実現していくために、産学官が連携して持続的なイノベーションの創出に取り組むことの重要性を改めて認識いたしました。引き続き、イノベーション創出のための環境整備を進めてまいります。
 2点目です。我が国の大学・研究機関等の研究者と諸外国との交流状況に関する調査結果がまとまりましたので、御報告申し上げます。今回の調査結果において、令和4年度の日本から海外への派遣研究者数、海外から日本への受入研究者数は、いずれもコロナ禍前の水準には戻っていませんが、前年度より増加し回復傾向が見られました。具体的には、派遣者数はコロナ禍前の約3割で6万人、 受入者数はコロナ禍前の約5割で2万人まで回復した状況となっています。我が国の研究力向上のためには、科学技術の国際展開の推進が重要です。文部科学省としては、今後とも、研究者の国際交流や国際共同研究が活発に行われるよう、支援に努めてまいります。以上です。
 
記者)
 世界遺産への登録を目指す佐渡金山について、間もなくイコモスから勧告が通知される予定と見られますが、改めて大臣の登録に向けた期待を教えていただければと思います。
 
大臣)
 今もお話がありましたが、我が国が世界遺産に推薦している「佐渡島の金山」について、通常であれば、イコモスによる評価結果及び勧告が、世界遺産委員会の6週間前までに通知される見込みということで、そろそろという感じでございます。「佐渡島の金山」は世界の鉱山で機械化が進む16世紀から19世紀にかけて、伝統的な手工業により世界最大級・最高品質の金生産を実現したという点で素晴らしい文化遺産であり、我々としては、このような文化的価値について、これまで丁寧にイコモスに説明をしてまいりました。「佐渡島の金山」の文化的価値が評価されることを期待して、近々通知される見込みのイコモスの勧告、果報を寝て待ちたいと思っております。
 
記者)
 6月に入りましたが、季節外れの夏で小学校などでは運動会の練習中に熱中症の疑いで搬送されるケースも確認されています。文科省では、4月に教育委員会などがガイドラインを作成する手引きの中で、熱中症対策のチェックリストを新たに示してその内容を活用することなどを呼びかけていることは承知しています。ただ一方で、今年はさらに暑くなることは想定されていますが、学校での熱中症対策として新たに検討していることであったり、現場で意識したり取り組んでほしいということがありましたらお伺いしたいと思います。
 
大臣)
 今おっしゃったとおり、今年の夏ももう既にある程度暑くもなり、昨日はひどい雨でしたけれども、またこれからも暑くなると思われますので、各学校において暑くなる前から適切に備えていただくことが必要であるということを踏まえまして、当省では4月30日に改めて、昨年度までに発生した事故事例も参考にしつつ、全国の教育委員会等に熱中症事故防止の徹底を要請しております。学校において熱中症事故を防ぐためには、教職員等で共通認識を図りながら、暑さ指数を踏まえ活動実施の判断を行うこと、水分や休憩をこまめにとることを含めて、児童生徒に熱中症対策について適切に指導すること、児童生徒等の状況をよく観察することなどが重要であると考えております。今年は、現場での効果的かつ効率的な熱中症事故防止につながるよう、熱中症対策のポイントをコンパクトにまとめた学校向けの「チェックリスト」を新たに作成し、あわせて学校に送付しております。各学校においては、毎年様々な御対応をいただいていると理解しておりますけれども、子供たちの健康を守るため、これまでの事故事例も踏まえて作成した今回の「チェックリスト」もぜひ有効活用していただきたいと考えています。そのようなことを通して、熱中症事故の防止に万全を期していただきたいものと期待しています。
 
記者)
 国立競技場の民営化についてお伺いします。昨日、日本スポーツ振興センターのほうから優先交渉権者としてドコモなどのグループが決まったと発表があって、運営権の対価として582億円が支払われるという内容の提案がありました。それによって、従前懸念されていた公費による運営費の穴埋めというのが避けられる見通しとなりましたけれども、その点についての受け止めをお聞かせください。
 
大臣)
 今おっしゃったように、日本スポーツ振興センターJSCにおいて、昨年7月から事業者の公募、国立競技場の民間事業化に関しての公募を行っておりました。3グループから提案がありましたけれども、昨日、株式会社NTTドコモを代表企業とする「国立競技場×Social Well-beingグループ」が優先交渉権者として選定・公表されたところです。今後ということになりますけれども、国立競技場の運営管理における公費負担、心配していた公費負担、これがなくなって収益と言うのですかね、運営権対価を得られるようになったという点では大変ありがたいと思っております。今後、JSCと優先交渉権者において、まだ実施契約というところ、本契約までは至っていないものですから、この実施契約の締結に向けて着実に取組を進めていただきたいと考えています。ただ、御案内で誤解しておられないと思いますが地代その他、別途国がと言うのですかね、払う費用はそれなりの金額がございますし、また、あくまで運営についてのPFIというか、民間への委託ということになりますので、大規模な改修ですとか、そういったことについては国のほうで、JSCのほうでやっていくということになりますので、とりあえず1歩前進して、心配していた事態よりもいい方向に来ているという点ではほっと一安心ではございますけれども、今後、いい内容の本契約をまとめていっていただきたい、そして来年の春からということになりますけれども、うまく活用していただいて国民のというか利用者の皆さんにも喜んでもらえるようになるといいなと考えています。
 
記者)
 先ほどの世界遺産に関連してなのですけれども、日本政府が推薦書を出したとき、去年ですけれども、韓国が佐渡金山は強制労働の被害現場だということで遺憾の意を表明していますが、そのあたりが今回、勧告に影響するのかどうか、大臣の所感をお聞かせください。
 
大臣)
 影響するのかどうかというのは、我々というよりはイコモスに聞いてもらわないと分からないわけではございますけれども、外交当局間でですね、韓国との間でもそういう韓国政府側からのですね、御主張に対して丁寧な議論を、打ち合わせを行っているというふうに承知はしておりますが、我々としましては先ほども少し申し上げましたけれども、この「佐渡島の金山」というのは江戸期と言うのですかね、その時代の手で掘る、海外では産業革命でですね、機械化が進んでいた、蒸気機関なども含めて進んでいた、そういう時代に手で掘っていたというところがポイントでございますので、韓国が御主張されているような強制労働というのはですね、これは明治期以降の話でございますので、文化的価値を十二分にユネスコというか、イコモスの側でですね、御理解いただければと考えているところです。
 
(了)

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