盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年3月15日)

令和6年3月15日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

令和6年度戦略目標等の決定、「教育版DMAT」の創設に対する見解、教育データの利活用にあたっての個人情報の適切な取扱について、教師になった者に対する奨学金の返還免除制度の検討状況、国際卓越研究大学の第2回公募の検討状況や初回公募で認定候補である東北大学の認定に向けた状況、文化審議会で議論されている「AIと著作権に関する考え方」について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年3月15日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年3月15日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年3月15日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件ございます。このたび、「戦略的創造研究推進事業」等における令和6年度の「戦略目標」等を決定いたしました。「戦略目標」は、その時々の科学の潮流や政策課題を俯瞰し、戦略的な基礎研究の大きな方向性を定めるものです。文部科学省は、この「戦略目標」の策定を通じて、基礎研究と政策課題の橋渡し、先導的・独創的な研究の発掘と育成、大学等における分野融合の促進などに貢献しているところです。令和6年度の「戦略目標」等としては、AIやロボットによる研究プロセスの革新、個人差や性差を踏まえた個人に最適な医療への挑戦など、分野横断の6つの目標を設定しました。今後、4月以降、この「戦略目標」等に基づき、JST・AMEDにおいて公募を開始します。多くの研究者の皆様から、意欲的な提案を期待しているところです。以上です。
 
記者)
 災害に関連してなのですけれども、教育DMATという災害が発生したときに被災地に駆けつける教員であるとか、スクールカウンセラーなどを準備しておく必要があるのではないかという意見があるのですけれども、文科省での検討状況と、もしそのようなものが必要だということであればどんなことが想定されるのかというのを、お考えをお聞かせください。
 
大臣)
 今般の能登の件でそういうお声が出てまいりました。大規模自然災害が発生した場合に、被災地における学校教育活動の早期の再開や、避難生活中の子供たちの学習面やメンタル面のサポート、そして学校施設の安全性確保等のため、被災地からの要望に対し、総合的な支援を速やかに届けていくことが重要であると考えております。能登半島地震では、被災自治体からの要請を受けて、全国の教育委員会との協力による輪島市等の中学生の集団避難先への教職員の派遣支援や、児童生徒等の心のケアのために必要なスクールカウンセラーの追加派遣支援、学校施設の使用可否や復旧の方向性を判断するための専門家等の派遣を行っております。また、そのほかにも、兵庫県をはじめとする6府県による自主的な取組として、避難所の運営や学校再開をサポートするための教職員の派遣が行われていたり、NPO法人等による子供の居場所づくりの一環として、避難所等における学習支援などが行われている状況です。こうした取組も参考にしつつ、現在も続く能登半島地震の対応を振り返りながら、発災から学校の再開までを継続的に支援するための方策について、どういった形が考えられるのか、現在、事務方で検討を進めているところです。以上です。
 
記者)
 小中学生1人1台に配備している学習用端末について、個人情報保護法で定める、利用目的を特定しないなど、教育委員会の一部に教育データの適切でない取り扱いをしている実態が読売新聞の取材で分かったのですけれども、大臣の受け止めをお願いします。
 
大臣)
 調査の詳細を把握しているわけではありませんが、その報道については承知をしております。個人情報を取得する際には、個人情報保護法などの関係法令に基づいて適正に取り扱う必要があり、そうした取扱いを行っていない自治体があるのだとすれば、これは大変遺憾なことであります。教育データの利活用は、学びの質の向上などメリットがあると考えておりますが、他方、それは個人生徒の個人情報を適正に取り扱うことが前提となっているものです。この点、文部科学省は、これまで、教育委員会等の担当者向けの会議において説明するとともに、留意点を整理した参考資料の周知などを行ってきたところです。加えまして、今後、「教育データの利活用に係る留意事項」の改訂や説明会の実施、実態把握調査なども予定しているところであり、引き続き、必要とされる取組を行っていく予定です。以上です。
 
記者)
 現行版では、改訂版を通じてどのような課題を特に改善されたいと考えますか。
 
大臣)
 現在、今、改訂をしているところでありまして、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。そう遠くないうちにこの取りまとめをする方向で今はやっているところです。
 
