盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年1月19日)

令和6年1月19日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

能登半島地震における被災地域の児童生徒の学習継続に向けた支援,中央工学校、NIMS、KEKの視察,自民党の派閥の在り方について,JAXAの月探査機SLIMへの期待,奈良教育大学附属小学校における不適切な学校運営・指導について,標準授業時数について,被災地の教員確保の方策,国の重要文化財に指定される旧広島陸軍被服支廠倉庫施設の活用方策,「旧統一教会問題」に係る被害者等への支援に関する関係閣僚会議の開催について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年1月19日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年1月19日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年1月19日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、2件ございます。
 発生から約20日が経過しようとしておりますが、改めまして、令和6年の能登半島地震において、亡くなれた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。現時点におきまして、甚大な被害を受けました地域では学校再開の目途が立っていないケースがまだございます。あるいは、2次避難も実施されているという中で、児童生徒が日々を過ごす環境が非常に様々であるということを踏まえまして、本日この後、学校の再開状況や地域の通信状況の状態ですね、wi-fiその他の環境、児童生徒等を取り巻く環境に応じた、学習の継続のための方法や工夫、留意点等について、被災自治体に対して周知を行うこととしております。あわせて、各自治体が保護者に対して分かりやすく情報提供できるよう、2次避難先での学習継続に関するリーフレットも周知することとしております。引き続きまして、被災地域のニーズ等を踏まえつつ、関係機関ともよく連携をしながら、児童生徒等の安全確保や就学機会の確保に向けて、被災者に寄り添った支援に全力を尽くしてまいります。以上、これが一つ目です。
 もう1点、昨日、中央工学校、物質・材料研究機構、これはNIMSのことです、そして高エネルギー加速器研究機構、KEKのことです、この3カ所を視察しましたので御報告いたします。建築・測量分野を専門としている中央工学校では、デジタル設計の授業や、企業と連携をした実習施設など、新技術や建築現場の動向を取り入れた、堅実で実践的な教育を拝見することができました。NIMSでは、地震の揺れを吸収し高層ビルを守る制振装置や、データを駆使した革新的材料の開発の現状を伺いました。また、KEKでは、国際共同実験に参加しているウクライナ国籍の研究者と意見交換するなど、研究現場の取組への理解を深めることができました。今回の視察を通じて得られたことを踏まえ、関連施策の充実に積極的に取り組んでまいるつもりです。
 以上、2件であります。

記者)
 岸田総理は昨夜、宏池会の解散を検討していると発言されました。宏池会に所属する岸田内閣の閣僚のお一人として受け止めをお願いします。

大臣)
 今の点でございますが、現在、自民党の中でいろいろ様々な点について議論されております。そういうような中で、大臣の立場でコメントをするということはないのかなと思いますけれども、個人、一議員としての感想ということであれば、国民の政治に対する信頼を取り戻していくということは不可欠です。実効性のある対策を講じることが重要であると考えておりまして、昨日の発言、私も夜のニュースで見ましたけれども、とうとうここまでいったのかなと、そういうふうに思ったということでございます。

記者)
 宇宙関連で質問です。JAXAの月探査機のSLIMが明日20日の未明に月面着陸に向けた最終飛行を始める予定です。成功すれば世界で5番目の快挙となりますけれども、大臣のSLIMへの期待をまず教えていただけないでしょうか。

大臣)
 今おっしゃられたとおり、小型月着陸実証機SLIMが今晩遅くと言うのでしょうか、明日の未明に我が国で初めての月面着陸を予定しております。これにより、小型探査機で高精度な月面着陸を実証し、将来の宇宙探査に必須となる共通技術の習得を目指しています。SLIMは、昨年9月の打上げ以降、ここまでは順調に航行していると聞いております。今晩の月面着陸に対して成功することを私も期待している1人でございます。なお、月面着陸の状況はインターネットのライブ中継がなされるというふうに伺っております。そして、月面での活動につきましては、その実施にあたって、各国からの情報提供により透明性を確保するとともに、各国による複数の活動の衝突などを防ぐための議論が国際的に進められているところです。我が国もその議論に貢献というか、参加をしております。加えて、我が国としましては、アルテミス計画における有人与圧ローバの開発など、国際パートナーと共に国として主体性を持って持続的な月面探査を進めていくつもりでございますので、今日の夜中というか、明日の未明のSLIMの着陸、これが無事に成功すること、これを心から期待している次第でありますし、これが成功し、そしてその知見をですね、日本だけではなく各国と共有していくことで、今後のアルテミス計画ですとか、いろんな議論に資することに大いに貢献していくというふうに期待しているところです。

