盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年3月26日)

令和6年3月26日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

弓削商船高等専門学校の練習船竣工記念式典への出席、国立国際美術館の視察、大相撲3月場所の表彰式の出席、令和5年度分の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査票の発出について、AMEDにおける大学発医療系スタートアップ支援プログラムの公募開始、地震被災地への教職員・スクールカウンセラーの派遣等の今後について、教員採用試験の日程前倒しに向けた取組

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年3月26日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年3月26日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年3月26日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。今日は多くて4件ございます。一つ目、先週23日土曜日です。愛媛県上島町にございます弓削商船高等専門学校の弓削丸竣工記念式典に出席し、翌24日日曜日、国立国際美術館の視察及び大相撲3月場所の表彰式への出席をいたしました。弓削商船では、新しくなった練習船に実際に乗って拝見させていただきました。災害時に飲料水・電気などを供給する災害支援機能や、学校でのシミュレーションと連携・融合できる最新の教育環境を拝見し、海洋人材の育成に向けた取組のさらなる進展への期待が高まった視察でございました。また、大阪にあります国立国際美術館では、関西地方を代表する現代アートの国際拠点として相応しい充実した内容のコレクション展を拝見したほか、現代美術に関する収集、展示、調査研究等の取組状況や課題等について伺うことができました。最後に、大阪でありました大相撲の3月場所では、臨場感あふれる迫力のある取組を拝見しました。そしてその後、内閣総理大臣杯の代理授与を行いました。その後、関係者との意見交換も行わせていただきましたが、改めて、スポーツが多くの国民の方々に活力をもたらすものであることを実感いたしました。
 2件目です。従来の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査においては、不登校の要因の多くが「無気力・不安」とされていました。その実態が見えづらかったことを踏まえて、令和5年度分の調査から調査項目や調査方法を改めることとし、本日、教育委員会等に向けて調査表を発出しました。具体的には、本年度、文部科学省が子どもの発達科学研究所に委託した調査研究の内容を踏まえ、「認識」ではなく、不登校のきっかけや背景にある「事実」に基づき回答する形式に見直すこと、従来の主たる要因一つを回答するという形式から複数回答形式とすること、回答に当たっては、本人や保護者、スクールカウンセラー等への確認を推奨すること、としたところです。加えて、不登校の要因に係る教師と児童生徒等の認識の差の有無を確認するため、今後も定期的に、不登校の要因に係る児童生徒本人へのアンケート調査を実施することといたします。また、今回の調査研究も踏まえて、COCOLOプランに基づく不登校対策を一層加速することとし、児童生徒の悩みを早期に把握し支援につなげるための、心の健康観察やスクールカウンセラー等の配置充実、学校風土改革や授業改善、校則の見直しの促進などを通じて、誰もが安心して学べる学校づくりを加速してまいります。
 次が3件目です。本日、AMEDより大学発医療系スタートアップ支援プログラムの公募が開始されます。近年、世界的な潮流からも、医薬品や医療機器等の開発・実用化のためには、大学発医療系スタートアップの存在が不可欠となっております。このため、本事業では、医薬品等の実用化支援のノウハウと実績を有する「橋渡し研究支援機関」を通じて、医薬品等の実用化を目指す研究者やスタートアップ企業への支援を強化します。文部科学省としては、本事業により、我が国のアカデミアの優れた基礎研究の成果が医薬品等としての実用化に結びつくことを期待しております。
 最後の4件目です。明日の27日で文化庁が京都へ移転してからちょうど1周年を迎えます。明日の節目に際しましては、文化芸術の更なる充実・発展に向けて、私から文化庁職員に対して訓示を行いたいと考えております。この間、文化庁では、都倉長官の下、食文化と文化観光の推進本部を設置し、地域の文化資源を活用した魅力ある文化観光の推進や食文化の振興を図ってきたほか、文化財の強靭化、クリエイターなどの育成や文化施設の機能強化など文化芸術予算の充実に取り組んできました。また、関係機関の皆様の御理解・御協力の下、デジタルを活用した新しい働き方の工夫や、京都、更には関西を中心に様々な連携が進んでいます。私としても、今後も文化芸術をさらに発展させ、文化芸術と経済の好循環を図るなど、全国各地において成果を感じていただけるよう取り組んでまいります。以上、4点です。
 
記者)
 来週で能登半島の地震の発生から3か月となります。新学期も始まりますが、教育の分野でどのようなサポートが必要だと認識されていらっしゃいますか。それに対して文科省はどのように取り組んでいかれますか。教えてください。
 
大臣)
 元日からほぼ三月が経過しようとしておりますが、石川県からの要望に基づき中学生の集団避難先での学習指導や生活指導等に必要な教職員を、55の都道府県市及び独立行政法人教職員支援機構の協力を得て、文部科学省職員10名を含め延べ290名を派遣したところです。また、児童生徒の心のケアなどのためにスクールカウンセラーを22の道府県から延べ84名派遣いたしました。先日3月22日金曜日を持ちまして集団避難が終了したことに伴い、文部科学省の調整による集団避難先への教職員派遣についても終了いたしました。教職員の派遣については、現時点においては、石川県から追加の要望をいただいてはおりませんが、スクールカウンセラーについては新年度においても、被災自治体の要望を踏まえつつ、追加派遣を行うこととしているとともに、被災前と同様の教育環境を確保するための教職員の加配等を行うこととしており、引き続き、被災自治体における学びの継続や心のケアに取り組んでまいります。以上です。
 