記者)
 盛山大臣、先日の衆議院文部科学委員会で大学院生を対象とした返還免除制度を活用しまして教員になった方への奨学金返済支援を行う考えを示されました。関係する審議会で目下議論が行われている最中だとは思うのですけれども、大臣としてこの件についてどのような方針で考えていらっしゃるのか、制度の狙いや趣旨について改めて御意向があればお願いいたします。
 
大臣)
 教師になった者に対する奨学金の返還支援につきまして、これまでもいろんな御議論が、御要望もいただいていたところです。今お話いただいたように、現在、中央教育審議会において御議論していただいてるところであります。一昨日の国会での発言は、これまでの中教審における議論を踏まえて、「優れた教師人材の確保」に向けて、教師の指導の質向上と高度専門職としての社会的地位の向上を図る観点から、現時点での我々の考え方と言うのですかね、これを示したところであります。来週19日に教員養成部会を開催しまして、取りまとめに向けた議論を行う予定であると聞いておりますので、今後、中教審における議論のまとめを踏まえて、当省として速やかに対応をしていきたいと考えております。現時点では、ここまでです。
 
記者)
 東京大学が先日、国際卓越研究大の2回目の公募に申請する方針を決めましたけれども、東大が名乗りを上げたことの大臣の受け止めと、2回目公募のスケジュール感を教えていただけますか。また、1回目公募の認定候補となっている東北大は今、伴走支援中かと思うのですけれども、認定までの進捗状況などを改めて聞かせてください。
 
大臣)
 東京大学が、国際卓越研究大学の第2回公募に応じることが適当であるという報告書、大学内の報告書なのでしょうけれども、それが取りまとめられたということは承知しております。文部科学省としては、現在、国際卓越研究大学の次回公募の準備を進めておりますが、東大に限らず、我が国の大学の研究力強化に向けて、意欲的な提案がされることを期待しているところであります。それで、今後のスケジュールということでございますが、まだはっきりしたものは決まっておりませんが、令和6年度中、来年ですね、来年度、この4月以降の令和6年度中にということで今、進めているところです。
 
記者)
 東北大の今1回目の公募のことも
 
大臣)
 それも含めまして、令和6年度中に。
 
記者)
 生成AIと著作権に関する議論についてお尋ねします。7月から議論してきた著作権の法制度小委員会のほうの議論が終わりまして、来週火曜日19日に著作権分科会の方に報告するというスケジュールになっています。今の現行の著作権法の考え方をまとめまして、それに対して国民から賛否、2万5千件の意見が寄せられてすごい関心の高い問題になっていますが、その中で著作権の権利者のほうからは著作権侵害に対する不安の切実な声が聞かれています。文科省、文化庁としてこれらの不安の声に今後どのように対応されていくのか、お考え、予定をお聞かせいただければと思います。
 
大臣)
 今お話があったとおりで、先月29日の文化審議会の著作権分科会法制度小委員会で、「AIと著作権に関する考え方」についておおむね御了承いただいて、そして現在、来週19日の著作権分科会での報告に向けて最終調整を行っているところであります。今もお話がありましたが、急速な生成AIの普及により、関係者の懸念が高まっているということを受けまして、現時点における著作権法の考え方を再整理したということになります。具体的には、権利者の許諾なくAI学習のために著作物を利用することができない場合の考え方、AI生成物が著作権侵害となり得る場合の考え方、AI生成物が著作物となる要件などについて、再整理を行いました。今後は、この考え方についての正確な理解の促進に向けて、クリエイターなどの権利者、AI開発事業者、AI利用者等の各当事者にとって分かりやすい形での周知・啓発に努めてまいりたいと考えています。以上です。
 
記者)
 議論の中で、新聞協会とかJASRACとかが著作権法改正も含めて議論を求めているのですけれども、これについては今年度は議論に至りませんでした。その理由の一つとして、著作権侵害の実例が、AI学習による侵害の恐れがあまりないということだったのですけれども、これらについては今後どのような対策をとられるおつもりでしょうか。
 
大臣)
 先ほどもお話がありましたが、パブコメで大変多くの御意見が出たということで、両方からのいろんな御意見が出ておりますけれども、立法による対応を求める声があることも承知しておりますけれども、今後、相談窓口等を通じた著作権侵害等に関する具体的な事例の蓄積ですとか、AIやこれに関する技術の発展、諸外国における検討状況の進展等を踏まえながら、引き続き必要とされる検討を続けていく予定です。
 
(了)

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