記者)
 国立奈良教育大学附属小学校で履修漏れなど、学習指導要領に沿わない授業が行われていたことが明らかになりました。この件について大臣の御所感をお願いいたします。また、文科省として注意喚起など対策を取るお考えはありますでしょうか。

大臣)
 奈良教育大学附属小学校において、教育課程の実施や教科書の使用、学校の管理運営等に関して不適切な事態があったことが判明したことは承知しておりますし、大変遺憾に存じております。当省では、この事態を重く受け止め、奈良教育大学の学長から説明を聴取の上、学内調査の確実な実施、適切な学習指導を受けていない児童への回復措置等の実施を指示しております。また、この事案を踏まえまして、本日、通知を発出することとしており、その中で、附属学校を設置する他の国立大学法人に対しても注意喚起を行うとともに、今年度中に確認・点検を行うこと、各法人において、附属学校の運営状況について適切に確認・把握する方策について検討し、実行することを要請することとしております。これらを通じ、奈良教育大学附属小学校はもちろんのこと、全ての附属学校において、法令を順守した適切な学校運営が行われるよう、引き続き、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
 そしてもう一つ、何か実態調査をというお話でございますけれども、それについては現在考えておりません。

記者)
 学習指導要領に関して伺いたいなと思います。昨日、東京学芸大学の大森教授という方が小学校の教員1,000人以上のアンケート結果として、学習指導要領に基づく標準授業時数が学校週5日制が導入されてから削減されていないというか、どちらかというと増やされてきたということによって、1日の時数が過密になっていると、そのことに抵抗感を覚えているというか、子供のためになっていないと考えている教員が多いというようなアンケート調査結果を発表しました。学習指導要領を考える上で、教員の負担ということが今議論がかなりされているとは思うのですが、一方で子供の発達段階に応じた負担という観点も必要だという問題定義なのかなと受け止めましたけれども、次期学習指導領を考える上で発達段階に応じた子供の負担ということに留意すべきかどうか、どのように留意すべきかという点を大臣としての所感を伺えればと思います。

大臣)
 会見の具体的な詳細は承知しておりませんが、お尋ねのあった標準授業時数の受け止めに関する教員を対象としたアンケート調査の結果が公表されたことについては承知をしております。標準授業の時数は、中央教育審議会での専門的な御議論を踏まえ、これからの社会を生きる子供たちに必要な資質・能力を育成するために学習指導要領に記載した内容の指導に必要な時間を定めたものであります。標準授業時数の今後のあり方については、様々な御意見に耳を傾けながら、現行の学習指導要領の下での子供たちの学習状況や、これからの社会を生きる子供たちに求められる資質・能力のあり方、これらを総合的に考慮した上で、次期学習指導要領の改訂に合わせて検討してまいりたいと考えています。

記者)
 能登半島地震の被災地の関係で、教員への支援についてお尋ねします。教員も被災者であることから様々な支援が求められると思うのですが、文科省として被災地に他県の教員を派遣するなどといった、教員の支援策として現時点で考えられていることがあれば教えてください。

大臣)
 発災直後から、複数の県が教職員を派遣しております。文部科学省としても、被災地のニーズを踏まえて各任命権者が教職員の派遣を行いやすくなるよう、支援を行っていきたいと考えております。当省からは、各都道府県・指定都市の教育委員会あてに被災自治体への教職員派遣の可否を確認しているところです。現時点では、49の自治体から派遣可能との回答をいただいており、随時、石川県に情報共有を行っております。引き続き、石川県と連携をして他自治体からの教職員の派遣について調整を行い、被災地の支援を行ってまいりたいと考えています。

記者)
 派閥の問題に関してもう1点、お伺いします。自民党の派閥の政治資金規正法違反事件を巡って、東京地検特捜部は安倍派と二階派の会計責任者を在宅起訴して、岸田派の当時の会計責任者を略式起訴する方針となっています。あと、大野泰正議員と谷川弥一議員を立件する方向とされています。今日が立件の節目のタイミングとされていますが、派閥の会計責任者や現役の議員の立件が取り沙汰される事態になったことについて、全体としてどのように受け止めているか、御所感を伺えればと思います。よろしくお願いします。