記者)
 教員採用試験の日程に関して質問したいと思うのですけれども、私どもが行った調査において2024年度に実施する教員採用試験に関しまして、文部科学省が設定した標準日より前に実施する自治体が半数、過半数だったという調査結果が明らかになりました。大臣はかねてからこの日程に関しては当事者意識を持って取り組んでほしいとおっしゃっておられましたけれども、この結果に関する受け止めをまずお聞かせください。それからあと、与党等から更に前倒しした方がいいのではないか、人材確保の観点からすると更なる前倒しが必要だというような声も上がっているのですが、この点は何か御検討されている部分はございますでしょうか。また、私どもが行った調査では日程の前倒しを行わない理由として教育実習との日程が重なっているですとか、効果に疑問があるといったような声がかなり上がっていますけれども、この点も含めて何か対応を御検討であればお聞かせください。
 
大臣)
 教師の志望者が減っている、あるいは倍率が下がっているということがかねてより言われておりました。そして他方、我々としては教育の質の向上のためには、できるだけ多くの教師志願者を確保し、優れた教師人材を採用することが重要だと考えました。そういうようなことで、各業種での採用の時期が今多様化しつつあります。つまり、一つの日を決めてそこから用意ドンではなくて、どんどんどんどん変わりつつあります。教員採用におきましても、意欲ある教師志願者を確保するために、昨年5月に、令和6年度教員採用選考の第一次選考の日程について、6月16日を一つの目安として、できるだけ前倒ししてくれませんかということを要請しました。そして、令和6年度実施の採用選考におきまして、多くの教育委員会に積極的に対応していただける見込みであるということで、今、御質問があったとおりでございますが、これは我々文部科学省だけではなく、多くの教育委員会がやはり同じような危機感を持って対応していただいた結果ではないかなと思います。そしてまた、更に今後、一層というお話もございました。そこで課題になりますのは、教育実習の実施期間との関係でもございます。我々文部科学省としては、大学において、効果的な能力育成を図る観点からも、例えば1~2年生の段階から、早い段階から学校現場を体験させるというのも一つのやり方ではないかなと思います。学生が柔軟に教育実習等を実習できるよう、教職課程の在り方を見直すことも必要だと考えております。特に、小学校のほうはまだよろしいわけですが、中学校・高等学校、ここについては、新卒の受験者数がコロナの時期から減少してきております。採用選考を前倒しすることによって、他の職種に流れていた、そういうような人たちを学校の教師ということでの受験に向かう流れができるようになるのではないかなと我々は期待しているところです。今後の対応でございますが、令和6年度の目安としてお示しした6月16日は一つの目安であり、まずは最初のスタートポイント、一里塚ということでございますので、他の業種の動き、こういうのを見ていくともう少し前倒しをしていくことも必要かもしれないと考えております。今後、改めて各教育委員会や大学に対して要請をするということを考えていきたいと思っております。以上です。
 
記者)
 不登校の分析調査の件でお伺いします。昨日の調査結果で、学校側と子供側の認識の差があるということが明らかになったと思いますけれども、その認識の差というのがどのような背景で生まれているかというところをどのようにお考えになるか、受け止めをお伺いしたいのと、先ほどお話もありましたけれども、今後、文科省として調査結果をどのように政策に生かしていきたいか、お考えを教えてください。
 
大臣)
 今、御指摘がありましたとおり、文部科学省の子どもの発達科学研究所に委託した「不登校の要因分析に関する調査研究」、ここでの不登校の要因について、教師の認識とそれから児童生徒や保護者の間で一部に差があるということが明らかになりました。我々としましては、「令和5年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」における不登校の要因に関する質問項目や方法を見直すとともに、回答に当たっては、本人や保護者、スクールカウンセラーなどへの確認を推奨することとしています。また、不登校の要因に係る教師と児童生徒等の認識の差の有無を確認するため、定期的に、不登校の要因にかかる児童生徒本人へのアンケート調査を実施したいというふうに考えております。加えて、この結果も踏まえつつ、昨年3月に公表したCOCOLOプランに基づき、教職員による子供の悩みの早期発見に向けた心の健康観察やスクールカウンセラー等の配置による早期支援の充実、学校風土改革や授業改善、校則の見直しの促進などを通して、安心して学べる学校づくりを加速していきたいなと思っています。もう少し申し上げますと、前回までは、不登校の主たる要因が「無気力・不安」というふうにされていたところで、それが多かったということでございますけれども、今回の調査で分析をしたところ、児童生徒本人や保護者の回答から、両者にほとんど差は見られなかった、児童生徒と保護者です。他方、教師の回答からは「いじめ被害」「友人とのトラブル」「親子の関わり方」などの把握できた象徴的な事実がない場合は「無気力・不安」を主たる要因とされる可能性が高いということが指摘されたところでございますので、今後、見直しをして、例えば現在の「無気力・不安」に相当する選択肢については、「学校生活に対してやる気が出ないなどの相談があった」、あるいは「不安や抑うつの相談があった」などの事実の有無について複数回答で回答する形にすることといたしました。こうした取組を進めることで、不登校の要因の正確な把握、あるいは有効な対策の推進に努めたいと考えています。
 
(了)

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大臣官房総務課広報室