大臣)
 大臣としてコメントをする内容ではないと思いますが、その上でこういうふうになっているのは大変残念なことだと言わざるを得ないと思います。私が所属する宏池会の前の会計責任者が立件されるということも新聞で拝見しております。残念なことと言わざるを得ません。そして、他の議員の立件についても報道で承知しているところでありますが、こういうこと一つ一つが政治に対する信頼を失うことにつながっているわけでございますから、この際、出すべき膿はしっかり出してもらって、今党内でも、自民党内でもという意味ですが、御議論が進められているところです。それから、先ほども御質問が幹事社からありましたけれども、自民党総裁としての岸田総理の発言もありますので、今後そういったことも含めて、少しでも国民の皆さんに政治への信頼を回復していただけるよう議論を進め、そしてそれを実行していくということが肝心ではないかと思います。

記者)
 広島市にある被爆建物、旧広島陸軍被服支廠について伺います。今朝の官報で恐らく国の重要文化財に指定されたと思います。今後、保存や活用に向けて国としてどのような役割を果たしていかれるお考えでありますか。また、地元では誘客面というか、効果を期待する声があるのですけれども、国として期待することもありましたらお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

大臣)
 今おっしゃったとおり、旧広島陸軍被服支廠については、昨年11月の文化審議会の答申を受けまして、本日の官報において、重要文化財指定の告示がなされたところであります。今後の活用については、現在、中国財務局、広島県、これは両方とも所有者であります、広島市から構成される研究会において、検討が行われるものと理解しております。文部科学省としては、地元において、適切に保存を行うとともに、その価値を多くの方々に伝えられるよう御活用いただくことを期待しているということでございます。私たちとしては、それを見守りたいということです。

記者)
 先ほど官邸で旧統一教会の被害者支援の関係閣僚会議が開かれましたが、この会議でどのような議論が行われたのかということと、それに関連して文科省として今後どのように対応されていくのかお聞かせください。

大臣)
 閣議の前に「旧統一教会」問題に係る被害者等への支援に関する関係閣僚会議が開催されました。私も構成員の一員として出席しております。会議におきましては、私からは、「旧統一教会」問題に係る被害者等への支援にあたっては、子供や若者を対象とする取組も重要であることから、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置充実による悩みや不安を抱える子どもの相談体制の確保、高校や大学等における修学支援による経済的に困難な生徒等への対応など、取組の充実・強化を図っていく旨を発言いたしました。今回、関係閣僚会議が立ち上がったことも踏まえ、これまで以上に、関係省庁と連携をしながら、「旧統一教会」問題に係る被害者等に寄り添った支援を一層充実するため、文部科学省としての必要な取組を進めてまいりたいと考えています。全体は内閣官房長官が議長であり、副議長、事務局にあたるのが法務省でございますので、全体についてはそちらでお問い合わせをいただきたいと思います。

記者)
 冒頭の首相の解散発言に対する代議士個人の御意見について確認させていただきます。先ほどいただいたコメントの中で、政治の信頼を取り戻す上で実効性のある対策という趣旨で御発言いただいたと思うのですけれども、代議士個人としては、派閥の解散ということが政治の信頼を取り戻す上で実効性のあるものであるとお考えということでよろしいでしょうか。

大臣)
 これも私見ということで、大臣の立場ではない発言ということで申し上げますと、派閥というのは私はやはりあっておかしくないと私は思うのですね。というのは、人間3人寄れば派閥ができるというかね、2対1になるということもよく言われるぐらいでありまして、400人足らず、300数十名のですね、衆参の国会議員、これをいろんな形で運営をしていくというときにグループができるというのは私自身は自然なことではないかと思います。ただ他方、そうは思いながらですね、一般の国民の皆さんからすると派閥があるからこういういろんな事態が起こっているのではないかという御批判も高いのではないかと思います。そういう点では、一旦、派閥を解消してですね、活動していくというのも国民の信頼を得るために必要なやり方かもしれません。ただ、それだけがいいということを私は思っているわけではありませんので、派閥の問題でございますが、1番の問題はやはりお金の問題ではないかと個人的には思いますので、そういったところをどのようにしていくのか十分に議論をしていかないと国民の信頼を回復するということにはなかなか繋がらないのではないかなと個人的には思っております。

記者)
 重ねて、現時点では盛山代議士個人としては派閥というものの存続についてどのようにお考えということになりますでしょうか。

大臣)
 所属する派の会長が解散すると言ったらば私も無派閥になるということだと思います。

(了)

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